~10年前の世界~
彼は校門であった友達に小声で話しかけると
その友達も小声で返事をした
「風早さんが……いなくなって……
どれぐらいたった……?」
「もうわからん……頼むから……
早く帰ってきてほしい……」
「……そうだよな」
彼らの願いは切実だった
この並盛を牛耳ってる雲雀恭弥が
日に日に機嫌が悪くなっていくからだ
普段は風紀さえ乱さなければ咬み殺されることはない
今の雲雀恭弥は目が合うだけで咬み殺されるのだ
このため雲雀恭弥の目撃情報メールが
生徒内でまわしていたりするほどである
「沢田とかもいなくなったのと
関係してるのか……?」
「あいつら仲いいもんな……
風早さんだけでいいから……
帰ってきてほしい……」
「本当だよな……
風早さんだけ帰ってきてくれたら
もう沢田達は別にいい……」
彼らはひどいことを言っている自覚はない
なぜなら失踪した人物に関わったことがない生徒は
全員このように思っているからだ
ここまで追い詰められているのは逃げ道がないからだ
学校に通わなければ咬み殺される
通っても咬み殺される恐怖におびえなくてはいけない
なぜなら雲雀恭弥はこの学校で1番目撃されているからだ
そう……彼らは学校にいることを忘れていた
「君達、今何か言った?」
「「ひっ!? 雲雀さん!?!?
な、何も言っていません!!!」」
「ふぅん」
ドカッバキッ
彼らは雲雀恭弥と目を合わせたわけではない
ただ話している内容が気に触った
それだけのことだった……
~屋上~
「はぁ……」
深い溜息を吐いた
咬み殺したとしても気が晴れることはない
原因はわかっている……
ポケットにしまってあった手紙を取り出した
カサッ
『雲雀先輩へ
電話や会って説明したら離れがたくなるので
手紙にしました。ごめんなさい。
しばらくヴェントで行動するため姿を消します
雲雀先輩の力を使っても
絶対見つからないので探しても無駄ですよー
心配しなくて大丈夫ですよ
ちゃんと約束は守りますよ?
もうひとつの約束も守る証明のため
家の鍵をポストにいれてます
雲雀先輩に持っててほしいです
必ずまた雲雀先輩に会えるという意味で置いています
会わないと私は家に帰れないですからね
では……いってきますね
優 』
「はぁ……困った子だね……」
手紙に書いていたが探した……情報はなかった
雲雀恭弥も薄々気付いていた
優が見つからないといえば見つからない
それでも見つけたかったのだ
カチャ
「誰だい?
ここは立ち入り禁止だよ」
優は空を飛んで移動が出来る
屋上にいればフラッと降りてくる可能性がある
しかし誰かがいれば優が降りてくることはない
そのために立ち入り禁止にしたのに
誰かがいては意味がない
「ひっ!?」
「この学校の生徒じゃないね
校内の不法侵入で咬み殺す!!!!」
雲雀恭弥の言葉は矛盾している
学校の生徒でも咬み殺しているのだ
しかしそれはどうでもよかった
咬み殺すことには変わらないのだから……
「うわあああ!!!
ケ、ケイタイ……」
優が近くにいれば
グチャグチャまで咬み殺すことはしない
それは優が血が苦手だからだ
しかし優はいない
彼の運命は決まっていた
トンファーを振りかざす……力を込めて……
『雲雀先輩ストップです!!』
優がいると思って止まったが姿は見えない
ふと彼が持っているケイタイに目が入る
ここから声がした気がしたのだ
電話ではない
直接かければいいのだから
つまりこれは録音と気付いた……
『とまってくれたかな……
えっと……彼は私の知り合いなので
攻撃しないでくれたら嬉しいです』
チラッと見れば
必死に縦に首を振っていた
『あんまり詳しく説明できないんですが……
彼が持ってるバズーカに当たると
不思議なことに私と会えますよー
私と会えるように彼に私が頼んだので
咬み殺さないでほしいです』
「……本当なのかい?」
またも必死に縦に首を振っていた
優の言葉は信じる
これが本当に優が言ったのなら……
『といっても……もう1人の私として
行動してるので名前は気をつけてくださいね?
あ!彼は何も事情を知らないので
聞いても意味ないですよー
さてどうします?
当たります? 当たりませんか?
彼を咬み殺すか咬み殺さないかも
雲雀先輩が決めてください ではー』
……ヴェントで行動している
だから名前を気をつけてほしい
優がヴェントと知っている人物は少ない
……これは優が本当に言った
ヴェントのことを抜きにしても
雲雀恭弥には判断できることがあった
「……君、本当に何も知らないの?」
「はぃ……」
この返事も予想が出来た
優が知らないといえば本当に知らない
それでも少しでも情報がほしかった
「はぁ……わかった
それを当てなよ」
「は、はい!!」
ただのバズーカにしか見えなかった
それでも優の言葉を信じて雲雀恭弥は当たった
10年前の雲雀さんでしたww
かなり機嫌が悪いと思います
ツナ君達と行動してるってわかってますからね
つまり雲雀さんじゃなくツナ君達を選んだって思いますからね