クオリティと長さはお察しです。申し訳ありません。
2月25日公開予定のフリーゲームADV
『キロク×キヲク』
のスピンオフ小説。
バレンタイン企画です。
(本編公開前にスピンオフ……)
公式サイトはこちら↓
http://ankoyamigithune.wix.com/kirokukiwoku
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『キロク×キヲク』
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バレンタイン企画です。
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ツイッター
@yamigitune
今日はバレンタインデー。
全国のお菓子業界の策略にまんまと乗せられる一日……。
『はあ、どうせ俺は月夜からしか貰えないんんだろうな……寂しいなぁ……』
「勝手に俺の心情を語るな。んなこと思ってない」
マキナは今日も暇なのか、俺の部屋で漫画を読んでいた。
月夜は例年通り、一階でチョコを必死で作ってくれている。
「毎年そんな手間かけなくてもいいぞ」と言っているのだが、あの妹は聞こうとしない。
去年なんて三日掛けても食べきれない程のチョコレートをプレゼントされた。
「残したら怒るよ?」と言って、チョコレートを食べる俺の前でニコニコ笑っていた。
当然月夜のお手製なので、味は絶品だったが……。
『可愛い妹じゃないか……ククッ』
「ああ、世話が焼ける可愛い妹だ」
『バレンタインにチョコレートを渡すなんて、人間でも君達日本人くらいだよ?』
「そうらしいな……」
俺の本棚を漁り、ページを捲るたびにお腹を抱えて笑うマキナ。
その恋愛漫画の何処に笑い所があるというのか。
改竄日記のことさえなければ、今すぐにでも追い出してやりたいくらいだ……。
――その時、インターホンが鳴り響く。
「恭介君~」
この声は、雅か……。
俺の家に尋ねて来るなんて久しぶりだな。
二階に居る俺が出るより、月夜が応対するのが早いだろう。
ゆっくり準備をして降りようとした時――。
「あ、雅。お兄ちゃんならいないよ」
「あら? 恭介君出掛けてるのかしら」
「お兄ちゃんならいないよ」
「でも靴があるわよ……」
「お兄ちゃ――」
「いるわっ!」
『ククッ』
雅を追い返そうとする月夜を止めるために、必死で階段を駆け下りた。
俺の妹の様子が最近ちょっとおかしい訳が無い。
「恭介君いるじゃない……」
「お兄ちゃんならいな――」
「何の用だ? 雅」
月夜は壊れたテープレコーダーのように、同じセリフを連呼する。
いつもキラキラと輝いている瞳は、光を失ってしまっていた。
「失礼ね。今日が何の日か忘れたの?」
「今日はバレンタインデーだ」
「だからわざわざ来てあげたのに……いらないの?」
雅は俺を妖艶な眼差しで見下ろし、ラッピングされた箱を掲げる。
「――いる! 下さい!」
「卑しい私めにチョコレートをお恵み下さいと三回言いなさい」
「卑し――って誰が言うか!」
ついついチョコレート欲しさに人としての尊厳を忘れるところだった。
「私キッチン戻るね。お兄ちゃんのばか! お兄ちゃんのば~か!」
月夜は急にスイッチが入ったように俺に罵声を浴びせて、キッチンへと走り去って行った。
なんなんだ、あいつ……。
「月夜、可愛いっ」
「あれが?」
「ええ、少なくとも恭介君よりは」
「当たり前だ……。その、チョコありがとな」
「此処で食べなさい」
「え?」
「今この場で食べて……お願い……」
雅は顔を赤らめながら、か細い声で俺に懇願し始めた。
よほど料理の感想が気になるのだろう。
「お、おう。分かった」
包みを開けると、「恭介君へ」と書かれたメッセージカードと共に、ハート型のチョコレートが現れた。
「あの……雅さん」
「何かしら?」
「このチョコレート……ちょっと赤くない?」
「レッドチョコよ……」
「いや、そんなの無いから!」
「いいから早く食べなさい!」
雅は頬を膨らませて僕を睨む。
このチョコレートは食べない方が賢明。
しかし、雅の厚意を無碍には出来ない――っ!
俺はカカオと香辛料の香りがするチョコレートを、一思いに口に入れた。
「……やっぱり辛っ!」
「変ね、タバスコの量は抑えたつもりなのだけれど……」
「いや、普通は入れない!」
雅は相変わらずの味オンチだった。
なぜチョコレートに辛みを求めてしまったのだ……。
『クク、クククッ』
「笑うなよ」
「笑わないで頂戴」
「えっ?」
「あ、いや、なんでも無いわ……恭介君は薄味派なのね」
「やっぱりお前味覚が――。あ、ああ、実はそうなんだよ……ごめんな」
レッドチョコレートとはいえ、せっかく雅が俺のために作って来てくれたんだ。
ここで非難するのは躊躇われた。
「そっか、私が悪かったわ。次からは七味を使ってみるわ!」
「お前の味覚がおかしい!」
2月14日。
俺のバレンタインデーは、ちょっぴり辛い。
…………。
……。
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