そして夢は、光を見た。
歪に欠けた月は煌々と輝く。
この異変の張本人と原因の二人が舞台に揃ったのを見届ける様に、照らす様に。
三日月は堕ちていく。
エンドロールを流すために。
暫く走ると開けたところに出る。
息をつくなど油断はしない、何故ならば。
「…よう、輝」
すっかり薄くなった月の光に照らされてあいつが佇んでいた。
灰色の髪に赤色の瞳、Yシャツと黒のズボンと言う普通の格好とやけに合う黒のマントを羽織り、私と同じ顔で全てを許すような微笑みを浮かべていた。
「生きてたんだな」
「あの程度で死なねぇよ」
軽口を叩きながらあいつの目の前に立つ。
「…オレの能力は思考を強制させる程度の能力、別に洗脳なんてたいそれた事はしてない。」
ヒラヒラと手を振って誤解を招かぬように言い続ける。
「ただ里の奴らの思考を『悪い事全て妖怪が悪い』と考える様に強制させただけだ、」
「紅魔館でのあの男は」
脳裏には鍬を振りかざす男が浮かぶ。
それは察するようにアイツは頬を掻き、
「それは少しこじつけがましいがお前らに見つかって罰を下される事すら
「そうか、じゃあもう分かっているけどあの結界は―――」
「俺のお手製だ」
ふんすっとドヤ顔を決めるアイツの顔をぶん殴りたくなるが話をするため我慢する。
「妖怪と闘うがあいつらの方が強いから少しハンディキャップ…って奴だな、条件はイーブンにな、イーブン」
「じゃあもう一つ、どうして私を襲わせた?」
「ああ、それはな」
そう言ってあいつは手を翳す、まるでアルコールが切れた中毒者の様にブルブルと震えていた。
「もう直ぐ俺は消える。」
「消える?」
「いや…この体は消えないがこの俺は消えるんだ」
「今までのツケか」
「んーーまぁ近いな」
かははっと笑って見せる。それだけでもう顛末が見えた。
しかし
「そうか…全くもって」
「ああ、本当に」
「戯言だな。」
「傑作だろ?」
二人で顔を見合わせクスクスと笑う、私は曲識が好きだと言うと、俺は出夢くんがいいなとあいつが言った。
一頻り笑って互いの顔を見る。畜生、やっぱり似てるなぁ。
「それじゃあ」
アイツは笑っていたので私も習うように笑って。
「じゃあな、君のこと殺したい程大好きだったよ。」
「そっか、私は死ぬ程大嫌いだったよ。」
そう言い合って、あいつの胸に、アイツがしたように、腕を突き刺す。
血で濡れる感覚はなく、胸を中心にハラハラと融けるように消えてゆく。
ふとあいつの死に顔を見てやろうと視線を移すと、
朝日が目に染みた。
目が慣れてくる頃にはあいつはもう居なかった。
クラクラと脳が揺れていく。遠くからは聞きなれた声が聞こえてくる。
―――ああ、もう少しだけ。
まるで布団にすがりつく子供のように意識を投げた。
はい、これで一応幻夢異変編終了ですが。
エピローグと後小噺等を。