東方幻想少女録   作:水崎 鳴呼

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エピローグ。





夢から覚める話。

 

紫が博麗神社に戻ってきた頃には霊夢と魔理沙が縁側でグッタリとしていて、もうその頃には日は高く登り、暖かな日差しは彼女達を差していた。

「大丈夫?」

「んァー…紫か」

ゆっくりと間延びしたような声で魔理沙は返事をした。

「いやーさっきまで寝ててな」

ググッと伸びてると、隣で転がっていた霊夢が起き上がる。

「……なんだ紫か」

「何よその間は」

少ししょんぼりするように紫は肩を揺らして、奥の部屋を見た。

「…まだ寝ているの?」

視線の先には布団に横たわる輝がいた。

輝の顔には大きめのガーゼが貼られており、毛布から覗く細い腕には包帯が巻かれていた。

「ええ、朝から一瞬たりとも起きてないわ」

霊夢も心配そうに輝を見つめる。

ただ静かに深く眠る彼女の横顔はまるで名画のようと揶揄されても遜色ないほど美しかった。

「輝も疲れているんだよ」

「そうだけでしょうよ、ほかの理由があったら溜まったもんじゃない。」

溜息を吐くと、3人の視線がばちりと噛み合う。

「ああ、そういえば」

話を変えるように紫は微笑んだ。

「少し片付けた方がいいかも知れないわね」

「なんでよ」

「あら、聴こえないかしら、(人妖達)の声が」

そういう紫と霊夢の顔は真反対だった。

魔理沙が耳をすませると、少し遠くから人声が聞こえてくる。

「……あんたが呼んだの」

「いいえ、ただ異変は終わったと言ったら皆自主的に集まって来たのよ」

はぁ、と大きなため息を吐いたが霊夢はそこまで嫌がってないようだ。

「あーもー…どーでもいいわ」

立ち上がって上がって来る気配を待つ、

「煩かったら追い出すだけよ」

少なくともその時の霊夢の顔には笑顔が浮かんでいた。

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

ぎしりぎしりと舟を漕ぐ音がする。

向こう岸が見えない川を渡るのは赤毛でふたつくくりの少女、もう片方は白い餅のようなフォルムでフワフワと浮かんでいる。

―――はぁ

先程からこの餅のような奴は溜息を吐き、明らかに理由を聞いて!オーラを出していた。

「…なぁアンタどうしたんだい」

流石にこれは聞かないとダメかと思ったのか赤毛の少女は問いかけた。

―――いや、いうほどでもないんだが…

いいから早く言えよ。と言いそうになるのを我慢して次の言葉を待つ。

―――実は、振られましてね

「へぇ、それはそれは」

これは目の前の餅が男性だったら結構痛い、いや女性でもあれだけど。

―――まぁ彼女は色んな人から好かれてて俺なんて異性とすら見られてなかったんですよ

再度はぁあぁ…と大きなため息を吐いた。

少女は少し同情しながらふと気になったことを言ってみた。

「もしかしてアンタがここに来たのって…」

―――え!?いや違う!全然違う!

慌てて否定する餅。もし手があったら大袈裟に振っていたかもしれない。

―――んーまぁ、交通事故みたいな奴ですよ

「へーそうかい」

―――しかも死に際彼女に看取ってもらったんですよ。

「…嬉しいのかい?」

何か誇らしいものを見せるような態度に少し気になる。

―――ああ、おかげで彼女の顔を忘れずに済む。

「そんなに好きだったのかい」

―――最初で最後の恋になっちゃったけどな。

「…その彼女の名前は?」

ふと気になって尋ねると、魂は懐かしむようにポツリと呟いた。

―――彼女は立花輝って言うんだけどな…

そこから岸に着くまで、思い出話を話し続けた。

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

ざわざわと声がする、楽しそうな声、まるで祭りにいるみたい。

見に行こうかな。

それじゃあ早く、布団から抜け出す前に、おはようと言う前に。

―――さぁ夢から覚めよう。

 

 

 

東方幻想少女録〜幻夢異変編〜完

 

 






後もう一話だけお付き合いください!!


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