東方幻想少女録   作:水崎 鳴呼

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怖い夢ってみたら吐きそうになるよね?
by.作者

ゲロとか吐いてます。




妖怪の賢者と少女

 

――――――怖い。

何かはわからないけど何かが追いかけてくる。

ぞわぞわと恐怖と吐き気がグルグルと頭を回る。

ただ走る。逃げるために走る。追い付かないように、追い付かれないように逃げ惑う。

ドクリッと心臓が震える。まるで背後から首を締められているみたいだ。

―――怖い。

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな!!!!!!!!!!!!!!!

「…っい!…あっぁ!!」

足が痛い。逃げてるのか逃がされてるのか分からない。

それが何なのか、どんなものなのかすら分からない。分かりたくない。何か、おぞましいもの。

ああ、だめだ、おいつい、てきた、くるし、い―――

 

「……っうあ゛ぁ!!」

思わず跳ね起きる。

呼吸が荒い。心臓が口から飛び出るぐらい煩い。寝巻きが汗で濡れているのが分かる。

……なんか気持ち悪い夢を見た…吐きそ―――

「っぐぅ!…おぐっ、おええっ…!」

…前言撤回、吐いた。

目頭が熱くなってきた、あーもーなんなんだよ。

「ひっ…くぅ…!」

「―――輝?」

声を押し殺して涙を流していると後ろから声が聞こえた。

「…紫か」

「大丈夫?」

布団の上で吐き散らかした私の隣に紫が現れた、いつもとは違い本当に心配そうな顔をしている。

「随分うなされたみたいだけど」

「…嫌な夢を見たんだ」

うぅ…思い出そうとするとモヤァ…としてそれがまた気持ち悪い…

「……輝」

「……どうしっ…がはっ!」

なんだ?と聞こうとすると吐くものはもう無いのに胃の奥がひっくり返りそうになる。

畜生、死にたくなってきた。

ああもう寂しい、淋しくなってくる。

「はっ…はぁ……紫…」

「?…ひか…」

人肌を求めて紫に抱きつく、あったかい。

すりと顔を寄せると他人の匂いがする。

ああ、なんか安心するや。

「…ごめん、紫」

 

 

 

ごめん、と呟いて輝は腕の中で眠り始めた。

ゆっくりと汚れてしまった布団ではなくソファーに輝の体を下ろす。

少し口元を拭いていると彼女が泣いていることに気付いた。

「…たまには吐き出す事も大切なのよ、輝」

何もかも背負い込んでしまう貴方には難しいでしょうけど。

少し皮肉げに心の中で呟いて、瞼に溜まった涙を口で吸い取るとスキマの中に足を踏み入れ――ようとしてもう一度輝の顔を見る。

愛おしい。と素直に思う、穢れのない少女の顔、純粋な処女の匂い。

彼女が欲しい。と素直に思う、しかしそれは食料としてではなく―――

そこまで考えて自分で小さく笑い今度こそスキマに体を滑り込ませた。

いくら愛しても彼女は人で私は妖怪で共には生きられないのだと、自虐的に笑いながら。

 

 






いつか訪れる結末。



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