東方幻想少女録   作:水崎 鳴呼

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友情か何なのかは神のみぞ知る。





最後に物言うは友情也

 

 

 

 

 

強化魔法―――とは言ったが細かく言えば違うのだろう。

力を増幅させる能力(昔取った杵柄)

何だかんだでお世話になってる能力だ、いやだって使い勝手が良さ過ぎるんだもん。

色々な力を増幅出来るのだ、例えば筋力とか威圧感とか声量とか、例えば脚力とか。

 

走る走る走る、まるで坂道を駆け下りる様に走る。

光を放つ狼の目を掻い潜ってるせいか流れ星になったような錯覚を覚える。

ガルルっと一際大きな唸り声が聞こえると一匹が飛び出してくる。

 

「輝さん!」

 

妖夢の声が聞こえる、返す間もないので心の中で返事をする。

大丈夫だ、問題ない。

あれ、問題あるよねこの言い方!!!?

そんな事を思いながらその場でターンする結果的に私の背中を掠める事になった狼に回った勢いのままラリアットを食らわす

おお、眉間にクリーンヒットした。ラッキー。

キャウンと可愛らしい声を上げて吹っ飛ぶ狼が後にいた(可哀想な)狼にぶつかる。

それを合図としてなのかは分からないが次々に狼が襲い掛かって来る。

っあぁぁ!面倒!ちくしょう動物愛護団体に訴えられたらどうしてくれよう!!

とりあえず情け容赦無く殴り飛ばす。

まぁ走る邪魔になる()だけを殴り飛ばしてる、他はかわしたりスルーする。だって面倒臭い。

 

「っ、ごめん妖夢、任せた!」

「はい!」

 

まぁ後ろにはとても頼りになる妖夢が居るから安心だけどな!!まじ妖夢さんのお陰でした!!

いつの間にか(腕が狼の毛だらけになる程度)あの大犬の前に着く。

目の前にすると改めて大きさが解る、軽く2mは超えて威圧感も凄い。いや張り合おうって気は無いよ。

 

「オ前、オイシソウダナ」

「それが私の名前か?」

 

なんか思い出したから言ってみた、あの絵本好きだったんだよな。

そんな私の心を知ってか知らずか大犬は飛び掛ってくる。それを大きな動作で避ける。

一歩、二歩、後ろに下がる。

大犬は腕をだらんと下げた体制でこちらを睨む。

・・・そういや何で私コイツと戦ってるんだろ。

 

「ガァァァァァァ!!!」

「っ、!」

 

だぁぁ!うるっせぇえぇぇ!!!

力任せに奮われる拳を両手でガードする。

びくり、と左腕が震えた。いや違う、熱い。痛い。

ガードは出来てる、寧ろガードから来た痛みなら左腕より前に出してる右腕の方が痛い筈だ。というより左腕がアレだから右腕を前に―――

 

「あ」

「ンンン?ドォシタ人間??」

 

察した時には既に遅し、もたついてる内に腕を大犬に掴まれる。

ズキリと左腕に強い傷みと熱さ、恐らくあの妖怪に噛まれた傷が開いたんだと思う、いや確実にそうだろ。

大犬の金色の目が右腕、左腕を見てそして私の顔を見る。ニタリとした顔で。

 

「ソォカ、コッチガ痛イノカ」

「っ、ぎぃっ・・・!」

 

ギリギリと左腕の傷を抉られる。

いや普通に痛い、マジで!痛い!

どうする、どうする、どうする、どうする?

目線を後ろに向ける。

妖夢は狼達の相手をしてコッチを見れてない、見る暇など無いほど猛攻されてる。

・・・迷惑かけるから助けは呼べない。

んーどうしよう。我ながら悠長だな。あれか場数踏んで来たからか。なるほど。

視線を戻して大犬を見る。金の目がギラギラと輝いている、まるで獲物を捕えて今首元に噛み付かんとする狼の様な―てかこいつ狼だよな、あっやっべ大犬って呼んでたごめん大犬。

 

「人間、イヤ、女ァ」

 

脳内で謝ってると大犬(面倒臭いから呼び方は戻さない)が更に笑う。ニタリといやらしそうに。

 

「女、イイ匂イがスルナァ、イイナァ」

 

ベロっと大きくてザラザラしてそうな舌を出す。

唾液に塗れてポタポタと汁を垂らしてる。

あと獣臭い。

 

「アァ、オレモ聞クダケデ見タコトナカッタガ、コレハ、ウマソウナ匂イダァ」

「っ・・・ステーキの匂いでもするのか?」

 

私の言葉を聞いてか何なのか知らないがニヤニヤとしたまま大犬は言う。

 

「生娘ノ匂イダァ」

 

ぞわり、と寒気がする。

なんとか手を離そうとすると首元に生暖かい感覚がする。

「っー!?」

「ハッハァ!コイツハァイイ味ダァ!」

 

舐められた。

その事実に全身に鳥肌が立つ。

気持ち悪い、気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。

ただただ純粋に気持ち悪い!!!

 

「やめっ」

「アーオイシソウダ、アイツラニモワケテヤロウ」

「っつっ!!?」

 

あいつら、て言うのは妖夢か戦ってる狼だろうか。

うっそぉ、やだやだあんな大勢に一気に喰われるのは、確実に死ぬ。

妖夢逃げれるかな。

 

「サテ、モウ一口」

 

べロリと大口を開ける。

今度こそ噛み付かれる、首を噛み切られる。

ぎゅっと目を瞑って覚悟する。

 

 

 

 

 

「・・・ア゛?」

 

・・・ん?

なかなか来ない痛みにゆっくりと目を開ける、と。

大犬が舌を切られてる。

長さ的に半ば辺りからスッパリと、血がダクダクと出てるのが見ていて辛いてかグロい。

 

「ア゛、ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!??」

「耳障りですね、黙ってください」

 

スパン、と大犬の喉仏が切り裂かれる。次の表現はパックリと言うのがピッタリだろう。

とか、考えてると不意に腕の拘束感が無くなる。

恐らく私の腕を掴んでる程の余裕は無くなったのだろう。

ってぇ!?落ちる!そんな高くないけど受身取れないって!

 

「っ・・・!・・・ん・・・?」

「輝さん大丈夫でしたか!」

「・・・妖夢」

「はい!」

 

地面に落ちると思ったら妖夢が受け止めてくれた。

やだ妖夢イッケメン・・・!惚れる・・・!

ん?いや妖夢、あの狼は

聞こうと思って後ろを見たら狼達が死屍累々となってるのが見えたので聞かないでおいた、やだ妖夢強い。

 

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!オ゛レノ゛!オレ゛ノ゛シタ゛ガァ゛!!??」

「なんだ、まだ生きてましたか」

 

ゴロゴロと喉仏から血を振りまきながら悶える大犬を冷めた目で見つめる妖夢、どうやら、てかどう考えても切ったのは妖夢らしい。

 

「流石に輝さんの前ですし、細切れになって無いだけいいと思ってくださいよ?」

「ヒィッ!」

 

おおう、脚がふらつく。腕めっちゃ血出てるし。

 

「輝さん、どうします?」

「え?、ああ」

 

話振られて慌てて考える、んーそうだな。

・・・なんか腹立ったから

 

「一発だけ殴る」

「わかりました」

 

一言言うと妖夢も一言答えて後ろに下がる。

よく出来た子だ。

とりあえずそこら辺に落ちてた金属バット(・ ・ ・ ・ ・ )を持つ

 

「ッ!!???」

 

ブウンブウンと素振りをする。うん。小さい頃は男子に混ざって野球とかしてた甲斐があったぜ。

筋力を増幅させて左腕のハンデをほぼ無くす。

大犬を見ると初めて見る金属バットに釘付けになっている。何をされるのか、と不安になってるのだろう。

安心しろ大犬。痛くねぇよ。一瞬だ。

 

「・・・多分な」

 

ぐっと、構える。

狙いはあの大犬の眉間。

よーくねらえ、クリーンヒットするイメージを付けろ。確実に当たるようにイメージを付けろ。

 

「ヤメロ、ヤメロナニヲスルヤメロヤメロ!!」

「せーのっ」

 

容赦なく大犬の頭にフルスイングする。

 

「ヤメロヤメロヤメロヤメウワァァァァ!!!!」

 

ぶん。と空ぶった。

手を下ろし大犬を見ると白目を剥き泡を出して気絶してる。

もうこれだと暫くは動けまい。はは、ざまぁ。

満足したので木の枝(・ ・ ・)を放り投げる。

 

「・・・輝さん、何をしたんですか?」

「少し幻覚を見せた」

 

真と幻を操る程度の能力。

この能力はとても強い、けど私が出来る事は幻を操り幻覚を見せるだけ。今はまだそれで充分だ。

まぁそんなことはどうでもいい。精神面のダメージは肉体にダメージが無くとも受けるという、脳がダメージを受けたと思えばそれはダメージだ。

まぁ少し悪いとは思う。なんかこれいいとこ取りになっちゃったけどごめんね妖夢。

っとぉ、

 

「輝さん!」

「あー・・・ごめん妖夢、迷惑かけた」

「いえ、私は、貴女が名前を呼んでくれるだけでいいんです」

「・・・妖夢は欲がないなぁ」

 

ヘラヘラと笑う。

どうやら左腕からの出血が多過ぎて失血死しそうだ。いやしないけど。でも意識飛ぶ。確実に飛ぶ。

 

「ありがと、妖夢」

 

目を閉じる前に空の黒が割れた気がした。

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

「どうやら妖気の中心を倒したようですね」

「・・・そうらしいわね」

「妖怪も住処に帰るでしょう、私達も戻りましょうか」

「ねぇ、奈々。あんた何を知ってるのか全く教えてくれないけど、何がしたいの?」

「・・・・・・さぁね」

 

「何時も人は神様の言うことなんか分からないって言うじゃないですか」

 

 

 






長くなっちゃった。

最後の会話は奈々と霊夢です。

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