短いのは仕様です。長いのは書けません。
やらかしてしまったので、最初とは違う文になっています。
「デイモン、大丈夫か?」
「ったく、心配させんじゃねぇ」
ハッと目を覚ますとこちらの顔を覗き込んでくる少年二人。自分の知る姿より随分と幼いが、私は彼らをよく知っている。
固く冷たい地面に横になっていたようで、体を起こすと背中がじんじんと熱くなる。ついでに頭も痛い。
自分は確かに存在が消滅した筈だった。なのにこのリアルな感触はいったい何なのか。
現状に混乱しつつも記憶を探ると、私ではない私の記憶が見つかる。ジョット、Gの幼なじみとしての自分の記憶だ。
どういう理屈かは知らないが、消えた筈の自分がここに引き寄せられ少年だった自分を押しつぶし乗っ取ってしまったらしい。
まぁ、今更少年の一人や二人の命程度で罪悪感などこれっぽっちも抱かないが。
代わる代わる二人に心配され、何故倒れていたのか理由を知る。
暴力をふるわれていた子供を私が助けた際に、自分が殴られ倒れたそうだ。
この体の持ち主は馬鹿なのだろうか。
それから暫くの間、流されるままジョット達と行動を共にしていて何度呆れた事か。
弱者を助けるのは確かに素晴らしいが、一人一人助けるなど効率が悪過ぎる。もっと根本的なところを解決しなければ意味がない。
しかもジョットは敵に対して甘過ぎる。もっと徹底的にやらなければああいう輩は懲りはしないというのに。
とは言え、ジョットの甘さは嫌いではない為結局許す自分も自分だと思う。許すのは個人で動いている今だけだが。
効率は悪いものの地道な活動により民衆はこちらの味方となり、シモンという協力者も現れた。
前回は罠にはめて殺そうとしたが、今回はそれを起こす気になれない程仲良くなった。立場や思想が違えばここまで、と思う程に。
いくら必死に動こうとも個人では限界がある。
強者と勘違いした者達、腐敗した政治に警察、今にも破裂しそうな程民衆の不満は高まっている。
事を起こすなら今だ。
そう思ったのは私だけではなく、シモンからジョットに自警団の設立を打診される。リーダーとして組織を率いて欲しい、と。
その場では答えは保留とし、話し合いの為に拠点の一つにジョット、G、私の三人で集まる事にした。
この場所は私の力…幻術によって隠されており、今の時代に見つけ出すのはほぼ不可能である。ちなみに、幻術を使う際は変わらず右目にスペードが浮かぶ。
「G、デイモン、オレに出来ると思うか?」
丸いテーブルに各々好きに座り、飲み物を用意したところでジョットが切り出した。何を、などと無粋な事は当然私もGも聞きはしない。
「貴方に覚悟があるのならば」
「どういう事だ?」
私の言葉に不思議そうな顔をする二人。この時点ではまだまだ子供なのだと、こういう時に実感する。
「守る、とは生半可な事では出来ないのですよ。ましてや組織となれば尚更。長となる以上、時に非情な判断もしなければいけない。そのせいで守った者達に悪魔と罵られ、石を投げつけられる事もあるでしょう。親しい者…私やGを切り捨てる必要もあるかもしれない。その覚悟が、貴方にはありますか?」
「……。…ああ、それで守れる命があるのならば」
目を閉じ考えていたジョットは、その瞼を開け真っ直ぐに私を見て答える。
誰よりも優しくて甘いくせに、とんだ嘘つきですね。
そこが嫌いではない、と思ってしまうのは情だろうか。
「まぁ何にせよ、オレもこいつもお前についていく。だから安心しろよ」
Gに肩を組まれ目を瞬かせ、突然の事に抗議の意味を込めて睨んでみたが笑顔で返されてしまった。
確かについていく気ではある。あるが他人に言われると微妙に恥ずかしいのは何故だろう。
こちらの気持ちを察したジョットの穏やかな微笑みはしっかりと追い打ちをかけてくれた。
それからは早かった。
すぐに自警団が設立され、ジョットをリーダーに町の住民達を守っていく。思想に共感し、協力する者は次々と増えて組織は次第に大きくなっていった。そして力に力で対抗する内にマフィアとしての顔も持ち始める。そうなると、無法者となってしまわぬよう厳しい掟が必要となり、いつしか自警団はボンゴレというマフィアとして知られるようになった。
その過程で後の守護者と呼ばれる者達も集まる。特にアラウディなどよく引き入れたものだ。流石大空だと感心する。
マフィアとなってもジョットの甘さは変わらなかった。ならば、取り返しのつかなくなる前に痛感して貰わなければならない。
その甘さが他人を危険にさらすのだと。
裏切り者が出た。
それ自体はもはや珍しい事ではない。ジョットが許しても、いつもならば私やGが速やかに始末していた。
だが今回はそれをしなかった。
アラウディは諜報部の長だけあってその重要性を理解し非難の目を向けてきたが、私は誰にも手出しはさせなかった。
その裏切り者はこちらの目論見通り恩を仇で返してくれ、組員はもとより住民やその建物に少なくない被害が出る結果となる。
ジョットはその事を酷く悔いており、始末が終わった後、あまりの落ち込みっぷりに見ていられなくなったGの誘いで三人で酒を飲んだ。
「設立前のデイモンの言葉を思い出したよ。時々、このボスの座が苦しく重い」
「ならば何もかも捨てて逃げればいい。後は私が引き継ぎましょう」
「耳が痛いな…」
「デイモン、お前の励ましは分かりにくいんだよ!だがまぁ、ジョット、お前はお前のやりたいようにやればいい」
その日を境にジョットは裏切り者や敵に容赦がなくなる。
ようやく優先順位を決めたらしい。
その反動かは知らないが、仲間…特に守護者達を溺愛し、色々と無茶ぶりをしてくるようになった。思うところはあるが敵に甘いよりはマシだ。外面用の仕草や言葉使いもしっかり躾てある。
このまま血なまぐさくも穏やかな日々が続いていくかと思っていた。
だが、そう上手くはいかないらしい。
珍しくも守護者全員がそろった会議での事だ。
急に強い光が部屋の中に満ち、一人の少女が現れた。しかもジョットの真後ろに。
すぐさま捕らえて床に叩きつける。Gは少女が動かないよう首にナイフを突きつけていた。
襲撃を受けた本人は静かにこちらのやり取りを見ている。人として多少おかしかろうが、ボスとしてそれでいい。
視線で幻術による尋問の許可を求めると、無言で頷いたので術をかける。
登場の仕方からして術者かと思ったのだが、少女は拍子抜けする程あっさりとこちらの術にかかった。
Gとのアイコンタクトの後、拘束を解いて質問を重ねると実に奇妙な答えをよこされる。
曰わく、自分は猫を助けようとして死んだ。神様に手違いだと謝られてマンガの世界にトリップしてきた。初代が好きなので初代の時代にして貰った。などなど。
これでは平成の世で読んだ異世界トリップのようではないか。舞台が今、ここである事は笑えないが、唖然としている他の者よりは状況を理解できる。暇潰しも意外なところで役に立つものだ。
「暗殺者ではないようですが…狂人のようだ。どうしますか?」
「頭の中身はともかく、一般人か…厄介だな」
難しい顔をして目の前の少女を眺めるジョット。
彼の出した答えは…。
※書類仕事中
ジョット「……」
G「…なぁ、ジョットがすんげー訴えてくんだけど」
デイモン「駄目です」
ジョット「………」
G「…滅茶苦茶訴えてくんだけど」
デイモン「駄目です」
ジョット「…………」
G「ったく、仕方ね」
デイモン「ジョット!G!おすわり!!」
ジョット・G「「はいっ!」」
ランポウ「なにあれすげー…猛獣使い?」