・デイモンはディーノの家庭教師時代、XANXUSやスクアーロなどと出会っている。
・色々理由をつけ9代目から許可をもぎ取り、たまにヴァリアーの戦闘訓練に参加していた。
・今のところXANXUSが10代目に相応しい、とXANXUSとちょっと仲良くしていた。
・とはいえ、ゆりかごには関与せず。
以上が前提の上、話が進みます。
「何でミールちゃんばっかりこんな酷い目に!!」
キャバッローネの人間を無事全員返し、事の次第をディーノに報告する為に沢田綱吉の部屋に戻ると、扉を開けた瞬間怒鳴るような大きな声が聞こえてきた。
部屋の中には難しい顔をしたディーノとリボーン、横になり濡れタオルを額に乗せた夢野みいる、そして怒りをあらわにこちらを睨んでくる沢田綱吉がいた。
子供の癇癪に付き合う気にはなれず被害状況をディーノに報告すると、ディーノとリボーン両者の顔が難しい、から険しい、へと変化する。その変化に沢田綱吉は驚き口を噤んだ。
「彼らがやられたのは「まだ」一般人であった彼女です。その後、私へ「マフィアになる」と宣言した為このような形をとりました。足りなければそちらの好きなように」
「え…」
私の言葉に思わず、といった風に言葉を漏らした沢田綱吉に目を細める。夢野みいるはどうやら何も言わなかったらしい。
だが今はディーノが先だ。顎に手をあて考えを巡らせる彼の返事を待つ。
「…今回に限り、一般人にやられたのは情けねぇって事で片付けてもいい。だが、今後一切キャバッローネは夢野みいるが関わる事柄には関与しない。オレ個人も一切関わらない、交流も拒否する」
「寛大な処置、ありがとうございます」
「いいさ、先生と可愛い弟分てのは変わらねぇし。さてと、それじゃ今日は帰るとするぜ」
ディーノの答えにホッとして頭を下げる。沢田綱吉は納得のいかない顔をしてこちらのやり取りを見ていた。
「ツナ、兄貴分から忠告だ、馬鹿な身内は賢い敵より厄介だぜ。今ならなかった事に出来る、説得して「普通」に戻してやれよ」
そう言ってディーノ達は帰っていった。椅子を運ぶ側近二人は大変そうだ、トラックでも手配するのだろうか。
「本当ならディーノに泊まって貰って交流させようと思ってたんだが…台無しじゃねーか」
部屋に戻ると沢田綱吉は早速リボーンに締められる。夢野みいるはまだ寝ていた。この私にマフィアになると宣言したというのにこの体たらく、叩き出しても許されるのではないだろうか。
「ひとまず、沢田綱吉と交流しないという訳ではないんです。この女さえ関わらせなければ良いのでは?」
「っ…この女なんて酷い言い方するなよ!」
リボーンから解放され噛みついてきた彼につい冷めた目をしてしまった。今までなるべく優しくしてやったのが完全に裏目に出てしまった、この辺で躾てやらなければいけないらしい。
リボーンが私の変化に気づいたようで止めようとしてきたが無視して沢田綱吉の頭を掴み、意識を失わない程度の強さでそのまま床へ叩きつけ更に腕に力を込める。
「がっ!ぅ…つ…」
「いい加減になさい、こうやって私に噛みつく余裕があるなら夢野みいるをどうするか考えるべきだ。この女を生かすも殺すも君の判断にかかっているというのに」
「スペード!」
「貴方の教育方針は知っています、夢野みいるさえ居なければもっとゆっくり事を進められたでしょう。だがもうそうも言っていられない、分かっているでしょう?」
リボーンに咎める口調で名を呼ばれたが手を緩めず沢田綱吉を見下ろす。沢田綱吉は負の感情をあらわにこちらを睨みつけてきた。
「オレは…オレはマフィアにならないしミールちゃんも守ってみせる!」
現状を理解しようとせず馬鹿の一つ覚えのように同じ言葉を繰り返す彼に深い溜め息を吐き手を退かす。今の彼にもはや興味はない。
「リボーン、私はイタリアに戻ります。9代目と正式に契約を交わした訳ではありませんし、暫くはのんびりしてきますよ」
「…仕方ねーか…こっちはなんとかする、オレは優秀な家庭教師だからな」
突然のやり取りに沢田綱吉は目を白黒させている。ジョットの血縁者という事で最後の情けをかけてやる事にした。
「そこの女と縁を切るか、マフィアになると言った事を撤回させなさい。でないと後悔しますよ」
「ミールちゃんは大切な人なんだ、後悔なんかしない」
キリッとした表情で最後まで言い切った彼に笑い声が漏れる。
私にしては信じられない程の温情であったのに…馬鹿な子だ。
さっさと荷物をまとめてイタリアに戻る。時期的にそろそろXANXUSが目覚めた頃ではないだろうか。
彼は2代目に似て期待出来る、事の結末さえ知らなければ前回のようにXANXUSを10代目に推したいところだ。
折角なのでヴァリアーを覗きに行くと、そこで信じられない光景を目にするはめとなる。思わずヴァリアー専用の屋敷である事を何度も確認してしまった。
「てめぇに拒否権はねぇ。さっさとオレのものになれ」
「いくらボスさん相手でもこいつは譲れねぇなぁ!!」
「シシッ、こいつは王子のもんだって」
「この子、着飾って遊ばせて貰いたいわ~」
「美麗だ…」
「ムムッ、君なら特別に無料で助けてあげるよ」
「あーもう!俺は男だし誰のもんでもないっつーの!!マーモンはありがとな」
綺麗な顔をした男を幹部全員で取り合う暗殺部隊。仕事はしているようだがこれはギャグなのだろうか、滑稽さでこちらの腹筋を殺しにきているのか?
男は嫌そうな言葉を吐きつつも顔はにやけており、折角の顔が残念な事になっている。
あまりの光景に見なかった事にし、一般隊員を捕まえて詳しく事情を聞く。
曰く、ある日入隊した彼はその実力であっという間に幹部まで上り詰め、幹部を虜にしたらしい。実力主義のヴァリアーでは全員に好かれており自分もとても慕っている。という事だった。
暗殺部隊とは思えないこの弛みきったピンク色の空気、正直反吐が出そうで困る。プライベートなら好きにすればいいがここは職場ではないのか?
心底気色悪いがボンゴレの部隊だ、放っておく事は出来ない。
物凄く嫌々ながら先程扉を開けてしまった部屋に戻る。分かりやすい程音を立て気配を出して室内に入ったというのに誰一人気づかない。
一番外側に居たレヴィを思い切り蹴りつけると窓ガラスを突き抜け外まで飛んでいった。咄嗟に自分から飛んだ分ダメージは少ないだろう。
レヴィが飛ぶのと同時にナイフ、蹴り、幻術による精神攻撃が加えられたが全て返り討ちにして三人を床に沈める。攻撃を食らう瞬間にガードをしようとはしていた。間に合わなかったが。
三人の攻撃が効果がないと知るや否や剣による真っ直ぐな突きがきた。懐に入る事でかわすのと同時に拳で腹を殴る。やはり飛んでダメージを軽減されたが壁に激突するくらいには食らったようだ。
次いで立っていた場所に直ぐに銃弾が雨あられと降り注ぐ。が、所詮は銃弾。真っ直ぐにしか飛ばないそれを彼らの背後に回る事で避け、諸悪の根元であろう男の脇腹を蹴る。この男だけはまともに食らい骨が折れた感触がした。
蹴りの勢いをそのまま利用し最後の一人…XANXUSに突きを繰り出す。ギリギリで受け止めた事は素晴らしいが膝をついてしまうとは情けない。
とは言え、新参者以外は各々対処はしていた。見た目ほど馬鹿になった訳ではなかったようでホッとする。
「ごほっ…て、め…」
「新しく幹部になった者があんなに弱いとは知らず…申し訳ありません」
「んな事ぁいい!てめぇ知ってて言わなかったな!!」
わざとらしく申し訳なさそうな顔を作るとXANXUSはこちらを睨み、ふらつく足で立ち上がってこちらの胸ぐらを掴んできた。最近似たような出来事があったがこちらは完全に自分の力で立ち上がってきたのだ、この気概は好ましい。
知っていて、とは血筋の事だろう。確かにボンゴレリングの為にジョットの血筋は必要だ、だがその人間が組織のボスである必要はないと私は考えている。
そのためXANXUSの台詞に思わず笑ってしまい更に睨まれた。
「それが何か?」
「カッ消」
「ボスに必要なのは血筋ではなく資質であり力だ。ジョットの血筋など、存在さえしていればいい」
笑みを崩さずXANXUSの手を掴み服から離させて真っ直ぐに視線を合わせる。
暫しそうしていると、XANXUSは口の端を上げて愉快そうに笑い自ら手を引いた。
「分かってるじゃねぇか。おいカス鮫、そこのカスを処分しておけ!」
XANXUSが引いた為手を離すと、彼はスクアーロの元へと向かい蹴りによる気つけを行う。カス、と言って名も知らぬ男を指さすと豪華な椅子へと座り行儀悪くもテーブルに足を乗せた。
それから季節が変わる程の時間をヴァリアーで過ごす。人を殺した事もない中学生に負ける軟弱な暗殺部隊など不要だ、みっちりと鍛えてやっている。
そうこうしている内にリボーンから連絡がきた。沢田綱吉は反省しているのでまた来てくれ、と。
家庭教師を引き受けるかはともかく、久し振りにリボーンに会うのは悪くない。
私は再びイタリアから日本の並盛へと足を運んだ。
「夢野みいるは復讐者に捕まった?」
「ああ。六道骸を無理矢理助けようとしたせいでな」
拠点の一つにて、私が居なくなった時から今までの事をリボーンから聞く。
彼女が関わらない事にはディーノは協力してくれた、やはり交流は満足にはいかなかった、久し振りにコロネロとパシリに会った、などなど。
その中で一番驚いたのは復讐者まで出てきた事だ。
しかし、夢野みいるが捕まるとは笑える。詳しく話を聞けば実に愉快な内容だった。
夢野みいるは六道骸らに同情し、中途半端に関わったせいで一般人への被害が拡大。黒曜ランドに行ったメンバーは、沢田綱吉を含め重傷を負い全員入院。復讐者から六道骸らを無理矢理守ろうとして夢野みいる自身も捕まる。あげく沢田綱吉もペナルティーを食らう寸前までいき、キャバッローネの助力が得られず後始末が大変だった。と。
…よくまぁその程度で済んだものだ。いや…
「よくその程度で済ませましたね」
「今回は色々と厄介だったからな、このくらいなら手出しした内に入らねーだろ」
ソファに座る私の太股を枕にするリボーンの頭を労りを込めて撫でる。余程苦労したのだろう、大人しくされるがままになっている。
「それで、沢田綱吉は何と?」
「へなちょこやスペードの言う通りにしておけば良かった、だな。謝りたいとも言ってたぞ」
「ごめんで済んだらマフィアは要らないんですよ」
「…まぁな」
「ですが…そうですね、今後の彼次第で考えましょう」
「今はそれで充分だ」
会話が途切れ、本気で眠りに入るリボーンに目を細めて小さく笑う。
やはり、彼とのひとときは心地よい。
基本的にデイモン視点で話が進むので、デイモンの興味のない事(意識外の物事)は登場しません。
あくまでも基本的に、ですが、デイモンが知らない事は書かないつもりです。