D・スペードの人生やり直し   作:甚三紅

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ボンゴレ9代目、沢田家光をディスってます。デイモンは彼らがあまり好きではありません。
段々と「ボンゴレの為なら何をしても許される」的な考えが強くなってきています。なので沢田綱吉に対して結構酷いです。
七つのリング以外のリング、リング戦が出てきます。
安定の転生者アンチ。


九話

「ツナを鍛えてくれねーか」

「お断りします」

 

沢田家の居間にて、リボーンの頼みを笑顔で断る。何故私がわざわざ鍛えなければいけないのか。

 

「そう言うなって!友の頼…」

 

豪快に笑い馴れ馴れしくも肩を抱こうとした沢田家光の首にナイフを突きつけてやれば、流石に引きつった顔をして手を引いた。怖いだの何だのと漏らしているのがしっかり聞こえたが当然気になどしない。

 

「バジルがいるでしょう。彼の方が適任ですよ」

 

テーブルに置かれた湯のみを手にとりお茶を口に含む。適温のそれは実に美味しくほう、と息を吐いて湯のみを手に持ったまま二人に視線をやった。

 

「なら見てるだけでいい、基礎の基礎を作った先生が居ればやる気もちげーからな」

「……。…はぁ、一つ貸しですよ」

「どっちも甘いねぇ」

 

リボーンに真剣に頼み込まれるとどうにも弱い。溜め息をついて了承すると、沢田家光が茶化してきたので二人で湯のみを投げつけた。

 

 

 

死ぬ気で絶壁を登る沢田綱吉を下から見上げる。ジョットといい沢田綱吉といい、何故こんなにも突飛な事を思いつくのか。

あの時は全員で登れなどとふざけた事を言い出して本当に困った。今ならばともかく頭脳労働派の私にやれなどと無理難題を…まぁ、Gと一緒になって止めたが。

 

「2日以内に」

「おや、そんなに時間をかける気ですか?」

 

無様に川に落ちた様子を鼻で笑い二人に近づいていく。

聞こえた言葉は、私が鍛えた部隊相手だというのに随分と余裕なものでつい口を出してしまった。

 

「スペード!2日だって無理なのに出来る訳が…」

 

相変わらずの情けない顔で喚く沢田綱吉。先程から聞いていれば無理だ無茶だ出来ないと、本当に苛々させてくれる。

苛つきの元凶に向かって踏み込むのと同時に愛用の鎌を握り首を狙って腕を振る。本気で殺す気だったのだがリボーンが間に入り沢田綱吉は後方に蹴り飛ばされて無事、リボーンは衝撃に飛ばされたものの鮮やかに着地しており彼の銃を切っただけで終わってしまった。

 

「何故止めるのですか?」

「お前が本気でツナを殺る気だからだ」

 

沢田綱吉の前で新しい銃を取り出し構えるリボーン。死の危機からか、守られた本人は真っ青な顔をして震えている。

 

「やる気のない人間に何を言っても無駄ですよ。ならばいっそ、今ここで楽にしてやるのが慈悲というものだ」

「こいつならやれる。このオレが見込んだ生徒だからな」

「嫌々やって勝てる相手だとでも?関係者全員皆殺しにされる様を見届けさせるつもりですか」

「そうならねーようにオレがいるんだぞ」

 

互いに動きはしないが殺気の強さから近くいた鳥が逃げていく。近くに隠れている沢田家光も自ら息子を助けるかリボーンに任せるか迷っているようだ。

いっその事幻術で負けた場合の未来を見せてもいいが、その時はリボーンも容赦しないだろう。彼の事は気に入っているのだ、完全な対立は避けたい。

結論が出ると渋々ながら鎌を消し去り肩をすくめて息を吐く。緩んだ空気に沢田家の二人も息を吐いたのが分かった。

 

「この場を選んだという事は、ジョットを参考にするつもりなのでしょう?ならば一日で、かかっても数分で登れるようになりなさい」

「ーっ…」

「ちなみに、無理無謀、出来ないだの吐いた瞬間に私が楽にして差し上げますよ。理解したのなら始めなさい」

「は、はいぃっ!」

 

リボーンはこちらの様子を窺っていたが、完全に手を出す気が失せた事を察したらしく沢田綱吉に死ぬ気弾を撃ち込んだ。

あのリアルチートは素の状態でこの程度軽々と登っていたのだ、死ぬ気モードで出来ない筈がない。

などと思いながら沢田綱吉を見ていると、随分と警戒した様子でリボーンが隣に並ぶ。

 

「どういう風の吹き回しだ?」

 

ジョットに似た顔で無様な姿をさらされ苛々した。とは流石に言えない。

 

「あまりにも情けないのでつい」

「嘘じゃねーが、それだけじゃねーだろ」

 

リボーンの言葉には答えずに背中を向けて沢田家光のいる方へと歩いていく。気配は動かず同じ場所に居続けており、こちらを待っているようだ。

 

「優秀な家庭教師がついていて良かったですね」

 

声をかけながら木の陰へと回り沢田家光と対峙する。今し方私に息子を殺されかけたせいか険しい顔をしており思い切り睨みつけられた。

 

「彼は死の…永遠に失う恐怖を知らないから覚悟が足りない。業を知らないから甘い考えばかりで虫唾が走る。私は現段階ではXANXUSの方が次代に相応しいと思っています」

「だから息子を殺そうとしたのか」

「ええ。それが一番優しい道だ」

 

目の前の男の眉間に皺が寄るのとは対照的に笑みを深める。

もはやどんなに泣こうが喚こうが一般人には戻れないのだ、この先の地獄のような生を思えば苦しむ事なく一瞬で逝ける方がまだマシだろう。

 

「そもそも、沢田綱吉を殺されたくないのなら何が何でもマフィアに関わらせないべきだったんですよ。ボスの命令とはいえ従った時点でマフィアに息子を売ったも同然だ、怒る資格などありはしない。もしくは徹底的に関わらせ、身を守る術を教えるべきだった。そうすればもっとゆっくり成長出来たでしょうに」

「くっ…」

 

反論出来ずに悔しさから奥歯を噛みしめる様はいっそ笑える。この男も9代目も、優しさと甘さを履き違えているとしか思えない。

門外顧問のくせにこの体たらく。アラウディは本当に優秀だったと今更ながらに思う。

 

「…腹が立って仕方ないが、やはりこれはお前が適任だ」

 

感情を意思の力で抑え込み何やらこちらに放り投げてきたのでそれを掴み確認する。絵は私の知らないものであるが、ハーフボンゴレリングに見えるこれはいったい…。

 

「大空が道を踏み外した時、断罪する役目を持つ夜のリングだ」

 

断罪とか厨二ですか?恥ずかしい。

いや、それよりD・スペードたる私が夜とはどんな運命の悪戯だ。そもそも今の段階では存在など確認されていなかった筈だし夜のリングなどという物もなかった筈。やはり私を含む妙な転生者が多数存在するせいか。

思考に耽っている間に沢田家光は感情たっぷりに演説していたが、ヴァリアーは既に夜の守護者を選出している、という言葉以外抜けていく。役目を全う出来なかった者の言葉など聞くに値しない。

 

「引き受けてあげてもいいですよ。ヴァリアー側の守護者が気になりますからね」

 

おざなりな言葉を投げつけて沢田綱吉の元へ戻る。

ヴァリアー側の守護者は十中八九「外」から来た人間だろう。私が日本に来てから現れたのか元から居たのかは知らないが、ヴァリアーを滅茶苦茶に掻き回してくれたに違いない。

そのお礼はきっちりしなければ。

 

 

 

XANXUSと沢田綱吉の初顔合わせの際、私は遠くからやり取りを見ていた。

暗殺部隊の面々の足運び、体つき、気配の鋭さなど随分となまっているのが分かる。これでは私が鍛える前以下ではないか。

犯人はXANXUSに腰を抱かれた女だろう。きつめの顔と化粧をしたゴスロリの格好をしたそれなりの年齢の女性だ。ヴァリアーの空気はあの名も知らぬ男が居た時と同じであるのが気にくわない、完全に腑抜けている。

 

…ああ、なる程、これはここでXANXUSが勝ってしまわないよう調整された結果か。

 

どうせ変わらない道筋ならば見ていても仕方がないので自分は調べ物をし結末だけを聞く。沢田綱吉側の訓練は順調に進み雲の守護者戦までは9代目の事も含め自分が知るものと一緒だった。

そして大空戦の前に夜の守護者の対決となる。

 

久しぶりに赤いカンフー服の袖に腕を通す。折角バカ発見器のような外見をしているのだ、利用しない手はない。

並盛中に着くと全員そろっており視線が集まる中、足を進める。フィールドはグラウンド、仕掛けは見当たらない。相手方の夜の守護者は既にスタンバイしており待たされた事に不機嫌そうな顔をしている。が、こちらの姿を確認すると突然媚びを含んだ目に変わった。

 

「うっそ風じゃん!何これ、設定メチャクチャ過ぎ!でもいっか、いい男はアタシの前に跪かせるだけだし」

 

バカ発見器に引っかかったはいいがこの不愉快な生物をどうしてやろう。下品な笑い声に笑顔が消えそうだ。

 

「超死ぬ気モードのツナも好きだし、恭弥も骸もディーノも好き。アルコバレーノも元の姿はかっこよくて跪ずかせてやりたい」

 

女王様な雰囲気でも作っているつもりなのか、軽く前屈みになって唇を舐める様は正直気持ち悪い。なので加減する必要性を全く感じない。

開始の合図と共に全力で距離を詰め顔面に蹴りを叩き込む。女は防御も何もなくまともにくらい、鼻が潰れ愉快な声を上げて頭から地面に叩きつけられた。

この女は個人でリングを所持していたようでそれに炎を灯そうとしていたのだが、現実において戦隊もののお約束を守る阿呆など居る筈がない。

 

「さて、いくつか聞きたいのですがいいですか?」

 

脳震盪でも起こしているのか立ち上がれない女の頭を踏みつけてにこやかに問いかける。抵抗をしようとしたので幻術で自分の足がもぎ取られる様子を見せてやると、悲鳴を上げて足が足がと喚き出した。

少々うるさかったので首にナイフを押しつけ軽く切ってやる。すると嘘のように静かになった。

いくつか質問をし答えを聞くも、今まで聞いた内容と大した違いもなくこれ以上は無意味と知る。ヴァリアーを掻き回してくれたお礼にこの女にとっての悪夢をプレゼントし、ハーフボンゴレリングを奪い二つを合わせた。

 

「スペード…」

 

沢田綱吉側に戻ると当の本人に名前を呼ばれる。女性相手に、やら何をした、やら言わなくなった事に満足しようやく一息ついた。女性相手に容赦なく戦った事について、表情を見れば納得していないのは丸わかりだが、一方的に何だかんだと言わなくなっただけ成長したと思う。

 

「納得いかないのならばそれはそれでいいんですよ、理解さえすればいい」

 

この時代、リングは貴重なためしっかり懐に入れて早々に帰路につく。日本に戻ってからは拠点の方にいる為、少々手料理を懐かしく思った。




リボーン「……」
デイモン「何を拗ねているんですか?」
綱吉「(拗ね…えっ!?)」
デイモン「まったく、自分こそ沢田綱吉にかかりきりではありませんか。とりあえず食事に行きますよ、空腹のままは効率が悪い」
リボーン「食後は特製エスプレッソだぞ」
デイモン「はいはい」
綱吉「(スペードに抱っこされていった…あのリボーンが…)」

※リング戦に向けて修行中
※ボンゴレ大好きなデイモンが面白くないリボーン
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