チョイス後、初代達の力を借りようと呼び出したところにデイモンも呼ばれました。
相変わらずアニメオリジナルは見ていません。初代達の力を借りる、という設定だけお借りしています。
「そんな馬鹿な!!ボンゴレが壊滅状態など!」
リボーンが起きた事で事情が説明され、安全と判断された私は会議室らしき場所で山本武らに現状を詳しく聞いた。本来ならば有り得ない…あってはならない事態に反射的に机を叩き声を荒げてしまう。
落ち着けとリボーンに肩を叩かれ無意識の内に握っていた手を開くと、手のひらには爪の食い込んだ痕がついていた。
荒れ狂う感情を理性で押さえつけゆっくり息を吐き出す事で体の熱を逃がす。こんな時だからこそ、いつまでも感情的になっている訳にはいかない。
「失礼、取り乱しました。続きをお願いします」
更に感情的になってしまうのを腕を組む事で防ぎ話を聞いていく。今の今で冷静にはなりきれないが少々考える事は出来た。
ミルフィオーレファミリー、白蘭が敵というのは間違いないだろう、ボンゴレが壊滅状態なのも嘘とは思えない。だがボンゴレのボスがそう易々と暗殺などされるのだろうか。以前の沢田綱吉の甘さそのままにボスになったとしても、トップとしての教育を受ける以上暗殺を成功させるのは難しいと思われる。
あれで飲み込みは悪くないし、家庭教師としてリボーンもいるのだ。そこだけは引っかかる。
そういえば、ボンゴレ…もとい沢田綱吉らがある日を境に一気に力を伸ばした時期があった、とふと思い出す。それが、この世界を経験した結果だとしたら?だがそれだけでは匣の急成長の説明はできない。関係はある気はするのだが…。
「とにかく、今は門外顧問の助っ人を迎えに行くのが一番だな。小僧とスペードはここで待っててくれ」
そう最後に言って山本武は地下基地を出ていった。
部屋には私とリボーンのみが残る。時間が経つにつれて少しずつ頭が冷えてくると、ある思いが浮かぶ。
「リボーン」
「なんだ」
「今回、私が手を出してはいけないような気がするんです。死ぬ気の炎や匣の使い方を教える、くらいならば構わないでしょう。だが、戦いに手を出してはならない…沢田綱吉達の成長のために」
「…お前は何を知っている?」
「今回の事については何も。死ぬ気の炎の扱い方は知っていますがね」
チェーンを通し首から下げていたボンゴレリングを取り出して指にはめる。
灯る炎は黒くゆらめき少しばかり懐かしさを覚えた。
手は出さない、と言ってもそれは沢田綱吉達の戦いにであって住民を守る事には適応されない。一般市民を守るのは当然の義務だからだ。
街に出て挑発してみれば簡単にミルフィオーレが釣れた。一般人を巻き込まない、という基本も出来ていないマフィアもどきに生きる価値はない。
雑魚を始末するついでにリングを貰い炎を灯す。リングの強度さえ保てば大空以外は問題なく使えそうだ。もう少しリングを集めるとしよう。
地下基地に戻ると、たまたま通りがかった治療室に十年前の子供達がいた。しかも沢田綱吉は肩に怪我を負っていて、その上久しぶりに喚いており随分とタイミングが悪い時に帰ってきてしまったらしい。
部屋に入って大きな音が出るよう手を叩き注目を集め、沢田綱吉の前に立ち真っ直ぐに目を見つめる。
「所属と自分の名前を言いなさい」
「な、並盛中、2年A組沢田綱吉」
「今君がいる場所は?」
「十年後の、並盛」
簡単な質問を淡々と答えさせている内に少しずつ落ち着きを取り戻してきた沢田綱吉は、怪我による疲れからかベッドへと腰掛けた。
「ごめん、落ち着いた」
小さく呟いた目の前の彼に、私を見た驚きは見られず「今の私が知る沢田綱吉達」が来たのだと分かる。
これから話が進む、といった雰囲気になったところで小さいながら爆発音と共に煙が現れた。
その中心に誰かが居るのは明白であり腕を掴んでひねり上げ床へ叩きつけると、少女のような悲鳴を上げてじたばたし始める。炎が灯る気配を感じたので掴む手に力を込め痛みにより行為を無理矢理中断させた。
時間が経ち煙が晴れ捕縛した人間の正体は、並盛中の制服を着た沢田綱吉によく似た女の子だった。だからといって腕を緩めたりはしない。
「いったたたた!ツナ!お姉ちゃんを助けてぇ!!」
私の知る沢田綱吉に姉など存在しない…が、どこか別の世界では存在するのだろう。その人間がここに呼ばれたのか。
どうするのか、と視線で沢田綱吉に問い掛けると頷いたため女子を解放する。すぐさま女子は沢田綱吉に飛びつこうとしたので襟を掴んで阻止をした。
こういう役目は昔からGは抜群に上手かったのを思い出し、全く動けない獄寺隼人に溜め息が出そうになる。育った時代と環境が違うとはいえ、右腕を自称するのならばいかに自分が混乱していようが対処しなければいけないというのに…。
「悪いけど、オレに姉はいない。勘違いじゃないかな」
「そんな…っ、まさか違う世界?あ、わ、わたしは沢田奈津。ここじゃない世界の沢田綱吉のお姉ちゃんで、ボンゴレボス10代目なんだよ!て言うかこの手離して~!」
じたばたする女子に実際溜め息が出た。
私を見た反応も知りたい為に手を離すと、猿のような動きで素早く沢田綱吉の背後に回りこちらを睨んできた。
「この人誰?わたしの世界にこんな人いなかった」
今までとは違う反応に眉が上がる。彼女は違う世界であっても元々の住人なのだろうか。
今までの彼女達や彼とは違い、この小猿は幸いにも沢田綱吉に害はないように見える、ならば放置しても問題なさそうだ。
「…色々と面倒になりました。後は勝手にどうぞ」
リボーンの視線が気になったが振り返らずに部屋を出る。
もどきとはいえマフィアを相手にするのだ、汚さや痛みは敵が教えてくれるであろう今回に手を出す必要はない。そもそも、出してはいけない気がするのも変わらない。
それより構成員もいない今、ボンゴレが住民を守る余裕はないだろう。ならば私は本来の役目を果たす。
沢田綱吉にはリボーンがいるのだ、そこは安心できる。
細々した戦闘やメローネ基地への襲撃など様々な事が起こったが、私はそのどれにも関わらなかった。沢田綱吉の姉と名乗る少女も、沢田綱吉本人の意思により関わらせて貰えなかったらしい。
彼女の甘さは自分達を危険にさらすだけだ、と強固に反対したと聞いた。
メローネ基地襲撃後、白蘭の指示により一旦は引いたように見えたミルフィオーレだが、大きな組織の末端には馬鹿が多い。抜け駆けしようとやってくる者達を始末する為に、私は単独行動をとり続けた。
そうして暫く経ったある日の昼、ふと誰かに呼ばれたような気がして振り返る。すると視界が一気に暗くなり、敵の攻撃かと身構えた次の瞬間には神社のような場所に立っていた。
目の前にはジョットを筆頭に初代と呼ばれた者達。後ろには気配からして沢田綱吉ら10代目達。更にはアルコバレーノまで揃っているようだ。
「確保!」
私が逃げるより早くジョットのかけ声によりG、雨月、ナックルの三人に捕まる。そのままジョットのすぐ前まで引きずられた。
「お前の姿だけ見えずに心配したぞ」
「とても心配した、とは思えない仕打ちですね」
今の姿は全く違うというのに、私がD・スペードだと確信した様子でにこやかに手を広げて抱き締めてくるジョット。逃がさないよう捕まえたままのGを睨んでみたが無視をされる。これは知らない相手だから無視をしたのではなく、私が誰か分かっていて無視をしている。まったく、こちらの幼なじみの意見もきくべきだ。
「表情豊かなアラウディとか気持ち悪い」などと呟いたランポウに視線をやれば、慌ててナックルの後ろに隠れた。
「え…えーと…その…」
物凄く勇気を振り絞ったらしい沢田綱吉が声をかけてきたのでそちらを見ると、完全に視線を集めており少しばかり気まずい。
「なんだ、何も言っていないのか?」
「言う必要がなかったもので。そもそも、一目見て気づいた貴方方がおかしいんですからね」
雰囲気から察するに、ランポウですら私が誰なのか理解している。見た目では分からない筈なのに…まぁ、自分にも隠す気はないのだが。
べったりくっつくジョットを引き剥がし、Gの手はこちらが引き剥がす前に離れていた。今はその空気を読み過ぎるところに腹が立つ。
どうやら場の流れからして名乗らなければいけないらしい。今の自分の肉体を頭から昔の自分へと変えていく。服はフードつきのコートを羽織った時のものでいいだろう。貴族服は流石に勘弁願いたい。
完全に姿を変えきって沢田綱吉達に向き直る。
「初代霧の守護者、D・スペード。久しぶりですね、皆とても成長したようだ」
笑顔で自己紹介をしてみたが、沢田綱吉側は一様にぽかんとした間抜けな顔をしていた。
奈津「なにあの態度!大変な状況なのに酷い!」
リボーン「スペードは住民達を守りに行ったんだぞ、今のボンゴレじゃそこまで手が回んねーからな」
奈津「え…」
綱吉「…君、悪いけどあまり触れないでくれないかな。傷が痛むんだ」
奈津「あ…ご、ごめん…」
リボーン「今後の事を話し合う。奈津と言ったな、外に出てろ」
奈津「なっ!わたしはボンゴレ10代目で…!」
リボーン「はっきり言わないと分からねーか?邪魔だから出てけ」
奈津「酷いよリボーン…隼人や武は分かって…」
隼人「オレの10代目は沢田綱吉さんだけだ」
武「うーん、悪いけど笹川達のとこ行ってくれるか?」
奈津「ーっっ…!」