D・スペードの人生やり直し   作:甚三紅

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途中から視点がデイモン→ジョットに変わります。
余裕のあるかっこいいリボーンはいません。


十二話

「ひ…酷いよ!仲間の事だまし「おめーは黙ってろ」」

 

何やら声を荒げた沢田姉を蹴りによって物理的に黙らせたリボーン。蹴りにいつも以上の鋭さを感じる。

と言うかあれもついてきたんですね、実に邪魔だ。

 

「えーと、スペードが初代霧の守護者…ごめん、どういう事?」

「平たく言えば転生です。死んだ時は満足でしたし、成仏するつもりだったのですが…」

 

代表として聞いてきた沢田綱吉に素直に事の次第を伝える。別に隠す事ではないのだ、情報を公開しても構わない。

それよりも気になるのはジョットの気配だ。今回は仲の良い状態で死に別れたので、また会えた事を嬉しいと思って貰えるのは私とて嬉しい。だがそわそわし過ぎだ、無表情に見えるよう頑張っているが気配で分かる。

キッと睨みつけると目に見えてしょんぼりしたので、それは私がジョットの前に立つ事で隠した。

 

「流石飼い主だね」

 

と呟かれたアラウディの言葉は聞こえていない。

 

「で、何故こんな状況に?説明が欲しいのは私の方なのですが」

「Ⅹ世に助けを求められたので今回に限り応える事にした。それで守護者を呼び出したのだ」

「そしてGを差し置いてでも一番に駆けつけそうなお主がおらず、とても驚いていたところでござる」

 

雨月の言葉を皮きりに、賑やかになるメンバーに頭が痛くなる。助けを求めるようにGを見れば溜め息と共に肩を叩かれた。

 

「まぁ、あいつらは諦めろ。Ⅹ世ファミリーの試験をして、それに合格したらオレ達が手を貸す約束をしたところだ」

「…ありがとうございます。ところであの後、組織はちゃんと回ったんですか?」

「………」

 

説明してくれた事は助かったが、今の彼らを見て気になった事を質問したら無言で視線を逸らされた。…今代までボンゴレは続いてきたのだ、何とかなったのだろう。多分。

 

「それで、今から試験をするのか?しねーのか?」

 

随分とイライラした声でリボーンが割り込んできた。嫉妬かと笑いたくなったが、話が全く進まないのは事実な為ジョットに視線を向ける。

こちらの言いたい事を察した彼は沢田綱吉らに向き直り真面目な空気をまとい口を開いた。

 

「ふむ、そうだな。後ほどそれぞれお前達の元へと向かわせよう」

 

流石に今試験をする訳ではなくこの場はお開きとなり、沢田綱吉達とアルコバレーノは帰っていく。

てっきりジョット達も居なくなるのかと思いきや、まだこの場に残っており首を傾げた。

 

「デイモン!」

 

名を呼ばれるのと同時に突進されてたたらを踏む。今の体は鍛えてあるのでその程度で済んだから良かったものの、以前の体ならば確実に尻餅をついていただろう。

危ないと叱ろうと口を開きかけたが、あまりにも嬉しそうな雰囲気が伝わってきて今叱るのは躊躇われた。

 

「あんな別れ方をしてずっと後悔していた…こんな形ではあるが、また会えて嬉しい」

 

苦しい程にしがみついてくる様子はまるで幼子のようで小さな怒りなど消し飛んでしまった。

仕方がない、とジョットの背中を叩くと、他の者達に微笑ましいものを見るような目を向けられどうにも気まずい。

 

「久しぶりに三人で話し合うといい。オレ達は適当に過ごすとしよう」

 

ナックルがそう言い姿を消すと、雨月、ランポウ、アラウディと三人が姿を消した。そう喋りはしなかったが、一番に居なくなりそうなアラウディが残っていたのは少しばかり意外だった。

 

「それで、もっと詳しく説明して頂けるのでしょうね」

 

強力な磁石のようにくっついてくるジョットを離すのは諦めて問うと二人は同時に頷いた。

 

十年前…元の時代に居ると聞き、まずは拠点にて腰を落ち着かせる。今更容姿程度でどうこうなる相手ではないため、このタイミングで術を解いて風の姿に戻る。

詳しく話を聞けば、ボンゴレ匣強化のために力を貸して欲しい、という事だった。

自分にはその方法などまったく分からず問いを続けると、銃弾により穴の空いた懐中時計を渡される。ジョットが私の形見として受け取っていたそうだ。

 

「実物ではないが、お前がⅩ世の守護者を認めた時にこれを介して力が与えられる。もっとも、指輪の解放に至る程の力はないのだが…」

「なるほど。それにしても、試練ではなく試験、ですか」

「ああ。彼らは既に己の行くべき道を知っている。後は気づくだけだからな」

 

必要な事を話し終えると、私の家だと認識しているからか思い思いに寛ぐ二人に懐かしさから目を細める。

暫く戦い通しだった為、このゆったりとした穏やかな時間が心地よい。

 

「さて、と…話は終わったし飲むか」

 

勝手に冷蔵庫を漁り、見事にとっておきのワインを見つけだしたGがグラスを三人分持ってきた。

 

「貴方は昔から的確に高いのを見つけ出しますよね…と言うか飲食できるのですか?」

「そこはまぁ、ほら、指輪の不思議パワーで」

「細かい事は気にするな。それに疲れているだろう?気晴らしも必要だ」

 

手際よくワインをグラスに注ぐGとのんびりとした様子のジョットの連携に息を吐き、差し出されたグラスを手にとる。

そんな私の様子にジョットは至極嬉しそうに笑った。

 

「オレとGにだけ殊更甘いのは変わらないな」

「うるさいですよ」

 

 

 

- - - - - -

 

 

 

デイモンが寝てしまうとオレとGは手持ち無沙汰になり、何となしに彼の寝顔を見つめる。

見れば見る程作りはアラウディにそっくりだ。とは言え、表情がデイモンのままなのでうっかりでも間違える事はない。仮に髪や目の色がアラウディと同じでも見分ける自信がある。

 

「ったく、髪結んだままじゃねぇか。しかも酔いつぶれるくらい疲れてんのかよ、情けない奴」

「そう言うな、オレ達の前で気が抜けたのだろう。デイモンも寝たし、少し行ってくる」

 

髪を解いたり掛ける物を持ってきたりと、甲斐甲斐しくデイモンの世話を焼き始めたGに一言断る。すると、こちらを見もせずにひらひらと手を振られた。

デイモンはオレ達に甘いが、オレ達もデイモンには甘い。

 

Ⅹ世の家は指輪の気配を探せば直ぐに見つかった。自分の部屋にいるのを確認してから姿を表すと、Ⅹ世と晴れのアルコバレーノのみがいた。これは好都合だ。

 

「えーと…今から試験、ですか?」

「いや。少し話をしにきた」

 

晴れのアルコバレーノから刺さるような視線を感じながら、緊張した面もちのⅩ世の顔を見つめる。

こうして生きているからには、ボンゴレのボスとしてデイモンもある程度は認めているのだろう。

 

「あの、話って…」

「お前の姉だと名乗る女性だが、試験には関わらせないようにした方がいい。彼女の持つ指輪も今は完全に眠っている。使わせない事だ」

 

こちらの言葉に素直に頷くⅩ世。彼は彼なりに思うところがあったのだろう、話が早くて助かる。

そして本命である晴れのアルコバレーノに向き直る。敵意むき出しで面白いが、からかっている場合ではないので自重した。

 

「嵐のアルコバレーノ…彼女をデイモンに近づけるな。幸いにも嵐はGの担当だ、デイモンが関わる必要はない」

 

神社にて呼ばれた時、デイモンはこちらに集中していて見ていなかったが、この晴れのアルコバレーノは嵐のアルコバレーノからデイモンをさり気なく隠していた。

詳細は自分には分からない。しかしこの男は色々と事情を知っている、と勘が囁く。

 

「随分と過保護じゃねーか」

「大切な者を守るのは当然だ。ではな」

 

刺々しいアルコバレーノの言葉には当たり前の事を返し、言いたい事も伝えた為にⅩ世の家を後にする。

のんびりとしていられないのは指輪の中から見ていたので知っている。ならば一番手は雨月に頼もうと気配を探り、彼は最初の神社に居ると分かったので神社へと向かった。

 

神社に着くと雅な笛の音が聞こえてきた。覚えのある音色に誘われるまま足を動かすと、森に入ったところで目的の人物を見つける。

暫し心地よい音色に身を任せて目を閉じる。この曲はデイモンが好んで聴いていたものだと気づいて自然と笑みが浮かんだ。

 

「…やはり、お主達は三人そろって笑っている方がいい」

 

曲が終わり、雨月の言葉に瞼を上げる。

オレの霧に会い欠けた場所が埋まる感覚を知った今、雨月の言葉には同意しかない。

 

「拙者への要件は察しがついているでござる。最初の試験官役、承った」

「ああ。頼んだ」

 

付き合いが長いだけあり何も言わずとも全てを察してくれた雨月に短く返す。

雨月の事だ、明日の夜には試験が始まるだろう。

 

さて、今日の用事も済んだ。早く帰らなくてはGにデイモンを独り占めされたままになってしまう。

Ⅹ世の事は期待している。だが今は彼を優先したいのだ。

二度と会えないと思っていた、大切な人に会えたのだから。




※アルコバレーノの会話

嵐「リボーンは随分と荒れていますね、彼らしくない」
雷「あのリボーンの感情を乱せる原因は気になる」
雲「どーせくだらない事だろ、エスプレッソが不味かったとか」
雨「お前は相変わらず残念な奴だな、コラ。リボーンに締められるぞ」
晴「お前らごちゃごちゃうるせー…まとめて締められてーのか」
大空「一人だけ離れて、どうかしたの?」
霧「…別に(D・スペードの姿が変わる前に見えたあれ…どうも引っかかる。何か忘れているのかい?この僕が)」
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