D・スペードの人生やり直し   作:甚三紅

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中途半端なところですが、一回切ります。


十三話

試験を始めてから数日後、私の拠点にて初代と呼ばれる七人全員が集まり顔を突き合わせている。

狭い部屋に大の男が七人も居ると狭いしむさ苦しい。そしてそれ以上に空気が重い。

 

「今回ばかりは流石の私も再試験を求めます。彼女を排した上で、ですが」

「オレもデイモンに一票。他の者はどうだ?」

 

私とGの言葉に皆、難しい顔をしつつ是と答える。決定権を持つボスを見れば答えは是。満場一致で10代目達の再試験となった。

 

何故こんな事態になったのか、理由はとても単純である。

沢田姉が試験をことごとく邪魔してくれたのだ。

 

「ツナも皆もわたしが守る!!」

 

という訳の分からない理由で。

沢田綱吉は彼女を止めようと頑張っていたらしい、それを「風」が止め沢田姉を助けたのだと聞いた。更に風をリボーンが止めようとすれば他のアルコバレーノがそれを止める。10代目達の試験だというのにこのグダグダ具合に頭が痛くなる。しかも未来の惨状を見た上での試験妨害とは、よくまぁ時間を無駄に出来るものだ。

代わる代わる仲間に引き止められ私は直接は見ていないが、収拾がつかなくなった場面が簡単に想像がついてしまうのが何とも…。

 

「では試験の内よ…アラウディ、どこに行くつもりですか」

 

再試験の内容に移ろうとしたところでアラウディがどこかに行こうとしたのでそれを止める。

いつもの事とはいえ、相変わらずの無表情のくせに迷惑そうな雰囲気を隠そうともしない。

 

「試験の内容は決まったら教えてくれればいいよ。中身は任せる」

「本当に任せるんですか?」

「……あまり変なのは拒否するけど、それ以外ならやってもいい。僕はⅩ世がどうなろうと興味ないからね、正直試験とかどうでもいい」

 

アラウディは戻るか迷って結局は出て行った。あれで最初の頃よりはかなり協力的になっているのだ、言質もとった事だし良しとしよう。

 

「再試験、と言われてもオレ様なーんも思いつかないんだものね。元々やる気ゼロだし」

「思いつかんのはオレも一緒だな。妨害さえなければ合格にしてやりたかったのだが…」

 

ダレるランポウを起こしながら困ったように笑うナックル。妨害さえ、というのには激しく同意する。沢田姉は早々に排除してしまえば良かった。

 

「そういやお前の試験はまだだったな。何をするつもりだったんだ?」

 

ふと思い出したようにGに問いかけられそちらを向く。Gの隣にいるジョットからも同じ事を聞きたそうな気配を感じた。

 

「そうですね、幻術を使い私が用意したフィールドで自分自身と戦って貰うつもりでしたよ。私は心より力が見たい」

「なるほど…ならば全員分、その方法でいく。お前なら出来るだろう?」

「…、分かりました」

 

ジョットの言葉に一瞬詰まったが、ボスの命令と受け取り了解の意を示す。やけに判断が速かったのはまた超直感だろうか。

 

 

試験の場所として黒曜ランドを選び、昔の姿をして下見に訪れる。上手くいけば六道骸を引きずり出せるかもしれない。

林の中から黒曜組が根城としている建物を見上げていると、アラウディが背後に現れたのでそちらに視線をやる。

 

「丁度よかった、再試験は自分自身と戦って貰う事になりましたよ。雲雀恭弥をしっかり連れてきて下さい」

「…仕方ないね、それくらいなら」

 

心底面倒そうに肩をすくめられるが面倒なのはこちらの方だと言いたい。

用件は済んだというのに立ち去らないアラウディに不思議そうにしていると、相手から一歩距離を詰められた。

 

「君とジョットが一生懸命だから僕達は協力するし、ジョットは君に死んで欲しくないから一生懸命だ。けれど、僕としてはもう暫くこのままでいいと思っている」

 

いつになく饒舌な彼に目を瞬かせる。アラウディまで、まだもう少しだけ一緒に居たいと思ってくれているのは純粋に嬉しかった。

そして、彼らは既に過去のものであるのが…少しばかり寂しくなった。

 

「試験の日は?」

「明日の夜にでも」

「そう」

 

最後に短いやり取りをしてアラウディは炎となり姿を消す。

名残惜しくなる事を言うとは、本当に嫌な男だ。

 

 

そろそろ下校時間である為に並盛中へと足を向ける。沢田姉はマーモンに協力して貰い無理矢理学校に通っているという。

校門で待ち伏せしていると、沢田綱吉、獄寺隼人、ユニと一緒に沢田姉も一緒に歩いてきた。

 

「沢田奈津、話があります。ああ、Ⅹ世とユニも一緒に来なさい」

 

そろそろ私がちょっかいをかける頃だと思っていたのか、何とも言えない表情ながら沢田綱吉は頷いて返し、逆に沢田姉は面白い程うろたえている。獄寺隼人はこちらを睨んできたが子犬に吠えられたところで何とも思わない。

そしてユニは静かにこちらを見ていた。

 

場所を移動し、河川敷で子供らと向かい合う。

 

「さて、まずはユニ。彼女を元の世界に返す方法はありませんか?」

「ごめんなさい…奈津さんの世界には干渉出来ないんです」

「そうですか…。いえ、構いませんよ、聞いてみただけですから」

 

この件に関してはあまり期待していなかったので本当に構わない。あわよくば、程度だ。

申し訳なさそうなユニに対して私の態度が柔らかい事に三人は非常に驚いているが、私とて優秀な協力者相手に厳しい態度などとりはしない。

 

「沢田綱吉は、よくやっていると言えるでしょう。他の者から聞いています」

 

私の言葉にあからさまにホッとする沢田綱吉。正直力ずくで沢田姉を止めて欲しいところだが、アルコバレーノ相手では仕方ないと言える。

自称右腕は特に言う事はない。Gならば上手い事やっただろう。

 

「沢田奈津。散々言われている筈ですが、初代霧の守護者、現夜の守護者として言わせて貰います。試験の妨害は止めなさい」

「なっ…わたしはただ守りたいだけで!」

「ここは君の世界ではないのです。迷惑なのだといい加減理解しなさい」

 

全身の毛を逆立てて威嚇する子猫のように歯を剥き出しにする沢田姉。頭の痛い様子に深い深い溜め息が出る。

 

「世界が違ってもツナは可愛い弟だし、守護者だって…」

「っ…何度も言ってるだろ!オレは弟じゃないし守護者はオレの守護者だ!」

 

いつもならば黙っている事の多い沢田綱吉が、今回は声を荒げた事に少しばかり驚く。他の三人は更に驚いており彼に視線が集まった。

沢田綱吉は怒りや悲しみの入り混じった顔をして沢田姉を見ている。

切欠は私かもしれないが、ボス自ら動くのならば動く必要はないかもしれない。今は成り行きを見守る事にした。

 

「オレ達は早く未来に行かなきゃいけない、こんなところで足踏みしてる訳にはいかないんだ。今こうしてる間にも沢山の人が殺されてるかもしれない…早く白蘭を止めなきゃいけないんだ!君もあの未来を見たなら分かるだろ!?」

「それは当たり前だよ!」

「なら何でオレ達の邪魔するんだよ!」

 

流石の沢田綱吉も頭にきているらしい。彼女の独りよがりな「守る」より、今の彼の方が余程皆を守っている。

 

「邪魔なんかしてない!何で、分かってくれないの?お姉ちゃん悲しいよ…」

 

「弟」の理解が得られずさめざめと泣き始めた沢田姉。姿形が一緒ならば混同してしまうのも分かる、私がそれをよく利用していたのだから。

一方沢田綱吉は怯む事なく沢田姉を見ている。こういう時、女の涙に引かなくなったのはとても良い事だ。

 

「なに女の子を泣かせてるんですか」

 

成長を喜ばしく思っているところに乱入者が現れた。

沢田綱吉の後ろに回り、言葉と共に蹴りを放ってきた小さな物体を弾く。獄寺隼人も動こうとはしたようだが、まだまだ遅い。

弾いた物体は空中で回り華麗に地面に着地した。その後ろには、物体を止められなかった事に苦い顔をしたリボーンが続く。

 

「女の子を泣かせるなんて、どんな理由があれ駄目ですよ」

 

体勢を整えた物体…嵐のアルコバレーノは諭すような口調で話しかける。

昔の姿をしていて心底良かったと思った。




ナックル「アラウディ、何故デイモンを凝視しているのだ?」
アラウディ「観察」
ナックル「う、うむ。今更観察とは、どうした」
アラウディ「あれが死んでから特に気になってたからね。折角また会えたんだ、確認してるんだよ」
ナックル「デイモンが居なくなって気づいた、というやつか」
アラウディ「……否定はしない」
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