D・スペードの人生やり直し   作:甚三紅

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最後の方BL成分多めです。デイモンは溺愛されてればいい。
そして終わりはあっさり。


十四話

嵐のアルコバレーノとなった彼女は一般人とは言い難いがマフィアではない、変に関わってさえこなければ特に何かするつもりはなかった。

沢田姉さえ居なければ試験に手を出す事もなかったのではないか、と思っている。

そもそも、私の身代わりをどうこうするつもりは最初からなかったのだ。何かが起こり自分が人柱とされるかもしれないのだから。

とはいえ、ここまでされたからには少しくらい口を出したい。深く巻き込むつもりはなかったが、首を突っ込んできたのは向こうだ。

 

頭の中で方針をまとめると、獄寺隼人に怒鳴られている風へこれ見よがしに溜め息をつく。

 

「どんな理由があれ、ですか…。私には、間接的とはいえ殺人者を庇う気持ちが微塵も理解出来ませんね」

「聞き捨てなりません、彼女は清廉潔白な…」

「清廉潔白?自覚していないだけでしょう。沢田奈津も、貴方も」

 

思い切り馬鹿にして笑ってやれば風と沢田姉の二人に強い視線を向けられる。

更に口を開こうとしたところで沢田姉、風の前に沢田綱吉とリボーンが立った。

 

「すまねーな…こいつにはちゃんと分からせる。アルコバレーノはこいつを甘やかし過ぎた」

「オレがちゃんと説得するよ。だから、大丈夫」

「10代目…」

「おじさま…」

 

てっきり今回も止められるかと思ったが、沢田綱吉とリボーンは私の方につくらしい。

こちらからは彼等の表情は見えない。それでも、どんな顔をしているかは想像出来た。

 

「では、任せましたよ。それから、明日の夜に黒曜ランドに守護者全員を連れて来なさい。霧の守護者の試験、及び他の守護者の再試験を行います」

「分かった」

 

あれ程怖がっていた私に対して言うのだ、沢田綱吉は沢田姉を説得してくれるだろう。リボーンは元より心配などしていない。

帰る前に必要な事を伝えると、返事は沢田綱吉がし獄寺隼人は大きく反応した。チャンスが貰えると知り、張り切り出したのが愉快だ。

 

今日の用事は全て済んだので帰る事にする。背中を向けた私に対し風や沢田姉が何か言っていたようだが、聞く価値などなさそうだった為に完全に聞こえなかった事にして帰路についた。

 

 

霧の守護者の試験と他の守護者の再試験は普通に始まり全員合格という形で終わった。沢田姉さえ関わらなければ、ここまであっさりいくらしい。

霧の守護者の試験について特に何か言う事はない。強いて言うならば六道骸を上手く引っ張り出せた、という事くらいだろうか。前の世界でクローム髑髏を自分自身だと言っていたのを利用させて貰った。

沢田綱吉を含め、全員の匣の性能が上がったところで建物の外に出る。雲雀恭弥だけは一人でさっさと帰っていった。

 

何事もなければ、と思っていても世の中そう上手くはいかないようだ。

建物を出たところで沢田姉と風が私達を待っていた。昨日の今日では嫌な予感しかしない。

 

「わたし、風さんから全部聞きました。D・スペード、お願いだからもう止めて。エレナさんはこんな事しても喜ばないよ」

 

悲痛な顔をしている沢田姉と風。こちらとしては驚けばいいのか嘲笑えばいいのか分からず思わず沢田綱吉とリボーンを見てしまった。二人とも予想外過ぎる出来事だったらしく、沢田綱吉は呆気にとられた顔をしリボーンは頭が痛そうにしている。

こちらが無言であるのをどうとったのか、泣きそうに顔を歪める沢田姉を風が慰めるように彼女の足を軽く叩く。その仕草に頷いた沢田姉は、意を決したように私を真っ直ぐ見てきた。

 

沢田姉の裏切り者やら非道やら、好き勝手に言っているのをBGMに沢田綱吉を改めて見る。向こうも何か思ったのか視線が合った。

 

「あの宇宙人相手によく説得しましたね。誉めて差し上げましょう」

「……うれしくない…」

 

しみじみとして言葉を紡ぐと心底嫌そうな顔で返事がきた。自分の事を何と言われようが痛くも痒くもないので沢田姉の言葉を聞き流す。

 

「悲しいのは分かる、それだけエレナさんが大切だったんだね。でも、ジョットを殺そうとするなんてそんなのないよ!ジョットも他のみんなも可哀想だよ!」

 

が、聞き流せるのは私に関する事だけだ。可哀想、などと酷い侮辱に目の前が真っ赤に染まる。

一瞬で沸騰した頭のまま小娘に手を伸ばすと、その手を暖かな手が掴み正面から強く抱き締められた。

 

「よーしジョット、そのままデイモンを抱き締めてろよ。こっちは直ぐに終わるぜ」

「任せろ。デイモン、大丈夫だ。オレ達は…オレは、ちゃんと分かっているから」

 

ジョットの声が聞こえてきてよくやく視界に色が戻る。冷えた指先を温める手に少しずつ落ち着いてきて、強張った体から力が抜けていった。

 

「リボーン!どういうつもりだ!」

「どうもこうも、大事なもん傷つけられて黙ってられねーだけだ」

 

多少落ち着いてきたので辺りを見回せば、ジョットは私を抱き締めていてGは沢田姉の正面に立ち頭に銃を突きつけている。アラウディは風に手錠をかけ踏みつけていて、リボーンはその彼女に銃を向けていた。そして雨月、ナックル、ランポウは10代目守護者や他のアルコバレーノを抑えている。

 

「さて、どんなデタラメ吹き込まれたか知らねぇが、死にたくなかったらその下種な口をとっとと閉じろ」

「か弱い女の子に何て事…」

「言葉だって立派な凶器だ、自業自得だよ」

 

Gの言葉に真っ先に反応した風。アラウディが踏みつける足に力を込めたのか、苦痛に顔を歪めるのがこちらから見えた。

 

「落ち着いたか?」

「…ええ。すみません、醜態をさらしました」

 

私の体から力が抜けたからかジョットの腕が緩み、そのまま両手で頬を包まれ至近距離で微笑まれた。術士たるもの常に冷静でなければいけないのに、頭に血が上るとはとんだ失態だと苦い気持ちになる。

 

「お前は相変わらずだな。だからこそ、オレ達もお前の為なら何でも出来る」

「……、…恥ずかしい人ですね」

 

ストレートに好意を伝えてくる目の前の男に何か返そうとして、結局は面白みのない言葉しか出てこなかった。

笑みを深めるジョットに内心を見透かされているようで少しばかり居心地が悪い。

 

「お前ら本当、興味ない事はとことん入ってこねぇよな」

 

そんな言葉と共にGにジョットもろとも肩を抱かれ僅かに目を開く。肩を抱かれたまま猫のように擦りよってきたGに眉を寄せ軽く叩いてみたが全く離れる様子はない。

ジョットは完全に素で触れてきたが、Gの場合はリボーンが凄い目で見ているのを理解してやっている。こういう事に関しては私などより余程質が悪い。

 

 

「貴方に任せておけば問題ないのですから、構わないでしょう?」

「まぁな」

 

宇宙人と会話(物理)をしてきた彼に言えばさらりと返される。獄寺隼人も右腕と名乗るからには、早くここまでなって欲しいものだ。

 

 

その後、一晩の間を置き私達は再び未来へと向かう事となる。

ジョット達と別れるのは名残惜しくあったが、この生を終えた時にでもまた会えるだろう。お互いに別れはあっさりしたものだった。

沢田姉や風は生きている、とだけ言っておく。

 

今回の事で一番大変だったのは、帰ってからリボーンを宥める事だった。完全にへそを曲げた彼は本当に面倒くさい。

まぁ、他人にそんな姿は見せないのだから、悪い気はしない。




綱吉「あの…Ⅰ世達のあれって…」
雨月「ああ、三人が揃うと微笑ましいでござろう?」
綱吉「微笑ましい、て言うか…(リボーンの目が怖っ!)」
ナックル「あいつらは究極に仲がいいからな!」
ランポウ「あ、アラウディが乱入した」
綱吉「そしてスペードにあしらわれてる…え、スペードって猛獣使いか何か?」
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