・スペード=D・スペードは普通に受け入れられた。スペードはスペードだよね、的なノリで。
・初代達と会った記憶も与えられている。
駆け足どころか疾走レベルで話が進みます。
白蘭との戦いに私はほとんど関わっていないので詳細は知らない。
ボンゴレリングの解放の為に呼ばれたくらいだ。ジョットは本当に沢田綱吉に期待しているらしい、あの形状のリングを見たのは久しぶりだ。
最後の最後にたった一人とはいえ、守る者の為に敵を殺める事も厭わないとは中々やるようになったと思う。このまま順調に成長すれば、私が膝をつく日も近いのかもしれない。今の彼ならば、ボスとして守ってもいい。
アルコバレーノの力と装置により過去に戻ると直ぐに白蘭を探し出して捕獲する。ボンゴレを潰す要素は早めに取り除かなければいけない。
それ以外は継承式までのんびりと過ごすつもりだ。私が関わらない以上、シモンとの争いもないだろう。あの男…シモン=コザァートがどうにかされるなど考え辛い。
「最近機嫌がいいじゃねーか」
「ええ。沢田綱吉の成長が喜ばしいので機嫌は良いですね」
継承式の情報により日本に入ってきた馬鹿を葬り去り、後始末を頼んだところでリボーンに問い掛けられた。今の沢田綱吉ならば少しくらい一人にしても問題ない為、こうして二人でゴミ掃除をしている。
「それに彼ならば、今のボンゴレについた贅肉を削ぎ落としてくれるのではないかと期待しています」
「あいつが正式に継ぐと言うのかまだ分かんねーぞ」
「継ぎますよ。今でなくとも、必ず」
互いの背後から不意打ちを仕掛けようとしたゴミに私はナイフを、リボーンは銃弾を打ち込みようやく今日のゴミは掃除し終えた。
そうして継承式が近づくにつれ色々なファミリーが日本入りする。私が知っている前のものより数は少なかったが、今はより強いマフィアと繋がりを持っているようだ。
少ししてシモンが並盛にきたという情報を得た。
今代のシモンがどう変わっているのか楽しみにして遠目に彼らを見にいくと、少々雰囲気がおかしい。
この世界のシモンは規模は大きくないが、正に少数精鋭と言うに相応しいファミリーだった筈だ。相応の空気を持っていたのにそれが感じられない。今の彼らから感じる雰囲気はまるで私が細工をした時のようではないか。
はっとして加藤ジュリーを見ても術の痕跡は見当たらない。完全に隠れているのかそれとも他の要因なのか、今は判断がつかない。
この事を沢田綱吉に伝えるか否か、迷うところだ。
「沢田綱吉、ジョットの友人として君に聞きたい事がある」
「はぁっ…はぁっ…、いい、けど…」
最近、折角身につけた動きを鈍らせないよう直接拳を合わせる鍛錬を始めた。私には遠く及ばないが悪くない動きをするようになるとは、彼の成長は凄まじい。
その鍛錬が終わった時、地面に転がり息を整えている沢田綱吉に問いかける。
「君は、弱者を守りたいと言ったジョットを信じてくれますか?彼は誰かを騙すなどという卑怯な事はしないと」
「どういう…」
「いえ…くだらない事を聞きました。忘れて下さい」
戸惑う彼に苦く笑い、汗を拭く為のタオルを投げつけて帰る事にする。少し、シモンの事を調べなければならない。
それからまた日が経ち、9代目に沢田綱吉が呼ばれたのについていく事にした。ティモッテオには一言言ってやりたい事がある。
沢田綱吉が話している間に口を出すような野暮な事はせず話が終わるのを待つ。ティモッテオの言う事は、最初に沢田綱吉にマフィアのボスをやらせようとした人間の言葉とは思えず笑いを堪えるのが大変だった。
「さて、何か話があるのでしょう。初代として言いたい事でも?」
穏やかな顔をしたまま最初に口を開いたのは9代目。リボーンは私が何かやらかさないかとこちらを窺っている。確かに私は彼が好きではないが、危害を加える程の興味もない。
「ボンゴレについては何も。今のボンゴレは9代目のものですからね」
「ではいったい…」
「沢田綱吉に枷をはめたのは愚かな行為だった、と言いたかっただけです」
言いたい事だけ言いさっさと部屋を出る。昔から超直感を使えれば、沢田綱吉にはもっと違う未来があったのかもしれないのに、と惜しく思いながら。
次の日の昼間近く、沢田家の様子を見にくると近くの塀に何か紙が落ちているのを見つけた。ちなみに、わざわざ沢田家を見にきたのは真っ先に狙われる場所だからだ。誰だって分かり易い拠点は襲い易いし、沢田綱吉の母など人質として価値があり過ぎる。
それはともかく、手紙は沢田綱吉宛てのようだが何故こんなところに?
そう思いながら手紙を開くと内容に焦りを覚える。今の時間は12時少し前、連絡をしている余裕はない。
自作自演の可能性が高いが私の知らない事が絡んでいるのだ、これが真実であるなら大変な事になる。使えるものは全て使い工場跡地に急いだ。
目的の場所に着き今代のシモンを見つけると、無事なようでホッとする。あの能力があればそう簡単にはやられない筈なのに、会ったばかりの沢田綱吉以上にヘタレなようなので万一を考えると心配だったのだ。
「シモン!良かった、無事だったのですね」
「え、と…貴方は…」
「ああ、すみません。私は…そうですね、シモン=コザァートの世話になった…ようなものです」
声を掛けながら駆け寄る私に酷く警戒したような今代のシモン。私が鉢合わせしないようにしてきた為、今が初対面なので仕方がない。
コザァートの名を出すとあからさまにホッとした彼に手紙を差し出す。すると見る間に顔が強張り泣きそうな、悲しそうな表情に変わった。
「悪いとは思いましたが、中を見させて貰いました。ここに書いてあるのは本当ですか?」
「…その手紙、どこで…」
「……。…沢田綱吉は知っていれば必ず「今、ここにツナ君は来なかった。見ず知らずの僕の為にきてくれて、ありがとうございました」」
彼の言葉と態度で自作自演であったと確信した。古里炎真は沢田綱吉を試したのだ。
沢田綱吉の事を守る為ならば、今ここで誤解を解かなければまずい。
しかし、10代目として彼らを鍛え上げる為にはシモンとぶつけた方がいい。
私は後者を選び、古里炎真の背中を見送った。
継承式当日。
やけに重い体を誤魔化し会場へと向かう。会場に近づくにつれ、頭も痛み出しますます足取りは重くなる。まるで手を出すな、とでも言われているようだ。
「何だとゴラ!!」
品のない声がしてそちらを向くと、古里炎真が殴られているところだった。体調の悪さもありイライラしてその男の腕を掴むと情けない声を出して動きが止まった。なんと軟弱な。
「シモンの名も知らぬ五流ファミリーがうるさいですね」
思った以上に冷たい声が出た。名も知らぬ男は更に情けない声を出して一目散に逃げていく。
「あの…ありがとうございます」
「いえ、いいんですよ」
おずおずと古里炎真が礼を言ってきたので軽くそれに返すと、鈴木アーデルハイトがいぶかしげに見てきたが特に思う事はない。
そして継承式が始まり、前の世界と同じように襲撃を受ける。
山本武の幻覚と途中ですり替わりシモンらを攻撃してみたが、リングの補助もない攻撃ではやはり弾かれてしまう。まとった術を解きはしないが膝をつかされ悔しさに顔が歪む。体調の悪さなど言い訳にもならない。
シモンの姿がなくなると、吐きそうな程の気持ち悪さと酷い頭痛に目の前が真っ暗になりそこで意識が途切れた。
9代目「ところでリボーン、彼との仲は進んだのかい?」
リボーン「……」
9代目「リボーンともあろう者が、と君を知る人間なら口を揃えて言いそうだ」
リボーン「うるせーぞ。あいつは色々と厄介なんだ」
9代目「ふふ、そういう事にしておこうか。それにしても、彼の外見は本当に全く変わらないね…付き合いは長い筈なのだが…」
リボーン「幻術じゃねーのは確かだ」