補足
・アルコバレーノは元々の姿まで成長している
・基本的にデイモンとリボーンはセット
※ツナの実子については今のところ未定
沢田綱吉が正式にボンゴレを継いで更に数年経ち、彼をボスとする事に不満を持つ者は極少数となった。ジョットのカリスマ性をもってしても完全支配など不可能である為に、よく頑張ったと言えるだろう。
沢田綱吉らの高校時代には「外」からの客が数人居たようだが、ここ数年は平和である。このまま是非とも過ごしたいところだが…そろそろ何か起きそうな気がしてならない。
その事を裏付けるように沢田綱吉は最近は落ち着かないし、リボーンも少しばかり警戒している。XANXUS、ユニも落ち着かない様子を見せていた。
ユニは未来を視れる巫女なので分からなくはない。寧ろ彼女が何かを感じたのならば、何かが起こるのは確定した事になる。
だがXANXUSまでとは…虹の代理戦争の時のような事が起こるのだろうか。
落ち着かないながらも数日程経ったある日。
その日は天気もよく仕事が一段落し、皆ゆったりとくつろげるような空気になっていた。嫌な予感がなければどこかに出かけ、休日を満喫したい程に良い日だった。
たまたま、沢田綱吉の執務室に部屋の主とリボーン、私が揃っていた時の事だ。
昔見たような光が一瞬部屋の中に溢れ、とっさに腕で目を庇う。その光の中心地に誰かが現れたので庇うのを止め、かすむ目でありながら気配だけでその人物の腕をひねり上げ床に叩きつけた。
どうせ正体はただの少女だ、目が見えずともどうとでも出来る。
「ひっ!い、いやあぁぁっ!」
「…命が惜しいのならその口を早く閉じなさい」
叩きつけた相手が悲鳴を上げ暴れるので、片手と膝を使い強めに拘束しながら後頭部に銃を突きつける。直ぐに大人しくなった相手は声からしてやはり少女らしい。
「スペード、あんま無茶すんじゃねぇ」
「私がこんな少女にどうにかされると?それに、仮に何かあっても貴方が居るでしょう」
一時とはいえ視力を捨て動いた私に対し、リボーンが呆れたように肩をすくめたのが分かる。それに軽く返せば溜め息を吐かれてしまった。
「いちゃつくなら外でやれよリア充ども!…それはともかく、その子は…」
血を吐くような叫びの後、どこか困惑したような様子が沢田綱吉から伝わってくる。ここではない未来で、同じような体験をした事でも思い出しているのだろうか。
「あ…あたしは…っ…!」
「スペード」
許可なく少女が口を開こうとしたので銃を更に押し付ける。が、沢田綱吉に咎められたので息を吐いて銃を懐にしまい、彼のお望み通り拘束を解いた。察せないフリをしても良かったが、相手はまだ無害な一般人である為に素直に従う事にする。
「見えてきたか?」
「ええ、少しずつ」
立ち上がった私の頬にリボーンが触れ、顔を覗き込んできたのが分かった。じょじょに視界に色がつき、それに合わせてぼんやりとした輪郭がはっきりとしてくる。
視力の戻った目に映る男は相変わらずのポーカーフェイスを装っているのに、雰囲気が心配するそれで思わず笑ってしまった。元の姿まで成長して更に過保護になった気がする。
「ごほん!で、君は何で急にあんな風に現れたの?」
「ふえ?あ、え、と…」
無理矢理話題を変えた沢田綱吉に更に笑いながら、突然現れた少女の話を聞く。リボーンも私から離れ、ちゃんと耳を傾けていた。
彼女の語った内容は昔聞いたものとほぼ一緒だった。この世界が漫画の世界だ、という事まで自分の意思で話してきた。正直に言えば、全てが作り物だと言い切られた上「キャラクター」として見られている現状は不快極まりない。無論、そんな事を顔に出したりしないが。
「だから、あたし別にツナの命を狙ったりとかしてない!信じて!!」
泣きそうな顔で必死に訴える少女の姿は実に滑稽だ。自分一人だけが悲劇のヒロインだとでも言いたいのだろうか。
「うーん…嘘は言ってない気がするけど…どう思う?」
「一般人である事は間違いないと思いますよ」
「怯えてんのも演技じゃなねーな」
結果、件の少女は内密で施設へと送られた。ボンゴレが援助しているちゃんとした施設だ、何事もなければ普通に成長出来るだろう。
それに、本命がまだなのにこんな些事で時間も人手も取られたくはなかった。
「10代目の隠し子…ですか?」
「正確には沢田綱吉の子だと疑われ、無理矢理連れてこられた子供、ですかね」
さっさと少女を送った翌日、嵐、雨、雷、そして私を含めた守護者が集められた。今し方された説明に独り言のように漏らした獄寺隼人の言葉を受け、少しばかり説明を足す。
場所は沢田綱吉の執務室、その部屋の中で彼は疲れた顔をして深い溜め息を吐いた。
「子供の命が惜しければ、ていう典型的なやつかな。不用意に子供を作るようなヘマをした覚えは全くないんだけど…」
「ヘマも何も沢田綱吉の子供ではありませんからね。ジョットの子孫ではあるようですが、全くの他人と言っていい」
「…何で把握してるんですか…」
ひきつった顔のランボに突っ込まれたが気にはしない。私は可能な限り、火種になりそうな事を把握しようとしているだけなのだから。
寧ろ私に気づかせる事なく、女性といたせるようなら逆に拍手でも贈るというものだ。
餌にされた少女の救出に向かったのは沢田綱吉、獄寺隼人、山本武の三人。わざわざ指定された場所に向かうとは、何の為の術士なのか。
その間にくだらない事をしてくれた組織には私とリボーン、そしてランボが向かう。リボーンには正式にボンゴレから依頼が出され、ランボは私達から色々と学べという事らしい。中々にスパルタだ。
組織が大して大きくなかった事もあり、リボーンと一緒では直ぐに壊滅状態へと追いやってしまう。まぁ、それだけ子供を人質にとられた事に頭にきたのだろう。ドン・ボンゴレを怒らせるとは馬鹿な事をしたものだ。
ランボのみがぐったりした状態でボンゴレ本部である屋敷に帰ると、少しばかり中の雰囲気が落ち着かない。
何事かと思い沢田綱吉らが向かったという医務室へと足を進め、目的地の扉を開けると馬鹿が三人居た。
「可愛いなぁ、ナツキは!パパンに何でも言っていいからね!」
「え…ちょっ…」
「ツナ、ナツキが苦しがってるだろ」
「10代目、そろそろ離して差し上げた方が…」
色合いが若干ジョットに似てなくもないかもしれない幼い少女。その少女をだらしない顔をして抱き締める馬鹿1(沢田綱吉)。何とかして少女を馬鹿1から離そうとする馬鹿2(山本武)。馬鹿1より少女を優先する馬鹿3(獄寺隼人)。
ヴァリアーやアルコバレーノのように強制的に魅了でもされているのだろうか。
開けたばかりの扉をそっと閉め、一緒に来ていたリボーンとランボの表情を確認する。
リボーンは頭が痛そうに顔を歪め、ランボは視線を明後日の方向に向け今の光景を見なかった事にしている。馬鹿になったのはあの三人だけらしい。
今行っても何もかもが無駄になる気がしたので、後日改めて報告する事にする。他の二人も異論はなく、その日は静かに解散し各々好きに過ごす事にした。
後に思う。
あの異常とも言える様子を見て、ボンゴレの害にさえならなければ誰が何を溺愛しようが構わない、と放っておいたのがいけなかったのだろうか、と。
ジョット「また直にデイモンに触れられないものだろうか…」
G「今出てったら馬に蹴られんじゃねぇの?」
アラウディ「逆に今出ていきたいね。寧ろ行く」
ジョット「よし、行くか!」
G「あーあー…」
雨月「本気で止めない辺りGも同類でござるな」
ナックル「あの三人は究極にデイモンが好きだからな!」
ランポウ「というかアラウディはいつの間に…」