D・スペードの人生やり直し   作:甚三紅

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デイモンとリボーンがナチュラルにいちゃついてます。

補足
・幼女の中身(精神年齢)については言動から察した模様。デイモン、リボーン共に洞察力が半端ない。


二十二話

よく晴れた日、中庭に用意されたテーブルで和気あいあいと妖女を囲みお茶をしているボスと幹部達。役二名程威嚇したり牽制したりしているがそれは無視をする事にする。

以前のような、異常な程彼女を溺愛し馬鹿面をさらしていた時よりは遙かにマシだ。妖女自身も中身はやけに大人びた…いや、中々の年の大人なのでそこまで酷くはない。

ぱっと見、ボスの愛娘(仮)の為に普段はあまり仲の良くない幹部達が一斉にそろった、という実に微笑ましい光景だ。

微笑ましい、筈なのだが…。

 

「ああもうランボ、クッキーこぼさないの。逃げたりしないから」

「パパ、お茶のお代わりは?」

「ほらほら、隼人と骸は喧嘩しない!」

「了平、沢山食べるのよ!」

「武…もう、それはこうするの」

「恭弥!今日は大人しくして」

 

幼女である筈なのに完全に甲斐甲斐しく世話をする母親のようだ。はっきり言って気持ち悪い。どうしようもない違和感が不快だ。

精神年齢的にきっとボス達を子供のように思っているのだろう。私とて、沢田綱吉らとは玄孫どころではない程離れているので理解出来ない、という事はない。

ないが、これは酷い。子供が背伸びをしている、という範囲を完全に越えており幹部らの威厳も何もあったものではない。

 

私とリボーン、クローム髑髏は茶会から離れた場所で皆の様子を眺めている。何だかんだ言いつつも幼い子供にはやたらと甘い沢田綱吉に無理矢理引っ張ってこられたのだ。

そして違和感満載の茶会の様子を私が幻術で誤魔化している。

 

「スペード様、やっぱり私も…」

「この程度、負担にすらならないのですから一人で十分です」

 

腕を組み難しい顔をしている私にクローム髑髏が話しかけてきた。

手助けなどかえって邪魔なのでぴしゃりとはねのけたが落ち込む様子はない。今では滅多な事ではへこたれなくなったこの娘の根性は嫌いではない。

 

「ツナは気づいてもいい筈だが、好意がある奴には途端に鈍るな」

 

妖女に甘い顔をし、やる事をそのまま受け入れる沢田綱吉を見てリボーンが溜め息を吐く。妖女の中身については当然彼も気づいており、気づかない沢田綱吉への呆れを隠しもしない。私も同意見だ。

 

「あーもうそこの三人も入る!こっちこっち!」

 

妖女がこちらに駆けてきたかと思うと上着の裾を引かれた。気安く触るなと振り払いたいところだが、見た目はいたいけな子供な為動かないだけに留める。

 

「そういう厚意の押し売りは迷惑です。止めて貰えますか」

「あ…えと…ごめんなさい…そんなつもりじゃ…。あ、クロームは」

「……」

「じゃあリボーン!」

「可愛いレディのお願いはききたいが、今は仕事中だ。わりーな」

「そっか…邪魔してごめんなさい」

 

冷ややかな私の言葉に傷ついたような顔をして妖女は手を離し、クローム髑髏ににこやかに笑いかけるも彼女は無言で私の後ろに隠れた。気を取り直してリボーンに話しかけたが当然のごとく軽くあしらわれる。

意気消沈し、とぼとぼと茶会の席に帰る姿を見てもまったく心は痛まなかった。どうやら自分は相当彼女の事が嫌いらしい。

 

「ちょっとおかしいのはあの子の方なのに、スペード様を睨むのはお門違いだと思う」

 

落ち込む妖女を慰めながらこちらを睨む馬鹿3と霧を見てクローム髑髏が呟く。ちゃんと違和感を感じているようで、霧よりも余程見込みがある。

 

「いいのですよ、それが分からない程腑抜けになってしまったのですから」

 

組んでいた腕を解き肩を竦めて笑いクローム髑髏の呟きに返すと、こちらの会話など聞こえない筈なのにあからさまにムッとした顔をした霧がこちらに歩いてきた。

 

「ここ最近、僕のクロームに対して馴れ馴れし過ぎではありませんか」

 

いきなり喧嘩腰で言われ目を瞬かせる。剣呑な雰囲気を察したのか彼の肩越しに妖女があたふたしているのが見えたが、まぁ、妖女はどうでもいい。

霧がクローム髑髏を優先し彼女の側を自らの意思で離れてきたこの状況、折角ならば利用したい。

リボーンにほんのわずかに目をやると小さく頷いたのが分かったので、笑顔を作りクローム髑髏の肩を抱き寄せた。

 

「付き合っているのですから当然でしょう。君は彼女に夢中ですし、構いませんよね?お・と・う・さん」

「誰が父ですか!?交際など許しませんよ!」

 

おそらくクローム髑髏は状況を理解していない。していないが、余計な事は口にせず驚きを顔に出さないよう必死になっている様子は実に好ましい。

 

「おやおや、本当に父親のようだ。可愛い娘を完全に放置しておいて、どの口がそう言うのやら」

「クロームは僕の分身…僕自身のようなもの。貴方にどうこう言われるのは不愉快です」

 

睨む視線には笑顔を返し、クローム髑髏の肩を抱いたまま煽っていけば面白い程に釣れる。そのまま暫く『口喧嘩』を続け、いい具合にヒートアップした所で問いかけた。

 

「では君は、そちらの彼女よりクローム髑髏が大切だと?」

「当たり前だ!クロームとナツキ、比べるまでもなくクロームが大事です!」

 

力強く言い切った後六道骸はハッと息を飲み、以前の沢田綱吉同様困惑した顔になる。

何故自分が彼女に夢中になっていたのか、分からなくなったのだろう。

 

「だ、そうですよ」

「骸様…やっと正気に戻ってくれた」

 

クローム髑髏の肩に回していた手を背中へと動かし、少しばかり押してやると彼女は一歩六道骸に近づく。そして心底安堵した笑みを浮かべた。

 

「……付き合っている、というのは」

「勿論嘘に決まっています。簡単に釣られてくれたので面白かったですよ」

「僕とした事が…屈辱だ…」

 

絞り出すような声での問いには嘲笑つきできちんと答えてやった。それに唸り歯噛みする様は本当に笑える。

 

「クローム、帰りますよ」

「はい、骸様」

 

流石に茶会になど戻る気力は無くなったらしく、どこか疲れた風にクローム髑髏に声をかける六道骸。それに直ぐに返事をした彼女は、小さくこちらに頭を下げて二人で中庭を出て行った。

 

「あと一人か」

「そうですね。ただ、彼女が一番懐いているのが自称右腕なので骨がおれそうだ」

 

こちらの事をハラハラしながら見ていた茶会メンバーは、気を取り直してまだ楽しむつもりらしい。特に無駄に妖女が張り切り馬鹿3がそれを押していた。

 

茶会の様子を眺めながら再び腕を組み、丁度いい位置まで近づいてきたリボーンに癒しを求めて軽く寄りかかる。そろそろ切り上げて欲しいのだが、と沢田綱吉に視線を送ると気づかないフリをされた。

 

「てあの二人何してんの!?リア充爆発しろっっ!!」

「任せて下さい!オレが果たして…」

 

うんざりし始めたのをあえて隠しもせず術を使い続けていると、やたら大きい声で妖女が叫び馬鹿3が続く。私とリボーンのこの距離など、何を今更。

だが妖女は不純同性交遊だの何だと騒ぎ、馬鹿3がダイナマイトを取り出した所でようやく沢田綱吉が動いて二人の頭に拳骨を落とした。その後二人に何やら言い、やっと茶会はお開きとなる。

対応が遅すぎますよ、まったく…。

 

 

 

「えーと…この大量の書類は…」

 

茶会の後、沢田綱吉の執務机にどっさりと書類を乗せ顔を引きつらせる彼に笑いかける。

 

「あんなくだらない事に私を引っ張り出してくれたお礼です」

「お礼と言うかお礼参りだよね、これ…」

「期日は明日の昼までです、頑張って下さいね」

「はい…」

 

ささやかな仕返しをしてスッキリしたので沢田綱吉の執務室を出る。そもそもあれはあの無駄な茶会さえなければ溜まらなかった筈の書類なのだ、それが分かっているから沢田綱吉も素直に頷いたのだろう。

さて、余計な事に時間をとられ色々と詰まってしまった仕事を片付けに行かなければならない。

本当に、あの妖女は余計な事ばかりしてくれる、と苦く思いながら足を進めた。




※筆者はチェスについての知識はまったくありません。

デイモン「……」
リボーン「……」
綱吉「二人とも何を…あ、チェス?」
リボーン「…ちっ、エグい手使いやがって」
デイモン「今回は私の勝ちですね」
綱吉「え…ほとんど駒動いてないんだけど…」
リボーン「読み合いで最後までいったんだ、察しろダメツナ」
綱吉「いや分からないから!」
デイモン「仕方ないですね、実際に駒を動かして差し上げますよ」
リボーン「しょうがねーな…」
綱吉「(あ、不満そうだけどリボーンも乗った。本当にスペードには甘い…てちょっ!お互い高速で駒動かしてる!うわもう終わった)」
デイモン「という訳で私の勝ちだったんですよ」
綱吉「なるほど分からん」
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