出だし詐欺。
シリアス、微グロ、死ネタ。キャラからキャラに成り代わり。更に途中だけ三人称に変わります。
ここから先は更に特殊設定てんこ盛りの自己満足、読む際は覚悟を決めてどうぞ。
ジョット、G、デイモンの三人は滅茶苦茶仲が良い、という前提です。
「ルシファー・ダイヤです。初めまして」
ある日ジョットの執務室に呼び出された。向かった先にはジョット、G、男装女性の三人が居た。
見知らぬ女は薄い笑みを浮かべており、凄く覚えのあるような貴族服を身にまとい少々特徴的な髪型をしている。出会い頭に術をかけてきたのでひっそりと消し、ジョットとGを見てみるが術にかかっている様子はない。
…これは笑っていいのだろうか…。恐らく、この男装女性は「私の立ち位置」にいるのだろう。右目にはダイヤのマークが見える。
それにしても私の名が悪魔だから堕天使の名を使ったのだろうか…そもそも全く服装が似合っていない、体の線を隠しもせず男だと言っていたらどうしよう。いや、幻術で男に見せているのか?私の姿を?ああ、だから妙な話を聞く時があったのか…。
「デイモン、そろそろこっちに戻ってこい」
肩をGに叩かれてハッとする。椅子に座り机に両肘をついたゲ○ドウポーズをしているジョットにそろりと視線を向けると無言で首を振られた。
そうですか、逃げたら駄目ですか。
「彼女は…」
「おや、何度言ったら分かるんです?私は男だ」
「……、…彼はエレナ嬢の紹介でボンゴレに協力してくれる事になった」
ジョットとダイヤのやりとりに、無表情で私の肩に触れたままのGの手に力が入った事と、ジョットの口元が引きつった事には突っ込まないでおく。多分私も口元が引きつっているだろうから。
そんなやり取りがあったのが数週間前。
その「彼女」は今私の目の前で高らかに笑っている。そして××が庇うようにダイヤと私の間に立つ。郊外にある寂れた小屋でのやり取りだ。
私はといえば、右目は瞼ごと抉られ顔の右側は血まみれ。腹や胸には銃弾がめり込みゼイゼイと嫌な呼吸を繰り返している。懐中時計のおかげで心臓には当たらなかったが、これでは無駄に苦しさを長引かせるだけだ。痛みと失血で幻術で自分を誤魔化す事も出来ない。
「もう止めてよルシファーさん!確かに悪い人だけど何も殺さなくても!!」
「アッハハハハハ!!トリップ逆ハー狙いは黙ってなよ!そこの成り代わり逆ハー主を殺して私がデイモン・スペードになるんだから!」
「なっ…ここは漫画の世界じゃないんだよ!みんなこの時代を生きてるのに!」
「…私だって嫌だよ、やりたくないよ…でも原作通りにしないと未来が変わっちゃうじゃん!」
「原作なんて関係ない!!みんなみんな好きに、生きたいようにやっていいんだよ!!」
片や下町の人間を盾にとりここまで私を攻撃した女、片や勝手に屋敷を抜け出し私が死にかけるまで黙って見ていた女…こんな状況だというのに笑いが込み上げてくる。とんだ茶番だ。
「何を笑ってるの?」
「デイモン!気をしっかり持って!」
それぞれが好きなように声をかけてきたが、もうどうでもいい。なぜなら二人はもう終わりなのだから。
勢いよく吹き飛ばされた扉、ほんの僅かな間の後に響いた銃声と何かが壁に叩きつけられた音。一拍遅れて上げられた悲鳴。数人の足音と荷物を引きずるような音がして、よくやく静かになった。
「デイモン…すまない…すまない…っ!」
暖かな大空に強く抱き締められ笑みが深まる。もはや私の左目が機能する事はないが、震える声にジョットが泣きそうな顔をしているのが分かった。
前回が長く存在し過ぎたからなのだろうか。今回はやけにあっさりと終わってしまうのだな、なんてどうでもいい事が頭の中を巡る。
「フフ…最期が誰かの腕の中なんて、悪くないですね…」
吐息で笑い独り言を漏らしたのを最後に、私の意識は完全に途切れた。
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「ーっ…ッ…!!」
デイモンの体から力が抜け鼓動が感じられなくなると、ジョットは目を見開きその直後にデイモンを強く強く抱き締めた。
組織のボスとして今は涙は流せない。
その思いから血が出る程強く唇を噛みしめて耐える。
その後ろでは息を弾ませたGが立っており、衝動のまま何かを言葉にしようとして空気だけが漏れて終わった。
思えばデイモンとは不思議な男だった。
平民である筈なのに貴族のような立ち振る舞い、教養もあり子供の頃から交渉がやけに上手かった。ジョットもGも随分と助けられたものだ。
常に一線引いた態度をとっており、全体を見る目もある。強力な幻術の使い手で、なぜそんなものが使えるのかは誰も知らない。
謎は多かったがそんなデイモンの事が二人は大事だった。デイモンも二人を大事に思ってくれていたから余計に。
その大事な幼なじみはもういない。いなくなってしまった。殺されたのだ、あの裏切り者達に。
「G…見せしめを行う。ボンゴレに…オレに牙をむいたらどうなるか…思い知らせてやる…」
恨みや怒りを凝縮したような低い声でジョットが呟く。
Gとてデイモンは大切な幼なじみで仲間だったのだ、反対など出来る筈がない。ジョットの言葉にただ静かに頷いた。
××○○とルシファー・ダイヤは裏切り者として惨たらしく殺されあえてその事を広められる。
裏切り者は決して許さないと、見せしめにされたのだ。
その後ジョットは二代目を見つけ出しボスの座を渡して早々に引退。日本に渡り名を沢田家康と改める。
それを皮切りに他の面々も散り散りとなる。曰く、あの三人以外の下につく気はない、との事だった。
軸となる世界よりボンゴレは残虐性を増したが、その分身内を大切にするようになる。
ファミリーのために命を張る、それが当たり前となった。
それから数十年後、中国の山奥で一人の少年が目を覚ます。
体の名は風。
本来であれば後の嵐のアルコバレーノになる「筈だった」少年だ。
彼が目を覚ましたその瞬間から新たな話が始まる。
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「ふ、フフ…ハハハッ!なる程、巡り続けろ、という事ですか。六道骸が巡ったという六道より、余程残酷ではありませんか…?」
どうやら崖から落ちたらしいこの体の「持ち主」はもう居ない。
固い地面に寝転がったまま、竹林から覗く青い空に手を伸ばしたがこの手は何も掴む事はなかった。
補足
デイモンの並々ならぬボンゴレへの執着はあまり発揮されていません。今回は組織よりも守護者達とわいわいやる方が楽しかったからです。
指輪はひっそり全員持ってました。去る際に返してます。
この話はアンチが主軸なのでみんなでわいわいやる場面は書く予定はないです。
D・スペードとしては前の人生よりちょっぴり幸せでした。
次は別人としてスタート。