ギャグなんて1つの要素も掠めてません。ニガテな方は軽い感じで読んでください。
斬る、斬る、斬る。何度叩かれようと、何度跳ね除けられようと、何度返されようと。私は戦う、世界を守る為に。私は戦う、私の誇りを守る為に。私は戦う、何よりも大切な人を守る為に。
「はあっ、はあっ……っ、まだまだぁ!!」
私がいくら剣を打ち込もうと大型グリモアは倒れない。
大きな人型をしたそいつは、私の事など眼中にも無いように一直線に鋼夜の方へと向かう。何故かは分からないが、絶対に鋼夜の方へ行かせる訳にはいかない。
やがてうざったくなったのか、そいつは全身にある砲口を剥き出しにし、私に照準を合わせる。次の瞬間眩い光の波が私を襲う。何とか一部分だけは夢幻吹雪で守ったものの、その刃はもう既に刃こぼれしてボロボロである。
いくら打ち込んでもそいつは意にも介さずただ、形式的に私に光線を撃ち放つだけである。
ああ、私は何て無力なのだろうか。
先生方が着くまでのたった数分も私は鋼夜の事を守る事が出来ないのか。
たった数分が今は気が遠くなる様に長い。一秒が数千倍にも伸びた様だ。ああ、今、夢幻吹雪が半ばから折れた。これで私には攻撃方法がなくなってしまった。………それがどうした。私は私に誓ったのでは無かったのか?大切な人を守りたいのでは無かったのか?ならば何故剣が折れた程度で心まで折らねばならぬ。私の足はまだ動く。私の心はまだ折れていない。ーーーーー私はまだ戦える。
「まだだ、まだ戦える………鋼夜は私が守る……」
大型グリモアが少しこちらを見る。
人の言葉など通じる訳もないが、生命反応位は分かるだろう。私が此処から離れればあるいは鋼夜から標的が逸れるかもしれない。それとももしかしたらこの大型グリモアはアウターが操っているのかもしれない。それならば動ける者から攻撃を仕掛けるだろう。それならば好都合だ。
私と鋼夜のどちらかを犠牲にすればどちらかが助かると言われれば迷うまでもない。だが、現実はそう甘くはなかった。ついに私の足は頭から発せられる命令に従わなくなってきた。これでは此処から離れる事も出来ない。
ああ、私は何て無力なのだろうか。
力が欲しい、鋼夜の事を守れる力が欲しい。
無力は嫌だ。痛いよりも辛い。体の痛みならば耐えられる。しかし、心の痛みは自分に嘘をつかせる事は出来ない。また、7年前のあの日の様に全てを失うのか?またあの時の様な鋼夜の顔を見ることになるのか?いや、それよりも私が死んだら鋼夜は悲しんでくれるのだろうか?
悲しんでくれるだろう。しかしそれは私のみたい鋼夜の顔では無い。
私は朧火鋼夜が好きだ。
とても好きだ。大好きだ。世界で一番好きだ。宇宙で一番好きだ。鋼夜のためならば私は喜んでこの命などくれてやる。だけど、私はその決断すら許されない。私が無力だから、私が無力だから鋼夜は死ぬ。私も死ぬだろう。私は死後の世界など信じてはいないが、鋼夜と一緒に居れるならそれでもいいか……………
「…………良いわけないだろう……私は鋼夜と一緒に生きていたい。ずっとずっと生きていたい。私はあいつの隣に居たい。だから今!私に力を貸せ!雪時雨!!!」
〈感情の爆発、及び生への執着、及び心音美月の自己肯定、及び適格の証の確認を完了しました。ーーー貴女は力を望みますか?〉
「聞くまでもない!私は鋼夜を守る力が欲しい!!」
〈最終フレーズ確認、心音美月の身体の宝力を解析完了。新武装を構築、《十聖剣》レーヴァテイン。構築完了。貴女の意思に神のご加護があらん事を〉
雪時雨がそう告げた瞬間、私の体から溢れ出す大量の光の粒子が雪時雨の傷を癒し、私の右手に集まっていく。
そして手に現れたのは私の身の丈程はあろうかという大剣であった。その輝きは素晴らしく、その刃に映るボロボロの私を見て苦笑する程度には余裕が生まれた。
だが、それよりも劇的だったのはグリモアの反応である。
私の手に現れた剣をみてグリモアは一瞬で私に照準を合わせたらしい。
私の数倍はあろうかという腕を振るいながら、私へと振り下ろす。私は後ろへ後退する事でそれを回避。だが、今回避出来たのは奇跡と言っていい。雪時雨のダメージは快復したが、私自身の体力は回復するどころか、さっきのレーヴァテインの構築のお陰で、下がっている始末である。
ならばこの一撃に全てを賭ける。
幸いにもクレーターを作ったそいつの腕はまだ上がっておらず、今ならばあいつに一撃喰らわせられる。
それで倒せなければ私の負けだ。
わたしは深呼吸して覚悟を決め、一気に残った余力を全てつぎ込み、駆け出す。グリモアは反応できていない。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!!!」
私の絶叫が無人のココモココに響き渡る。
レーヴァテインが当たる。
しかし、私の手には手応えという物が全く存在しない。それもそうだろう、レーヴァテインが当たったのはグリモアの砲口から飛び出した一本の光線なのだから。だが私には追撃を仕掛ける気力も体力も残っていない。
グリモアがおもむろに私をその拳で摘み上げる。
「ああああぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
左腕と肋骨が折れた音がする。グリモアの怪力で握られた私の身体などあと1分と経たず、全身の骨が折れてしまうだろう。視界がどんどん狭くなっていく。ああ、死ぬのか。せめて、最期は鋼夜の………顔を……
???不思議な夢を見ている。
私はまだ生きていて、何か聞こえる。
「……き……」
「…つき…」
「みつき……」
「美月!」
うるさいなぁ、寝かせてくれよ。前方から青い光が飛んでくる。なんだろう。とても綺麗だ。見覚えがある気がするが思い出せない。なんだかとても懐かしくて、嬉しい感覚がする。そこで私の意識は本当に飛んだ。
〜〜〜〜〜〜〜
目が覚めた時に飛び込んで来たのは美月の絶叫であった。
見ると目の前で今にも美月がベネムエに握りつぶされようとしている。迷う事なく、俺の理性が飛ぶ音がした。
「美月に何やってんだぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
師匠との約束は破ってしまう事になるが仕方がない。
今、美月を助けられなかったら俺は死んでしまう。比喩ではなく本当に心が死ぬと思う。師匠とは俺か仲間が本当に危険になるまで使うなと言われたが、今ならば約束を破ることにはならないと信じたい。
さあ、行こうか紗夜。
「魔女の誓約印を起動、並びにテミスの鎮魂歌を発動、フリーダムナイツを強制転移、並びに強制解放ーーー」
俺の右手のイグナイトが光の粒子と化し、代わりに新たなブレスレットが装着され、展開する。新たなブレスレットと言ってもこれは俺のものだ。イグナイトでは無い本当の俺のフリーダムナイツ。
「ーーー行くぞ、蒼火桜」
〜〜〜〜〜〜〜
不思議な夢を見ていた。
ざあ、ざざん……。波の音を聞きながらわたしは一人で歩いていた。その音は私をとても懐かしい気分にさせてくれる。
(あれ?)
ところが、ふと気がつくと波は消えていた。
そしてわたしの目の前には幼い少々の姿が。
何処かで見た覚えが有るが、思い出せない。
「呼んでる、呼んでるよ、行かなくちゃ」
「え?」
そう言って少女は消えてしまった。
なんだったのだろうか。
「ほら、こっち。早く」
今度は後ろから幼い少年の声がする。
「早く帰ろう?」
そう言って私はその子に手を握られる。
何処に?そう聞こうとして口を開くとその前に少年が答える。
「貴女の事を待っている人の元へだよ」
すると突然空が音を立てて割れていく。
これが夢の終わりか……
(ああ、そういえばあの子達は……)
見覚えがあると思ったら、あれはーーー
ーーー幼い私と鋼夜か。
言っておきますが、美月は死んでません。もちろん鋼夜もです。
それと先に言っておきますが、このフリーダムナイツというものはどちらかというとパワードスーツをのようなものです。インフィ○ット・ス○ラトスの様なものだと思って頂けたら。