読みにくくてすみません…
「朧火鋼夜、お前は何だ?」
フェルリア先生が俺を問い詰める。さて、どうしたものか……
今俺たちが居るのは教員室である。意識の無い美月を医務室に送ってからフェルリア先生に連れられて来た。
時は数時間前に遡る。
フェルリアが美月からの連絡を受け、ココモココに着いたのは連絡を受けてから約5分後の事だった。途中でミーディア学園からベネムエの目撃情報があると言われ、本当のところもう手遅れかもしれないと思った。
だが、そこで見たものは文字通りの蹂躙ではなく、横たわるベネムエの姿であった。
そしてフェルリアは思わずその前で美月の介抱をしている鋼夜に思わず声を掛ける。
「何があった。詳しく話せ」
だが、鋼夜は曖昧な笑みを浮かべるのみだ。そんな事はどうでもいいとばかりに鋼夜は早く学園に帰ろうと言う。実際美月はこのまま放置したら本当に命の危険があったので、一応したがったものの、フェルリアはその間もずっと鋼夜に対する警戒を解くことは無かった。そして今に至るという訳である。
「もう一度言う。朧火鋼夜、貴様は何だ。本当に人間か?」
フェルリアは曲がりなりにもイージスで何回も戦闘を繰り返し、死線を潜り抜けた戦士である。そしてその直感が告げているのだ、朧火鋼夜は人間ではない、と。
「その答えは俺が言おう。フェルリア」
声のした方向に首を向けると、そこにはフェルリアの上司であり、このミーディア学園の校長でもある滝沢秋水が立っていた。そう言えばこの朧火鋼夜は滝沢秋水の弟子らしい、そう思い立ち曖昧な笑みを浮かべるだけの少年からこの前に立つ中年へと視線を向けた。実を言うとフェルリアは滝沢秋水の事があまり好きではない。なんというか、胡散臭いのだ。だが、今はそんな事はどうでもいい、フェルリアは一教師として、人間ではない嫌疑をかけられている少年の正体を知らないまま、このミーディア学園に置いておくつもりはなかった。
「付いて来い、
そうして連れてこられたのはミーディア学園の地下にある二つ目の校長室。此処はミーディア学園の教師の中でも一部の者しか立ち入る事の許されていない完璧なる防音室である。そこにフェルリアを連れてきて、更にそこに生徒を連れてくるという事はそれ即ち、イージスの最高機密を意味する。
「もういいぜ鋼夜、さっきの事は不問にしてやる。あのまま行けば甚大な被害が出てただろうし、それじゃなくてもあの嬢ちゃんが死にそうだったしな」
「どもです、師匠」
そう話す二人は少なくともフェルリアが見てきたどんな二人よりも真剣であった。更に言えばそれは、歴戦を潜り抜けた戦士の顔でもある。
「フェルリア、先に行っておくがこいつはちゃんとした人間だ。少なくともおまえの思ってるようなアウターとか、それに送り込まれたスパイとじゃあねえよ」
「それならば何故、この朧火鋼夜は単独でグリモアを倒し、更には大型であるベネムエまでしかも無傷で!そんな事は私にも……」
「良いよ鋼夜、見せてやれ」
「いや、でも………」
「良いんだ、フェルリアは大丈夫だ」
「………わかりました」
そう言って鋼夜はフェルリアの方へ向き直る。
そしてその顔を見てはっきりと言った。
「今から見ることは誰にも秘密です。話していいのはパートナーだけですよ、それを破ったら………貴女を殺します」
その言葉にフェルリアは不覚にも反射で頷いてしまった。
彼の身からでる殺気がYes以外の返答を封殺していた。
そしてそれは鋼夜の放ったパートナーという言葉を聞き逃すという重大な過ちを犯したのだ。それが無ければ今、この瞬間にも鋼夜の正体に気付いたと言うのに。
そしておもむろにそいつは右手の腕輪に意識を合わせる。
「行くぞ、蒼火桜」
鋼夜の右手から光の粒子が溢れ出し、それは全体を包んで、フリーダムナイツを創り出す。そしてそこに現れた鋼夜を見てフェルリアは、
「まさか……」
そう言うのが精一杯であった。そこに居たのは
「イリーガル・ブルー…………」
異常なる最高傑作と呼ばれるそいつはそのバイザーを上げると微笑んだ。
〜〜〜〜〜〜〜
「どうも、えっと……一応お久しぶりです『業炎』のフェルリア・ヴォーネバイスさん」
「こちらとしては初めましてなのだかな……初めまして『蒼天皇』……朧火鋼夜」
二人は握手を交わす。既に鋼夜は蒼火桜を解いており、二人とも生身であった。その2人の瞳には敵意というものは感じられない。
「さっきパートナーと言った時に気づくべきだったな。そうすれば天剣十三将の一人だと分かったものを」
天剣十三将にはそれぞれに一人づつパートナーと呼ばれる者がいる。パートナーは主に戦闘面での補助や、生活面でも一緒に過ごす言わば、友である。
因みに天剣十三将第13席である鋼夜はパートナーはいない。その姿を知っている人物が第1席から第3席までの天剣と、第8席であるフェルリアしか知らない為である。厳密に言うともう一人知っているのだが、その事は鋼夜と滝沢しか知らない。
「それにしても、何故鋼夜はイリーガル・ブルーの事を黙っていたのだ」
「それはですね……」
鋼夜はおもむろに上着を脱ぎだした。そして、上半身をフェルリアに見せる。
「それは……まさか魔女の契約印⁉︎」
「いえ、魔女の誓約印です」
「誓約印だと⁉︎そんな物をどこで……」
鋼夜の上半身に刻まれていたのは漆黒の紋章である。
禍々しいそれは、鋼夜が人前で着替える事を嫌う理由でもある。
「詳しくは言えません…しかし貴女ならこれを見ればわかるでしょう?」
「その力を望む者が居るのだな?教えてはくれるか?」
「俺の力は『テミスの鎮魂歌』代償を払うことでどんな願いでも7つまで叶えることのできる能力です」
魔女とは古代より脈々と受け継がれてきた血を継ぐ者を指す。魔女は力を願う者と契約を交わし、願いを叶える代わりに、対価を得てきた。契約印とはその際に描かれる紋章であり、誓約印はその上位互換と考えれば良い。
更に言うと鋼夜の『テミスの鎮魂歌』はその者の代償を払う事で、誓約印を持つ者の願いを7つまで叶える能力である。鋼夜は今までに3つの願いを叶えており、その代償を払っている。
「願いを叶える能力か……確かにそれは……」
「俺の存在を知れば学園に色々な輩が来るでしょう。それを避けたいんです」
「分かった、この事は誰にも口外しない。約束しよう」
「それともう一つ。俺の事は今まで通り生徒と教師の関係として接して下さい。そうしないとバレちゃいますから」
そう言って笑う少年は今までにどれ程の死線を潜り抜けたのだろうか、少なくとも天剣十二将を十三将にする程の功績を挙げた事は事実である。フェルリアはその理由が知りたかった。
「最後に一つだけ良いか?」
「何ですか?」
「鋼夜……お前の目的は何だ?」
すると鋼夜は先刻の殺気がまるで子供の様に感じられる程の殺気を放ちながらこう言った。
「俺の家族を皆殺しにした、あいつを………俺の実の兄である…
テンプレですが、イリーガル・ブルーの正体は鋼夜です。
ばれていたでしょうか?
伏線として、美月が大型グリモアとしか呼ばないベネムエの正体を鋼夜は知っていたり、近接戦で驚異の能力を発揮したりしてました。
鋼夜のフリーダムナイツである蒼火桜は固有能力があるので第三世代です。