この回に限らず多賀先生が喋ると『ー』か多くなり
ますのでご容赦下さい。
なるほど、怠惰の魔女か。道理で変な雰囲気を纏う人だと思ったんだ。けど、美月は分かってないみたいだな。まあ、普通の人ならそんなもんだよな。魔女なんて世界に7人しかいないんだし、今はもう2人くらいなんじゃないか?
「ん?まだ分かんないか、お嬢ちゃんは。そうだな……早い話こいつは怠惰の名が冠する通り、ほんとーーーーーに面倒くさがりなんだ。そのせいでこいつは13歳の時に肌の成長が止まったんだ。まあ、自然現象まで関与できるのが魔女のすごいところって事だな」
要約すると、このミリア・ハイベリオ・ミュアールという怠惰の魔女は13歳の時に面倒過ぎて肌の成長が止まったという馬鹿げた話なのである。肌が成長が面倒だから成長を怠けるってどんな奴だよ。
とまあ、そういう事であるらしい。なにこれ魔女って怖い。
「…………」
美月に至っては呆然としている。
それもそうであろう、誰だって面倒すぎて老化が止まるとか言われても何も言える筈もない。
「そういう事でこいつは俺のパートナーだ。仲良くしてやってくれ、精神も見た目相応だから妹的な感じでな」
「…………って、やっぱロリじゃねえか!」
見た目と精神がロリであり、年齢だけが高いとかジジイがロリコンという答えしか見つからないではないか。
「違えよ!こいつはロリはロリでもロリババアだ!俺はロリコンとか言う奴じゃねえ!!」
「………………心外………」
どうやらミリアはロリは良くてもロリババアはダメらしい。よくわからん。
「ま、まあ、それでだな。話を本題に戻すが、お嬢ちゃんのレーヴァテインの事なんだが…多賀」
「はーい。あのねー、美月ちゃんのー、レーヴァテインはー、十聖剣の一本ー、っていう事はー、知ってるよねー?」
「はい、知っています」
「それはー、前授業でやったと思うけどー、
多賀先生が言うとゆるーく聞こえるが、事態はかなり深刻である。俺の持つ天羽々斬(師匠とフェルリア先生とそのパートナー達しか知らない)と美月のレーヴァテイン。この二本だけでも創生龍が動く可能性はかなり高い。事実その事もフェルリア先生がイージス本部に伝えに行って戦力の増強の話もしている最中である。
最悪、此処には師匠がいるので防御面は大丈夫だと思うが、俺とフェルリア先生、更に上級生の先輩方だけじゃあ、一年生全員を守りきることはできないかもしれない。だから戦力の増強は必須なのだ。
「んじゃあ呼び止めて悪かったな。後はお若い二人でお楽しみと洒落込んでくれや」
「しませんよ!!」
カカッと笑いながら師匠が出て行った。あっ、ミリアさんも引きずられて一緒に帰ってる。なんだかんだいいコンビだな。
「じゃあおやすみー、二人ともー。明日は整備の訓練だから遅れないようにねー」
そう言って出て行く多賀先生を俺は美月と共に見送った。そして数瞬、俺たちは同時に気づく。
「あいつら、掃除丸投げしやがったぁぁぁ!!!」
これが校長と副校長と副担任とか、嬉しすぎて泣けてくるぜ。
そんな負け惜しみを言いながら武道場の管理をしているおばちゃんに怒られ、俺たちがヒイヒイ言いながら掃除を終えたのはもう月が高く上がっている時間であった。
〜〜〜〜〜〜〜
「じゃあー、今日はフリーダムナイツのー、整備をしまーす。その前にー、このクラスで整備課をー、目指している人はー、手を挙げてくださーい」
朝一番の授業で手を挙げたのはクラスの約三分の一といったところか。知ってる人と言えば………おお!デクアルート兄妹ではないか。どうやらあの二人は整備課を目指しているらしい、特に妹のライラなんてこれ以上ない位の完璧な挙手をしている。
「じゃあー、その人達が教える形でー、他の人たちにー、教えてあげてくださーい。じゃあー、てきとーに別れてー」
そう言ってクラスの中が俄かに騒がしくなる。みんな誰と組むか悩んでいるのだろう。
「おーい、鋼夜。俺たちと組んでくれないか?」
そう言ってくるのは勿論デクアルート兄妹の兄ことオルトである。ライラも元気よく手を振りながらこっちへ来てくれる。
とまあ、そんな感じて俺たちはいつもの面々となった。
「いやー。いい感じにメンバーが集まってたんだね」
ライラが言う通り、俺と美月に、ミーシャとポーラが戦闘。オルトとライラが整備というまさに理想的なパーティー編成と言えるだろう。まあ欲を言えばもう一人遠距離型の戦闘メンバーが欲しいけど。
美月は文句なしの近距離型だし、ポーラはマシンガンを使うものの、どちらかというと中距離の方が向いているし、ミーシャも騎士の家系というだけあって剣で戦うので恐らくフリーダムナイツも近距離型となるだろう。俺は一応どこでもいけるが、近距離じゃないと剣翼は使い辛いし、そもそもバラす訳にもいかないので無理だ。
「にしても、ライラちゃんが整備課とか意外だねー」
「へっへー、そうでしょ、そうでしょ!!私達こう見えてもいい腕してるってお父さんに褒められてたのよ!!」
ライラがピースをしながらその青髪ツインテールを揺らしてそう言う。横で頷くオルトの青髪も心なしか嬉しそうなのは気のせいだろうか?
二人のお父さんはイージスで整備をやっているらしい。二人の青髪は遺伝で誇りだとライラが言った。
俺はフリーダムナイツの事は戦闘以外からっきしなので覚える事は満載である。蒼火桜は定期的にメンテナンスしているが、偽装用のイグナイトは定期メンテナンスすらしていない。正直入学してすぐバレるかなとか思ってたので適当で良いかとか思っていた。
「こうしてここの金具を外して………ああ!ダメダメ、ここは先に外しておかないと……」
「ほら!ここはこうして、バーンってやって、ドーンってやって、最後にチュドーンって、やればほら!出来たでしょう!?」
……うん。あれだ。オルトは良いけどライラは何言ってるか訳分からん。なまじ腕が良いので作業が早すぎて何やってるのかも分かってない。
その度にオルトがフォローを入れてくれるので少しは理解出来るのだが。出来れば説明に擬音語は入れないで欲しい。てか、バーンとかドーンとか、チュドーンとか整備に使う擬音じゃ無いだろうに。
ああ、ポーラの顔が引きつってきた。自分の愛機が目の前で
美月の雪時雨はオルトが丁寧にやってくれてるけど、俺とミーシャのイグナイトはライラに取られててもう並行して分解されてる。確かに技術は凄いけど説明が下手すぎるぞ。天才肌ってやつなんだな。
「ほら!!ここはキュイーンってやって、チャラーンってくっつけて、キャラーンって外しておくとやりやすいのよ。えっ?もうそこはさっき言ったでしょう?ガーン、コーン、ダーンってやったらバコーンよ!!」
結論。ライラ語って難しい。
ちなみに整備だけは完璧だったので誰も文句なんて言えなかった。
最近出番の少なかったデクアルート兄妹!久々登場で張り切っております!(特に妹)