業火剣乱の狂奏曲《コンチェルト》   作:ムササ

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最後がちょっと唐突だったけど、構成上そうしなければならなかったので、勘弁して下さい。


#20 トーナメント戦開始

斬撃と斬撃が目まぐるしく飛び交う。鋼夜の日本刀がミーシャの胴へと襲いかかれば、ミーシャのレイピアがそれをいなす。更にミーシャはもう片方のレイピアで美月の足を潰しにかかる。しかし美月は雪時雨の固有武装、夢幻吹雪でそれを弾き、距離を取る。そこを逃さずポーラのレイン・オブ・サンデイが火を吹くが、鋼夜がそれをきっちりガードする。

 

共に訓練機と第二世代でありながら違った戦い方を持つ2ペアの戦い。最初は互角と思われていたが、次第に状況はミーシャ達の優勢へと傾いていった。ミーシャが操るのは二本のレイピアでそのパートナーのポーラが操るのは二丁の機関銃である。共に近距離でしか戦えない日本刀という武装である鋼夜と美月は手数で圧倒され始めていた。

勿論鋼夜は本気など出してはいない。というより蒼火桜でないと本気など出せるはずもないのだが。

基本的に日本刀を持ってマシンガンに立ち向かうなど愚策でしか無い。

 

古代に関ヶ原という戦場で戦いが起きたらしい。それは始めて銃が日本に登場した戦いという事で現代まで語り継がれている数少ない歴史である。

その戦いの結果からも分かるように戦いにおいて間合いとはとても重要な意味を持つ。

それは生身の人の動きの延長線上にあるフリーダムナイツの戦いにおいても同じ事。足さばき、腕の動き、更にパートナーとの位置関係。ポーラとミーシャは互いの位置を常に把握しておく事で、ミーシャはポーラの射線の邪魔にならず、ポーラは的確にミーシャのサポートが出来ているのだ。

 

それに比べ、互いに間合いの同じ日本刀という武器である鋼夜と美月は互いのコンビネーションこそ最高なものの、事間合いという一点でのみ劣っていた。そしてそれは戦闘において致命的であった。

今も美月がその間合いを攻略すべく斬りかかっていったが、ミーシャのレイピアにいなされ、少しでもミーシャとの距離が開けば雨の様な銃弾が飛んでくる。

 

「さすがミーシャ達だな、隙が無い」

「騎士たる者の嗜みです」

 

雨あられと降り注ぐ銃弾から逃げる様に美月は2人から距離をとった。更に追い討ちをかける様に飛んでくる銃弾の弾幕が止まった、今だ!

美月は引いたと思わせておき、その実足にエネルギーを貯めておき、一気にミーシャ…を通り越し、ポーラへと向かっていった。

 

「言ったでしょう?騎士たる者の嗜みだと。後ろを守るのが騎士、という者です!!」

 

美月がポーラを剣の間合いに捉えた瞬間。後ろからミーシャがイグナイトを操り、レイピアを突き出してくる。更にポーラもサタデイとサンデイを構える。

しかし、この場で唯一の男のみが、この気を待っていた。

鋼夜の属する天剣十三将という者たちは基本的に戦闘狂(バカ)の集まりである。鋼夜だけはその限りでは無いのだが、鋼夜は人一倍負けることを嫌う。それは幼い頃の体験からの妹に誓った約束の所為でもあり、それは例え模擬戦であっても負けは許されない。

 

「2人とも1人に目を向けちゃったら、ペアを組んでる意味が無いんだよ?」

 

鋼夜は2人の目が美月に向いた瞬間を狙い澄まし、一気に加速、接近をする。ミーシャが直ぐさま気付くがもう遅い。

その距離はもう致命的なところまで迫っていた。

ミーシャが何とかポーラに近づけさせまいと、レイピアを狙いもへったくれも無くただ鋼夜の速度を落とすためだけに振り回す。

 

「狙いが甘い、何時如何(いついか)なる時も沈着冷静に。それが出来ないと…死ぬよ?」

 

鋼夜の目は既に一生徒の物ではない。数々の死線を潜り抜けた歴戦の猛者。イリーガル・ブルーの物であった。

鋼夜はミーシャの繰り出す無茶苦茶な軌道のレイピアを全て目で見て(・・・・)躱し、日本刀を叩き込み、レイピアを折る。更にそのままの勢いを殺さず、ポーラのシャイン・オブ・サタデイとレイン・オブ・サンデイをポーラの手から叩き落す。

その間約5秒のあっという間の出来事であった。

 

(やっべ、やり過ぎた…)

 

鋼夜が気付くも少しばかり遅かった。既に決着は誰の目から見ても明らかであり、あっという間の出来事過ぎて暫しライラが判定を下すまでの数秒間、この後どうやって追及を躱そうかと鋼夜は頭を悩ませた。

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

何とか追及を振り切った鋼夜は(師匠に教えて貰ったと言った)一人、その師匠の元へと向かっていた。と言うのもさっきの言い訳の所為でミーシャとポーラも師匠の稽古を受ける事となり、その報告と謝罪(師匠は弟子が増えるのを嫌う)それに、こちらが本題なのだが創生龍(ティアマト)の動向について探りに行くためであった。

 

「師匠、相談したい事…が……」

 

そして校長室へと入るとそこにはスヤスヤと眠っているミリアとそれに忍び寄る師匠の姿。

 

「失礼しましたー」

 

………………うん。見なかった事にしよう。

ガラッ。

 

「おい待て!お前なんかとんでもないこと想像してるだろ‼︎」

「うるせえ黙れロリコン変態ジジイ!!」

「違えわ!」

「うーん、うるさいよー、秋水…………あっ、イリーガル・ブルーだ…………おはよう……君()私を夜這いに来たのー………?」

「「失礼な事言うんじゃねえ(言わないで下さい)!!」」

「あははー………冗談、冗談………で、何の用…………?眠いから一眠りしてて良い?」

「いや……えーと……うーん、良い……のかな?」

「まあ、良いんじゃねえか?ミリアは基本的に五分以上前の事は記憶できないから」

「んじゃあ、取り敢えず」

 

鋼夜はまずは師匠の弟子がなし崩し的に増えてしまった事、これは渋い顔をしたものの、何とか了承を得た。

 

「んじゃまあ、創生龍の事だが、はっきり言ってまだ詳しい情報は入ってきてねえな。『ゼノギア』は量産が開始されちまったっぽいけどな」

「フェルリア先生が帰って来ないのも気になりますね」

「うーんそうだがな、取り敢えずクラス代表決めのトーナメントが終わっても帰ってこなかったら俺が一回本部に向かうわ」

「了解です。で、奴らのフリーダムナイツはどうなったんですかね?」

「何機か持ってかれちまったしなー。多分使い手は現れると思う。多分一兵卒はゼノギアだろうがな」

「となると……白夜も……」

「多分そうなるだろうな。もし、今フェルリアが帰ってこないのがそれ関係だとしたらイージスも相当過敏になってるのかもな」

「此処が攻められる…って事は無いですよね?」

「ああ、多分……な。どっかから情報が漏れてなきゃいけだが………」

 

そうして情報の交換会は終わった。だが、二人はどうしても脳裏から嫌な予感を拭い取る事は出来なかった。

そしてその予感は最悪の形で実現してしまう事となる。

 

そして一週間が過ぎ、クラス代表決めのトーナメント戦の日にちとなった。そしてついにフェルリアはミーディア学園に帰って来ていない。

上級生が見守る中、大歓声に包まれて第一訓練室から第七訓練室までの全ての訓練室が解放され、トーナメントの会場となる。そして大歓声と共に開会式が始まりを告げた。

 

その後に待ち構えている出来事など知る由もなく。

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

「此処がミーディア……フリーダムナイツの操縦士を育成する最前線」

「いかがいたしますか?マイマスター」

「取り敢えず雑兵共を突入させろ、それで制圧出来るならゼノギアの良いデータが取れるだろうしね」

「了解しました。では、四方から突入させます」

「ああ、最後の奴らは君の固有能力を使って中へ送り込んでくれ、奇襲になる」

「了解しました。それではその様に」

 

そう言い残して彼の事をマスターと呼ぶ少女はこの場から消えた。そして最後に残った少年は、まるで愛しい最愛の家族に再会したかの様な笑みを浮かべる。

 

「やっと会えるんだね鋼夜………僕の愛しい弟よ」

 

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