業火剣乱の狂奏曲《コンチェルト》   作:ムササ

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#24 デレ期突入?

昨日の創生龍の襲撃から一夜明け、ミーディア学園の被害が明らかになった。

まず一年生は強襲されたものの、心音美月とポーラ・バリトレオ、それに加え突如現れたイリーガル・ブルーによって奇跡的に怪我人はゼロ、死亡者もゼロだった。

続いて二年生と三年生だが、それぞれ三機のゼノギアと対峙し、二年生からは三人、三年生からは二人の骨折などの怪我人が出たものの誰も命には別状は無く、死者はゼロ人である。最後に教師であるが、防衛していた教師陣は負傷者、死者共にゼロ人であるが、一年生の警護をしていた一年三組の担任である、黒木美奈先生が殉職した。ミーディア学園側は同先生を二階級特進としお通夜は来週行われる予定である。

 

「そっか……死者が一名で済んだのは喜ぶべきなんだろうけど、三組の人達を思うと胸が痛むね」

「ああ、そうだな」

 

朝、俺たちはミーシャの持ってきた学園新聞(新聞部発行)を見ながら少し遅めの朝ごはんを取っていた。

昨日の襲撃の後処理の為今日は全授業を一時休講とし、俺たちは一日オフである。

 

「にしても、本当にイリーガル・ブルーだったよね!!」

「そうそう!やっぱミーディア学園の生徒なのかな!?それとも教師!?あんな有名人がこの学校にいるなんてドキドキしちゃうよね!!」

 

いえ、ポーラさん。ドキドキしてるのはこちらの方です。いつバレるか心配で、心配で。

俺だけ変な感じでドキドキしている最中、不意にミーシャがガタンと椅子を蹴倒し、立ち上がる。俺たちが何事かと思ってミーシャの方を向くとミーシャはおもむろに語り始めた。

 

「みんな!……イリーガル・ブルーの正体、知りたくないか?」

「知りたい!」

「ああ、知りたいな」

「ライラも!!」

「俺も知りたいな」

「……そ、そうかな?」

 

ミーシャの問いかけにポーラ、美月、ライラ、オルト、俺の順でそう答える。一人だけ否定的な意見を出した俺にミーシャがズイッと顔を近づける。

 

「鋼夜!あのイリーガル・ブルーが此処に居るかも知れないんだぞ!!元々十二しか無かった天剣を天剣十三将に変更させる程の実力者!『蒼天皇』イリーガル・ブルーが!!」

「お、おう………なんでミーシャはそんなにイリーガル・ブルーの正体が知りたいんだ?」

「分からないのか?鋼夜。それはな………」

 

続いてミーシャの口から発せられた一言は完全に俺の予想の斜め上を行っていた。てっきり俺は模擬戦を挑むとか、稽古をつけて欲しいとかだと思ってたんだ。

 

「……結婚を申し込む!!」

 

そんなん想像出来るかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

ああ、そういやアルキオス家ってより強い子供を作る為に自分よりも強い人と結婚する習慣が有るんだっけ。

 

「うわぁ、ミーシャちゃん頑張って!」

「ミーシャの魅力ならば落とせるぞ!!」

「ライラも応援してるよ!!」

「………そ、そんな……ちょっと狙ってたのに………」

 

うっわ、女子は乗り気だよ。うん、オルトのか細い声は聞かなかった事にしてあげよう。

 

「うむ!ありがとうみんな!!」

「……だけど、もしイリーガル・ブルーが先生で、歳とか離れてたらどうするんだ?」

「関係無い!それに昨日の夜からずっと調べていたからな、もう大体の人物像は分かっている」

 

んなっ!!ちょいちょいちょい、それヤバイって!マジヤバイって!えっ!?何、イリーガル・ブルーって意外に知られてる?

 

「教えて教えてー!!」

「うむ、では行くぞ。身長は170cm位、青のフリーダムナイツに搭乗しており、男性。いつもバイザーを着用している為素顔を知る者は殆どいない。素顔を知っているのは天剣十三将上位三名だけで、イージスの上層部すら素顔を知る者はいない。搭乗フリーダムナイツの機体名は不明、固有能力の蒼天皇の剣翼はそれを見た一般市民が勝手に名付けたものの、そのまま固有能力名として定着している。一方でイリーガル・ブルーがフリーダムナイツを換装する際に『桜』という声を聞いたという職員の情報もある。恐らくフリーダムナイツのスペック的に第四世代と言われており、単純な戦闘能力ならば天剣十三将の中でも上位に食い込めると言われている。そして何と言っても大きかったのが、昨日滝沢校長に直接問いただした所、この学校にいるとのお墨付きを頂いた。といった所だ」

 

…………いろいろ言いたい所はあるが、一番話を聞いていた怒りたかったのは最後だ。

あんのお気楽ジジイ!!イージスの最重要機密事項バラしてんじゃねえ!!!!

後で問いただした所、笑って「別に良いじゃねえか、嬢ちゃんとかにバレたって創生龍にバレる訳ねえんだからよ」とかのたまったので、蒼火桜を展開してミリアと共に腹にグーを3発叩き込んだ。

 

「うーん……でもイリーガル・ブルー自体の情報はあんまり無いねー」

「うむ……そうなのだ。170cmと言うと丁度……鋼夜位の大きさか……多分先生では無いだろうな」

 

鋼夜位の大きさって言うか、俺ですけどね!

やべえ、これは本気でヤバイ。このままいくと本気でミーシャ達にイリーガル・ブルーの正体嗅ぎつけられそうだぞ。なんとかして意識を逸らさねば。

 

「あ、案外おっさんだったりしてなー」

「だからそれは無いと言っているだろう。さっきから何なのだ鋼夜、私の恋路をそんなに邪魔したいのか!?」

「あっ、分かったー。鋼夜君はイリーガル・ブルーに嫉妬してるんだー!うんうん、分かるよー、ミーシャちゃん可愛いもんねー」

「「えっ……そ、そんな……」」

「いや、違うから」

 

これ以上何か話すと墓穴を掘りそうだ、しかしこれ以上事態の悪化を防ぐ手立ては無いものか。

そんな事を考えていると、一人の教師が食堂に入って来た。すらっとした長身で赤い髪の女性。俺たちの担任ことフェルリア・ヴォーネバイスだ。

 

「何を話しているのだ、お前たち。あまり食堂で騒ぐなよ、邪魔になるからな」

「すみません、先生。そうだ!何か先生なら知ってるんじゃないですか!?」

「落ち着けアルキオス。主語が抜けていて全く何の話か分からん」

「イリーガル・ブルーの正体です!!」

 

フェルリア先生、フリーズ。俺、先生の機転プリーズ。

 

「し、知らんなぁ……」

 

嘘下手っ!!えっ!?こんなに嘘下手な人居るの⁉︎完全に棒読みだったよ!?

 

「知ってるんですね!フェルリア先生!!教えて下さい!!」

「し、知らん!!私は何も知らなーい!!」

 

ああ、天下の『業炎』が生徒にビビって逃げてったよ。

うっわ、ミーシャ、フェルリア先生追いかけてったし。

二人共早っ、廊下から悲鳴が聞こえて来るよ?お二人共廊下は走っちゃダメですよー。

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

「全く。どうするんですか師匠。このままだと本当に俺の正体バレちゃいますよ?」

「まあまあ、お前がドジ踏まなきゃ平気だろ」

 

グーを叩き込んだ後、俺は校長室で今後の対策を練っていた。主にミーシャの有り余る情熱対策である。

 

「……イリー……人気………」

「ん?イリーって俺?」

「……うん。イリーガル・ブルーって…………長くて面倒だから………」

 

イリーガルの最初を取ってイリーね。まあ、それ位なら平気でしょ。

 

「おっ、そうだそろそろ来る頃だな」

「何がですか?」

「ん?言って無かったか?転校生だよ、転校生」

「へえ、この時期に転校生なんか来るんですか」

「あら、言って無かったか?転校生ってのは……」

 

その時、勢いよく校長室のドアが開いた。

 

「ししょーー!!!ただいまですー!!」

「お嬢様、大声を出すのはお止め下さいませ」

 

そこに立っていたのは、金の髪と銀の髪を伸ばした二人の美少女であった。

 

「あら、これはこれは、鋼夜様。お久しぶりです」

 

いち早く俺に気づいたメイド風の銀髪の美少女、セルディが俺に挨拶をする。

 

「ああ、お久しぶりです。セルディさん」

「ああ!ああ!!!鋼夜!!!鋼夜!!鋼夜ぁぁぁぁ!!」

 

そしてもう一人の美少女のハグ、もといタックルを華麗に回避する俺。ドシーンという音と共にもう一人の美少女が壁に激突する。

 

「痛ったーー!!痛いじゃない!鋼夜!!」

「いや!あの速さでハグされたら俺、痛いじゃ済まないからね⁉︎ティナ!!」

 

何を隠そう猪突猛進美少女、俺の妹弟子であり、ずっと師匠の元で稽古をしてきた仲間である。そして、もう一人の美少女はその専属メイド、セルディ。こちらもよく知っている。

 

「仲が良いことで、良かったなぁ、鋼夜」

「……むしろ、なんでこの忙しい時期に来たんすかねぇ………」

「…………ハーレム要員………新雇用?」

 

ティナ・ルナセリア、それにセルディ・ルナセリア。

この二人の、主にティナの相手をするのは疲れるんだよ。

俺は今、人生最大の危機に直面しているのかもしれない。

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