つい勢いで、金色にしてしまいました。ご迷惑を掛けてすみません。
「にしても、元を含めてミーディア学園に天剣が合計四人か。こりゃぁ、もしかすると本部よりも守りが厚いんじゃねえか?」
ん?天剣って、天剣十三将の事だよな?
『天将』滝沢秋水。
『業炎』フェルリア・ヴォーネバイス。
『蒼天皇』
三人じゃないか?
「師匠、天剣十三将って、三人じゃないですか?」
「ああ、お前は知らなかったな。まあ確かに十三将は三人だな」
妙に含みのある表現だな。
「そろそろ私達は荷物の整理とかあるから!じゃあ鋼夜!明日から宜しくね!!」
いきなりそう言い始めたティナが俺に投げキッスをしながら、そう言った。
……なんかはぐらかされた気がするけど、まあいいか。
「それではまた明日。失礼致します秋水様、ミリア様、鋼夜様」
「おう、気を付けろよ」
「…………じゃあねー」
「まあ明日から宜しくお願いします」
「あっ!そうそう!鋼夜のお部屋の同居人には引っ越す事を伝えといてね!やだって言ったら私が直々に言うから!私、男の人でも負ける気無いから!!」
バタン、という音と共にティナ達が校長室から慌ただしく出て行く。多分まだ荷物の整理とかあるのは本当なんだろうな。ん?
そこからたっぷり三十秒は固まっていたと思う。
俺は気付いてしまった、決して気付いてはいけない事に。
「ティナが美月の事を知ったら………」
……どうやら俺の命日は明日らしい。
〜〜〜〜〜〜〜
「今日からここのクラスでお世話になります、ティナ・ルナセリアと申します。どうぞ宜しくお願い致します」
「ティナお嬢様の召使いをしております、セルディ・ルナセリアです。どうぞお見知り置きを」
次の日、ティナとセルディがよりにもよって俺のクラスに転入してきた。それに対するクラスの反応は激烈であった。
何せいきなり美少女が二人も転入して来たのだ。しかし、それ以外の理由も存在していた。
「ティナ・ルナセリアって………あの『戦姫』ティナ・ルナセリア!?」
そう、何を隠そうこのティナ。俺の前ではあんなおてんば娘なのだが、実を言うと超が付くほどの掛け値なしのお嬢様なのである。何せ両親がイージスの最高幹部なのだから、その一人娘であるティナの知名度はかなり高い。そのルックスも相まって『戦姫』と呼ばれていた。
まあ専属メイドが付いている時点でバレバレなのだが。
更に言うと隣のセルディ、こう見えてかなりの実力者…らしい。俺も師匠に聞いただけなので良くは知らないのだが、なんでもフェルリア先生の良きライバルだったとか。
「じゃあティナとセルディの席は…と」
「では、私はあそこの席に座らせて頂きます」
そう言って指差したのは……俺の隣だよ……
「では私はこれで」
そう言ってセルディが出て行こうとする。
「あれ?なんでセルディは出て行くんだ?」
いきなり転校生を名前で呼ぶ俺にクラスメイトがギョッとした顔を見せるが、構わず問う。
「私はもう高校生で収まる年齢では無いので、丁度空席だった三組の担任になってくれと言われまして」
「ああ、なるほど。呼び止めてゴメンなセルディ」
「いいえ、鋼夜様。私は貴方にも忠誠を誓っておりますので」
「ん、サンキューな」
そう言って今度こそセルディは教室から出て行った。
そして次の休み時間。あっと言う間に俺たちの周りに人だかりが出来る。
「おい!鋼夜!!お前さっきのはどういう事だ!」
「なんだよ美月、さっきのって」
「なぜ、あのセルディさんをお前が知ってるのだ!?」
「それは、鋼夜が私のフィアンセですからよ」
おい、そこ。嘘をつくんじゃないよ、嘘を。
あーあ、その言葉を聞いてクラス中が喧騒に包まれる。
「「どういう事だ(なの)!?」」
「いや、違う誤解だ!!おい、ティナ!嘘をつくな!」
「あら、どうせそうなるのですから、いいではありませんか」
「だぁあ!!なんだそのお嬢様口調は!!」
「ベッドの上の時の様に甘い囁きが欲しいのですか?」
「一度としてお前と同じベッドの上に乗ったことは無い!!」
「まあ、将来を誓い合った仲ですのに……酷いですわ」
「黙れ!!……本当に勘弁してくれよ」
ああ言えばこう言う。昔からそうだ。ティナは俺が何か言う度冗談で返してくる。
「冗談じゃ無いんだけどね……」
「ん?何か言ったか?」
「いえ?まあそうですわね、本当の事を言うと私と鋼夜は兄弟弟子なのですわ」
「きょ、兄弟弟子って事は……ティナ…さんも、滝沢校長のお弟子さんなのですか?」
「ええ、そうよ。私は鋼夜の妹弟子にあたるのかしら?」
「それで…『戦姫』」
その間中、美月とポーラの視線が痛かった。
……俺何か悪い事したっけ?
放課後になってもティナの周りの人だかりは消えなかった。ルックスだけは一流モデル並みだし、人当たりも良いしな。それに転校生っていう物珍しさも相まって注目の的だな。
「では鋼夜!帰ろうか わ た し た ち の!!部屋に!!」
何故か美月が大声で言いながら俺にそう言う。やめてくれよ、まだ恥ずかしいんだから。
その言葉を聞いた瞬間、ティナが恐ろしい速さで恐ろしい形相をこちらに向け、恐ろしい声で質問をする。
「…美月さん…とおっしゃいましたっけ?……今の言葉…どういう事ですかな?」
「どうもこうも無い。私と鋼夜の部屋に戻ろうと言っただけだが?」
「こ、鋼夜?どういう事?」
「い、いや…それは……その……」
「み、美月さん?少し貴女達の部屋にお邪魔させて貰ってもよろしいですか?」
「ああ、構わん。私と鋼夜の部屋にな!」
うわあ、ティナの顔が……
美月やめろよ、こいつ怒るとお前並みに怖いんだから……
頬をひくつかせたティナと途中で合流したセルディ、そして何故かついてきたポーラとミーシャと共に俺たちは帰路に着いた。
「ここだ!こ こ が!!私と鋼夜の部屋だ!!」
「………住む」
「へ?」
「私も此処に住む!!」
「えっ……」
「いいでしょ鋼夜!!私も此処に住みたい!!」
「お止めくださいお嬢様」
「なんでよ!セルディ!!」
「二人部屋です」
正論である。
「という訳だ。私も残念だが、此処に振り分けられてしまったのでな。全く持って遺憾だが、鋼夜と仕方なく住んでいるのだよ」
「ううううう!!」
おい、ティナ。素が出てるぞ。
「分かった……じゃあ私達は鋼夜の隣に住むわ……」
「ああ、そうしてくれ。良き隣人でいような?」
そう言ってティナがセルディと共に俺たちの隣の部屋に入っていく。ふー。一件落着…
するとその二秒後。
「お止めくださいお嬢様⁉︎」
「うるさい!行くわよグロリアス・エンジェル!!」
チュドーンという音と共に、俺と美月の部屋と、ティナとセルディの部屋の壁が消し飛んだぁぁぁ!?!?!?
「てへっ」
「てへっ、じゃねえよ!!おいティナ!!」
「ごめんなさい鋼夜さん、美月さん……仕方が無いから、四人で住みましょうね?」
見事に壁が無くなった俺たちの部屋は完璧に仕切りの無い、一つの大きな部屋となっていた。
「………」
「………」
「………」
唖然とする俺たち。フリーダムナイツを着て、悪びれた様子も無く、平然としているティナ。
そして、壁という仕切りが無くなった俺たちの部屋。
「幸い、ベッドも家具も無事ですし、大きな一つの部屋になったと思えば良いですよね?」
「き、き、貴様!何をしている!」
「何ですの?」
「何ですの?では無い!私達の部屋をよくも!」
「大丈夫です、私も一緒に住むので」
「そう言う問題では無い!!」
「……それとも何か?私がいると不都合な事でも?」
「うっ……」
不都合ありあり、であるが、鋼夜の手前それを言うわけにはいかない。
「では宜しくお願いしますね、鋼夜さん、美月さん」
「……すみません。お手数ですが宜しくお願いします」
こうして、俺と美月とティナとセルディの同居生活がスタートとなった。
「ミーシャちゃん、私も壁無くそうかな」
「止めてくれ、ポーラ」
〜〜〜〜〜〜〜
「天羽々斬、レーヴァテイン、デュランダル……世界に十本しか無い聖剣が、ミーディアに三本」
「………大丈夫?秋水」
「ああ………これは何かの前触れか?運命が動き出そうとしているのか?」
その中心にいるのは。
「鋼夜……あいつを中心に何かが起こっている……か」