「くっ、数が多い!」
「何機のゼノギアを投入しているのですか!」
戦闘開始から約五分。質で勝るミーディアに対し、創生龍は数で圧倒していた。セルディがゼノギアを三機屠れば、フェルリアが四機屠る。しかしそれを直ぐに四機、五機と追加で参戦し、一向に減る素振りが見えない。
そして、更に……
「やあ、楽しんでいるかな?諸君」
「朧火白夜………」
ただでさえ押され気味の戦況に拍車をかけるように朧火白夜と雛岸蛍が現れる。
「教師陣は白夜を狙え!正々堂々なんてクソくらえだ!全員で一斉に狙え!!」
素手でゼノギアと対峙していた秋水が教師達に叫ぶ。それを聞いて教師達が一斉に白夜に向かって突撃を開始した。
「まとめて来るとは…騎士の風上にも置けないね、そんな者たちが未来を担う者たちの教師など………やはりイージスは腐りきっている。纏めて掃除してやろう。行くよ、
白夜の周囲に光が集まり、白夜の体をフリーダムナイツが纏う。全身を黒で塗り固められたフリーダムナイツ。イージスの者たちから『黒き太陽』と畏怖を込められる朧火白夜の専用機である。
「一、二……第二世代が八機、第三世代が二機か……準備運動にもならないな」
白夜は1人目の剣戟をいなし、その余波で2人目を屠る。更にいなした1人目を回し蹴りで宙に浮かせ、もう一撃かかと落としを叩き込む。倒れた1人目の腕を掴み、力任せに投げ飛ばすと、3人目、4人目にぶつけ、一気に距離を詰め、2人目の持っていた剣を振り、3人同時に息の根を止める。更に距離を詰めてきた5人目、6人目に対し、3人目、4人目の持っていた剣を投げつけ、一撃、更に上空からの奇襲をかけてきた7、8、9人目の攻撃を後方に飛ぶことで回避、隙が生じた瞬間、首を切り裂く。止めに後方で指揮をしていた最後の一人に一瞬で肉薄し、蹴り上げ、叩き落とし、トドメとばかりに心臓を貫く。
この間およそ10秒。あまりにもそいつは化け物すぎた。
「遊び相手にもならないな」
「だったら…これでどうよ!!」
きっかり固有能力発動開始から三分。ティナ・ルナセリアの駆るフリーダムナイツ、グロリアス・エンジェルの固有武装、大型大口径光線型スナイパーライフル。『ヘブンズ・デビル』が火を吹いた。
グロリアス・エンジェルの固有能力、『ストラトス・ディーヴァ』は固有能力発動から一分毎に次に行う攻撃の威力が倍加し続ける能力である。三分間、全く攻撃を仕掛けず、チャージを行うことで、一分×一分×一分すなわち、2倍×2倍×2倍=8倍の光線が白夜を襲う。
〈二刀小太刀、
白夜が黒陽の固有武装、二刀小太刀を召喚し素早く一閃、ヘブンズ・デビルの一撃を軽く切り裂く。
「君は確か…ルナセリア家の跡取り娘だったね、確かに威力もあるしタイミングも完璧だったけど…ぼくを傷つけるには威力が圧倒的に足りないよ。悲しいけど、それが使い手の差だ。第三世代如きでは、僕に標準を合わせるだけ無駄さ」
「化け物め…」
「うん、知ってる。君じゃ相手にならないそうだなあ…君にしようか、『業炎』フェルリア・ヴォーネバイス」
「創生龍第二席に名前を覚えてもらっているとは、光栄だな」
「さすがに知ってるよ……何せ君は実の娘なんだろう?」
その言葉にフェルリアの顔が憤怒に歪む。
「私をあいつと……同じにするなぁぁぁぁ!!」
「やめろフェルリア!一人じゃ無理だ!!」
秋水が叫ぶも、怒りでフェルリアの耳には何も入らない。一直線に白夜に向かって行く。
「私が行きます!」
フェルリアの援護にセルディが向かって行く。これでフェルリアの命は少なくとも安全と言っていいだろう。さすがに天剣が二人いれば命を失うことにはならない………恐らくそれでも白夜を倒すには至らないだろうが。
「おお、天剣が新旧合わせて僕の相手をしてくれるのか、これは楽しめそうだなあ。それに……セルディ・ルナセリア。いや、『反乱分子』セルディ・リル・リレーニア。名高き裏切り者と戦えるとは光栄の極みだよ」
「何故……その名を……」
「さあね、僕を殺せたら教えてあげるよ」
赤と緑が黒とぶつかり合う。剣戟と炎と風邪が舞い、互いに一歩も引かずに武器を振るう。槍が大きく横に薙ぎ払えば、小太刀が首を狙う、それを短いナイフが差し止める。
「やれやれ、マスターばかりお楽しみとは……では私はあの子供達と踊りましょうかね」
「来るぞ、ポーラ」
「うん、ミーシャちゃん」
「私もやるわ。何としてもあいつを食い止める」
雛岸蛍がポーラ、ミーシャ、ティナの元へと接近する。
ティナはヘブンズ・デビルをしまい、新たに接近専用の武装、超近距離型ショットガン、『ヘルズ・エンジェル』を召喚する。
ポーラのマシンガンから放たれる銃弾を合図として、三人の戦いが火蓋を切る。
〜〜〜〜〜〜〜
「みんなは……どうしているだろうか……」
「大丈夫だよー?フェルリアちゃんもいるし、セルディさんもいるしねー。もし此処にゼノギアが来ても私がやっつけちゃうからねー?」
第一訓練室から少し離れた小部屋に美月と多賀は居た。
(行きたい……私もみんなと戦いたい…鋼夜を守りたい)
「!!っと!美月ちゃん!伏せてて!」
窓の一つが破られる。そこに現れたのは三機のゼノギアである。
「噂をすれば何とやらってやつかなー?全くちょっかいを出すのは感心しないなー」
「レーヴァテイン。貰い受ける」
「させないよ」
多賀の口調が変わる。こう見えても多賀花苗はフェルリア・ヴォーネバイスのパートナーなのである。その実力はフェルリアの惚れ込んだほどの折紙付である。
「いこう、
それは異様なフリーダムナイツであった。
全身を白と金で覆った八本の腕を持つフリーダムナイツ。それが多賀の駆る光臨金狐である。
それを見て美月が行動を開始する。
美月はいきなり多賀にも告げずに手に持っていた非常用の閃光弾をゼノギアに向かって投げたのだ。
「何を!?美月ちゃん!!」
「すみません多賀先生。私は行きます、後でどんな罰でも受けます。だから……行かせてください」
「やめろ美月ちゃん!君が行ってどうにかなる状況じゃない!みすみす白夜にレーヴァテインを渡すつもりか!」
「それでも私は!鋼夜を守りたい!!」
そう言って美月は雪時雨を展開、一気に加速し、ドアの外へと駆け出した。
「馬鹿な真似を…君が行かなくても鋼夜君は死なないっての!今は追いかけるよりもこいつらか……まあいいやどうせこうなる事は分かってたし?美月ちゃんを私が引き止められるの出来ない事を知ってて滝沢校長も私を付けたんだろうし、まずはこいつらを片付けますか。こっから先は通しませんよ?」
「何をブツブツ言ってやがる。気持ち悪りぃ」
「貴方方を倒す女の貴方方へと送る別れの言葉ですよ!!」
多賀は八つの腕にそれぞれ大型の斧を装備し、三機のゼノギアへと向かって行った。
〜〜〜〜〜〜〜
「馬鹿な……二人がかりで押されるだと?」
「そんな……朧火白夜…貴方のフリーダムナイツは第何世代なのですか?」
その問いかけに対し、白夜は意外にも答えを述べる。
「ん?第三世代だよ?ただし相当特殊らしいけどね」
「「第三世代……」」
その答えに二人の天剣は戦慄する。もし、その言葉が真実だとすれば、あまりにも異常すぎる。この強さで朧火白夜が第三世代だとすれば、それはどれだけ異常なのだろうか。もし、自分達と同じ世代まで登ってきたらと思うと二人は絶望感にも似た感情を覚える。
「じゃあ君達はもういいや……どうやらメインディッシュの時間みたいだ」
白夜はセルディとフェルリアを回し蹴りで吹き飛ばす。
代わりに白夜の前に現れたのは……
「初めまして……になるのかな?イリーガル・ブルー」
「…………」
「挨拶も無しか……更にバイザーも取らないなんて、相当シャイなんだね」
因縁の兄弟対決が始まる。