業火剣乱の狂奏曲《コンチェルト》   作:ムササ

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#37 天剣会議

「いいか、鋼夜、フェルリア。こっからは俺たちだけの秘密だ。パートナーにも、オペレーターにも漏らすんじゃねえ」

 

時は少し遡り、会合を開くと師匠が言ったその日の夜である。俺とフェルリア先生が突然校長室に呼ばれ、開口一番そんな事を言った。

 

「推測だが、俺はイージス上層部に創生龍(ティアマト)の内通者がいると俺は踏んでる」

ミーディア(うち)に居たようにですか……」

「ああ、そうだ。そしてそいつは多分天剣である可能性が高い、さらに言えば天剣創設時からの古参メンバーの中にいる可能性が高い」

「セルディ……」

「ああ、フェルリア(お前)んとこのセルディ・ルナセリア、あいつの本名を創生龍が突き止められるはずが無い。あいつの本名を……正体を知ってるのは俺たち古参メンバーと、元ローゼン・クローネのメンバー、それにルナセリア家と鋼夜しか居ねえからな」

「となると……候補は5人ですか……」

「ああ、創設時から天剣の地位を揺るがしていないのは俺ら上位三位と『翼竜』、『雷剣』の5人だな」

 

セルディの本名、セルディ・リル・リレーニア。この名前は人類にとって、更にアウターにとってもかなり重要な意味を持つ。

セルディは幼い頃山で遭難していた時に運良くルナセリア家に拾われ、養子となった。

その後フリーダムナイツの操縦士として才覚を発揮し、その後天剣十三将序列三位、『嵐女帝』アルシア・セラム率いるローゼン・クローネというチームに加入する。

 

女性のみで構成されたこのチームは凄まじい戦果を挙げ、一躍イージスの主力部隊となった。その後ローゼン・クローネのメンバーは一人、また一人と天剣十二将へと勧誘され、驚くべき事にそのメンバーは全員天剣へと加入を果たす。

 

その中の一人がフェルリア先生とセルディである。

 

「取り敢えず校長は除くとして、残るは四人ですか……」

「俺はグレースさんは除いてもいいと思う」

「どうしてだ?鋼夜」

「あの人はミーシャの母親だ。創生龍に通じてるならミーシャを危険な目に遭わせたりなんかしないと思う」

「道理だな。と言うことは残り三人。この中から創生龍に通じる内通者がいるって仮定して会合をやらなきゃならねえ。ああ、くそっ、面倒だ!」

「校長……そう簡単に面倒とか言わないで下さい。仮にも貴方は『天将』なのですよ!?」

「ちまちまうるせえよフェルリア、そんなんだから男が寄り付かねえんじゃねえか」

「……少し反省が必要のようで……」

 

おおう、フェルリア先生が修羅に見える、鬼じゃー、鬼が出たぞー!

 

とまあ若干話がずれたがそんな訳である。

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

「おいおい、こんなチビが『蒼天皇』!?何時から天剣はガキのお守りになったんだ!?」

「口を謹め『人形使い』天剣は序列関係なく地位は同じだ」

「なんだと!?口が達者だなあ『黒影』ぇ!その陰険な面ぁ、ちっとはマシにしてやろうじゃねえか!」

 

その時、ドンッという音が会場中に響き渡る。

『天将』、師匠だ。

 

「ごちゃごちゃうるせえよ餓鬼ども。騒ぎてえなら外でやれ、耳障りだ。そいつは紛れもなく『蒼天皇』。だろ?ガティ、アルシア」

 

そう呼ばれたガティ、ガルティム・セラム『絶対防御』とアルシア・セラム『嵐女帝』が同時に肯定する。

この三人は唯一天剣内で俺の素顔を知ってるからな。

その三人が肯定したことで、一応騒ぎは収まった様に思われた。が、

 

「おいおい、俺っちはまだ納得しちゃあいねえぜぇ!?」

 

そう声をあげたのは、うわっ。『爆破王』だよ。

俺こいつ嫌いなんだよね。

 

「天剣十三将は実力だけがモノを言う世界。だからよぉ、俺っちはさあ。『王』はこの世に一人で良いとおもうんだわぁ!?」

 

あっ、これは模擬戦に突入する流れだ。

 

「俺が『爆破王』お前が『蒼天皇』。『王』と『皇』。漢字は違えど意味は同じ、昔っから俺っちはお前の事が気に食わなかったんだわあ。それに!?『蒼天皇』の正体がこんなチビ!?ふざけんじゃねえ!!この世に『王』は一人で良い!勝負しろやチビぃ!!」

「この世に『皇』は一人で良い。確かに同感ですが」

 

そこで俺は一度言葉を切って、わざとらしく子供っぽい声で続けた。

 

「僕は天剣って言っても末席ですよ?13が7に勝てる訳ないじゃないですか」

「……こ、の、ガキぃ!!」

 

『爆破王』、シリル・クステアが突っ込んでくる。と言ってもフリーダムナイツを纏っていないので生身だ。

そして俺は突き出された拳を寸前で受け止める。

 

「……今度きちんと俺っちが殺してやるから覚悟しとけ」

「……ああ、楽しみに待ってるよ。勝つのは俺だけどな」

 

耳元で全くもって穏やかではない事を囁き合う。

こりゃあ、裏切り者は一人じゃない、かな?

 

「まあ、こんな感じの集まりです」

「確かに……これは……」

 

美月が若干顔を引きつらせているのが印象的だったが、概ね掴みは上々だ。後は策をご覧あれってね。

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

「失礼、『雷剣』グレース・アルキオスと申します。『蒼天皇』殿、貴方はミーディア学園の生徒でもあるようですね」

 

初っ端の些細なケンカ(これ位些細の範疇である)が終わり、会合は取り敢えず顔見せや、情報交換の場として、取り敢えず会食となっていた。

俺の横には緊張して何も口に出来ていない美月ともう既に慣れた手つきでローストビーフを摘むエレナの姿があった。

そこに近付いて来たのがミーシャの母親でもある天剣十三将序列十位、グレース・アルキオスである。

隣にいる男性は……確かアルキオス家の長男でパートナーでもあるソーマ・アルキオスか。

 

「はい、その通りですが何か?」

「ミーシャ・アルキオスという生徒をご存知ですか?」

「はい、仲良くさせて頂いております。貴女の事も良くお話になられていますよ?」

「ではやはり貴方がミーシャの言っていた朧火鋼夜さんなのですね。まさか貴方が『蒼天皇』殿だったとは」

 

突然現れた『雷剣』に美月はキョドってガッチガチだ。

エレナは……流石に落ち着いてるな。

 

「貴女が『蒼天皇』のパートナーさんですか?」

「は、はひっ!」

「ふふっ、そんなにかしこまらなくても良いですよ。心音美月さん、ですね?」

「はいっ!そうです!『雷剣』のグレースさんに会えるなんて光栄の極みで」

「ミーシャは貴女の事も良く言っておりました。娘を、よろしくお願いしますね」

「ありがとうございます!」

「ところで『蒼天皇』殿。単刀直入に聞きますが、貴方はミーシャをどの様に思ってますか?」

 

さっきとは一転、母の様な顔付きになったグレースさんがそんな問いかけをする。

 

「はい、自分には勿体無い位の良き友人だと思っております」

「はあー、そうですか。……ミーシャったらどうやら今の所見込みは無さそうね。メールではイリーガル・ブルーに決めたと言っていましたが……」

「?何か?」

「いえ、では貴方に折り入って一つ頼み事があります」

「何でしょう」

「ミーシャを、私の娘をよろしかったら貴方のチームに加えては頂けませんか?」

「はい、私としてもそのつもりでした。正直言っていつ切り出そうか迷っていたんですよ。そちらから持ちかけてくれるとは」

「そうでしたか、では了承と受け取ってよろしいですね?」

「はい、しかしまだ本人には伝えないでください。まだ自分の正体を明かしていませんので」

「わかりました。いつか貴方の口から伝えて頂けると嬉しいです。ではこれで」

 

そう言ってグレースさんは俺たちに一礼してフェルリア先生の方へと向かっていった。

うん、やっぱりいい人だ。あの人がイージスを裏切るはずなんでないよな。

 

「鋼夜!さっきの話は本当なのか?」

「ん?さっきの話って?」

「チームの話だ。まさか鋼夜チームのメンバーをとっくに決めているのではないのか?」

「ああ、決めてるよ?」

「誰だ!?」

「俺と美月とミーシャ、ポーラ、ティナ、セルディ、ライラ、オルト、それにオペレーターとしてエレナのつもりだけど?」

「そっか……良かった……」

「どうした?美月」

「いや、私をチームに入れてくれていたのだな」

「当たり前だろ、パートナーなんだぜ?それに美月には隣にいてほしいからな」

「私もほっとしました。まだ見限られていなかったのですね。最近呼んでくれないからてっきり捨てられたのかと」

「いやいや、エレナ以上のオペレーターなんて居ないし、一生俺について来て貰うからな」

 

その言葉を聞いてエレナはキョトンとした後、深ーいため息を吐いた。

 

「そんな事をさらっと言うから私の弟は女ったらしなんです」

「何それ!?どういう事!?」

「「ねー?」」

「ちょっとまって!?なんか俺途轍もなく馬鹿にされてる気分!!」

「「馬鹿ですから」」

「お前らちょっとは天剣を敬えー!!」

 




特に天剣の名前は覚えなくても良いかと。
『』の中は覚えてくれると話が分かりやすいとは思いますが。
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