「ほ、本当に鋼夜君なの?」
「うん、そうだよポーラ。俺がイリーガル・ブルーだ」
みんなの顔が驚愕に包まれる。
「ティナちゃんは知ってたの?」
「ええ、私は鋼夜が第二世代に進化した時に一緒に居たからね」
「セルディさんも?美月ちゃんも?」
「はい、存じ上げておりました」
「ああ、知っていたよ。と言っても、最近だけどな」
その横で真っ赤な顔をしているのはミーシャである。
「そっ、その……鋼夜……?」
「何だ?ミーシャ」
「おっ、覚えているか?……その……私がイリーガル・ブルーとけっ、けっこ……」
「おう、覚えてるぞ。まあ、残念だったな。がっかりしたか?」
「いっ、いやっ!?……べ、別にそういう訳では……」
ミーシャがいきなりしどろもどろになる。
それに顔も真っ赤である。
「うっわー!!すっごーい!これが鋼夜のフリーダムナイツ!?これがイリーガル・ブルーのフリーダムナイツ!?なんかドビャーンでチュドーンって感じ!?」
「確かに、極限まで薄く軽く作られた装甲、必要最小限に抑えられた装甲は一種の美しさすら感じるね」
ライラとオルトはさっきから蒼火桜をペタペタ触ってあれこれ論議を交わしている、相変わらず何故ライラの言葉が理解できるのかわからないが。
「そっ、その……朧火鋼夜……様?」
「ちょっと話があるし」
そう言って近付いて来たのはマリーとメリーこと生徒会の面々である。
「ほ、本当にイリーガル・ブルー……なのですね」
「ああ、本当だ。騙してて悪かったな」
「い、いえっ!色々と大変な事もあるでしょうし」
「うーん。敬語止めてくれないか?一応マリーの方が歳上なんだし」
「いやっ、それは天剣ともあろうお方に失礼だと思いますし」
「じゃあ命令だ。敬語を止めて普通に話せ」
「は、はい。わかりました。……鋼夜」
「うん」
満足だ。そのあとおずおずとメリーを筆頭に他の生徒会のメンバーとも挨拶を交わす。
「じゃあお前らは日本のイージスと一緒に周りのグリモアを担当してくれるか?」
「は、はい!頑張ります!」
「よし。千鶴!」
いきなり下の名前を呼び捨てにされ、訝しみながらも千鶴が近づいてくる。それもちょっと近付くと直ぐさまはっとした顔になり急いで来た。
「『蒼天皇』様……ですか?」
「おう、久しぶりだな千鶴。と言っても素顔で会うのは初めてか」
「おっ、お久しぶりでございます!」
千鶴は軍隊式の敬礼でそう言った。
俺は千鶴とはイリーガル・ブルーとして日本での戦いで共闘したからな、結構面識はある方だ。まあ千鶴の方からしたら今日が初対面だろうが。
「この素顔の事は言うなよ?バレたら色々と面倒だからな」
「はい!了解しました!!」
「よし、お前らは生徒会、三年を率いて周りの人グリモアの討伐だ、できれば俺の所の奴らも……」
「断る」
そう言ったのは……ミーシャか。
「何でだ?これは訓練じゃ無い。実戦だ、死ぬかもしれないんだぞ?」
「だからこそだ。私達はチームの筈だ。チームというのはずっと一緒に戦って背中を預けあうのがチームというものだろう?」
その言葉にポーラとティナ、美月も頷く。
全員俺はイージスと一緒に戦って貰う予定だったんだが。
「はぁー……分かった。悪い、俺が甘かった。じゃあ改めてお願いだ。俺と一緒に戦ってくれないか?」
「「「「勿論!」」」」
「うっし!じゃあ決まりだ。総指揮官は誰がやる?」
「私が」
名乗り出たのは千鶴か。まあ妥当だろ。本来なら天剣がやるべきだが、俺とセルディは多分『シェムハザ』にかかりきりになるからな。それならまだ余裕のある千鶴に任せるべきだ。
「じゃあ千鶴。イージスは右翼のグリモアを、ミーディアの戦えるメンバーは左翼を。そんでもって俺らが『シェムハザ』を受け持つ。それでいいな?」
「ええ、勿論。なるべく早く倒して『蒼天皇』様の援護に向かいます」
「よしオッケー。じゃあ千鶴は右翼の指揮を、マリー。左翼の指揮を頼む」
「了解しました!頑張ります!」
「ここが正念場だ。ーー全員死ぬ気で生き残れ!」
最後のは俺の座右の銘だ。気合いを入れたいときによく使っている。
その時、ミーディア学園全体が大きく揺れ始めた。
途端に最大レベルの警報を示す警告音がミーディア中に鳴り響く。それと同時に海に巨大な影を確認できた。
間違いない、『シェムハザ』だ。
「各自持ち場につけ!上陸した瞬間から戦闘開始だ!」
千鶴の号令と共にその場にいた全員が慌ただしく動きだす。千鶴は外に日本のイージスを集めに、マリー達生徒会は奥の講堂に三年生を集めに走り出す。
俺はみんなの元へと戻る。
「じゃあ行くぞ、コバルト・シリウスの初陣だ!『シェムハザ』ぶっ倒して強烈な印象植えつけてやろうぜ!」
「「「「「「「「おー!!」」」」」」」」
〜〜〜〜〜〜〜
五分後。俺たちはミーディア学園の屋上にたどり着く。ここが俺たちの持ち場だ。『シェムハザ』が上陸した瞬間に一気に叩く。
そして数分後。大量のグリモアを引き連れ『シェムハザ』が日本に上陸する。
「総員攻撃態勢!グリモアを殲滅しろ!一機たりとも逃すな!!突撃ぃぃぃ!!!」
その声を号令とし、一気にフリーダムナイツの攻撃音が響き渡り始めた。『シェムハザ』防衛戦の始まりだ。
「全員ヤバイと思ったら早めに下がれよ。死んだら元も子もないからな」
「了解だよ、隊長」
「……なんか余裕だなお前ら」
「だって、鋼夜が居るんだもん。だからだよ」
「……んじゃあまあその信頼に応えるとしますかね」
「あっ、その感じ師匠に似てる」
ティナのその言葉に場が和む。いい感じにリラックス出来たな。因みに今の内にライラとオルトは奥に避難してもらっている。
「周りのグリモアは無視して『シェムハザ』だけに気をつけろ。後ろはみんなが守ってくれる。心配すんな。さあ行くぞ!〈鋼鉄の刃よ、我が身を纏いて翼となれ〉蒼天皇の剣翼!」
「〈民衆よ、空の子供達よ、天空の歌を聴け〉ストラトス・ディーヴァ!」
「疾風よ、天を纏い、地を撫で、大いなる旋風となれ〉イノーマス・ハリケーン!」
作戦としては俺らが前衛として『シェムハザ』との近接戦闘で奴の気を引く。その間にティナはストラトス・ディーヴァでエネルギーを貯め、強烈な一撃を叩き込む。その隙に俺と一緒にセルディが最大限の攻撃力で一気に決める。
作戦としては大雑把だが、おれらのチームはかなり攻撃力が高い。力押しでも十分通用する。
「総員……突撃!」
俺のその言葉と共に全員が一斉に屋上から飛び立った。
それを見て『シェムハザ』が一際大きな咆哮を上げる。
俺たちは事前の打ち合わせ通り、全員がバラバラになって『シェムハザ』の周りを囲むようにする。
『シェムハザ』の攻撃は強力だが、『ベネムエ』とは違い、全方位に撃てるような範囲攻撃というものがデータとしては無い。勿論今まで使っていないだけかもしれないが、それでも固まっているよりは良いはずだ。
「〈時空をも切り裂く鋭利なる刃よ〉天羽々斬」
俺も出し惜しみは無しだ。ベネチアからの長距離飛行で減った宝力も休んだおかげでかなり回復した。まだ全快とは言いがたいが、それでも戦闘に支障のでる程では無い。
取り敢えずは屋上からでストラトス・ディーヴァでエネルギーを貯めているティナに気付かせない様にひたすら攻撃だ。
「うらぁ!」
俺は光華紫電、剣翼、天羽々斬で立て続けに『シェムハザ』の装甲を切り裂く。よし、切れる。
どうやら『シェムハザ』の狙いはセルディらしい。これなら当分は大丈夫だろう。
『シェムハザ』は巨大だからおそらくこんなチマチマした攻撃はものともしないがストラトス・ディーヴァで底上げされた一撃ならどうだ?風穴あけたら俺が天羽々斬でコアを真っ二つって所かな?
「まだまだぁ!」
『シェムハザ』戦闘開始から五分経過。