業火剣乱の狂奏曲《コンチェルト》   作:ムササ

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二章エピローグ 明日へと紡ぐ

「それでは〜〜シェムハザ防衛戦の無事終了と〜〜美月っちの誕生日〜〜それに〜〜コバルト・シリウスの結成を祝って〜〜っ!?」

「「「「「「「「「かんぱーーーーいっっっ!!」」」」」」」」」

 

九つのグラスが小気味いい音を立ててぶつかり合う。

乾杯のメンバーは俺と美月、ティナ、ポーラ、ミーシャ、ライラ、オルト、セルディ、エレナである。

因みに未成年が殆どのためグラスの中身はオレンジジュースである(チョイスはライラ)。

 

『シェムハザ』防衛戦が終わり昨日の内に急ピッチで進められた後処理も終わって、今日は8月1日、冒頭のライラの音頭にもあつた通り今日は美月の16歳の誕生日である。

 

『シェムハザ』を俺が斬り飛ばした後、俺は宝力切れで意識を失って急いで医務室へと運ばれた。事後処理は日本のイージスのみんなが頑張ってくれたようでもう校庭にはあんな戦闘が有ったとは露ほども思えない光景が広がっている。

せめて千鶴にはお礼を言いたかったが、どうやら昨日の内に帰ってしまったらしくエレナから伝言を聞かされた。

「時間が出来たら遊びに来てください」との事だ。

 

因みにエレナは俺が途中で美月を庇った際に通信機を破壊してしまい、相当おかんむりであったが、取り敢えず平謝りする事で事なきを得た。

 

コバルト・シリウスのメンバーで非戦闘員であるライラとオルトは全くの無事で、エレナと一緒に管制室で画面越しにずっと応援してくれていたらしい。

それに明日本格的にミーディア学園の設備が使えるようになったら全員のフリーダムナイツの整備をしてくれるそうだ。どうやら、みんなが頑張っているのを見ていてもたってもいられなくなったらしい。

 

ミーディア学園の生徒や教員には奇跡的に死者はゼロ。

しかし当然ながら何名か日本のイージスから死者が出てしまい、その葬儀は今日の午前に行われた。

俺たちも参列したが、日本全てのイージスが集まっているだけあってその光景は壮観だった。軍隊式の礼で静かに送られていったイージスの人達の冥福を祈るばかりである。

特に美月は目の前で死なせてしまった女性の焼香を熱心に行っていた。

最終的な死者は13名。怪我人は軽症者も含めるとその場に居た全員。重症者はその内の三割と言ったところだ。

 

そして時刻は午後8時。まだミーディア学園の生徒は帰ってきていない。彼らはロシアで全員無事で、明日の午前にも帰って来るそうだ。

それで俺たちは誰も居ない事を良いことに、食堂を貸し切り、パーティーを開いている。皆が皆、エレナとセルディ、それにポーラが作った豪勢な料理に舌鼓を打っていた。

他の女性陣が参加していないのは彼女らの沽券を守る為にノーコメントとする。

 

「さあさあ、タイチョーさん!なんか一言下さいよ!ユー!!」

「えー……」

「まあまあ、そんな事言わずに!」

 

ぐいっとライラに壇上に手を引かれて連れていかれる。

そしてマイクを手渡され、一言を促される。

 

「えー、まあ。みんなよく頑張った!そしてありがとう!イージスの代表として、そしてミーディアの生徒として、そして何より一人の人間として感謝してもしきれないよ!!」

「「「「「「「「かんぱーいっ!」」」」」」」」

 

そんな感じでワイワイやっている中、ガラッという音と共に食堂のドアが開いた。そこから入って来たのは、

 

「おうおう、楽しそうな事してるじゃねえか」

 

そう言う師匠を先頭とした、フェルリア先生達天剣の方々と生徒会メンバーの面々である。

いきなり天剣がえらく増えたものだから、一瞬にして会場の雰囲気がざわめく。が、

 

「まあ、そんな緊張すんなって。鋼夜だって一応天剣なんだし鋼夜に接する様にしてくれよ。とゆうか、今夜は無礼講だろ?正直お前らが居なかったら『シェムハザ』防衛戦はどうなってたか分からなかったっていう話だしな、天剣の長として礼を言っとくぜ、ありがとな」

 

師匠のその一言で、一応場が和む。

 

「うっしゃあ!そう言う事でぇ、お前ら。今夜は無礼講だぁ!飲め、食え、踊れ、歌え!!」

 

そう言いながら師匠はどこから取り出したのか一升瓶を取り出し、ラッパ飲みを始めた。

 

「校長……あなたそれがしたかっただけでしょう……」

 

そう言うフェルリア先生も積極的には止めようとはしない。

おっと、そうだ。忘れてた。

 

「そういや美月」

「ん?なんだ?」

「いや、俺ら色々あったじゃん?それで誕生日プレゼントまだ買ってないんだ、本当にすまん!!」

 

そう、決して忘れていた訳では無いのだが、天剣の会議の準備からずっと色々な事に襲われ美月の誕生日プレゼントを買う時間が無かったのである。

それとなく他のみんなに聞いたら俺たちがベネチアに行っている間に既に買い物を済ませたという。

 

「そ、そうか……仕方ないよな……はぁ……」

 

盛大にため息を吐く美月を見て俺はどうしようもない罪悪感にかられてしまう。

 

「じゃあ分かった!何でも一つだけ言う事聞いてやるから、な?」

「ーーッ!!それは……本当か!?」

 

美月のとんでもない変わりように若干驚き、後悔をしたものの、一度した発言を取り消す程俺は人でなしではない。

 

「お、おう。俺に出来る範囲なら」

「約束だぞ!?絶対だからな!?」

 

そんなこんなでパーティーの時間は過ぎていく。

因みにみんなのプレゼントはティナがティーセット、ポーラが最近話題のウサギのキーホルダー、ミーシャが剣の御守り、ライラが帽子、オルトがボードゲームだった。

その後オルトの持ってきた「運命ゲーム」にみんなで興じた後、いい感じに終わろうとした時……

 

「おい、ミリア。アレ持ってこい」

 

師匠にそう言われミリアが持ってきたのはワインボトルだ。

 

「えっ、師匠。お酒はちょっと……」

 

因みにこういうとき真っ先に止めそうなフェルリア先生と多賀先生らの教師陣は既に酔い潰れていて止められる状況では無い。

 

「はっはー、良いじゃねえか、無礼講だぞ?」

「いや、意味違うからな?」

「滝沢校長!未成年ですので我々には……」

 

ミーシャが止めようとするものの、この状態の師匠(酔っぱらい)には通じない。

ギャーギャー言いながらセルディやエレナと共にもみくちゃになりながら師匠を止めている光景を見て俺は苦笑を堪えられなかった。

 

「なあ、鋼夜。少し……外に出ないか?」

 

そんな時だ、俺の幼なじみがそう言って来たのは。

俺と美月は飲み物と適当なお菓子を持って二人で騒がしい食堂から抜け出た。

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

二人で歩く寮の裏の並木道は他に誰も居ないことと相まって不思議な静けさを醸し出していた。

俺と美月はそこのベンチに腰掛ける。

 

「何か話か?美月」

「い、いや……その……なんというかな……」

 

黙ってしまった私を気遣う様に鋼夜はずっと待っていてくれた。緊張で手が震えているのがわかる。さっきから飲み物など口を付ける余裕が無い。

 

「良かったな美月」

「え?」

 

不意にそんな言葉がかけられる。

 

「お父さんとお母さんにもう一回会えて」

「え?……あっ、ああ。そうだな。全然変わっていなかった」

「当たり前だろ?アレ、多分誕生日の結構前に撮ったものだぞ?」

「あのアルバムの鋼夜は可愛かったな」

「うっ、そういう美月だって顔真っ赤にしてたじゃねえか」

「あっ、あれはだな!」

 

鮮明にあの時のことが思い出され、またも顔が赤くなる。そして鋼夜と目が合って。

 

「「ぷっ……はははっ」」

 

二人で散々笑いあった後、またも会話が無くなる。

まずい、このままでは!そう思った時、またも鋼夜が話しを振ってくる。と言うよりも、独り言を。

 

「あれから……7年か……」

 

その呟きは誰に向けられたものなのか。でも私は鋼夜に悲しい顔をさせたくなくて。

 

「今度、お墓詣りにも行かないとな」

「ああ、そうだな。俺の両親と……紗夜にもいっぱい報告しなくちゃいけない事が出来たしな」

 

それから、暫くして、

 

「『月』と『夜』か……」

「えっ?」

「不思議だよな、俺は鋼夜で『夜』、お前は美月で『月』。どう見ても狙ってただろ?」

「ふふっ、確かにな」

「どちらが欠けても残った方は意味を成さない。今度こそは……絶対……」

 

守り切ってみせる。

 

そう、言った。その微笑みはあまりにも格好よく、不覚にも見とれてしまった。

 

「美月、お前は俺が絶対に守り抜く。だから、ついてきてくれ」

「えっ!?あっ、うん」

 

それはまるで……恋人のプロポーズの様な……

 

「美月は?美月は俺を守ってくれないのか?」

「えっ、ああ。ああ、私も鋼夜を守り抜くよ」

「おう、頼りにしてるぜ?」

 

そう言って鋼夜は微笑んだ。

 

(ここだ、ここで言うしかない。その為に外に連れ出したのだろう?心音美月!しっかりしろ!)

 

美月は乾ききった喉を潤すべく、飲み物を飲みきった。

 

「こっ、鋼夜!」

「ん?」

 

言え!言うしか無い!!

 

「わっわっ、私はっ、こ、鋼夜の事が……へれ?」

 

呂律が回らない、それに頭がクラクラして、鋼夜が増えて、世界が回る〜?

 

「あれ?おい!美月?……ワイン?」

 

鋼夜が驚いて美月の体を抱き抱えると、そこには微かなアルコール臭。あのジジイ……

鋼夜の脳裏に見事な酔っぱらい師匠が浮かび上がる。

 

「はっはっはっ、こーやぁ!」

「痛て、いてーよ、美月」

 

鋼夜の背中をバシバシ叩くと美月はそのまま意識を失うように眠ってしまった。

 

「しょーがねえなぁ」

 

鋼夜は美月をおぶる形で寮の方へと戻っていく。

その途中、美月はたった一言でだけ鋼夜に聞こえるかギリギリの声量で、囁いた。

 

「こーや、らいしゅき」

 

二人の頭上を一筋の流れ星が流れ落ちていく。

 

 

 

To.Be.Continued……To.the.next.stage……




これにて第2章終了!

次章はラブコメ要素多めでお送りするつもり!
まだまだ、鋼夜とヒロインズの恋愛模様は止まらない!

3章は海!海といえば……なんでしょう?
では次回会える事を祈って!
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