「制限時間は15分。その間に俺をノックダウンさせられたらみんなの勝ちね」
そう言って俺はみんなと距離を取る。
訓練室の機能を使い、障害物を設置して、互いの陣地から模擬戦スタートだ。
3…2…1…
「蒼火桜」「雪時雨」「グロリアス・エンジェル」「フォーチュン・ドリーム」「ナイトリオン」「ストーム・テンペスター」「クロス・レディオン」「クロス・マリアン」「鉄虎」「水猫」「銀光狼」
一斉にフリーダムナイツを展開した事で第一訓練室が一瞬閃光に包まれる。
さあ、模擬戦スタートだ。
俺は数で劣っている為一箇所にとどまっていたら物量で押し込まれてあっという間にボロ負けする。だから、俺は蒼火桜の性能をフルに発揮して超速戦闘下でのゲリラ戦に持ち込んで、強制的に接近戦に持ち込む以外勝つ道はない。
というよりも負けたら俺の大事な何かが無くなる気がする。それだけは避けなければ。
「〈鋼鉄の刃よ、我が身を纏いて翼となれ〉蒼天皇の剣翼」
俺の頼みの綱はこの剣翼だ。流石に安全装置を付けているとはいえ、それでは十聖剣の能力は封じ込められないので天羽々斬を使う事は出来ない。ならば俺はもう剣翼に頼るしか無いのだ。
地上は数で勝る美月達のテリトリーと考えるしか無い。という事は、俺が取るべきは制空権。
そう考えた俺は剣翼を広げて、天井ギリギリまで高度を上げた。
〜〜〜〜〜〜〜
「予想通り鋼夜は地上戦では無く空中戦を選んだわね」
「というよりもそうするしか鋼夜様が勝つ道は有りませんからね」
ティナとセルディは自陣深くで蒼い物体が高速で上空高く登っている姿をフリーダムナイツの望遠機能で確認していた。
ティナの固有能力はこういった模擬戦向きではない為ティナは今回自陣で指揮を取ることとしていたのである。
「んじゃあまあ、手筈通りにいきますか」
そう言ってティナはフリーダムナイツの通信機能をONにした。
〜〜〜〜〜〜〜
『鋼夜の弱点はやっぱり装甲の薄さね』
俺は少し前にティナと美月とセルディとで部屋で話していた事を思い出す。
『まあ、そこが強みでもあるんだけど』
『どういうことなのだ?』
『蒼火桜は極限まで装甲を薄くすることでフリーダムナイツとして破格の飛翔性能を誇るのよ。それこそイタリアから日本まで休憩無しで飛べる程のね』
『他のフリーダムナイツだと補助パーツを付けないとそんなに飛べないんだ』
『ほう、そうだったのか』
『それに蒼火桜は基本的なフリーダムナイツの浮遊能力てる反重力式浮遊装置、いわゆるA.G.F.Dじゃ無くてブースターの推進力で飛行するフリーダムナイツ。だから燃費は悪いけどその速度は異常よ』
『という事は……短時間での空中接近戦で蒼火桜に勝てるフリーダムナイツは……』
『少なくとも対人の空中戦で、あそこまでやられたのは白夜が初めてだ』
『だけど、装甲が薄いという事は出力が出ないのでは無いのか?』
『だからこその剣翼と天羽々斬なのでございます』
『圧倒的な手数で敵の先手を取り、防御不可能の斬撃で屠る。それが鋼夜の戦い方よ』
15分位ならばブースターの出力は全開にし続けても余裕だ。それに剣翼も全部出していても平気だろう。
「鋼夜さん!手合わせお願いいたします!」
「私もお願いいたします!」
「俺も胸を貸して下さいよ!」
そう言って現れたのは生徒会ことティア・スカイのメンバー、上地さんと海原さん、空木の三人だ。
それぞれ駆るフリーダムナイツは
因みにティア・スカイのメンバーは全員幼馴染らしい。
マリーとメリーのフォールド家に彼らの親が代々使用人として使えているらしく、同年代のマリーとメリーと良く遊んでいたらしい。
フォールド家はイージスへの資金提供をしている関係でフリーダムナイツの操縦士が多い。それで彼らにジュエルがある事が分かってからはずっとフリーダムナイツに乗っているらしい。ミーディア学園に入る前から彼らは第二世代だったのでフリーダムナイツの操縦歴は俺よりも少し少ない位だ。
「悪いけど手加減出来ないよ!」
俺は剣翼を戦闘状態で待機させる。手には光華紫電。彼らもそれぞれ固有武装と思しき武器を手に持つ。
全員第二世代なので固有能力の警戒はいらない。だったら、
「正面から迎え撃つ!」
ガキンッ!
俺の剣翼と彼らの固有武装がぶつかり合う。因みに鉄虎が薙刀、水猫がボウガン、銀光狼が大盾だ。水猫の分は銀光狼がカバーしている。
大盾の隙間から水猫がボウガンを放つ。しかしあくまで使っているのは剣翼、俺は手の光華紫電でそれを払う。
ガキンッ!ガキンッ!ガキンッ!
剣翼と大盾がぶつかり合う音が響きわたる。この速度について来るのか、流石に経験値がポーラやミーシャとは違う。
合計24の刀が恐ろしい勢いで斬撃を重ねる。それは徐々に彼らを後方へと押していく。
「くっ」
そして俺が一瞬斬撃を止めた隙を見て、鉄虎と海猫がそれぞれ固有武装での攻撃を試みる。が、
「敵が隙を見せたら飛びかかる。その判断は正しいけど何も考えないで飛び込んだらダメだ。罠かもしれないからね、こんな風に!」
飛び込んできた二人を俺は上空で待機させてあった剣翼で薙ぎはらう。安全装置が作動しているので怪我は無い筈だが衝撃は伝わる。二人脱落だ。
しかし薙ぎはらった直後を目掛けて銀光狼が飛び込んできた。
「タイミングは良いけど、俺はもう体制を整えてる。この場合は撤退すべきだね」
「はい、勉強になりました」
残るフリーダムナイツは7機。
だけど残る殆どが第三世代以上。
ふと、俺の脳裏に何かがよぎる。あいつら……攻める気あったか?
その時、恐ろしい量の弾幕が俺の左手から迫ってきた。
避けようとするが、上下左右、それに後ろが大盾で覆われていた。仕方なく俺は剣翼を最大展開し、それを弾く。
「なるほど……あいつらは囮だった訳だ。それに俺はまんまと食いついた……と」
「そういう事。覚悟してね、鋼夜君」
「日頃の訓練の成果を見せてやろう」
「ルームメイトがお出ましとは……結構キッツイな」
勿論さっきの攻撃はポーラのフォーチュン・ドリームの固有能力、チューン・オブ・トゥモローとミーシャのナイトリオンの固有能力、スフィンタリアのコンビネーションである。
流石ミーディア学園が選んだルームメイトと言うべきか、恐ろしいコンビネーションで襲いかかってきた。固有能力まで息ぴったりとか、笑えないな。
「あら、私達も忘れてもらっちゃあ困りますね」
「そうだし、私達も頑張るし」
そう言って現れたのは、桃色の髪を持つ少女と水色の髪を持つ瓜二つの少女だ。
二人とも赤のフリーダムナイツを纏っている。
「うっわ、第三世代が四人とか」
流石にキツイ。というよりもピンチである。四人もいたら高速戦闘の醍醐味であるゲリラ戦が十分に発揮出来ない。
何よりポーラの能力が厄介だ。物質をコピペする能力は宝力がつきない限り弾薬は無限という事となる。極論ポーラが引き金を引くのは一回だけでも良いのだ。
それは高速で動き回ろうと壁は避けられない。
しかし俺には飛び道具など無い。ならば、馬鹿の一つ覚えみたいにやるしかないのだ。というよりこんな状況前にも経験した事などある。
ポーラの弾幕が更に密度を増す。しかし剣翼を最大展開しているこの状況ではそれも届かない。
俺は剣翼を一点集中し、ポーラの弾幕をどうにか突き破る。
「うぅ、抜けられちゃった。流石だね鋼夜君」
「いやいや、かなり危なかったけどな。今のは結構ヤバかった」
改めて対峙すると結構威圧が凄い。第三世代に進化したフリーダムナイツは一機でフリーダムナイツが開発される前の都市ならば制圧できる。そんなものが4機。小国ならば滅せる程の力を持つ。
「じゃあ行くよ鋼夜君!覚悟!!」