そして迎えた合宿最終日。俺はグレースさんと模擬戦を開始しようと思っていたのだが……
「天剣にーっ!なりたいかぁーっ!!」
「「「「おぉーっ!!」」」」
「声が小さーいっ!そんな事では天剣になんてなれません!!」
「「「「おぉーーーーっっっっ!!」」」」
「よし!では準備運動として島の周りを5周!」
「「「「はいっ!!」」」」
そう言って美月、ティナ、ポーラ、ミーシャの四人が勢いよく駆け出していく。それを満足気に見守るのはセルディだ。
「……グレースさん。あいつらどうしたんですか?」
「愛されているのですよ」
「???」
強くなるために頑張っているのだろうか?
美月は俺を守ると言ってくれていたし、それが愛されている。という事になるのだろうか?
「よくわからないけど、じゃあ俺もあいつらに負けない様に頑張ります」
「はぁ……」
なんか魂の抜ける様な深いため息をつかれた……
「本当にあの子達の気持ちに気が付いていないのですね、あんなに分かりやすいのに……いっそのこと言ったらどうなるでしょうか?案外コロッといくのでは……」
なんだかブツブツ言ってる。凄え怖い。
「よろしい、では私が立てなくなるくらいまで訓練してそれをあの子達に介抱させ、一気に距離を縮めよう作戦開始です」
そう言うとキッとこちらを睨んできた。何か悪い事をしたでしょうか?
「では、訓練開始ーー」
ドゴォォォォオンッッッッッ!
グレースさんのその言葉は、突如響き渡った轟音によって最後まで聞くことは出来なかった。
「なんだ!?」
見るとホテルの方角に黒煙が立ち上っているのが分かる。
どうやら、ホテルに爆撃が仕掛けられたらしい。
『あー、あー、あー、コバルト・シリウスの皆様。聞こえているでしょうか?』
突如として響き渡るノイズ掛かった声、どうやら拡声器越しの声だ。
「この声……春にミーディアを襲撃してきた白夜の直属部隊の女?」
『えー、聞こえていらっしゃいましたのならばどうかお静かにそのままお待ち下さい。先に言って置きますとこのファニーオレンジ島は我々
「なんでここがバレた?まさか、まだイージスのなかに内通者がいるのか?」
『我々の要求は二つ、貴方達の持つ十聖剣を全て渡す事と、『蒼天皇』朧火鋼夜の身柄の拘束です。15分待ちましょう。場所はその島唯一のホテルのエントランス。それでは色よい返事が聞ける事を期待しております』
そう言ってその声は途切れた。
「エレナ!被害状況は!?」
「大丈夫です、人的被害は出ていません。しかしホテルの一部が破損しています」
「コバルト・シリウスのメンバーを此処に全員集めろ。ホテルの従業員は全員集めろ避難!ライラ、オルト、すまないけど俺たちのフリーダムナイツの緊急メンテ頼む」
「オッケー、任せといてよ!」
「ああ、最高のコンディションに仕上げてやる」
ともかく俺たちは一旦ホテルへと戻る事とした。
「酷い……」
ホテルの状態は酷いものであった。窓ガラスは全部割れ、殆どの従業員が怪我をしている。外壁が一部崩れ、暫くは営業出来ないだろう。これで大きな怪我を負った者がいない事が奇跡と言える。
「それで、鋼夜君。どうするの?」
「勿論迎え撃つ、ティナ。15分有る頼むぞ」
「りょーかいしました。隊長殿」
「グレースさん、巻き込んですみません」
「いいのよ、私だって
「頼りにしてます。『雷剣』殿」
「頼りにされました、『蒼天皇』殿」
この場にいる天剣は三人、『疾風』『雷剣』『蒼天皇』
敵の戦力がどれ位かは分からないが、こちらはかなりの戦力を有している、かかって来い
そして15分が経ち
「お久しぶりでございます。『蒼天皇』様。いかがお過ごしでしたでしょうか」
「久しぶりだな、『黒翼の瞬蝶』
「私などの名前を覚えて頂き、恐悦至極にこざいます」
「なんで敬語なんだよ気持ち悪りぃ」
「我が主、白夜様の御兄弟とは露知らず。無礼な態度をとった非礼、お詫び申し上げます」
「あっそ、俺はそんな奴のことは兄だと思って無いけどな」
「……それで、返事の程は?」
「ああ、決裂だ。お前らはここで倒す」
「……残念です。では、全面戦争を望むのですね?」
「無論だ」
その言葉に空から大量のゼノギアを纏った
「ならば、力尽くで奪うまで!『蒼天皇』様。その体、頂戴します」
蛍がフリーダムナイツを纏い、地を蹴り砕く勢いで、俺に迫る。ガキィィンッッ!甲高い金属音が響き渡る。蛍の一撃を止めたのは俺ではない、振り下ろされた長剣を止めているのもこれまた、長剣である。
「『雷剣』グレース・アルキオス……」
「ご名答、貴女の相手はこの私です。お付き合い願いますよ」
と、グレースさんの首筋を狙って木陰から、
それを苦もなくセルディがナイフで弾く。
「この攻撃方法。『翼竜』
「流石は元天剣十二将『疾風』セルディ・ルナセリア殿だ。いや、確か復帰してまた天剣に戻ったとか?」
「御託はいい、私が相手です」
「おお、怖い怖い。では、始めるしましょうか」
グレースさんと蛍、セルディと劉がそれぞれ存分に戦える場所へと移動をする。残ったのは俺たちと
「後は雑魚だけだな。ティナ、撃てるか?」
「うん、何時でもオッケーだよ」
「じゃあ、頼む」
「りょーかい。響け、ストラトス・ディーヴァ!!」
15分間分のチャージで限界まで濃縮された一撃がゼノギアに襲い掛かる。
「押し潰せ、グラン・ドレンタ」
が、15分のチャージを込めたティナ渾身のストラトス・ディーヴァは、まるで何かに引っ張られたかのように地面へと吸い寄せられ、そのまま着弾し地面を大きく削るのみだった。
見ると、ゼノギアの中に一機だけフリーダムナイツがある事が分かる。
「あいつがやったのか?」
「私の15分間分のチャージを込めたストラトス・ディーヴァを?あんな片手で?あり得ない……」
するとそいつが一歩こちらへと踏み出してくる。
「私の名前はリュミル。白夜様の直属の部下」
そう名乗る俺たちとそう変わらない年の少女は無表情のままこちらを見つめてくる。
何かその目には俺たちには見えない他の物が写っているのかの如く全くの無表情、無関心だ。
「貴方達は蛍様の交渉を断った。すなわち、白夜様の交渉を断った。だから貴方達は白夜様の敵。白夜様の敵は私の敵。私の敵……殺す」
全く抑揚の無い声でリュミルと名乗った少女がこちらへと駆けてくる。それを俺は光華紫電で迎え撃つ。
「くっ、なんつう馬鹿力だよ……」
リュミルの武装はいわゆる
「鋼夜っ!」
「おっと、君たちの相手は俺たちだ。リュミルさまの元へは行かせない」
美月達が加勢してくれようとするが、大量のゼノギアに阻まれて思うように動けない。どうやら俺はリュミルと一対一で戦うしか無い様だ。
「天剣十三将序列十三位『蒼天皇』朧火鋼夜」
「
此処にファニーオレンジ島での決戦の火蓋が切って落とされた。