そよ風に歌声を乗せて   作:おにぎり(鮭)

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第11話です。


第11話 正反対の評価

 ミク達と遊園地に行った次の週。俺は学校でいつも通りつまらないだけの授業を受けていた。

 

「……なので、ここはしっかり復習しておくように!」

 

……本当につまらない。そもそも興味がないからつまらなくて当然か。やる意味あんのかこんな授業……

 そんなことを考えているうちにチャイムが鳴った。教師の言葉とともに休み時間に入り、その辺の連中が一気に騒がしくなる。全く、いちいち騒ぐなよ。ガキじゃあるまいし。

そんなことを考えてのろのろと前の時間の片づけをしていると

 

「ほら天川、さっさと隣の教室行くぞ。ここは女子の着替え場所なんだからな」

 

と横からクラスメートに声をかけられたので、着替えと体育館履きを持って移動する。ちなみに次の授業は体育だ。うちの体育は他クラスとも合同でやるんで人数が多い。早く着替えないと人混みの中を歩かないとならなくなるな……

 隣の教室に移動しさっさと着替えを済ませ体育館に向かう。どうやら今日は男子担当の体育教師が出張らしいので女子と合同の様だ。最も、合同と言っても体育館を半分にわけて男女別に何かやる訳だけど。

そんなことはどうでもいい。ぶっちゃけ体育とかマジやらないくていいから。だって正直つまらんし動きたくない。やることと言えば遊びと言っても過言じゃない球技だし。ぶっちゃけその辺で寝てても怒られないし。もはや授業じゃないだろ。

 そんなことを考えているうちに体育館に着いたので靴を履き替え体育館に入り、窓際に座りこむ。

少し経った頃、ぞろぞろと生徒が体育館に入ってきた。ま、だからどうしたって話になるから別にどうでもいいけど。

 

「……………あ~あ、退屈だな」

 

誰に言うでもなく、思わずそう呟く。すると、何故かその言葉への返事が返ってきた。

 

「なら一緒に卓球やろうぜ!」

 

一体誰が俺の独り言を盗み聞きしたのかと、声のした方を向くとクラスメートの一人が笑顔で立っていた。そういやこんな奴いたな。いつも無駄にテンション高くてやかましい奴だったことしか覚えてねぇけど。

だが、俺は動きたくない。とりあえず怒らせない程度に追い払うか。

 

「あ~、俺卓球嫌いなんだわ。適当に他の競技探しとくから他当たってくれ」

 

しかしそんな俺の言葉など聞こえていないかのように、そいつは俺の手を引っ張って卓球台の前にまで連れていく。そして、あれよあれよと言う間に対戦の準備が整ってしまった。

 

「うっし! じゃあトーナメントやるぞ!! 最初は俺と天川な!」

 

 トーナメントとはいいこと聞いた。リーグ戦は負けても試合があるがトーナメントなら負けてしまえばそこで終わりだ。さっさと負けて早いとこまた休憩に入ろう。体育は貴重な睡眠時間。寝る子は育つと言うのだから、寝ていても体を育てるってことで授業の意義を尊重してるから問題あるまい。

 

「よーし! 行くぞ天川!!」

 

「…………」

 

しかしあからさまに負けに走るともう一回なんて言われかねないので、ある程度ラリーを返す。そして、わざとテーブルの外に打ったりラケットを空振りしたりして早々と負けることに成功した。

 選手交代の指示が相手からかかったので心の中で万歳をしながら次の奴にラケットを渡し再び窓際に座りこむ。そして、そのまま目をつぶった。

     ・

     ・

 しばらく目をつぶっていると、俺の脚に何かが当たった。何が当たったのかとゆっくり目を開けると、バレーボールが近くをころころと転がっていた。恐らく俺の脚に当たったのはこれだろう。

とりあえず、どこから転がって来たのかとボールを拾い上げながら辺りを見回す。すると、見慣れた髪が視界に入り直後に聞き慣れた声が俺の頭の上あたりから降ってきた。

 

「ごめん駿君! それ私達のボールなの」

 

「……ほら」

 

もはやいちいちい見る必要もない。俺の名前をなれなれしく呼ぶ奴なんてうちのクラスには一人しかいないし。なのでまた目をつぶりながら声のした方向にボールを差し出す。

そんな俺を見たミクは

 

「駿君、大丈夫? 気分悪いの?」

 

なんてこれまたいらぬ発想をして無駄な心配をしてくれちゃったわけなんだが、ぶっちゃけただのお節介だ。なので正直に答える。

 

「……ちげぇよ。別に眠いだけだ」

 

「そっか。ボール、ありがとね!」

 

「……おぅ」

 

……どうやら危機は去ったらしい。いや、別に何か危ないことになる訳でもないから危機とは言わないけど。

 とにかく、これでまたゆっくり眠れるだろ……と思ったら今度はまた別の声が聞こえてきた。

 

「おい天川、お前何カッコつけてんだよ。ウザいんだけど」

 

……………めんどくさいのキター。出たよこういうの。頼むから登下校を一緒にしてるくらいで目の敵にしないでほしいんだけどな。こっちだって好きで一緒に居る訳じゃないんだから。

 

「…………………」

 

こういうめんどいのは無視するに限る。変に相手をするとまた厄介だからな。

 だが、それが気にくわなかったのか相手の方からチクチクと刺すような視線が送られ始めた。まぁ、だから何? って話だから無視一択だけど。

 

「……おい。無視かよ? 何とか言えよ出来損ない」

 

声的に聞いたことのない奴だ。うちのクラスではないだろうが、なら何で俺の名前知ってんだろうな。そんなこと知るつもりもないし知りたくもないけど。

 それから先は侮辱の言葉の数々が俺に向けて放たれた。相手はそれで俺が激怒すると踏んでの侮辱だろうが、そんな目的の見え透いた侮辱なんてただの騒音だ。無視すればなんてことないし、別にこの程度の侮辱なんて中学時代に腐るほど浴びせられている。今更顔真っ赤にして怒ることでもない。

 しばらく低レベルな騒音を聞き流し続けていると、辺りが騒然としていることに気付いた。一体どうしたのかと目を開けると、顔を真っ赤にして拳を振り上げている他クラスの奴が目の前に居た。

突然のことに脳が追い付かず、そのまま相手の拳が振り下ろされるのを見つめることしか出来なかった俺はもろに拳を食らい仰け反る。痛みと同時に激しい怒りが頭の塗りつぶしていきそうになったが、やり返したら負けだと思い何とか踏みとどまった。

当然辺りは大騒ぎになり、教師が走ってこっちに来たが今回は俺は何も悪くない。これで俺まで怒られるとしたらそれこそ激怒するわ。

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 体育の時間、私が取り損ねたバレーボールを駿君に取ってもらった後、突然他のクラスの男子が駿君に殴りかかった。それで殴られた駿君は保健室へと歩いていった。

 

「それにしても……なんで天川君は殴られたんだろうね?」

 

体育館からの帰り道、クラスメートの女の子の一人が私のそう声をかけて来た。

 

「分かんない……私が何かまずいことしたのかな……?」

 

「まさか。大方また天川君が挑発でもしたんじゃないの? 彼、人を怒らせるのは得意みたいだし」

 

 その子の一言に思わず反論しようとして口を開いたけど、駿君がそういうことを言ってしまうのは事実だから否定が出来ない。だから、私は口をつぐむことしか出来なかった。

そんな黙り込むしか出来なかった私の隣でまた別の子が口を開く。

 

「あ、でも今回は相手の男子が悪いみたいだよ?」

 

「へ~。で、なんでその男子は殴ったの?」 

 

「ん~? 私もちらっとしか聞こえなかったけど、聞いた感じでは明らかに嫉妬が原因みたいだね」

 

「あ~。初音さん可愛いもんね」

 

 その一言に少しだけ心臓が高鳴る。でも、私は皆が言うほど可愛くないだろうから

 

「そ、そんなこと無いよ……。私は皆が思ってるほど可愛くないって」

 

って思ったことをそのまま口に出す。すると、女の子の一人がため息をついて

 

「初音さん、あなたもう少し自分の立場理解した方が良いよ?」

 

そう言ってきた。訳が分からなくてキョトンとしてるとまた別の子が

 

「そうそう。初音さん、この学年じゃ可愛いことですごく有名だよ? 特に男子からは結構人気みたいだね」

 

って言ってきた。その一言で駿君が殴られた理由が私にあることに気付いてしまった。

 

「わ、私が……私が駿君に話しかけたから……」

 

 口に出したことが引き金になったようにすごい後悔を覚える。そんな私に皆は慰めの言葉をかけてくれた。でも……

 

「大丈夫だよ初音さん。男子なんてみんなそんなもんなんだからさ。あんまり気にしない方が良いよ?」

 

「そうそう。それに殴られたのは天川君だから別になんの問題も無いでしょ。あの人いつも自分勝手だし」

 

まただ……また駿君をけなすような言葉が皆の口から出てきた。……分かってる。皆にそんな風に言われるようなことをしている駿君が一番悪いって私だって分かってる。

 でも、でもやっぱりそんな言葉を聞くのは辛い……。皆はきっと本当の彼を知らないんだ。だからあんなことを平気で言えるに違いない。

 

(どうしたらいいんだろう……)

 

そんな悩みとともに、教室に着いた私達は着替えを始めた。

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 駿君はあの後何事も無かったかのように教室に戻って来たけど、やっぱり殴られたところが少し青くなっていた。

でも彼は本当にいつも通りまた午後の授業も受けていて、何の問題も無いような顔をしていた。

 

「これで今日は終わりでござる。号令」

 

 そして、帰りのホームルームが終わったから駿君の近くに行って一緒に帰ろうと声をかける。

 

「駿君、一緒に……」

 

「止めとけ。俺と一緒に居るとお前までとばっちり食らうぞ」

 

「別に……私はそんなの気にしないから……」

 

「……なら先に行って校門で待ってろ」

 

 出来れば他の人の視線とかそんなの気にしないで一緒に帰りたかった。でもあんまりわがままを言う訳にもいかないから、黙って言われたとおりに先に出る。

確かに、教室を出てから校門に着くまですれ違った男子が皆私の方を見ているような気がした。正直、そんなに嬉しくない。嫌でもないけれど、嬉しいとはとても言えなかった。

 そんなたくさんの人の視線を感じながら校門について、駿君を待つ。

少しして、駿君が校門から出てきたから近くによる。

 

「……待たせたな」

 

「ううん。大丈夫。さあ、一緒に帰ろう?」

 

 そう言って、アパートに向かって歩き出す。けれどなんだか気まずい雰囲気で二人ともしばらくずっと黙って歩いていた。

 

「…………」

 

「…………」

 

何か話さなきゃ、とは思うけれど何を話したらいいのかちっとも思いつかない。本当は聞きたいことは山ほどあるけれど、それを聞く勇気は私には無かった。

 結局、その後何も話すことなく駿君と別れてしまった。どうしたらいいか分からない自分がどうしようもなく嫌になって、それと同時にあの人の力になれたらと強く願いもした。

その想いは、昔私が皆に嫌われていて今の駿君の様に味方がいない状況を体験したことがあるから生まれたものなのかもしれない。

 




最近小説をほったらかしにしてゲームしてばかりしてます。すいません……やろうとは思ってるんですがどうにもめんどくさくなったりしてゲームに行っちゃうんです……
多分、この先も更新速度は亀のままなので思い出したときにチラッと読む程度で待っててくれるとありがたいです
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