そよ風に歌声を乗せて   作:おにぎり(鮭)

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 どうも、最近大学がめんどくなってきた作者です。あと、東方に浮気気味で全然筆が進んでません。
 が、近々コラボすることになったのでこちらの方も頑張りたいと思います。
 しかし、次回の更新は未定です。


第24話 テストが終わった後は

 人間、危うい目に遭うと冷や汗が出るとはいうが、実際その通りらしい。

 定期テストの最終日、最初の科目は世界史だった。これが思った以上に出来が悪い……というか、銀の戦車を扱うどこぞのフランス人を彷彿とさせるようなセリフを言いたくなるような状態だったのだ。

 もはや赤点を覚悟するレベルのものである。初っ端からここまでどん底に落とされてしまうと、後のことなどもはやどうでも良くなってしまうものだ。それがノリと勢いだけでこなせるような教科だったのならなおさらである。

 

 休み時間に入るなり、ミクが俺の名前を呼んだが要件なぞ解りきっているので先手を打ち黙らせる。と言うか、いちいちテストの出来を聞いてくるなよ、面倒くさいから。

 まだ何も言っていないだとかなんだとか、へそを曲げたような仕草をミクがするが気にしない。そんなことより家に帰りたい。いくら残りの教科が楽なもの揃いとは言え、面倒なものは面倒なのだ。

 いつの間にか入室してきていた試験監督の教師の号令で、騒がしかった教室の雰囲気が少しずつ張りつめていくのを感じながらテストの配布を待つ。ここで、二科目目が現代文でなく数学Aであることに一瞬焦りを覚えたが、直ぐに冷静さを取り戻す。

 何故なら、裏返しにされている問題用紙が僅かに透けて見え、出された問題のレベルが比較的簡単なものが多かったからだ。ぶっちゃけ、これじゃあ裏返す意味がないと思うけどな。

が、しかし最後の最後で無駄に分かりにくい問題が出てきて解答欄をすべて埋める事は叶わなかった。あのひねくれ教師め……どこまでもひねくれてやがる。

 

 とは言え、理数系科目は俺の得意分野なので、これと言って何か問題があるわけでもなく平均点以上であることを周りの連中の会話から確信することができたから多少は気分がよくなった。

 現代文のテストは、結論からして楽勝だった……漢字以外は。と言うことで俺は夢の世界へと旅立つことを決めた。何しろ、ここ最近ゲームのやりすぎで寝れていないからだ。むしろ世界史の時間に寝なかっただけでも褒めてもらいたいものである。

 テストが終わるまではまだ十分時間がある。それだけ寝れれば多少は良くなるだろう。もうどうせ、解ける場所はないからな。

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     ☆

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 結局、二日目のテストの結果は散々なものだった。赤点は流石にないとは思うけれど、あんまり成績が悪いとお父さんになんて言われるか分からない。……こんなことなら掃除なんて後回しにしてちゃんと勉強をしておくんだったと、心の底から後悔してももう後の祭り。

 そんなため息ばかりの私とは対照的に、駿君はどこかご機嫌な顔をしていた。理由は勿論、テストが出来たから。なんだか、自分が出来てないのに出来たことを自慢されるとちょっと嫌な気持ちになるかも……

 なんて、間違っても口に出せないし表情にも出せない。だって、よくよく考えれば私だって駿君におんなじことをしようとしていたから。

 それもあってか、今日は流石に余計なことをしないでしっかりとテスト勉強をした。いくら私がドジっ子だとしても同じ轍は踏んだりしない。……まぁ、強いて言えばまた駿君と一緒に勉強しようと誘うのを忘れちゃってたんだけど。

 そんなこんなでテストも最後の科目になった。世界史と今受けている現代文は全然問題ないと思う。昨日、たくさん勉強したしね。数学は……ちょっと不安が残るけど大丈夫だと思う。……多分。

 そういえば、駿君は数学出来たのかな、なんてふと気になってチラリと駿君が座っている方を見る。すると、あの人は問題を解き終わったのかシャープペンシルを放るように手放して時計を見ていた。かと思ったらそのまま机に突っ伏して寝始めちゃった。きっと、昨日もゲームを遅くまでやっていたんだと思う。……そんなに楽しいのかなぁ?

 

 とりあえず、私も頑張らなきゃと再び問題用紙と睨めっこを始めてから数分経った頃、どこからともなく気持ちよさそうな寝息が聞こえてきた。

 いったい誰が、と顔を上げて私は心の中で苦笑する。だって寝息の発信源は駿君だったから。なんだか、聞いているこっちまで眠たくなっちゃいそうな程気持ちよさそうな寝息を立てて寝ているから、私も寝ちゃおうかななんて思ったりもしたけど、流石に髪の毛が大変なことになる危険を冒す勇気はなかった。

 仕方がないから問題用紙に落書きなんかをして気を紛らわせる。勿論、描くのはネギの絵。だって私、今お腹がすいてるんだもん。今日もちょっと寝坊しかけたから、実はあんまりちゃんと朝ご飯を食べていない。

 

 お昼ご飯はどうしようか、なんて考えていたら試験監督の先生がおもむろに立ち上がって駿君の隣に立った。そして、教務手帳を振り上げて駿君を叩く。……それも一番痛い手帳の角で。

 

「っ~~~!!?」

「試験中は寝るな、この馬鹿者が」

「あ……はい」

 

 一応、駿君にしては珍しく素直に従っていたけれどやっぱり眠いのか、先生が離れた後も時々頭が上下していた。そんなに眠いのかなぁ……?

     ・

     ・

 結局、その後直ぐにチャイムが鳴って試験時間は終わった。その途端に張りつめていた空気は一瞬でどこかへ行ってしまい、みんな騒がしくする。そんな中、何時の間にか自分の席に戻っていた駿君は相変わらず机に突っ伏して眠っていた。

 

「皆の者、ホームルームを始めるでござるよ」

 

 騒がしくしている皆の声に負けじと大きな声を出したがくぽ先生の号令で、みんなが慌てて自分の席に戻る。

 皆が静かになった頃を見計らってがくぽ先生はホームルームを始めて連絡事項とかを私たちに伝えてくれた。

 

「三日間の試験、お疲れさまでござる。皆も疲れたであろうから、土日はしっかり休んでまた来週から頑張るでござるよ。ただし、今日は学校の教員が見回り指導をするから寄り道をしないで真っ直ぐに帰るでござるよ。……それでは今日はこれにて解散でござる。号令!」

 

 先生の声で、クラスの号令係の人が号令をかけてその場は解散になった。私は、きっとずっと眠っていたであろう駿君に近寄って肩をゆする。

 

「ほら駿君、帰ろ?」

「……後二時間……寝かせてくれ……」

「寝るならお家帰ってからにしなよ。もう学校終わったよ?」

「ん~……ふわぁぁ……」

 

 いかにも眠いと言いたげな表情で起き上がった駿君は、半分も開いてない目をしょぼしょぼさせながら体を起こして鞄を持った。

 

「そんなに眠いの?」

「……中途半端に眠ったのが悪かった。眠くて気分わりぃ……」

「そ、そっか……」

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 校門を出てから特に二人とも会話することなく並んで歩いていると、突然私のお腹が鳴った。

 

「~~~~~!!?」

「……? なんだお前、そんなに腹減ってんのか?」

「なっ…!? ち、違っ……!!」

 

 本当はお腹が空いてるんだけど、なんだか恥ずかしくて素直に認めたくはなかった。けれど、恥かしさでいっぱいな私の頭は言い訳を思いつく訳もなくて、口をパクパクすることくらいしかできなかった。

 そんな私に向かって、駿君はさらに爆弾を落とす。

 

「じゃあ、今日はどっか食いに行くか」

「えっ……? でっ……でも先生達が……」

「寄り道をしなければいいんだろ。私服で行けば何の問題もないだろうが」

「そ、そうだね」

 

 それにしても、どうして駿君はいきなり私を外食に誘ってくれたんだろう。……ううん、理由なんてどうだっていい。駿君が私を誘ってくれた、という事実が私にとってはとっても嬉しかった。

そして、それはそのまま表情に出ちゃってたみたいで駿君にニヤけていると言われちゃった。もう、恥ずかしくて駿君に顔も見せられない。

 だから、私は駿君を置いて先にアパートに向かって早足で歩き始めた。だって、一緒に並んで歩くなんて恥ずかしすぎて死んじゃいそうだもん。

     ・

     ・

     ☆

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     ・

「レ~ン!! まだなの~!?」

「今行くってば! ちょっとくらい待てよ!!」

 

 玄関口から待ちくたびれたような声で俺の名前を呼ぶリンに、大声で返事をして最低限の荷物を引っ掴み玄関へと走る。だけど、正直そんなに急かさなくてもいいと思う。今日はたまたま父さんも母さんも家にいないし学校はテストのおかげで早帰りだった上、さらにお昼を母さんが作ってないと来たからリンが外食に行きたがった。

 その結果が今の状況なんだけど、いくらなんでも家に帰ってから直ぐに外食に行こうとするのはどうかと思う。俺だって疲れてるんだから少しくらい休ませてくれたっていいのに。

 

「レン、遅い!」

「はいはい、悪かったな。それじゃ行きますか」

「よぉーし! しゅっぱーつ!!」

「やれやれ……って、リン! ちょっと待てよ!!」

 

 ため息をつきながら、玄関の鍵を閉めて振り返ると既にリンは目的地に向かって走り出していた。多分いつものファミレスだとは思うけれど、あいつはいつ気まぐれを起こすか分からない。だから、今のうちに捕まえないと大変なことになるような気がする。

 

「おいリン、あんまり先に行くなよ! 俺はまだどこに行くか知らないんだぞ!」

「あ、そういえば決めるの忘れてたね?」

「…………」

 

 突っ込まない。突っ込まないぞ。もうこんなのに一々リアクションを返すのも疲れるだけなんだから。リンはと言えば、そんな俺のことなど露知らずといった顔で行き先の候補を上げる。

 

「そうだ! この前お姉ちゃんが言ってた美味しいってお店行ってみない?」

「そうだな、そこにするか」

 

 実は、俺もそこに行ってみたかったからそこに行くことになった。でも、嫌な予感もするのはなんでだろう?

     ・

     ・

 さっき感じた嫌な予感はラーメンに対してだったらしい。確かにおいしそうなラーメンなんだけど、何がすごいって……

 

(ネギ多くねっ!?)

 

これだ。無類のネギ中毒者のミク姉ちゃんが教えてくれた店って時点である程度予測しておくんだったと、思いながら改めて目の前のラーメンを眺める。どう考えてもネギとその他具材との比率があっていないと思うのは俺だけなのか?

 

「ねぇ、レン? やっぱりお姉ちゃんがこの店を気に入ってる理由って……」

「皆まで言うなリン」

 

 流石にリンも驚くか。そりゃあ、丼の半分近くがネギで埋め尽くされていたらなぁ……

 改めて、ミク姉ちゃんがかなり変わった味覚をしていることを実感した。こんなにネギばっかり食って、飽きないんだろうか? 不思議だな。

 それはともかくとして、こんな変わったラーメンを出す店だからマイナーな場所かと思っていたけど意外とそうでもないらしい。仕事の合間に来ているであろう大人の人や、今日は高校生の姿もちらほらと見受けられたし、なにより開いている席がもうほとんどないくらいだったからだ。

 そこではたと気づく。高校生の制服が、駿兄やミク姉ちゃん達の奴と同じものだってことに。リンも気づいたのか、俺にアイコンタクトを送ってきた。なので、こちらもうなずいて返す。

 

(まぁ、でも二人に会うわけでもないしさっさと食べよっと)

 

 二人と同じ高校の人達がいることに少し驚きを覚えたけど、今はそんなことよりこのラーメンを食べないとヤバい。この量だ、もたもたしてると麺がどんどん伸びるだろう。と言うことで俺は割り箸を割ってネギ大盛りのラーメンと格闘を始めようとして……

 

「よぉ、チビ共」

「!!? ごふぅっ!」

「わ、わぁっ!? レン何やってるの!?」

 

 聞き覚えのある声がいきなり後ろで響いたことに驚いてむせた。苦しい。

 その後、俺のためにあたふたしてた女子二人と店員さんのおかげで大事には至らなかったけど、駿兄は笑ってみてるだけだった。

 いつも通りだな、と思いながらも駿兄の性格の悪さにため息を隠すことは出来なかった。勿論、その後満面の笑みで頭を殴られたけど。もう、勘弁してほしい。

 

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