帝国学園出身の三人(鬼道、佐久間、不動)が集まって、何やら深刻な顔をしている。
「おーい、どうしたんだー?」
気がついた守は三人の方へ駆けていった。
「いや・・・実は・・・。」
「鬼道クンが街で影山を見たってさ。」
口ごもる佐久間の言葉を切って、不動があっさり言ってのける。
「ええええええっ?!影や・・・むぐっ!」
驚く守。思わず叫びそうになった守の口をふさいだのは、
「兄さんストップ。他の人に聞かれたらどうするんですか?」
零奈だった。
(((いや、もうすでにお前が聞いてただろ・・・。)))
帝国組はそう言おうと思ったが、止めた。
・・・経験から。
「・・・で、どうだったんですか鬼道くん。
昨日は確か、イタリアエリア辺りに行ってたんですよね?」
「ああ。(何故知っている?!)・・・影山は、オレに戻ってこいと言っていた。
何が何でもお断りだが。
・・・しかし、問題はその後だった。
零奈、情報通なお前なら知ってるんじゃないか?」
零奈はハッとする。
「・・・イタリア代表監督、謎の失踪。」
「・・・まさか。」
守も気がついた。
「・・・影山はイタリア代表を乗っ取って、何かしでかすつもりだ。」
「・・・よし、イタリアエリア、行ってみようぜ!」
「私は残ります。こちらにも何か起きそうな気がするので・・・。
あと、」
零奈はチンクエディアを守に渡した。
「そちらのほうが物騒なことになりそうなので、持っていてください。」
『守さんでもBJの展開、ある程度の戦闘には耐えられるようにマスターが設定しています。』
「そ、そうなんだ・・・。」
チンクエディアの英語をなんとか理解する守。
・・・余談だが、ただのサッカーバカにしか見えない守だが、国語と英語はかなりできる。(クラスで10番以内には入る。)
そのほかは散々(一回マジで0点取った。)だが。
「やり方は、わかりますよね?」
「おう!いつも零奈がやってる感じだよな?」
「では、お気をつけて。」
守、鬼道、佐久間、不動はイタリアエリアに向かった。
イタリアエリア、オルフェウス拠点にて。
「これは・・・。」
「一体なにが・・・。」
グランドはめちゃくちゃで、辺りには倒れ伏すオルフェウスと
よくわからないチームの選手たち。
・・・よくわからないチームのほうにはどことなく鬼道にそっくりな選手がいた。
おそらく影山の刺客だろう。
「東雲!止めるんだ!あくまでもサッカーでこいつらをつぶすんだ!」
あまりにも聞き覚えがありすぎる男の声が聞こえる。
「私だってやだよ?!でもメイデンが・・・!」
空ではピンクを基調とした機械的なハンマーを持った少女が混乱している。
『目標発見。攻撃開始。』
「え?!また誰かいるの?!わあああああっ!誰かわかんないけどごめんなさああああああいっ!」
少女・・・影山は“東雲”と呼んでいた・・・は真っ直ぐ守たちの方へ飛んできた。
「わ、わわっ?!」
『守さん、セットアップを!』
「え?!わかった!
チンクエディア、セットアップ?!」
『Stand by ready. Set up.』
守は一瞬だけオレンジの光に包まれて、BJをまとう。
オレンジの上着、赤いマント、結構丈夫そうな小手、チンクエディア本体がついてちょっと豪華になったバンダナが特徴だ。
『Protection.』
オレンジのベールが守たちを覆う。
東雲のハンマー、メイデンウィッシュがガキンっと音を立てて
ベールにぶつかる。
「チンクエディア?!」
東雲は驚く。
『はい。お久しぶりです東雲さん。メイデンはすっかり無口になりましたね。』
「そうなのー!メイデン、なんか変なの!」
『排除排除排除排除排除排除排除・・・』
『はぁ、また同じパターンですね。』
チンクエディアの声には呆れがにじみ出ている。
『守さん。ちょっと体お借りしますね。』
「へ?うお?!体が勝手に?!」
『“ゴットハンド”。』
「ほえええっ?!」
チンクエディアは守の体を支配し、“ゴットハンドで東雲を捕まえる。
『東雲さん。ちょっと痛いけど我慢してください。
Bind.』
“ゴットハンド”を解除し、すぐさまバインドで東雲をぐるぐる巻きにするチンクエディア。
そして、守に構えをとらせる。
『Inazuma breaker.』
「ええええええっ?!」
守が拳を突き出すと、オレンジ色の光線が東雲を・・・正確には
メイデンウィッシュを焼き尽くす。
『ガガ・・・しゅうふk ふかの ・・・syとだうn』
メイデンウィッシュはブレスレットになり、
バインドの解けた東雲は真っ直ぐ地面に落ち始める。
「きゃあああっ?!」
『Layer shield. 』
何重にも重なったシールドが東雲をふんわり受け止める。
「ほええ・・・また死ぬかと思った。」
ほっとする東雲。
『Mode release.
ご無事で良かったです。』
「やっと動く・・・。こんなに疲れたの世宇子中戦以来だ・・・。」
ぐったりする守。
元の姿に戻っている。
「お疲れ円堂。」
「おー・・・。」
『すみません守さん。ちょっと魔力を使いすぎたようです。』
謝罪するチンクエディア。
「・・・あれ?おにーさんたち日本代表・・・?」
「そうだが、何か?」
鬼道が疲労困憊の守の代わりに答える。
「わー・・・。どんまい・・・。
見事にお父さんの策略に引っかかってるよ・・・。」
「な、父さん?!お前、影山の・・・?」
「うんー。養子だよ・・・。」
「「・・・。」」
佐久間と不動は哀れみの目で東雲を見る。
「確かにお父さんは悪いことしてきたみたいだね。
でも、それはお父さんが・・・」
「東雲、余計なことを言うな。」
「にゃ・・・、ごめんなさい・・・。」
東雲は黙った。
「影山・・・!」
「ふ・・・。
そんなことより、お前たち。こんな所にいていいのか?」
「なに?!」
「策略ってなんだよ?!」
「・・・アルゼンチン戦、今日に変更されてたよ。
もう、終わってる。」
「「・・・は?」」
ぽかんとする日本代表4人。
その時、
『通信受諾。守さん。マスターからです。』
「にゅ・・・。なんだ・・・?」
チンクエディアは通信画面を表示した。
「兄さん!無事ですか?
やっぱりはめられました!」
「くそっ!これを狙っていたのか!」
零奈と一郎太が画面に映る。
「司令塔がみんな抜けちゃってるから風丸君がキャプテンやってたけど、やっぱり主力がいないから負けちゃったよー!」
或も画面の中に加わる。
「「そんな・・・!」」
「すまない4人とも・・・オレが力不足で・・・。」
申しわけなさそうな顔をする一郎太。
「いいよ、風丸。こっちもごめんな。」
「ちょっ!円堂大丈夫か?!めちゃくちゃ顔色悪いぞ?!」
「チンクエディア?ブレイカー使わせましたね?」
『Sorry,マスター。』
「一体何があったらブレイカー使う必要が・・・。」
「ごめん。わたしのせいなんだ。」
「・・・え?」
零奈の疑問に答えたのは東雲だった。
ひょこっと画面に顔を出す東雲。
「・・・・・・・・・・・・・・・
しの、ちゃん?」
目を見開き、動揺しまくる零奈。
「・・・零奈ちゃん、だよね?」
「・・・シノちゃん、よかった。
また、会えた。
よかったよぉ・・・。」
泣き出す零奈。
「・・・えっと、わたしもいるよー?」
おずおずと主張する或。
「アルもひさしぶりー。」
「うん♪」
「「「「「・・・。」」」」」
置いてけぼりになる男子。
「えっと、君は何者なんだ・・・?」
佐久間が問う。
「わたし?影山 東雲。
うーんとねぇ・・・。アレだよ。
転生者ってやつで、零奈ちゃんの親友だよ?」
にこっと笑う東雲。
「「「「「ええええええっ?!」」」」」
「東雲、行くぞ。」
「はーい。
じゃあね、零奈ちゃん、アル、おにーさんたち!
イタリア戦で会おう!」
今まで空気になっていた影山が東雲を呼び、
2人は去っていった。
こうして、2人の親友は再び出会った。
運命は終極へ向かう。
再会(通信画面越し)。
そして陰謀の影がイナズマジャパンにおそいかかる…のか?