例としては、携帯電話を次元世界越しでも海外電話扱いで繋がるようにしたり、デバイスでナットサーフィンができたりする。
…っていう地味な技術設定があったりします。
「今日はみんなに見てほしいものがある。
シノノメ。」
「はーい!」
東雲は手に持ったDVDをレコーダーに入れ、テレビの電源を付ける。
「再生っと。」
動画が再生された瞬間、オルフェウス一同にどよめきが走る。
「これは・・・ミスターK?!」
「違うよー。映像は40年以上前のものだよー。」
誰かの疑問を否定する東雲。
「オレの予想だけど、この人はミスターKの父だ。」
「「なんだって?!」」
フィディオの発言に驚く一同。
「ミスターKの理想のサッカーは、この人のサッカーだと思う。
“カテナチオカウンター”はこの人のサッカーの延長線上にある!」
フィディオは言い切った。
「たしかに・・・!動きがそれっぽいかも!」
「あのむちゃくちゃに見える練習メニューもこのためだったのか!」
オルフェウス一同は影山の采配に疑いを持っていた。
しかし、影山の父、影山 東吾のプレーの映像を見て、納得した。
彼は、理想のサッカーを目指していただけなのだと。
「まぁ・・・今トップで居られるのはなんやかんや言って、
ミスターKの采配あってこそだもんな・・・。」
「・・・みんな、あの人を信じてみよう。
そして、勝つんだ!イナズナジャパンに!」
フィディオの言葉に、
「「「「おうっ!」」」
威勢良く返事するオルフェウス一同。
「シノノメもごくろうさま。スタンドから見ててくれよ?
オレ達の活躍。」
「うん!頑張ってねお兄ちゃんたち!」
東雲は、無邪気な笑顔で声援を送った。
試合当日。
「マモル!今日はオレ達が絶対勝つ!」
フィディオの大胆な宣戦布告。
「こっちだって負けないぜ!」
堂々受けて立つ守およびイナズナジャパンメンバー。
キックオフ。
力はどちらも拮抗している。
「先手必勝!吹雪さん!」
「うん!いくよ豪炎寺くん!」
藍がパスを回し、士郎が受け取る。
「「“クロスファイア”!」」
士郎と豪炎寺の連携技が炸裂する。
「“コロッセオガード”!」
しばらくは拮抗していたが、
「ふっ・・・。」
「しまった?!」
止められてしまう。
「今度はこっちの番だ!」
オルフェウスの進撃が、始まる。
豪快に見えて、実は繊細な、独特のプレーで攻めあがるオルフェウス。
あっという間に抜かれて、フィディオがボールを持ってゴール前へ。
「これがオレのシュート!“オーディーンソード”!」
魔法の力をまとった剣がゴールに襲いかかる。
「速い?!うああああっ!」
一点先取されてしまうイナズナジャパン。
「これは・・・!」
影山は気づいた。
この独特なプレースタイルが誰のものであるか。
「やめろ!やめるんだ!
私の目の前で全てを壊したあの敗者のマネはするな!」
彼の父、影山 東吾のものであり、
自分が、帝国学園でさせていたサッカーであることを。
「でも、これがあなたの理想のサッカーでしょう?」
「?!」
フィディオは静かな眼差しで影山を見つめる。
「どういうことだ?!」
鬼道が問いかける。
「みんな、・・・本人ですらミスターKのこと、全然わかってない!
あの人も、サッカーを愛してるんだ!」
「「なんだって?!」」
驚愕するイナズナジャパンの影山との関わりがあるものたち。
「・・・。」
一番衝撃を受けたのは影山本人だった。
イナズナジャパンの攻撃が再び始まる。
「必殺タクティクス“カテナチオカウンター”!」
「しまった、囲まれた!」
「ボールはいただくよ!」
「なっ!」
鬼道があっさりボールを奪われた。
「とりかえさなきゃ!“マーメイドディフェ・・・。」
「ごめんねっ!」
「きゃっ!」
技を出す暇もなく突破される藍。
「“オーディーンソード”!」
「“イジゲン・ザ・ハンド”!」
今度はなんとか技を出せた守。
「ちょっと遅いよ!」
「わああああっ!」
タイミングがずれて、再び点を入れられてしまう。
「すばらしい・・・。っは!私はなにを・・・?」
影山は思わず“すばらしい”とつぶやいた。
「なぜだ?私はサッカーを憎んで・・・。」
「だから言ったじゃないですか。あなたはサッカーを愛してるんだって。
サッカーを愛してなきゃ、いまごろあなたは別の手段でサッカーどころか世の中をめちゃくちゃにしてたハズです。」
フィディオは再び影山に伝える。
影山自身が否定しようとしている、彼の本心を。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「さぁ、ミスターK、指示をください!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。
私はミスターKではない。・・・影山 零二だ。」
吹っ切れて、不敵な笑みを浮かべる影山。
以前のような悪人面ではなく、
爽やかなそれだ。
「油断大敵だ!敵はまだ仕掛けてくるぞ!」
「「はいっ!」」
「やつらまたカテナチオカウンターをしかけてくるぞ。」
不動が指摘する。
「なに、問題ないさ。やつらの動きは、もう読めた。
気づいているよな?佐久間、不動。」
鬼道は帝国時代のような笑みを見せる。
「ああ!」
「もちろんだ。」
「必殺タクティクス“カテナチオ・・・」
「お前たちの動きは」
「帝国学園のスタイルと同じだ!」
帝国組がチームワークを発揮し、カテナチオカウンターが発動する前に突破する。
「しまった?!」
カテナチオカウンターのために、ゴール前のディフェンスが薄い。
「「「“皇帝ペンギン3号”!」」」
皇帝ペンギン系列の新技を放つ。
「うああああっ!」
技を発動させる前にシュートが決まった。
「そんな、カテナチオカウンターが通じないなんて・・・。」
「そんなことはない。
お前たちがまだカテナチオカウンターの全てを発揮できていないからだ。
・・・左サイドが手薄になる。そこに攻め込め。」
「「はいっ!」」
「ち、ばれたか。」
試合は前半終了間近だ。
・・・イナズナジャパンがもう1点決め、
激しい応酬の末、試合は2対2で引き分けに終わった。
「影山 零二。傷害罪、国外逃亡の罪でお前を逮捕する。」
鬼瓦刑事がやってきて、影山に手錠をかけた。
「総帥!」
鬼道は影山に駆け寄った。
・・・ゴーグルを外して。
その後ろには、イナズナジャパンとオルフェウスの一同。
「・・・もう、視界を狭くして、直感を鍛える必要がなくなった今、
それもいらないか。」
影山はふっと笑う。
「おとーさん、寂しそう・・・?」
東雲が影山を見上げる。
「いえ、いります。これは・・・総帥にもらった大事なものですから。」
そう言って鬼道は再びゴーグルを付ける。
「そうか。・・・!!」
影山は何かに気づいた。
『マスター!AMFです!』
「えっ?!」
チンクエディアの警告と同時に、エンジン音がものすごいスピードで近づいて来る。
狙いは、影山。
「え、え?」
影山の近くにいる東雲はうろたえる。
今の彼女の魔力量は、AMF環境下において魔法を使えるほど多くない。
身体能力も4歳児のそれだ。
「シノちゃんっ!」
「間に合って!」
『Quick move.』
『Reid shields.』
それは、一瞬だった。
零奈が瞬間移動して東雲を抱きかかえ、転がっていく。
影山の前にありったけのシールドを展開させる或。
トラックは止まるどころか、減速すらしない。
或のシールドを豆腐でも崩すかのようにあっさり砕いていく
「と、ま、れええええええええっ!」
『マスター!出力が強すぎます!
マスターの体が保ちません!』
ガラドヴォルグが警告するまでもなく、或の小柄な体からは、
フィードバックで骨が砕けたり、血管がブチブチ切れる音がしていた。
ピンクのカーディガンに、赤黒い染みが広がり始める。
AMF環境下で魔法を発動させるだけでもかなりの荒技なのに、
或はその上で何重にも魔法を重ねている。
そんなの、体が耐えられるはずもなかった。
或の努力も虚しく、
影山にトラックがぶつかり、大爆発を起こした。
「影山・・・!!」
「あ・・・あぁ・・・。」
冬花の様子がおかしい。
「・・・だめ、だっ・・・た。」
或が崩れ落ちる。
その下には血の海が広がり始める。
「いやああああああああああああああああああああああああっ!」
冬花は叫んで、そのまま糸の切れた人形のように倒れた。
「冬花っ!」
「ふゆっぺ?!」
「或!え、ちょっと、嘘でしょ?!」
それは、まだ序奏でしかなかった。
最後の災厄の運命の。
2台の救急車によって或と冬花は病院に運ばれた。
しかし、誰も気づかなかった。
大爆発の直後、爆煙に隠れて、影山の足元に深紅のミッド式の魔法陣が現れ、影山がその場から消え去ったことに。
「ふー・・・。あっっぶねえぇぇぇ・・・。
間に合ったか・・・。」
あるホテルの一室。
少女の声がした。
「ガラドヴォルグの危険信号がでた時点でギリギリだったけど。」
『ガラドヴォルグのシグナル、ロスト。
チンクエディアも通信応答無し。』
「サンキュ、クレイモア。」
少女の声の正体は、スオウだった。
「姉貴、この人、けっっこう火傷ひどいよ・・・。
生きてるかどうかもぶっちゃけギリギリ。」
「・・・スーパーギリギリセーフだったな・・・。」
蘭丸の言葉に若干ふるえ声で訂正するスオウ。
影山を間一髪(?)のところで転送魔法によって助け出したのはスオウだった。
「フツーに病院入れたらガルシルドに殺されちまうからなぁ・・・。
・・・ラン、頼んだ。」
「合点承知。」
『Recuperation.』
蘭丸は治療を開始した。
「スオウ、どうだい?」
1人の男性・・・スーツを着て、眼鏡をかけている。
栗色の長めの髪は1つにまとめている。
眼鏡の奥の子供のような大きな瞳は少しつり目で、色は深紅。
顔もかなり若く・・・幼く見える。
眼鏡をかけてなかったら高校生だといっても通用するだろう。
「おうよ拓也。いつでも突撃できる状態だぜ?」
神童 拓也。それが男性の名である。
神童財閥の若き総帥・・・といっても齢40歳のオジサンだが・・・
として有名だ。
「にしても・・・。なんでアラフォーのおっさんなのにそんな若いんだよ・・・。わけわかんね・・・。」
「・・・さぁ?体力はそれなりにおちてますよ?」
きょとんとする拓也。
「敬語じゃなくていい・・・。今のオレは“霧野 スオウ”であって、
“霧野 炉蘭”じゃねぇ。アラフォーのおっさんに敬語使われると気が狂う・・・。」
スオウはげんなりしている。
AMF環境下から人1人転送させたのだから当然だ。
「ごめんごめん。・・・でも、また皆さんに会えたのがすごく嬉しくて。」
拓也は少し、悲しげな目をする。
・・・30年前の悲劇を思い出したのだろう。
「そっか。・・・かわんねーな。拓也。」
「今度は瑪瑙まで失った・・・。本当は拓人に戦いに行ってほしくない。」
拓也は父親の顔になる。
「・・・でも、それは拓人の強い気持ちを裏切ることになる。」
「・・・。」
黙って聞くスオウ。
「僕はできる限り拓人の気持ちを尊重してあげたいんだ。
いつか、絶対管理局に入らざるを得なくなるから・・・。
自由なうちに好きなことさせてあげたい。
だからお願い。
・・・絶対、あの時みたいにはならないで。
無理せず逃げて。」
拓也の言うあの時とは、前世におけるスオウの死因・・・
限界を超えた魔力使用による暴発のことだ。
「だいじょーぶだって。絶対無茶はしねーよ。
つか、する必要性が感じられない。」
「どうしてだい?」
拓也の問いに、ニヤリと笑うスオウ。
「今回はとんでもねーやつらが大勢味方にいるからな。
前みたいに暴走するまでもなく、数千倍の殲滅力を誇るからな。。
最強のチビッコたち・・・名付けてチーム、“リトルフォース”だ!」
決戦の時は、近い。
拓也さん(神童父なオリキャラ)、大人になって再登場です。
ちゃんとお父さんしてます。ガルシルドのせいでシングルファザー兼財閥当主です。そして、アラフォーなのにそうはみえない。美中年ではなく、美青年にしか見えない。
基本子供思いの優しい父親だが、怒らせちゃいけない。1番怒らせちゃいけない人です。(大事なことなので2回言いました)
シリーズを最初から読んでいる人はもうお分かりですよね…?
原作ブレイク(?)影山さんは生きてます。
イナギャラアニメでさらに謎が深まりました…。ゲームの方がまだよかった…。