とある転生者の奮闘   作:白花 頼羅

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ふゆっぺ救出&潜入調査回です。

一部ギャグですが、基本シリアスです。


第10話 明らかになる過去と、暴かれる陰謀

FFI決勝トーナメント1回戦の相手はブラジル代表、

“ザ・キングダム”。

その監督は・・・。

「ガルシルド・ベイハン・・・。」

鬼道がつぶやく。

「そうだ。

・・・ガルシルドには影山や、そのほか様々な犯罪者に手を貸し、

起こした罪を財産でもみ消している疑い・・・。もはや確定したんだが・・・。

かなり悪質な手段を使って世界征服をたくらんでいるようだ。」

鬼瓦刑事が説明する。

「じゃあ、あの事故は・・・。」

「まちがいなくガルシルドの仕業だ。」

「・・・そういえば、“ハイソルジャー計画”のスポンサーにそんな名前があったような・・・。」

考え込んでいたヒロトが口をひらく。

「あ、ルーも見たよ!」

『というか、マスターを作りだ・・・失礼。

生み出すために必要だった素体を提供してきたの、その人ですし。』

瑠生とシオンも続く。

『確か、かつての零奈さんの肉片をホルマリン漬けにした物だったような・・・』

「趣味悪過ぎます・・・。

・・・って、なんで私の・・・ソレを回収できたんですか・・・。」

シオンのえげつない発言にツッコミを入れつつ、

疑問を口にする零奈。

「・・・。」

いきなりの展開について行けない虎丸。

(飛鷹は魔法を使っているところを何度か見ているので除外。)

ただただ唖然とするしかない。

まぁ、それがふつうの反応だ。

いきなり魔法(ファンタジー)とSFと血なまぐさい殺戮の世界に足を踏み入れてしまったら誰でもそうなる。

「えっと・・・。」

助けを求めるように隣の藍に目を向ける虎丸。

「・・・。」

ものすごい形相で地面を睨みつけていた。

目線だけで人を殺せそうだ。

「・・・あぁ、虎丸くんは魔法とかわかんないですよね。

大丈夫です。それがふつうだから。」

虎丸の視線に気づいた藍は表情を和らげ、笑みを浮かべる。

しかし、それは、とても悲しげな笑みだった。

「そうですね・・・。」

少し悩んでから、藍は魔法について説明した。

基本的にミッド式とベルカ式の二つに分類されていること。

科学的に解明されていること。

失われた異世界のオーバーテクノロジーで作られた“ロストロギア”の存在。

「ふぅん・・・。つまり、藍さんはベルカ式の魔法使いってことなんだ・・・。」

なんとか理解した虎丸。

「はい。」

「それと・・・。前世とか裏社会とかの言葉がよく聞こえてくるんだけど・・・。

どういうこと?」

「それは、」

困り果てる藍。

「・・・引き返せなくなりますよ?良いんですか?」

虎丸は一瞬ためらった。

藍の気迫に。

でも、意志(気持ち)は変わらなかった。

「教えてほしいな。

・・・オレ、もっと藍さんのこと、知りたいから。」

よく考えてみると、ものすごくキザなセリフを言った虎丸。

真っ直ぐな目が、藍を見据える。

今度は藍がたじろぐ。

「・・・後悔、しないでね?」

藍は話し始めた。

自分が“深海 アイ”だったころの話を。

深海姉弟を襲った悲劇を。

その頃、久遠監督と守と士郎は病院にいた。

久遠監督と守は冬花の、

士郎は或のお見舞いだった。

 

 

 

 

 

 

 

「監督、教えてください!ふゆっぺに何があったんですか?!」

守は久遠監督を問い詰める。

「・・・・・・。

円堂、お前なら冬花を救えるかもしれない。」

「えっ?」

久遠監督の言葉にきょとんとする守。

「7年前・・・。

私は冬花が転入してきた小学校で、教師をしていた。」

久遠監督は話し始めた。

冬花の両親が交通事故で亡くなって、そのショックから口も聞けず、

飲食をしなくなったため、衰弱していった。

それは、死への一直線だった。

「死ぬ事を回避するために勧められたのが催眠療法。

・・・悲しい記憶だけでなく、全ての記憶を封印することで

ショックを無くし、衰弱状態から回復させる方法だ。

・・・私は冬花の記憶を封印し、養子にした。」

「そっか。だからふゆっぺオレのことわかんなかったのか。」

久遠監督の説明に納得する守。

「・・・でもなんで倒れたんですか?」

「・・・この前の事故でショックが戻ったんだろう。」

久遠監督は守の方を見た。

「しかし、私は悩んだ。本当にそのままで、本当の両親のことを忘れたままでいいのか、と。」

「・・・それは。」

「・・・たのむ。円堂。

・・・冬花を救ってやってくれ。」

久遠監督がそう言った時だった。

「失礼しまーす・・・。」

病室に1人の少女が入ってきた。

「若葉?!なぜここにいる?!日本に居るはずじゃ・・・!」

若葉だった。

久遠監督は珍しく動揺している。

「ん、まぁ、いろいろ事情がありまして・・・。」

ごにょごにょと気まずそうに言う若葉。

「・・・ぅん・・・。」

冬花が目を覚ました。

次の瞬間。

「いやあああああああああっ!

お父さん!お母さん!おいてかないでっ!」

パニック状態に陥った。

「姉さん?!」

驚く若葉。

「・・・やはり、忘れたままでいさせるしか・・・。」

悔しそうに言う久遠監督。

「あきらめないでください監督!

オレが、なんとかしてみますから!」

そう言って、守は冬花の手を取った。

「ふゆっぺ!落ち着くんだ!」

「嫌ぁっ」

何度も何度も振り払われる。

そのたびに守は手を取り直す。

「なぁ、ふゆっぺ。覚えてるか?

初めて会ったとき、オレサッカーしてただろ?

まぁ、へたくそだったけどさ。

でも、ふゆっぺはそんなオレを見て、“サッカーの守くんだ”って言ってくれたよな。」

冬花は少し、おとなしくなる。

「その後も転校してっちゃうまで、けっこう一緒に遊んでたよな。

たまに零奈もいたっけ。」

「・・・。」

冬花は暴れるのをやめた。

「なぁ、ふゆっぺ。悲しいことを乗り越えなきゃ、何も、変わらないんだ。

思い出してくれよ。悲しいことだけじゃなくて、楽しかったこと、嬉しかったことも。」

「・・・あ。」

冬花の頬を涙が伝う。

目には光が戻る。

「・・・まもる、くん?」

「・・・!ああ!ふゆっぺ!オレだよ!円堂 守だ!」

「冬花・・・。」

「姉さん・・・。」

「お父さん、若葉ちゃん・・・。」

養父と養子、実の娘の間に沈黙が広がる。

「・・・まだ、私のことを父と呼んでくれるのか?」

戸惑いながら問う久遠監督。

「・・・たしかに、“小野 冬花”としての記憶は思い出したよ。

悲しいことを思い出して、今、すっごく辛い。

でもね。守くんや零奈ちゃんと一緒に遊んだことや、

本当のお父さんやお母さんとの楽しかった記憶も思い出したの。

もう、記憶を消してまで悲しいことから逃げるのはやめたいんだ。

悲しいこと、辛いことも全部抱えて生きたい。

久遠 道也の娘、久遠 冬花として。」

心なしか、冬花がとても凛々しく見える。

「冬花・・・。」

「もちろん、若葉ちゃんも大切な私の妹だよ。」

冬花は若葉の頭を撫でる。

「えへへ・・・。」

若葉は嬉しそうにする。

「姉さんが辛いこと乗り越えたなら、今度は僕の番だ。」

気合いの入った顔をする若葉。

「母さんの仇、ちょっくら取ってくるよ。」

「?!どういうことだ若葉!」

驚愕する久遠監督。

「2年前の決着をつけるのさ。

母さんを殺したヤツらの元締めをフルボッコにしてやるんだ!」

「?!」

「若葉!一体お前と樹咲良に何があった?」

久遠監督は怒っている。

「・・・今は言えない。でも、全部終わったら話すよ。」

「・・・若葉。危険なことは許さん。」

「大丈夫さ!僕には、仲間が・・・。最強の仲間がいるからね!」

若葉は頭のリボンをほどく。

「それに、母さんもついてる。」

「・・・。」

「じゃ、そろそろ僕は戻るね!

くれぐれも緑のモジャモジャジジィには気をつけてくれ!」

若葉の足元に淡い青の魔法陣が現れ、若葉の姿が消えた。

「若葉・・・。」

「今のは、魔法?!」

「何か知っているのか円堂?」

「あー、えっと・・・。」

「教えるんだ。」

「その・・・」

久遠監督の気迫に押される守。

「守くん?」

冬花の目が、笑っていない。

「」

守はぐだぐだになりつつも、魔法の解説をするはめになった。

 

 

 

 

 

 

 

一方、吹雪兄妹の方は。

「にゃはは・・・。失敗しちゃった・・・。」

或は意識こそ戻ったものの、かなり痛々しい姿になっている。

両手ともギプスがぐるぐる巻きで、

頭、右目にかけて包帯が巻かれ、

入院着からもちらりと包帯が見える。

「勘弁してよ・・・。本当にひとりぼっちになると思ったじゃないか・・・。」

そんなことを言いながら、微笑んでいる士郎。

「まぁ、比較的無事と言える状態だからまだいいけど・・・。」

目が、笑っていなかった。

「スミマセンデシタ。」

冷や汗をだらだら流す或。

「・・・でさ、しろ兄、お願いがあるんだけど。」

「うん?」

「ガラドヴォルグを持っていてくれないかな?」

「どうしてだい?」

『私とマスターとの魔力供給がマスターの負担になっているようです。』

ベッドの脇のテーブルの上に置かれているガラドヴォルグが言った。

「みたいなんだよねー。

ん、まぁ、それだけじゃないけど・・・。」

今度は或が黒い笑みを浮かべる。

「しろ兄、このあとガルシルド・ベイハンの別荘に潜入調査しにいくつもりでしょ?」

「な、ナンノコトデショウカ?」

動揺する士郎。

「しろ兄にもリンカーコアはあるから、多分、護身用の武器ぐらいにはなるんじゃないかな?」

『お役にたちますよ?』

「あ、うん。・・・わかったよ・・・。」

(かなわないなぁ・・・。)

士郎は悟りを開いた。

・・・妹には逆らってはいけない、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凍っとけええええええええっ!」

「「うわあああああああっ!」」

その晩、ガルシルドの別荘にて何かが凍りつく音と、SPたちの断末魔が

響いた。

「吹雪、荒れてるな・・・。」

「そう言う円堂くんも疲れてるね?」

USBメモリに機密データをコピーしながらヒロトが守に問いかける。

「あー、うん。ちょっとな・・・。」

遠い目をする守。

「ぜぇ、ぜえ・・・。」

『士郎さん、魔力切れです。』

「お疲れ吹雪!土方、帰り頼む!」

「おう!任せとけ!」

土方は今回、ザ・キングダム所属のFW、マック・ロニージョと仲良くなったが、ロニージョたちがガルシルド一味に家族を人質にとられ、

無理やり言いなりにさせられているという話に怒りを感じ、今回の潜入調査に参加した。

「あのヤロー、ぜってぇゆるさねぇ。」

「・・・うん、コピー完了。撤収しよう。」

その後無事に合宿所まで帰り着いた。

その後、データの解析を零奈と瑠生、春奈、目金が4人がかりで行い、

30分で解析終了した。

「速すぎだろ・・・。」

「ほとんど零奈さんと瑠生ちゃんですけどね・・・。」

「僕らなんてまとめるぐらいしかやること無かったですよ・・・。」

春奈と目金の一般人コンビがげんなりしている。

「まぁ、専門ですから。」

零奈(オリジナル)ができるからね・・・。」

平然と言ってのける零奈と複雑な表情の瑠生。

データの中身は・・・。

「・・・!兵器の設計図に、“RHプログラム”?」

鬼瓦刑事が読み上げる。

「それに、かなり前に破棄されたようだが、人造魔導士計画というのも

あるな・・・。」

「・・・。」

零奈は顔をしかめた。

「・・・まあ、これだけ証拠が揃えば逮捕もたやすいだろう。

協力、感謝する。」

 

 

 

 

試合当日、試合開始前にガルシルドは国際警察に逮捕された。

自由になったザ・キングダム一同はイナズマジャパンと白熱した試合を見せ、

敗北。

それでも彼らはすがすがしい笑顔を見せ、イナズマジャパンに感謝した。

試合中、ガルシルドを護送していた警官たちに悲劇が降りかかる。

護送用トラックの運転席部分をピンポイントで鉄骨が突き刺さる。

運転していた警官は意識不明の重態。出血量を見るに、助かる可能性はかなり低いだろう。

さらに、トラック後部に光の弾丸が降り注いだ。

「なんなんだ一体?!」

鬼瓦刑事は叫んだ。

「うあああっ!」

周りの警官たちと一緒に、光の雨にさらされた。

 

 

 

 

 

 

「ご無事ですか?ガルシルド様?」

小太りの男が、

空から降りてきた。

鉄骨を落としたのと、光の雨・・・正確には、射撃魔法の雨を降らせたのは彼だろう。

「くぅ・・・。」

鬼瓦刑事が瓦礫の下から這い出てきた。

「おや、生き残った虫けらがいるようです。」

「・・・殺せ。」

「仰せのままに。」

小太りの男はシューターをセットする。

「シュート。」

禍々しい闇色の魔力弾が鬼瓦刑事に向かって撃たれる。

鬼瓦刑事は死を覚悟した。

しかし、

魔法があれば、奇跡もあるだ。

『Shield.』

ガキンと堅いものが弾かれる音がする。

「ちっ、遅かったか。」

小さな背中とピンク色の髪が鬼瓦刑事の視界に入る。

それと、大きな紅の円と正方形で構成された魔法陣。

「大丈夫か刑事さん?

まぁ、待ってろ。すぐに医療班が飛んでくるから。

・・・っとその前に、」

『Zanber form twine.』

少女・・・スオウの両腕の金の小手が二本の紅の光の刃を持った大剣に

なる。

「クソジジィ!テメェをシバく!」

一気に突撃していくスオウ。

しかし、

「転送。」

「なっ!」

たどり着く前に転送魔法で逃げられてしまう。

「姉貴どうだった?!」

同じく転送魔法でこの場に駆けつけた蘭丸が問う。

「ダメだ逃げられた!

それより怪我人の治療を急げ!」

スオウに言われ周りを見る蘭丸。

「・・・わかった。全開でいく。」

蘭丸はブリュンヒルデを天に掲げた。

「天にまします我らが神よ、癒しの風を地に吹かせたまえ!」

ベルカ式の回復系の基礎魔法を少しアレンジした呪文。

『Vent de guerison.Diffusion.』

淡い碧の旋風がぶわりと巻き起こる。

それは、あまりにも強烈だった。

しかし、何も危害は無い。

風に吹かれるほど、傷が塞がる。

「奇跡だ・・・。」

鬼瓦刑事は呟いた。

「くっそぉ・・・。次は間に合わせる!」

スオウは空に向かって叫んだ。

 




次回、(魔法要素的には)最終決戦です。
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