side小雪
……兄が倒れた。それを聞いただけで私の身体には何時も表面に現れる事が少ない表情が露呈している。自分でもそれを自分自身で認識出来る。
走る奔るハシル。早く速く疾く。今はその為だけに私の身体は活動をしている。保健室に続くこの長い廊下がとても億劫に思える。兄は…兄は……!
力の制御ができなかったのか、保健室のドアを乱暴に引いてしまいけたたましい音を鳴らしてしまった。保健室の中には使用中だと思われるベットがカーテンで閉められていた。そのカーテンを静かに開けると、そこには穏やかな寝顔の兄が居た。
「………良かった……。」
無意識的に発せられた言葉が自分の耳に届くと、ふと…視界が歪んでいる事に気付いた。
「……そっか…私は泣いているんだ…。」
自分の目から流れでたモノを拭いながらただ一言…
「もう……いなくならないで。」
誰も聞くことがない呟きを残し、それはたちまち空に消えた。
side out
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暗い……息の出来ない場所に居た。酸素が空気が足りない。身体中がそれを求めているかのような錯覚に陥っている。
【×峰一刻】彼女から発せられた言葉がを聞いたときに頭に誰かの声が一緒に聞こえたような気がした。あれは……僕が記憶を喪う前の誰かだったのだろうか。その声はどこまでも優しくて、それでいて……厳しかった気がする。
周りの景色に色が付くのが解り、辺りを見回すと周りは水の中に沈んだ街並みだった。そう……此処は僕の住んでいる街だ。そう認識した瞬間、激しい鈍痛がお腹に響くのを境に僕の意識はまた闇に消えていった。
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むむ……身体が重い…。なんで僕は寝てたんだろうか?なんともなしにあたりを見回してみると、可愛い可愛い僕の妹が寝息を立てていた。何時もながら可愛い寝顔を晒している小雪に少し悪戯でもしようと手を頰にかけると
「……何してるの?」
眠り姫と化していた我が妹が円らなそれでいてちょっとひんやりした殺気を篭った目で見つめていた。えっと、愛でようかな、なんて呟くと今度は満面の笑み(妄想)を僕に向けていた。ところでなんで僕は寝ているの?と小雪に尋ねてみると何かを迷うような仕草を見せると
「自分が……倒れたの、覚えてない?」
真剣な表情を浮かべながら僕の事を見つめてきた。倒れた……そんな、こと?…いや、僕は倒れたのか、とその時の事を思い出しながら現を抜かしていると
「そろそろ…探したほうがいい……」
小さく小雪がつぶやいてきた。何を?などと言葉を濁す気はない。小雪が言っている探すもの……それは、言葉だ。僕は少し前…ある要因によって何個かの言葉が認識できない。恐らくそれの事だろう。そして、今回僕が倒れたのは記臆に関わる事だったんだと思う…。確信はもててはいないが。自分の考えをまとめていると突然小雪が僕に抱き着き
「記憶がまた無くなっても……兄さんは兄さんだし…どんなに変わったとしても兄さんの事は受け入れるよ…。」
相手の温もりを感じながら伝えられた、たわいもない言葉の群に言われる相手によって感じ方が変わるあたり人間らしいな、と感じていた。感傷に耽りながら、やっぱり僕の妹は世界一可愛いと思う僕であった。
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