夕暮れが霧に飲み込まれているような風景を正面に捉えながら僕は帰路に着いていた。倒れてから何時間も経ってから聞いた話では、僕は一日中眠りこけて居たらしい。小雪が枕元に居た時には、天国に来たのかと錯覚を起こしたかと思ったが、その様な幻想はぶち殺されました、小雪の真っ赤に燃えた拳によって。という訳で二人で帰っている訳ですが。
「……………」
終始無言なのがなんとなく辛い。理由はなんとなくわかっているのだが……寝顔を見たからだろうな…。その後に拳を思いっきり負傷者に入れたことを悔やんでいるのだろう。小雪は優しいからね。
「………あ、あの」
………?
「…ごめんなさい。」
……小雪はええこや。もじもじしながら一生懸命に謝ってくる姿がなんとも愛くるしい。はぁ、愛でたい。……はっ、危ない危ない。間違って変な扉開く所だった。
「…………」
返事をし忘れてしまったからか、とても悲しそうに見つめて来たので、小雪の手を握り締めて許すからね、と小雪の表情がとっても明るくなるのが分かると自分も安心したのか笑っているようだ。
「……ところで…今日は何かあったの…?」
……何かあった、というのは、間違いようもなく今日、僕が倒れた理由を聞きたがっている…ということなのだろう。
なんでもな
「そんな訳ないでしょ」
怒気を孕んだ声と何処から出てくるのか万力の様な力で思いっきり手が握り返される。……我ながら臆病だとつくづく思う。妹に怒られそうになるだけで怯んでしまうなんて、それでも…僕は…
なんでもないよ。先程遮られた言葉を無視するように言葉を発していた。なんでだろう、やっぱり僕はあの女の子の事を前から……そうずっと前から知っていたような気がする。だから、その子の事を守りたくて嘘を吐いた。
「…そう……」
とても人を信用している様な表情ではなかったけれど、僕はそれを勝手に納得したと思うことにした。……そういえば、家族に対して嘘を吐いたのは初めてかもしれない。
そして、そこで帰路に着けると僕は確信できた。いや、確信できていた。
「…あ、こんばんは、×波さん。…えっと、そちらの方は?」
そう、問題の人物と鉢合わせになってしまったのだから。
僕の妹だよ。とっても愛らしくて愛おしくて愛でたくなるような妹なんだ。と懇切丁寧に紹介したところ
「……キ◼︎ッ」
僕の心のダメージを軽減する為にマジックカーテンを掛けされて貰ったけど、このような返し方をされると心が壊れそうだからね。
「…………」
「…………」
転校生と小雪は馬が合わない?みたいだね。何方とも睨み合ってるだもの。何となくこの二人に挟まれると生きた心地がしないや。
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