今回は…えーと、タイトル通りですw
それではどうぞー!
~翌日~
「さて、それでは行きましょうか♪」
「待てコラ」
昨日のことなど何も無かったかのように平然と外に行こうとするので流石に止めた
「オマエ、自分がどういった立場かわかってンのか?」
「確かに私は狙われていますが今日は外で行う予定だったのでまってくれている方はたくさんいます、この程度で私を信じてくれている民を裏切る訳にはいきません」
神子はどうしても外に行きたいらしい、短い付き合いだがわかったことがある。それは一度決めたことは貫き通すといったところだ。そんな一途な所を民は慕っているのだろうと思う。上に立つもので自分のことしか考えない輩を慕う奴はいないだろう
「…勝手にしろ、俺は別で動くからな」
「ついてきてくれないんですか…?」
神子は不安そうな顔をして一方通行を見つめてきた
「勘違いすンな、昨日観衆の前で布都と戦ったせいで俺に注目が集まってるから目立たないようについていくって言ってンだよ」
一方通行は外見てみろと窓を指差してきたので見てみるが、いつも通りの賑やかな通りだったので神子は首を傾げる
「あそこの建物の横を見てみろ、男が三人いるだろ?アイツら昨日の夜から張ってるぞ」
「え、そうだったんですか?」
「もう少し危機感持てよ…」
「ですが、貴方が守ってくれるんでしょう?」ニコニコ
「…チッ」
「太子殿、準備ができました」
「では行って参ります」
神子が牛車に乗って出掛けていった所で現状の確認をしてみた
(あそこの男達は今のところ放っておいても問題ねェだろ、大方アイツにお近づきになりたいって所だろうから攻撃を仕掛けてくるなら俺に来るはずだ。問題はそれ以外の奴ら、昨日の殺す気は無いが矢を放ってきた奴とさっき神子の後を追って行った殺る気満々の奴ら、恐らく別口から狙われてるンだろうな)
一方通行は大きなため息をついた
「面倒くせェが一度アイツに狙われるような理由があるかどうか聞いてみるか…」
そう言って一方通行は影に溶け込み神子の後を追った
「……であるからして、我々は力を合わせて生きていくべきなのです!」
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!
その通りだ! 神子様! 神子様万歳! 神子様かっこいい! ぜひ握手してください! 貴女についていきます!
「すげェ人数だな、よっぽど信頼されてるってことか」
一方通行は大きな木の上でそれぞれの位置を確認していた。神子は高台で演説(?)のようなことをしていて両脇に屠自古と布都が控え、観衆は高台の正面辺りに固まっていた
「観衆の中にはさっきの奴らはいねェな、だが特に厄介なのは殺気を持たねェクソ野郎だ」
(一応ユキとクロにも下で巡回させてるが効果は薄いだろうなァ、とりあえず神子をつけていた奴をとっとと始末した方が無難だろォな)
『兄ちゃん、怪しい物を見つけたよ!』
「どこだ?」
『高台に陣のようなものが仕掛けられています、恐らく術者がいます』
「場所を特定できるか?」
『……神子様の高台から北北西へ2㎞程離れた大きな建物の屋根の上です』
「よく見つけたなァ…人数は?」
『探索用の術を使ったしね、屋根の上には2人かな』
「他に怪しい奴はいたか?」
「いいえ、確認できるかぎりではいません」
「ならオマエらは下でそのまま巡回してろ、上は俺が行く」
『『わかりました(わかった!)』』
二人との意思の疎通による会話を終えた一方通行はユキの言っていた方角へ飛びさっていった
「風、視界、共に問題無し、殺れるか?」
「問題無い」
男達が術を発動させようとした時
「はァい、クソ野郎共」
「「!?」」
「オマエらがアイツを狙ってる奴だろォ?」
「そ、それは…!?」
「次ィ!」
「あぁぁぁぁ!足がぁぁぁぁ!」
何かを喋ろうとしたが血流を操作され『ボン!』という音と共に血を辺りに撒き散らしながら絶命した。もう一人の男は逃げようとしたが、足をもがれて逃げられなくなってしまった
「何でオマエらはアイツを狙う、それで何か得することはあンのか?」
「得すること何て無いがあいつは化け物だ!人の心を読み、知られたくない所まであいつはわかるんだ!それが恐ろしいことだと思わないのか!?」
(…やっぱりそういった口から狙われてるか)
初めて会ったときに神子は「人の聞きたくない所まで聞こえてしまう」と言っていた。10人の声を聞くこともできるのだろうが恐らく『聞こえすぎる』ということ、心の中も読めるせいで一部の人には恐れられる存在になってしまったのだろう
(そりゃ、勝手に心の中を覗かれると思ったら疑心暗鬼になるだろうな)
「く、くくく…」
「あァ?」
「気付いていないのか?『向こう』が静かになっていることを」
「っ!?」
慌てて振り替えって神子の方を見てみると、さっきまであんなに騒がしかった広場が静まり返っていて悲鳴のような声も聞こえてきた
『お兄様!すぐに戻ってきてください!』
『このままじゃ神子様が殺されちゃうよ!』
「チッ!」
男の息の根を適当に止めて一方通行は急いで神子の元へ飛んだ
「化け物か…」
「な、なんですか貴方達は!布都と屠自古を離してあげてください!」
「ダメダメ、こいつら離しちゃったら俺らが危ないからさ」
「それにこいつら離したら下であんたを慕ってる奴らが真っ赤な花を咲かせることになるけど?」
「太子様…!」
「太子殿!お逃げ下さい!」
「…私をどうしようと構いません、二人と民を解放してくれませんか」
「いいだろう、ならまずは腰の武器を下ろせ」
「太子様!」
「下ろしたな?では俺達についてきてもらおうか」
「太子殿を連れていくな!」ガブッ
「がっ!」
布都は自分を掴んでいた男の腕に噛みつき、拘束から逃れることに成功したので神子の元へ助けに行こうとしたのだが
「痛っ…調子こいてんじゃねぇぞガキがぁ!」
ズバッ!
「え…?」
ドチャッ
激昂した男が布都の背中を刀で切り飛ばし、布都は倒れこんだ
「布都!?」
「布都ぉぉぉ!!」
「暴れんな!」
「嫌!布都、布都ぉ!」
神子は男達から逃れて布都の元へ駆けつけようとするが所詮は女性の力、なす術もなく押さえつけられて男達と共へどこかに瞬間移動していった
「チッ!遅かったか!」
「一方通行様…布都が、布都がぁ!」ポロポロ
布都の刀傷は左肩から右腰辺りまで伸びていて、一目見ただけでそれがどれだけ深い傷かわかった。既に目は光を失っていてとても危険な状態だった
「神子よりまずはコイツからだ!」
(出血が酷ェな…背中から流れる血を変換、そのまま背中の血管へ戻すと同時に体の再生機能を操作、傷の修復を早めて血を止める!)
「お兄様!」
「布都さん!」
「オマエらいいところに来たなァ、出血は止めたが傷口は開いたままだ。慎重に屋敷に連れて帰って治療してやれ、屠自古、オマエも屋敷に戻って布都を診ててやれ」
「で、ですが…太子様を…」
「…!」
一方通行は恐怖で立ち上がることができない屠自古の胸ぐらを掴み上げ、自分に引き寄せた
「テメェ、その様でなに言ってンだァ?立つことすらままならねェガキなんざ役に立つ訳ねェだろうがァ!行ったところで殺される、命が助かったところで二度と人前には出られねェ体にされンのが関の山だってことぐらいわかってンだろォ!!役に立ちたかったら力を付けろ!守りてェ奴がいたら自分で守れるぐらいに強くなれ!オマエじゃそこらのチンピラを倒すこともできねェだろうが!!」
泣きじゃくる屠自古を地面に叩きつけ、一方通行はどこかへ行こうとしたが歩みを止めて僅かに振り返った
「今の所、オマエにできるのはソイツの看病ぐらいだ。まずは自分のできることをやれ、それが自分の力になる」
「わが…わがり…まじだ…」グスグス
「いくらなんでも言い過ぎじゃ…」
「兄ちゃん…」
「…」
今度こそ一方通行はどこかへ飛び去っていった
「ここまでコケにされたンだ、楽に死ねると思うなよ…」
一方通行の通った後は赤い残光が残っていた
「ぐぁっ!」
殴られ
「ごふっ!」
蹴られ
「がっ!」
踏まれる
物心ついた頃から私は人の心の声が聞こえた、自分自身は聞くつもりはないのに聞こえてきてしまう。それにより人を信用することができなくなってしまった、たった7歳の子供がだ。ひたむきに能力を隠し続けていたが隠し事はいつかバレること、いつの間にか里に広がり、今まで優しかった人々が掌を返したように私に敵意を向けるようになった。殴られ、蹴られ、踏みにじられる。両親にも、友達にも、知らない人にも暴力を受け、蔑まされた。里にはいられなくなって都に流れ着き、ひっそりと暮らすことにした。だがある時、当人はあまり気にしていないが、私にとっては重要な出会いがあった
『む、お主は誰だ?』
『わ…私ですか?』ビクッ
『その他に誰がいるのだ』
『…え…うぅ…』
『あぁいや、無理して言わなくてもいいのだ。我は物部布都、ここいらを纏めておる』フンスッ
私より小さな子供が無駄に自信満々でそう答えた、初めはなかなか馴れない所があったが次第に打ち解けていった。ある時布都に能力のことを知られたときにはまた蔑まされるのかと思ったが布都は逆に『凄い!』と誉めてくれた。そんなある日、布都の一言が私の人生を変えてくれた
『その力を使って多くの人々の悩みを聞いて答えてあげることができたら自然とお主の周りに人が集まって来るのではないか?』
この一言がきっかけで私の人生は好転した。コツコツと人の悩みを聞いている内にどんどん私を信頼してくれる人達が増えてきて、心を読んでも自分のことを悪く思っている人はいなくなった。そのうちに屠自古も私に仕えるようになって今の生活がなりたっていたのだが
それも、崩れた
「なんだぁ?天下の太子様も大したことねぇな!」グリグリ
「あ…うぅ…」
「ただ殺すだけじゃ勿体無いなこいつ、なんか有効活用できないもんかね?」
「じゃあさ、俺らの慰み者になってもらおうか?」
「いいなそれ、化け物には丁度いいか」
「い、嫌っ!」
神子は縛られている手を使わずに動かすことのできる足だけでなんとか立ち上がって逃げようとするがすぐに捕まってしまう
「そんな嫌がんなって、優しくしてやるからさ」サワサワ
「触らないで!」バキッ!
「ぐわっ!」
「おい、大丈夫か?」
「っの女、下手に出てりゃいい気になりやがって!」パチン
男が指を弾くと広々とした木造の倉庫の影から弓矢を構えた男達が大量に出てきた
「ひっ!」
「おい、死んだら元も子もないだろ」
「死んでも暫くは温かいから問題ない、殺れ」
「きゃああああ!!」
神子は縮こまったがその程度では迫り来る矢を避けることはできない
(このまま死ぬのでしょうか?結局、一方通行さんに何も…)
助けて…
バゴォォォォォォン!!!
突然倉庫の屋根が崩壊して、落ちてきた赤い残光と共に白い影が私の目の前に現れ、全ての矢を防いだ
「おいおい」
その人は今までの中で表面上でしか心の読めなかった人
「オマエら、簡単に『人』を化け物化け物言うンじゃねェよ」
異性で初めて私のことを『守ってやる』と言ってくれた人
「本物の『バケモノ』ってのはなァ…」
初めて、私が好きになった人
「こォいうのを言うンだぜ!!」
「一方通行…さん…」
燃えるように赤い瞳を爛々と光らせながら、一方通行は神子の元へ駆けつけた
今回はここまでです
ヒロインのピンチに駆けつけるヒーロー、かっこいいですね…
それではまた次回!