今回で神子との話はおしまいです
それではどうぞー!
「私は霍青蛾、太子様に薬を渡した張本人ですわ」
ダァン!
突然後ろに現れた青蛾という人物を一方通行は振り返りざまに首を掴み上げ、壁に叩きつけた
「ぐっ…!」
「テメェ、あれが毒だってことを知っていたな?」
「えぇ」
「…その無機質な感じ、まさか俺と神子が会った日に矢を放ってきたのは」
「私ですわ」
ゾワッ!
一方通行から途方もない量の殺気と妖力が溢れだす。今まで冷静を保ってきた青蛾だが顔色が変わり、冷や汗をかき出した
「テメェ…ぶっ殺す!」
「待ってください、一方通行さん」
「あァ!?」
「青蛾に薬を譲るように頼んだのは私です」
「…どォいうことだ」
「青蛾に出逢い、道教を勧められて信仰したのはいいのですがある時自分に限界を感じたのです。このままでは皆に私の力を見せることができないと…」
「それで不老不死に手を出したっていうのかァ!?」
「…はい」
一方通行は青蛾を睨み付けて首を掴んだ手を更に強く握りしめた
「なぜコイツに道教を吹き込んだ、なぜ不老不死の薬は毒だと教えなかった?なぜコイツを狙った!!」
「私は人が好きです、ですから面白そうな人間を見つけて惹かれていく、ただそれだけの事ですわ。矢を放ったのも早く道教を広めなければ、という焦りを引き出すためのもの、ですが…」
「それも潮時ってかァ?」
「飽きてしまうのですよ、同じ人間ばかり見ていると」
その時、一方通行の背中から黒い『何か』が滲み出てきた。神子を助けるときに出現した黒い翼の比ではなく、一方通行の心の『闇』をそのまま具現化したような、禍々しく見ているだけで気が狂ってしまう程のどす黒い得たいの知れない力が渦巻いていた
「テメェ、カクゴハデキテンダロォナァ?」ミシミシ
「ぐぅっ!」
頭を叩き潰そうと左手を降り下ろしたが無理やり起き上がった神子が止めた
「ドケ、オマエモロトモコロスゾ」
「一方通行さん、全ては私が判断して選んだ道です、その事には後悔はしていません。ですので青蛾を許してあげてくれませんか?」
「…」
一方通行は青蛾を乱暴に床に叩きつけると早足で部屋から出ていってしまった
「ごめんなさい、一方通行さん…」
神子が倒れて1日目、まだ歩ける程には元気なので少しは安心した
2日目、また咳をよくするようになってきた、少し顔色も悪い
3日目、激しく咳き込み、過呼吸になることがしばしば出てきた
4日目、ろくに歩けなくなってきた
5日目、起き上がることも難しくなってきてしまった、食事もとることができなくなるほどに衰弱してきた
6日目、寝たきりになり、度々意識が無くなるようになった
「…そろそろみたいですね」
「…そォか」
7日目、喋ることもままならない状態になった神子が一方通行に話があるということで部屋に呼んだ
「まさか一方通行さんが妖怪だとは…」
「悪かったな、騙してて」
「いえ、お互い様ですよ」ニコッ
(チッ、辛いなら無理して笑うなよ…)
暫しの沈黙のなか、神子が口を開いた
「私は、尸解仙というものになろうと思います」
「尸解仙?」
「自らの死に呪いをかけて、なにかを器にして永き時を経て復活するというものです」
「…」
「暫くお別れですが、また会えますよね?」
「あァ…」
「一方通行さん、心の闇に負けずに、正しき力を正しき事に使って下さい。その瞳が真っ直ぐ、濁らないことを祈っています…」
「心配すンな」
「一方通…行さん、私は…あな…たの事…が……き……です…よ」
神子は深く眠ってしまった、尸解仙になって復活すると言っていたので待っていればそのうちフラりと戻ってくるだろう
(最後の言葉は聞こえなかったが…起きてきたときに聞くとするか)
神子の部屋を出ると布都と屠自古が部屋の前に立っていた
「太子殿は?」
「眠った、オマエらはこれからどうすンだ?」
「ひとまず太子様を安全な所に匿った後、私達も太子様を追って眠ります」
「太子殿が我らの器を用意しているはずなのでな」
(ヤロォ、何もかもお見通しだったわけか…)
あの時買っていた壺がそうなのだろう
「では、また会いましょう」
「今度は負けぬからな」
「あァ、じゃあな」
一方通行は少し離れた場所で神子の屋敷を見下ろしていると後ろに気配を感じたので振り返ってみると青蛾がいた
「あの時は助けていただき感謝します」
「勘違いするなよ、オマエを助けた訳じゃねェ、アイツの意思を尊重したまでだ」
一方通行は青蛾を睨み付けて吐き捨てるように言った
「今回はアイツに免じて見逃してやるが、次同じようなことを見かけたり聞いたりしたらオマエを殺す」
それだけ言って一方通行は音速を越えたスピードで飛び去っていった
「…まさか、『人妖大戦』の生き残りの一人である『白き英雄』にたてつく程バカじゃありませんよ」
いかがだったでしょうか?
次回は新章に突入、あの二人が再会します
お楽しみに!