今回は上条さんが大暴れします
それではどうぞー!
明日が月から迎えが来る日、輝夜は育ててくれた翁達に別れの言葉と礼を言い『蓬莱の薬』を渡した。その事を聞き付けた帝が派遣した大勢の軍隊が輝夜の屋敷を取り囲むようにして防衛線を張り、月からの迎えを撃退しようとする作戦が展開されたが、上条はこの事について不安に思っていた
「うーん…」
「辛気臭ェ顔してどォした」
「いや、恐らく月の住人達の戦闘能力はこの時代の人達では対抗できないんじゃないかって…」
「確かにその通りだ、まず勝てるわけがないが…役には立つ」
上条には理解できなかった、それを察したのか一方通行は溜め息を一つついてから話始めた
「いわば陽動だ、月の連中は俺らがいることを知らねェ、あえてただの地上の人間しかいないと思わせた所を突く」
「…作戦はお前に任せるけど、ちょっと出掛けてくる」
「オイ、何処にいく」
「万が一の保険さ、夜までには戻るよ」
そう言って上条は部屋を出ていって入れ変わるように輝夜が部屋に入ってきた
「作戦会議はもう終わり?ツンツンは?」
輝夜は仲良くなったことをきっかけに上条達のことをあだ名で呼ぶ事にしたらしい。ちなみに上条は『ツンツン』一方通行は『アクセラ』らしい(わりとそのままだったので一方通行はホッとしていた)
「あァ、上条は用事があるって言ってどっか行った」
「なーんだ、つまんなーい」
輝夜は床にゴロリと転がると着物が捲れ上がってかなりギリギリなところまで裾が上がってきたが、その程度で心が揺れる一方通行ではない
「オイ、下着が見えるぞ」
「キャア!」バッ
「恥ずかしがるぐらいなら寝転がるなよ」
「う、うるさい!」///
「……てなわけで頼めるか?」
「はぁ…しょうがないわね…」
「お任せください!」
「任せろ~!」フラフラ
「腕がなるねぇ」ゴキゴキ
「了解、じゃあ早速だけど準備しちゃおうか」
そしてその夜、夜空には大きな満月が浮かび上がっている。輝夜は屋敷の一番奥の部屋へ、上条と一方通行は…この場には居なかった
(はぁ…私なにやってんだろ)
実は輝夜は嘘をついていたのだ迎えが来るのは1週間後ではなく6日後、つまりは今日だ
(いくらあの伝説の英雄といえど月の科学力には敵わないわよ…)
「それで私を助けるために死んだら寝覚めが悪いじゃない、そりゃあ助けてやるって言われたときは嬉しかったけど…」ゴニョゴニョ
輝夜が一人で悶々としている時、遂にその時がやって来た
「来たぞー!」
「撃て撃てー!」
兵士達が狙いを定めているのはおとぎ話に出てくるような牛車などではなく、それをもっと機械化したような、いわばUFOのようなものだった。そんなものに矢や槍を放ったところで傷一つつけることはできない
「き、効かない…」
「何か光ってるぞ!」
牛車に取り付けられた金属質な筒から赤い光が放たれると同時にその光を浴びた兵士達は一瞬で蒸発した
「なんだ今の光…」
それは上条達の家からも見えた
「あの方角…まさか…行くぞ上条!」
「あ、あぁ!」
「姫様、お迎えに上がりました」
ぞろぞろと男達が降りてきて、その部隊の隊長の男が話しかけてきた
「嫌よ、帰らない」
「我が儘はお止めください、貴女は月の姫であるのです。さぁ、帰りますよ」
「帰ったって人体実験されるような場所に?お断りよ、意地でも帰らないんだから」
「やれやれ、仕方がありませんね」
隊長が道を開けると少し後ろの方で輝夜のことを見つめている姿があった
「永…琳?」
「姫様…」
永琳は冷めた表情で輝夜に近づいて行き、耳元で囁いてきた
「どうしても帰りたくないと?」
「勿論よ、それよりも面白い物を見つけたし」
「そうですか…なら…」
永琳は背中に掛けてあった弓と矢を取り出して輝夜に突きつけた
「永琳…何を…?」
「暫く眠っていて貰います、当たり処が悪くても不老不死なので大丈夫でしょう」
「では永琳様、早速…」
「貴方達が、ね」
「へ?」
永琳が放った矢は3つに別れて隊長の両サイドにいた部下の頭を貫いたが隊長には避けられてしまった
「まさか、貴女まで裏切るとは…もっと合理的な方だと思っていたのですがね。この戦力差は覆せませんよ?」
「おあいにくさま、昔御世話になった人達に諦めの悪さを教わったのよ」
「やれやれ、面倒な事です…殺れ」
ヒラヒラと降っていた手を隊長が下ろすと部下達が構えていた銃を一斉に発射した。それをやり過ごしながら永琳は輝夜の手を引っ張って逃げる
「永琳、大丈夫なの!?」
「恐らく大丈夫でしょう、このままいけば逃げ切れるはず…」
「そう簡単には逃がしませんよ?」
「「!」」
声がした方向を見てみると行こうとしていた屋敷の出口の上に隊長が立っていた
「殺さなくてはいけないのは非常に残念ですが致し方ありませんね」
「何をっ…!」ガクッ
「永琳!?」
永琳は背後からレーザー銃で狙われていた事に気づかず、両足を撃ち抜かれて膝をついてしまった
「貴女は不老不死といえど痛みを感じないわけではない、動けないでしょう?…次は両腕だ」
部下は指示された通りにレーザー銃で両腕を撃ち抜いた
「あぁあぁぁぁああぁぁああぁ!!」
「嫌ぁ!永琳!」
「小娘共々連れていけ」
「離して、離してよ!永琳!」
「姫…様…」
「それ以上喋らない方が身のためだぞ?余計なことするとその頭を吹っ飛ばしたくなる」チャキッ
隊長は大口径のレーザー銃を永琳の頭に近づけると永琳はクスリと笑った
「あら…とうとう…化けの皮が剥がれて…きたわね」
「死ね」
隊長が銃の引き金を引こうとしたその時
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「ちっ!」バッ
「…一旦離れるぞ」
駆け付けた上条と一方通行は永琳と輝夜を庇うように立ち塞がり、二人を少し離れた場所へ連れていった
「当麻なの…?」
「あ、えーと、久し振り?」
「馬鹿…心配してたのよ!?」ポロポロ
「悪かったって…」
『当麻君、まずはあいつを倒さないと…』
いきなり現れた二人に獲物をかっさらわれたせいか隊長は怒りに震えていた
「…そうみたいだな」
上条は永琳を輝夜に預けて離れていく
「あ…」
「心配すんな、すぐ戻る」
「…えぇ」
「輝夜、永琳のこと頼んだ」
「うん…」
「貴様ら…まとめて地獄へ送ってやる…」
「行くぜ相棒」
「あァ」
「「幻想をぶち殺しに!」」
「死ねぇ!!」
『行こう、兄ちゃん!』
『お守りします!』
「あァ!」
隊長は部下と共にレーザー銃を乱射し、上条と一方通行を狙うが上条はそれを回避しつつ徐々に隊長との距離を積めていく。一方通行は部下の放ってきたレーザーを反射し、反射しきれないものは刀で弾き、周りにはびこる雑魚を減らしていく
「うぉぉぉぉぉ!」
「くっ!」
武器を用いての接近戦に持ち込まれた隊長は腰に取り付けてあったビームサーベルを引き抜き、上条に斬り掛かった
「うわっ!」
辛うじてこれを回避するが、絶対に受けることはできない。いくら妖怪の力を手に入れて頑丈になっているとはいえ、とても耐えきれるものではないだろう
「力を貸せ、一方通行!」
「っ!」
「甘い!」
部下を一掃した一方通行は上条の合図で左右から同時に隊長を武器ではなく直接攻撃するが何か壁のようなものに阻まれて攻撃が届かなかった。それだけではなく、見えない壁に触れた瞬間に手が焼け爛れてしまった
「これは対妖怪に開発された特殊防壁だ。あらゆる能力、妖力を無効化する」
「チッ、面倒な物作りやがって…」
悪態をつく一方通行だが、今の防壁に触ってしまったために左手が焼け爛れていた
「これは使いようによっては檻のようにすることができてな、こんな風に…」
その言葉と同時に上条と一方通行の足元から先程の防壁が取り囲むように展開される。上条はギリギリのところで脱出したが、反応が遅れた一方通行は閉じ込められてしまった
「一方通行!」
「次はお前の番だぞ」
再び上条を捕らえようと足元に防壁が展開されるが2度も3度も同じことに引っ掛かるほど上条も馬鹿ではない、急いで範囲の外に脱出するが、先程の防壁を小型化した球体が数発上条に向かって飛来してきた
(くそっ!避けきれない!)
『逃げて…当麻君!』
バチィッ!!
「うわっ!?」
急にカスミが上条の手を弾いた。そのおかげで上条は球体から逃れることができたが
『きゃあぁぁぁぁ!!』
パキィィン!
「カスミぃぃぃぃ!!!」
大きなダメージを負ったせいか、上条の武器とそれに宿っているカスミが粉々に砕け散ってしまった。あの武器は自らの素材で作ったものなので妖怪として認識されてしまったのだろう
「てめぇ、絶対に許さねぇぞ!!」
「だからなんだ?どうせお前にはこの俺を倒すことはできないだろう」
確かに攻撃が届かない以上どうしようもない『ある方法を除いては』
「終わりだ、失せろ!」
「っ!」
また球体が飛んでくるが上条はそれを避け続ける。これでは埒が空かないと思ったのか遂に隊長が止めを刺しにでた
「潰れろぉぉぉぉ!!」
「がぁぁぁぁぁぁ!?」ミシミシ
数は一つしかないが巨大に生成された球体は上条を地面に叩きつけた。上条の体からは骨が折れるような音や肉が千切れていくような音が聞こえてきた
「が…かはっ…」ピクピク
「弱すぎる、つまらんな…さてと」
隊長は大口径のレーザー銃を永琳達の方へ向けた
「…なんのつもりよ」
「決まってますよ、ここで跡形もなく始末するんですよ。私の素顔を知った以上生かしておくわけにはいきませんからねぇ?」
「あら、どうするのかしら?私達は蓬莱の薬を飲んだ不老不死の人間よ?」
でかい口を叩いてはいるが輝夜は焦っていた、薬の効果など月の技術に掛かればなんということでもないだろうし今始末できる算段もついているのだろう。ここで死んでも元には戻るがその間に薬の効果を無効化されてしまえばそれまで
「二人まとめてあの世行きだ」
「永琳…!」ギュッ
(このまま…守れないで…終わるのか…?)
そう思い、目を閉じかけたとき
…あのときみたいに助けてよ…当麻…
永琳の細い声が聞こえてきたような気がした、そしてその声が上条を再び立ち上がらせる
(まだ…終われねぇ!!)
「くたばれぇ!」
バシュッ!!
人を軽く3人程は飲み込むほどのレーザーが放たれ、輝夜は死を覚悟したがその前に満身創痍の上条が立ち塞がった
「バカ野郎!オマエには物理的な攻撃は受け流せねェだろォ!」
一方通行の言う通り、上条が受けることのできる攻撃は能力やなんらかの異能の力、そして妖怪の力で耐えきれる程度の物理的攻撃のみ。一方通行のように演算によって証明されているものであればどんなものでも操作して受け流すことはできない、上条がレーザーに立ち向かえばたちまち蒸発してしまうだろう
「う…おぉぉぉぉ!」
しかし上条は臆することなく『左手』をレーザーに向かって突き出す
バババヂィ!!!
上条よ左手はレーザーを弾いたのだ。それに応じて突き出していた左手と前に出していた左脚が青い炎に包まれてメラメラと燃えていた
「俺は弱い…誰かを守るだけでここまで傷を負っちまうんだからな、だけど…誰かを守るためならどんな手でも使ってやる。例え俺が軽蔑されようとも、異端の目で見られようとも!」
上条の左手脚の皮膚が燃え広がり、中の骨格が見えてきたが、それは骨のような白ではなかった
「お前が…こいつらを殺そうってんなら…」
見えてきたもの、それは…
「まずは、その幻想をぶち殺す!!」
真っ黒な鋼鉄で作られた義肢だった
「なんだ…それは?」
「お前に言う義理なんかねぇ!!」
ドンッ!
上条は強く踏み込み、隊長に向かって走り出した
「ちっ!」
隊長は球体を飛ばしてくるが全て左手であしらった。少し力を加えれば球体はいとも簡単に砕け散った
「くそっ!」
次は自身の周りに高密度な防壁を張る
「烈火 昇華鋼拳撃発!」
上条の左腕がブーストし、爆発的な加速を得て防壁を殴り付けるとヒビが入ったので更にブーストして押し込み防壁を破ると隊長にアッパーを喰らわせて上空へ打ち上げた
「業火 鋼脚天下砲撃全撃発!」
「ぐぉぉぉぉ!?」
左脚を連続でブーストさせて加速を繰り返して放たれた踵落としは隊長の鳩尾を捕らえ、地面に叩きつけられた後、ピクリとも動かなくなった
「殺したの…?」
「いや、殺してはいない。できることなら殺しはしないって主義なんだ」
「ふーん…」
「上条、その左手脚は…オイどォした?」
「…」
上条は後悔していた、一人だけ守ることのできなかったことを
(カスミ…すまねぇ…!)
「なにが?」
「うわっ!?」
「テメェどっからでてきたンだ…?」
「あそこから」
カスミが指を指したのはバラバラになった上条の剣だった
「え、憑依してなくても大丈夫なのか?」
「大丈夫じゃないから当麻君の左腕に憑依してる♪」
「怖っ」
「当麻…」
「あぁそうだ!永琳を早く治療しないと…紫!」
「はぁ~い、ゆかりん登場~」ニュッ
上条が声を掛けるとスキマから紫が『ヌルリ』と飛び出してきた
「いいから早く例の場所に連れていってくれ頼むからマジで」
「んもう連れないわね、そちらのお嬢さん二人と…」
「…」ゴゴゴゴ
「…」ゴゴゴゴ
この前のことがあってから紫と一方通行の仲はすこぶる悪い、顔を会わせる度にマジの殺し合いが始まる程に
「頼むから今はやめてくれ」
「チッ…」
「おい」
「殺しそびれたわね…」ボソッ
「おい!」
なんだかんだあってようやく永琳を休ませることができる事のできる場所へ紫のスキマで移動する算段がついたのだが
「ごめ~ん、当麻の右手が邪魔でスキマを通れないから歩いて来てね♪」
そう言って皆を連れて行ってしまった
「ふ…」
不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
都全体にこの声が響いたという
今回はここまでです、長かった…
え?上条さんの義肢のやつをどっかで見たことがある?き、気にするな!ああいうのに憧れて何が悪い!その事については次回に書くので勘弁してください
それではまた次回!
ps.キャラ設定を更新しました。ですがネタバレも含むので次回の話が終わってから見る方がいいと思います