今回は映姫が屋敷に訪れた訳ですね
それではどうそー!
「…このようなことがあり、私は一方通行と知り合いました」
「なるほど、そちらの貴女は?」
紫は映姫の隣に座っている赤毛の女性を見た
「あたいは小野塚小町、映姫様の付き添いのしがない死神さ」
何故か頭に包帯が巻いてあるが、触れると長くなりそうなので置いておくことにしておいた
「それで、閻魔である貴女が何故此処に?」
「それは…」チラッ
「~♪」モグモグ
映姫は離れた所で茶菓子を頬張っている幽々子を一瞥して、すぐに紫へ視線を戻した
「少々面倒な案件ですので、私が自分で説明した方が早いかと思いまして」
「…その案件とやらは何でしょうか」
まず幽々子は亡霊となっていることを説明した。理由は昇華される筈の幽々子の死体が西行妖の封印に使われ、地面に埋まったままだからだ。もう一つは幽々子の能力が関わってくる。死や死霊を任意で操れるのだから、これ以上の冥界の管理者としての人材は中々居ない。そこで幽々子が冥界の管理をするという変わりに、亡霊としてこの世に留まることを閻魔である映姫が許可したということが事の顛末だった
「そうですか、ありがとうございます。幽々子ともう一度、仲良く過ごすことができるなんて…」
普段はプライドが高く、人に頭を下げるようなことをしない紫が映姫に頭を下げた。それほどまでに嬉しいことだったのだろう
「いえ、いつもの私ならば西行寺幽々子の魂を裁くつもりでいました」
「それはどういう…?」
「実はっ!?」ガシッ
「オイ、それ以上喋ったら…どうなるか解ってンだろォなァ?」ギリギリ
「んーっんー!」コクコク
「な、なんなのかしら…」
実は、一方通行はこの事態を察知していたのだ。西行妖を封印するには幽々子の体を使うしかないということを
正確には倉で封印に使われた書物を見つけたときにだ。その書物の一部分にはこう書かれていた
『富士見の娘、西行妖満開の時、幽明境を分かつ。その魂、白玉楼中で安らむ様、西行妖の花を封印し、これを持って結界とする。願うなら、二度と苦しみを味わうことの無い様、永久に転生することを忘れ・・・』
これは西行妖の封印に必要なことであり、その礎として富士見の娘、すなわち幽々子を触媒としなければならないことを一方通行は悟ってしまった
ここからの行動は早かった。遅かれ早かれ幽々子は死ぬ運命にある。そんなことを紫に説明すれば、それこそ本気で殺しに掛かってくる程怒り狂うだろう。仮に何もせずに放っておけば、幽々子の悲惨な死に様を目の当たりにすることで、その時は大丈夫でも長い時を掛けて徐々に心が壊れてしまうかもしれない
そうならないように一方通行は手を打っておいた。なんと一方通行は屋敷を飛び出した後、単身で地獄の裁判所まで殴り込みに行ったのだ
バァァァァン!
『何事ですか!?』
『よォ』
『え、一方通行ですか?いやいや待ってください、何故貴方が此処に?』
『閻魔であるオマエに頼みがあって来た』
『…まぁ聞くだけ聞きましょうか』
『そのうち此処に西行寺幽々子っつー女が来る。ソイツをどうにかして現世に留まらせたいンだが』
『駄目です、一度死を迎えた者を現世に残しておく訳にはいけません。それは幽霊というよりも亡霊となります。そこにいるだけで現世の理を歪める危険な存在になりうるかもしれないのです』
『だがアイツは死や死霊を操れる能力を持っているぞ』
『…それは本当の話ですか?』ピクッ
『嘘だと思うなら閻魔が持ってると言われてる浄瑠璃の鏡で見てみればいいじゃねェか』
『…いえ、大丈夫でしょう。貴方はこんなところで嘘をつくような人ではないですし』
『で、どォするンだ?生かすも殺すもオマエ次第だぜェ』
『………いいでしょう、貴方の要求を飲みましょう。その代わり、その西行寺幽々子という方の生前の記憶を消させて頂きます』
『…交渉成立だなァ』
『…ところで一方通行、貴方はどうやって此処まで来たのですか?』
『三途の川を渡ってきただけだァ』
『は!?ちょっと待ってください!』
映姫は勢いよく立ち上がり、持っている板切れのような物をブンブン振り回しながら一方通行に問いかけた
『三途の川は、普通死を迎えた者が死神が操縦する舟に乗って来るものです!無理矢理渡ろうものなら問答無用で…』
そこまで言いかけて映姫は一度言葉を切った。三途の川を無理矢理渡ろうとすると、様々な死神が襲いかかってきて川に沈められ、問答無用で地獄行きとなるのだが
『…死神達はどうしたんですか』
『ぶっ潰した』
『こらぁぁぁ!貴方なにやってるんですかぁぁぁ!?』
映姫は空を飛んで一方通行の胸ぐらを掴み、前後に激しく揺すった
『ただでさえ財政難の地獄に貴方は死神達の治療費という絶大なダメージを負わせるつもりですか!?というより、これ以上私の仕事を増やさないでください!!猫の手を借りたいぐらいに忙しいというのに!!』ガー!
『うぜェ…』
『どの口が!言って!!いるんですか!!!』
『じゃ、手筈通りに頼むわ』
『あ、ちょっと…!キャッ』
一方通行はぶち破った扉を通りすぎて、裁判所から出ていってしまった
『…あぁもうまったく!仕事を増やすだけ増やして帰らないでくださいよ!』
(そんなことがありましたっけ…)ハァ…
映姫は一方通行の滅茶苦茶な行動に思わず溜め息をついた
「紫も食べる?美味しいわよ~」
「じゃあ一つだけ」
「太るぞ」
「うっ!!」ビクッ!
「映姫ちゃんも食べようよー!」
「え、四季様、映姫ちゃんって呼ばれてるんですか?」
「ク、クロ!その呼び方は止めてください!」
「まぁまぁ…」
「お茶をお持ちしましたぞ」
「お、お持ちしました~」
亡霊になって戻ってきた幽々子が加わった白玉楼は一日中賑やかだった
今回はここまでです
次回は上条さんパートに入るつもりですが、どんな内容にするかは、まだ決めていませんw
それではまた次回!