宇宙海賊キャプテン茉莉香 -銀河帝国編-   作:gonzakato

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 平穏な日常に戻ったはずの白凰女学院の下校時刻。
 部室でネットニュースを見ていたヨット部員は、驚きのスキャンダル報道を見つけます。エドワード・ドリトル氏と聖王家のグロリア姫が「恋の駆け落ち?」というものでした。これって、チアキちゃんも知っているの?
 そして、白凰女学院の校門の前で、スキャンダル報道の渦中の二人、エドワード・ドリトル氏とグロリア姫と、チアキの三人がはち合わせ。
 その時、怒ったチアキの口から意外な「啖呵」が飛び出します。
 そして、チアキはエドワードを連れてランプ館に行ってしまいます。そこでエドワードはチアキに自分の気持ちを話します。しかし、この大事な話をヨット部員達に聞かれてしまいます。茉莉香とグリューエル達もグロリア姫を自宅に連れて行き、話を聞こうとしますが、茉莉香も予想外な話の展開にびっくり。
 なんとグロリア姫の本当の狙いは茉莉香でした。
 自分の目でグロリア姫の「能力」を見て、「やっぱりこのひと、銀河聖王家の魔女だ!」 茉莉香はそう叫びます。
 



第十一章 銀河聖王家の魔女

11-1 白鳳女学院

 

 白鳳女学院の下校時間は、門の外の方が校内より賑やかである。

 門の外に運転手つきの自家用コミューターが何十台も待ち受け、徒歩で校門を出た生徒が、迎えの車に乗っていく。その間をスクールバスも通っていく。茉莉香のように自転車通学をする者は少ない。

 今日も部活を終えたヨット部員たちが、部室で帰宅の準備をしているときに、ネットニュースを見ていたハラマキが小さい声を上げた。

「まさか、ドリトルさんのスキャンダル!浮気?」

 パソコンには次のようなニュースが載っていた。

 

『グロリア姫、恋の逃避行か!? 元婚約者エドワード・ドリトル氏も所在不明。』

 

「チアキちゃん、知ってるのかしら。・・・」

「聞いてみる?」

「聞けるわけないでしょ。」

 部室の反対側で帰り支度をしているチアキを見ながら、部員たちがつぶやいた。

 結局、何事もなかったかのように静かに帰り支度をし、部員たちは白凰女学院の校庭を歩いて、校門にさしかかった。

 

 このとき、一人の男性が近づいてきた。

「やあ、チアキさん。」

 いきなり噂のエドワードが現れて、チアキに近づいてきたので、部員たちは驚いた。

「・・・・・・・」

 チアキは何も言わず、不機嫌な顔をエドワードに向けた。

「やっぱり、チアキちゃん、例のニュースを知っているよ。あの顔は。」

 ヨット部員たちは思った。

 

「お待ちください。エドワード様・・・。」

 チアキとエドワードの二人が近づこうとしているときに、一人の女性が二人の間に割って入り、エドワードに声をかけた。

「誰?このひと。もしかしてニュースで言われていた姫様?」

 チアキとエドワードの様子を心配そうに見守っていたヨット部員はつぶやいた。

「もしかして、グロリア姫なの? この間、公爵様の船でお会いした時とは別人のようだけど・・・・。」

 茉莉香も、戸惑いの声を上げた。

 

 それもそのはず、公爵の船で会った時のグロリア姫は、花びらのような多くのフレアがついた豪華なドレスに、カールさせた長髪をなびかせ、派手なアイシャドウのメイク、そして何よりも光り輝くような美貌の持ち主だった。

 しかし、今、目の前にいる女性は、清楚で美しいものの、衣服も全体に地味で髪も後ろにまとめ、質素堅実な女学生といった印象だった。

「やっと、お会いできましたね。エドワード様。」

 グロリア姫は、見る人の心を奪ってしまいそうな美しい笑顔を向けて、言葉を続けた。 そして、グロリア姫の体からは、さわやかで、しかし甘く、高貴としか言いようのない香りが漂ってきて、周りの人々をうっとりさせ始めていた。

「あのう、私たちの婚約のことですが・・・・」

 

「お黙りなさいよ。ほんと、見事なカマトトね。ほめてあげるわ。」

 グロリア姫の言葉をさえぎって、チアキが言った。そして、エドワードの方を向いてさらに言った。

「あなたねえ、私に結婚申し込んでおいて、モトカノとも、よりを戻そうっていうの?

ちょっと来なさいよ。事情を、聞かせてもらうわ。」

 チアキはエドワードの手をつかんで引っ張ると、右手を挙げて車を呼んだ。

 たちまち現れた大型のリムジンがチアキの前に停車し、中からスカーレットが現れた。

「お待たせしました。」

 チアキは、エドワードを自分の車の中に押し込むと、エドワードの車の運転手に言った。

「運河通りのランプ館というカフェに行きます。ついてきて。」

 

 さらに、チアキに厳しく言われて泣きだしそうな表情のグロリア姫をチラッと見て、チアキは茉莉香とグリューエルに言った。

「茉莉香。

 このお姫様、例の事件以来、自宅謹慎中なのに脱走したのよ。

 あなたの家にでも連れて行って、事情を聴いて、帝国軍に連絡して。

 グリューエル、ヒルデ、お願い。茉莉香を助けてあげて。

 茉莉香ひとりじゃ、このお姫様のお相手は無理よ。」

「はい、わかりました。チアキさん。」

 グリューエルは、うれしそうに答えた。

 

「チアキちゃん、わたし、一人でできるよ。事情聴取くらい・・・・」

「茉莉香、何、言ってるの。

 あなた、姫と自転車の二人乗りして、家に帰るつもり?

 グリューエルに乗せてってもらいなさいよ。」

「ハハハハ・・・。」

 たまらず、ヨット部員たちが笑った。

「お任せください、茉莉香さん。」

 ヒルデも、こういうトラブルに巻き込まれるのが楽しくて仕方ないという顔をしている。

 

 こうして、三台の車は風のように校門前から去って行った。

「スカーレットさん、チアキちゃんのそばに居たんだ。知らなかったね。」

 アイが言った。

「従者だものね。警備してたんだ。」

 ナタリアが言った。

「じゃあ、茉莉香のところにも、ギルバートさんがいるのかなあ?」

 リリイが言った。

「ええ~~?もしかして、二人は同じ家に住んでたりして・・・?」

 ウルスラが言った。

「キャー!!同棲??」

 皆が言った。

 いつものように話が脱線していくところに、ジェシカが言った。

「先輩方、大事な話をお忘れですよ。お聞きになりましたか。」

「う~~~ん。」

「あ、あれか。チアキちゃん・・・・」

「結婚申し込まれたって、言ったよねえ。」

「私も聞いた。」

「グロリア姫様に対抗するために、ハッタリを言っただけじゃないかしら。」

 サーシャが言った。

「でも、『ひょうたんから駒』というし・・・。」

 リリイが言った。

「ですよねえ。気になりますよねえ。やっぱり、ここは白鳳探偵団の出番ですわ。」

 ジェシカが言った。

「なに、それ?」

「今、作りました。

 さあ、みなさん。いきましょう、ランプ館へ。」

 校門前に残されたヨット部員たちも、通学用の自家用車に分乗してランプ館へ向かった。

 

 

11-2 カフェ・ランプ館

 

 白鳳探偵団がランプ館へ着くと、入り口の黒板には「貸切」と書かれていた。

 ボディガードの人たちが入り口に立っており、中に入れそうな雰囲気ではなかった。

「大丈夫ですよ。ほら、これ!」

 ジェシカが指差したのは、『アルバイト募集中』の札だった。

「裏口へまわりましょう。マミ先輩に捜査への協力をお願いしましょう。」

 

 裏口のドアをノックすると、マミが顔を出した。

「ウフフ、来たわね。

 あれ?茉莉香はどうしたの?」

「茉莉香先輩は、もう一人の『容疑者』、グロリア姫様の取り調べ中です。」

「そうなの、ふふふ。

 とにかく、早く入りなさいよ。

 しー、静かにね。」

 白凰探偵団の一行は、裏口からランプ館の調理場に入り、そこから室内に入った。

 

 チアキとエドワードの二人は、店の中央にある席に向かい合って座っている。

 少し離れた席にスカーレットがいる。

 探偵団の一行が、チアキに気づかれないように無言でスカーレットに手を振ると、彼女は笑顔を返してきた。

 見逃してくれるようなので、一行は、カウンターの陰に隠れて、聞き耳を立てることにした。

 

「・・・ですから、私は、休暇を取ってこっそりチアキさんのところへ来ただけで、謹慎中のグロリア姫が私を追いかけてきたことは、まったく知らなかったんですよ。

 まさか、白鳳女学院の校門の前で出会うとは、本当にびっくりしましたよ。

 しかも別人のように変身していたので、二度びっくりですよ。

 行き先が二人とも海明星だったので、マスコミが一緒に行動していると決めつけたんでしょうけど。」

「そんなところだろうと、思ったわよ。」

 チアキの機嫌も少し良くなってきたようだった。

 

「うーん、この店の紅茶は、なかなかおいしいですね。

 そういえば、チアキさんはチョコパフェがお好きでしたよね。頼みましょう。

 あのう、チョコパフェひとつ。」

「いや、あの~~、私はそんな子供っぽいものは、食べないので・・・」

「はい、チョコパフェひとつ、入りま~~す。」

 チアキの言葉を無視して、マミが言った。

 チョコパフェは、メイド服に着替えたサーシャが運んできた。

 しかし、チアキは運ばれてきたチョコパフェに気持ちが集中して、気が付かなかった。

 もちろん、エドワードは気が付いたのだが、サーシャが唇に人差し指を一本あててエドワードに合図したので、彼も笑顔を返して気付かないづかないふりをした。

 チアキは、運ばれてきたチョコパフェを、ものも言わずに食べてしまった。

 自分は実はこれが食べたかったから、彼を連れてランプ館に来たのかと思ったほど、チョコパフェはおいしかった。

「おいしかったです。

 ごめんなさいね、私ばかり食べてしまって。お腹がすいていたみたいです。」

「それは良かったですね。お腹が満たされると気分もよくなりますからね。」

 実際のところ、チアキは機嫌がよくなった。

 それどころか、エドワードと二人、差し向かいでカフェにいることが、恥ずかしくなってきた。

「ところで、さっきの話ですが、

 このままではチアキさんがグロリア姫に嘘を言ったことになるんですよね。

 でも、これはとても大事なことなので、この際、はっきり私の考えをお伝えしようと思います。」

「え・・・」

 チアキは話の内容を察して、うつむいてしまった。

「チアキさん、あなたに結婚を申し込みます。

 もちろんご返事は今でなくとも、あなたのお気持ちが決まった時で結構です。

 白鳳女学院を卒業して、大学に進まれるなら、その後でも結構です。

 私は待ちます。私には自分の妻としてあなた以外は考えられませんから。」

「・・・・・」

 チアキは、何も答えられず、うつむいたままだった。

 自分の顔が熱かった。

 話を聞いていた、白鳳探偵団の一行も、目をうるうるさせて、感動していた。

 

11-3 加藤茉莉香宅

 

 茉莉香は、グロリア、グリューエル、ヒルデの三人の御姫様と共に、セレニティ王宮の車で自宅へ帰った。

 茉莉香の家のリビングに入ると、まだ泣きべそをかいている様子のグロリア姫が聞いた。

「この家は、茉莉香さん御一人で住んでおられるんですか。」

「お母さんと二人で住んでいるんだけど、最近は、お母さんも仕事で留守にすることが多いからね。今日も留守だしね。」

「警備とかは、・・」

「加藤茉莉香に関する不可侵協定とか、いろいろあって、いろんな人が内緒で見守ってくれているよ。

 最近は帝国軍も加わったしね。この家も見かけと違ってフツーの家とは違うしね。」

「そうですか、まあいいかな。」

 そういうと、グロリア姫は、着替えのため自分のスーツケースを持って隣室に行った。

 やがて、颯爽とした上着とミニスカートに着替えて戻ると、グロリア姫は表情を一変させ、姿勢を崩してソファにもたれかかった。

「あーあ、疲れた。

 わざわざ、男性好みのおシトヤカな女になって、遠く海明星まで来てみたが、やっぱりだめだったなあ。

 もともと、オレはあんな政略結婚なんか未練はないのに、父上が勝手に婚約解消しただけだから、母上がもう一度、ドリトルの気持ちを確認しろと言うから、来たんだよ。

 オレは他にやりたいことがあるので、今、結婚して御屋敷の奥様に収まる気なんて、まったく無いんだけどなあ。

 しかし、チアキの奴には、オレの『アート』は通じなかったなあ。『見事なカマトトね。』なんて言われてしまったよ。まいったなあ。」

 

 グロリア姫の表情や言葉遣いが、愚痴を言っているにもかかわらず、カッコイイ。

「え! ええ~~~! 今のは、ウソ泣きだったんですかあ。」

「人の心を導くアートと言ってほしいね、キャプテン茉莉香。

 それに、今のこれが、オレの本当の姿だよ。」

「もう、茉莉香さんったら・・・。ご存じないんですか。

 姫様には熱烈なファンが多くて、姫様のためなら命を捨てると誓っている人も多いんですよ。

 先ほどのことも、姫様が本気でないのは、見ていて分かりましたから。

 姫様が本気なら帝国軍の艦隊だって言うことをきくと言われているほどですからね。」

「よしてくれよ、グリューエル。

 気を使ってオレのことを誉めなくていいよ。

 負けは負けさ。チアキは、ドリトルを『自分のもの』だと言って連れて行ってしまったじゃないか。

 それに、グリューエル。オレは、軍隊の指揮なんて興味ないよ。

 あんな面倒なことは、クリスティアにお任せだ。

 茉莉香だって、オレのあだ名を知ってるだろう。」

「はあーー。 」

 茉莉香は、『聖王家の魔女』というグロリア姫のあだ名を思い浮かべた。もちろん本人のまえでは口に出来ないが・・・。

「それにしても、チアキに実際に会ってみると、ドリトルがチアキに惚れて、こんなところまで会いに来るワケがわかったよ。」

「ええ~~。どういうワケなんですか?」

 茉莉香が聞いた。

「アイツ、あの人の若いころにそっくりじゃないか。

 目鼻立ちといい、あの向こう気の強さといい・・・。

 あの人は、小さい子供のころのドリトルにとって、憧れの人だったんだろう。」

「姫様、ご発言は慎重になさった方がよろしいのでは・・・。」

 ヒルデが言った。

「ハハハ、今度の反乱騒ぎで、もう聖王家の王位継承争いは終わったから、気にしなくとも良いんじゃないかなあ。

 そういえば、父の反乱騒ぎで加藤大佐には本当に迷惑をかけたなあ。

 改めてお詫びするよ。」

「いえいえ。それよりも、お父上の公爵様がお亡くなりになられたことに、お悔やみを申し上げます。

 姫様たちも、いろいろとご不自由な思いをされているのではないかと・・・。」

「ありがとう。まあ、父上は自分で望んで逝ったのだから気にしないで欲しい。

 それに、もともと、父上の暇つぶしの反乱騒ぎなんて、母上も私も付き合う気は全く無かったし、女王陛下と対立する気もなかったからね。

 その点は女王陛下にもわかって頂いているので、私たちの事も心配ご無用だ。

 むしろ、オレは、王族がもっと自由にやりたいことができるように、聖王家典範を改めるという女王陛下の考え方には賛成だよ。

 オレにもやりたいことがあるんだからね。」

 

「はあ・・・」

 茉莉香には、銀河聖王家のお家の事情は、自分とは縁のない「雲の上の話」であった。

「それで、あのう、チアキちゃんのことなんですが・・・。

 みなさんの、そんな遠回しの言い方では、私には話が見えないんですが・・・。

 チアキちゃんが、どうかしたんですか・・・。」

「もう、茉莉香さんったら・・・・」

 グリューエルが言った。

「茉莉香さんも帝国軍の大佐ですから、御発言は慎重になさらないと・・・。」

 ヒルデも笑った。

 

「ピン、ポーン。」

 その時、茉莉香の家の玄関ドアホンが鳴った。

「あれ? お客さんかなあ。」茉莉香が言った。

「いや、オレの迎えの車が来たんだろう。

 帰るよ、大人しくね。

 それで、加藤茉莉香大佐殿。最後のお願いだから、オレを車のところまで護衛してくれないか。」

「あ、はい、わかりました。」

 茉莉香は女子高の制服姿のままにもかかわらず、帝国軍式に敬礼した。

 二人は並んで家の外に出た。

 ドアの外には秘書のようなヒゲの男性が立っていた。

 道にはリムジンが一台止まっているが、その前には何人もの人が待っている。

 かれらは、護衛の警官やセレニティ軍人に制止されて、茉莉香の家の敷地には入れないようだった。

 グロリア姫が茉莉香の家の敷地を出て歩道に立ち止ると、待っていた人々が一斉に話しかけてきた。

 カメラの照明も点灯され、映像も録画され始めた。

「姫様、海明星新聞です。今回の海明星ご訪問の目的は?」

「いやあ、加藤茉莉香大佐に直接、父の反乱についてお詫びを言うために来ました。」

 そう答えるグロリア姫の姿は、女の子が憧れる、爽やかでカッコイイものだった。

 

「姫様、海明星テレビです。芸能界にデビューするという噂は、本当ですか。」

「いやあ・・・ナハハハハ。」

 姫は、茉莉香そっくりの、照れた苦笑いをした。

 と同時に、さわやかで甘い高貴な香水の香りが漂い始めた。

 その時、グロリア姫を囲んでいたマスコミ関係者の表情が変わった。それまでの緊張した表情が、しだいに憧れのスターを笑顔で見つめるファンのそれに変わっていった。

 その変化をそばで見ていた茉莉香は思った。

『うわあぁ・・・。みんなの姫様を見る目つきが変わった。.』

 

「ゴメンなさいね・・。その質問は、聖王家の広報を通してください。聖王家のお許しがないと、何ともご返事ができません。」

「帝国ニュース通信社です。

 姫様が主演すると噂されている映画『宇宙海賊キャプテン・マリー』のモデルは、弁天丸船長加藤茉莉香さんと言われていますが、実際にお会いになったご感想はいかがですか?」

「映画の主演の話はともかく、ごらんのように、茉莉香さんはとてもキュートで、そしてカッコイイ女の子ですね。

 私もファンになりました。

 しかも、今は、海賊船弁天丸の船長だけではなく、帝国軍史上最年少の大佐。

 あのテオドラ皇后陛下よりも若い大佐ですからね。軍人としても天才ですよね。

 ほんとうに、茉莉香さんは、スゴイヒトですね。

 ねえみなさん。茉莉香さんは、銀河系一番の、カッコイイ女の子ですよね。

 そうお思いになりませんか、みなさん。」

 

「ナハハハ・・・」

 グロリア姫に大げさに褒められて、さらにマスコミの人々の熱い視線を集めた茉莉香は、照れ笑いをするしかなかった。

「姫様、加藤大佐、お二人が並んでいる映像を取らせてください。」

「加藤大佐、敬礼のポーズをお願いします。」

「私は、女子高の制服姿なんですが・・。」

「かまいません。女子高の制服の方がいっそう加藤大佐の魅力が引き立つんです。」

 マスコミの人たちから、二人はカメラ照明の光を浴びせられて、撮影が続いた。

 

「それでは、この辺で取材を打ち切ります。

 聖王家と帝国軍の広報への映像使用許可申請は、私ども帝国芸能プロダクションを経由して一括で行いますので、こちらのアドレスにご連絡ください。

 マスコミの皆さんには言うまでもないことですが、聖王家の方々に関する無許可放映は禁じられています。違反した記者・編集者・経営者に対する連座制の終身刑という罰則はこの取材にも適用されますから、まだまだ娑婆の空気を吸いたい方はご用心を。

 それから、姫様のイメージを損なう映像や報道は、私ども帝国芸能プロダクションとしても絶対に認められません。

 みなさんと私どもの営業は、古代から共存共栄。

 そこのところ、よろしくご理解のほど、お願いします。」

 

 先ほど出迎えに来た秘書風のヒゲの男が、そう言ってマスコミ関係者を威圧しながら、名刺を配っていた。

 もっとも、その場にいたマスコミ関係者は全員、すでに姫の魅力の虜になっており、そんな心配は無用だったが・・。

 

 茉莉香は、グロリア姫が海明星に来た、本当の目的をようやく理解した。

『やっぱり、姫様は“聖王家の魔女”だぁ・・・。』

 

 

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