宇宙海賊キャプテン茉莉香 -銀河帝国編-   作:gonzakato

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 遠征の後日談、3回目です。
 茉莉香は、銀河帝国の第二王宮に呼ばれて、レオニーニ家の夕食会で行った、チアキの「海賊ショー」の様子を、女王、侯爵夫人、クリスティア王女に話します。
 そして、茉莉香は、その場で、「夕食会」の気楽なお遊びの背後にある、レオニーニ家の内部事情と聖王家の思惑を知ります。
 そう考えると、なにやら、海賊ショーの内容も、裏の意図がありそうです。茉莉香は、チアキの「王女」として生きる道の厳しさを知ります。
 茉莉香は、女王から「これからもチアキの側にいてやって欲しい」という願いに簡単に肯くのですが、そのことの具体的な意味は、まだ自分でも分かっていません。
 そして、茉莉香は、公爵夫人から、自分への縁談を聞かされます・・・。
 茉莉香が返事に困っていると、そこへチアキが乱入してきます。

 最初に投稿したときの章建てを見直し、チアキの海賊ショーのエピソードを中心に、第24章としました。


第二十四章 王女と茉莉香の生きる道

24-1 銀河帝国第二王宮(レッドクリスタル星系)

 

 この日、茉莉香はクリスティア王女に呼ばれて、弁天丸で銀河帝国の第二王宮を訪ねた。第二王宮は、レッド・クリスタル星系の惑星軌道上にある巨大な宇宙ステーションである。

 現在、たう星系には、レッド・クリスタル星系に通じる臨時の時空トンネルゲートが設置されており、弁天丸はそれを通って、第二王宮まで航海してきた。

 

 茉莉香は、クリスティア王女の部屋に入ると、直立して敬礼し、言った。

「加藤茉莉香大佐、ただいま参りました。」

「いやあ。遠いところを来てくれて、ありがとう。

 すわりなさい。」

「はい。」

「どうだい。時空トンネルは便利だろう。」

「はい、辺境の海明星と王宮との間を、弁天丸が一日で往復できるなんて、夢のようです。ミルキー・ウエイ計画が早く実現するといいですね。」

「そうだなあ。それで、用と言うのは、チアキのことなんだが・・・・。」

「はい。」

「この前の遠征の時、惑星ライセで、レオニーニ家の若者たちと夕食会で遊んだよね。

 その時、チアキも海賊ショーを演じたと聞いているのだけど。」

「はい。そうです。

 チアキちゃん、かっこよくてきれいでしたよ。」

「その海賊ショーの様子について、チアキが恥ずかしがって、話すのを嫌がっているんだ。仕方がないから、あなたから話を聞きたいと思ってね。」

「はい。司令官のお望みとあらば・・・。」

 茉莉香は少し不安に思ったが、応じた。

「そうか。実は、母上と公爵夫人もぜひ聞きたいとおっしゃっておられるので、ついてきてくれ。別の部屋で、三人一緒に話を聞きたいのでね。」

「ええ? エカテリーナ様も御一緒にですか?」

「そうだ。さあ、中廊下(なかろうか)を通っていくから、こっちだ。」

 

 中廊下とは、王宮内を王族達が移動するための専用の通路である。中廊下を通行できるのは、王族のほか、侍従や女官など限られた人たちとされている。

王族達も普段は部屋の外にある本来の廊下を用いることが多いが、特に内密の会議をする際には中廊下を通って集まると言われている。

 茉莉香は、王宮の中廊下を歩くのは初めてだった。茉莉香は、チアキの身に、今何が起こっているのかと考えながら、緊張して、クリスティア王女のあとに従った。

 公爵夫人エカテリーナは、聖王家の女性達の親睦会である「ローズガーデンクラブ」の会長である。しかし、その本当の役割は、聖王家の王族達の縁談を取り仕切ることである。聖王家の王族の婚約、結婚は、女王の許可が必要であり、彼女はその補佐役として縁談を取り仕切っているのだ。

 その彼女が加わるというのは、どういうことだろうか。

 

 クリスティア王女と茉莉香は、小さな部屋に入ると、女王と公爵夫人が現れるのを待った。

 やがて、二人が現れたので、茉莉香は立ち上がって敬礼し、席を勧められた。

 侍従や女官の同席は無く、部屋の中は四人だけだと知って、茉莉香は更に緊張した。それだけ重要な用件だと思ったからだ。

「茉莉香、話は聞いていると思うが、チアキの海賊ショーの様子を、貴方から直接に聞きたいと思ってね。

 チアキの女海賊ぶりは、どうだったかい?」

 女王陛下が聞いた。

「はい、チアキ様は、海賊ショーではとてもお美しく、颯爽(さっそう)と演じておられました。」

 茉莉香は、チアキに対して敬語を使いながら、話し始めた。 

 

 

24-2 レオニーニ家の「夕食会場」(ヒガン星団・惑星ライセ)

 

 チアキの海賊ショーは、次のようなものだった。

 

 舞台は、大きな川に架かる橋の手元である。舞台後方に、橋をイメージした大階段のセットが作られている。

 橋のデザインは、オリエンタル・クラシックを呼ばれる古い木造橋のイメージで統一されている。すなわち、階段の両側には、赤く塗られた欄干とその上には金色の丸い擬宝珠(ぎぼし)がつけられ、階段の両脇の丸いカーブは、この橋が、上部が湾曲したアーチ形、すなわち太鼓橋であることを示している。

 手前の欄干には、橋の名前が、「GOJO」と書かれている。

 

 夜の闇の中、最初に、橋のセットの最上段中央から、背が高く大きな体格の一人の戦士が登場し、控えめのスポットライトを浴びた。

 彼は、多くの傷のついた黒光りする鎧に身を包み、その背中に何本のもの剣を背負い、手には、槍の先に蛮刀のような大きな刃がついた、特大のナギナタを持っている。

 黒い戦士は、階段を降りながら、語った。

「われこそは、銀河の勇者、ベン・ケーイなり。

 われは、銀河系を征服する魔力を得るため、魔王に、千人の勇者を倒して千本の剣を捧げると誓った。」

「おお~~~!」

 

 黒ずくめの鎧を身に着けた兵士のような姿をした大勢の男女が、四足の獣のような動きで彼に従うように現れ、そして、彼の言葉に合わせて、歓声を上げた。

「すでに、我は、九百と、九十九人の勇者を倒し、九百と、九十九本の剣を魔王にささげた。

我の願いも、あと一人、あと一本で、成就する。」

「おお~~~!」

「今宵こそ、千人、千本目にふさわしい勇者を倒して、魔王への誓いを果たさん。」

「おお~~~!」

「我に敗れた勇者たちよ、お前たちも我の大願成就を願ってくれるか。ワハハハ・・・」

 黒ずくめの兵士たちは、彼に敗れて魔物となった勇者たちだった。

 

 その時、横笛の音(ね)が響き渡った。

「おお、美しい笛の音が聞こえる。

 さては、高貴な生まれの戦士が吹く笛の音に相違ない。

 あれこそ、千人、千本目にふさわしい勇者。いざ、打ち取らん。

 さあ、モノども、姿を隠せ・・・・声を潜めよ・・・・。」

 

 狂戦士ベン・ケーイが舞台のそでに隠れると、橋の上段中央から、横笛をふきながら、若い勇者が、スポットライトを浴びながら、現れた。

 もちろん、チアキの登場だった。チアキは、大きなつばの帽子を浅めにかぶりお気に入りの青い海賊衣装に身を包んでいるが、長い髪を後ろで縛ってまとめて、美少年風の男装をしていた。

 チアキは、笛を吹きながら階段を下りた。

 そして舞台中央に進んで言った。

 

「はて? 夜毎に帝都を騒がすベン・ケーイなる妖しい者が現れるのはこのあたりと聞いたが、なにも現れぬではないか。

 さては、私が現れると知って、逃げ出したのか。ホホホ~~~・・・

 では、しばし、星空の風流を楽しもう。

 川浪の立てる音を聞きながら、月の出るのを待つとするか・・・。」

 チアキは、笛をしまい、懐から、金銀五色に輝くきらびやかで大きな扇を取り出すと、大げさな動作で笑みながら、自分の顔を扇いだ。

 

 そこへ、銀河の狂戦士、ベン・ケーイとその一団が忍び寄ってくる。

「おい、そこの若造(わかぞう)。命が惜しければ、剣を我に捧げ、立ちされ。」

「無礼者。名を名乗れ。」

「生意気な若造だ。黙って剣を我に捧げれば、許してやったものを・・・。

よかろう。聞いて驚くな。

 われこそは、銀河の勇者、ベン・ケーイなり。

 われは、銀河系を征服する魔力を得るため、魔王に、千人の勇者を倒して千本の剣を捧げると誓った者だ。 

 どうだ。恐れ入ったか!」

「やはり、近頃、帝都を騒がす怪しい者とは、お前か。

 立ち去るがよい。」

「我を恐れぬのか。我の力を知らぬのか。

かくなる上は、最後の言葉じゃ。剣を我に捧げ、命乞いをするならば、我の従者にしてやろう。

 さあ、命乞いをせよ。」

 ベン・ケーイは、チアキに向かって言った。

「何をいうか。私を誰と心得る。」

「元気な若造じゃのう。これは戦うのが楽しみじゃ。

 もう一度言うが、勝つのはわしじゃ。

 お前が戦うと言うならば、お前を切り捨て、お前の剣を奪うだけじゃ。

 それだけではないぞ、お前は死しても魔物となって我の下僕(しもべ)となるのじゃ。」

「何を言うか。身の程知らずの戦士よ。

 ならば、私をそのナギナタで切ってみよ。ほれ・・・。」

 そう言って、チアキはベン・ケーイを扇で仰いだ。

「うむむ・・・。身の程知らずは、お前の方じゃ・・・ヤ~~」

 ベン・ケーイは、ナギナタをふるって、チアキに切りかかった。

 

 その時、チアキはベン・ケーイが振り回すナギナタをかわして、さっと5メートルほどの高さに飛び上がると、後ろ向きの姿勢のままで、後方の橋の欄干の上に飛び乗った。

 そして、擬宝珠(ぎぼし)の上に、まるで浮かんでいるように立っている。

「ううむ。すばしこい奴だ。」

 

 この時代には、人間が短距離の飛行や跳躍をすることは、人工重力の古典的な応用として実用化されている。

 ただし、それが兵器として、あるいは自動車に代わる移動手段として広く普及することは無かった。

 なぜなら、結局、人間の肉体は鳥のように速く遠くまで飛ぶ機能を備えていないため、実用性に劣ることがわかったためであった。また、軍事では、いくら歩兵が空を飛べても、結局、ビーム砲やミサイルの標的になるだけで、兵器としての費用対効果が著しく劣るからであった。

 しかし、芸能の世界では、夢と冒険の表現手段として、大いに活用されていた。チアキの人間技でない跳躍もその応用である。

 

「さあ来い。どうした、怖気(おじけ)づいたか。さあ、来い。来い。」

 チアキは、扇でひらひらと手招きをして、ベン・ケーイを挑発した。

「なにを、小賢しい。」

 ベン・ケーイは、またチアキに切りかかり、チアキが飛びはねて交わした。

しかし、その時、ベン・ケーイは素早く態勢を立て直し、チアキのジャンプの行方を先読みして、チアキの着地点めがけて、ナギナタで渾身の一撃を放った。

 

『危ない!!』

 

 だれもがそう思った瞬間、

「ハハハ・・・。お前に私は切れぬ。負けを認めよ。」

 そう言って、チアキは飛びながら方向を変えてナギナタをかわし、別の擬宝珠の上に着地した。

「うぬうう・・・。鳥のようなヤツめ。」

「では、そろそろ、こちらから行くぞ。えい~~」

 チアキは、これまでとは比較にならないほどの速さで飛んだ。

そして、チアキは、ベン・ケーイの頭上を飛び越えざまに、手に持った扇で彼の頭をぴしゃりと打った。

 

「ああああ・・・。」

 

 ベン・ケーイは、激しく叫んで、頭を押さえ、地面に膝をついた。

 周りを取り囲む、黒い獣のような戦士たちも、同じように苦しい表情を見せている。

 

「この扇は、光の神のご加護を受けておる。

 その扇で触れただけで、かくも苦しがるとは・・・。

 勇者ベン・ケーイよ。

 さては、お前も、既に魔物と成り果てていたのか。哀れじゃなあ。」

「お助けを・・・。」

 ベン・ケーイは、苦しみながら、チアキに助けを乞うた。

 彼の周りを取り囲む、黒い獣のような戦士たちも、同じように助けを乞い、うめき声をあげた。

「神の力に敗れ、塵に還るのが、魔物の宿命(さだめ)ではないか。

 命乞いなど、身の程をわきまえよ。」

「お助けを。御恩は、決して忘れませぬ。」

「ベンよ、私に魔物の言葉を信じよと言うのか?」

「今は魔物に落ちたといえども、元は人間、元は勇者。

 お誓い申し上げます。偽りなどありませぬ。」

 彼の周りを取り囲む、黒い獣のような戦士たちも、同じように誓った。

「よかろう。たとえ、その身は魔物に落ちたといえども、もとは人間。もとは勇者。

我に助けを乞うならば、捨ててはおけぬ。」

「ありがたき幸せ。御恩は決して忘れませぬ。

この後(のち)は、あなたの下僕(しもべ)として、お仕えいたしましょう。」

 黒い獣のような戦士たちも、口々に、下僕として仕えると誓った。

 

「ならば、お前たちを私の従者にしてやろう。

 わが家に伝わる、破邪の剣を見よ。

これなる剣にて、お前たちに取りついた魔を払う。

見よ。 」

 チアキはそう言って、帽子をとり、腰の剣を抜いて、頭上に掲げた。

 舞台全体が、暗転すると同時に、

 

 ピカーツ! ゴロゴロ、ババーン!

 

 大きな稲妻がチアキの掲げた剣から放たれ、周りの魔物たちを貫いた。魔物たちは皆、地面に倒れてしまった。

 そして、舞台の中央で飛び交う火花に照らされた、チアキの顔は、神々しいほど美しかった。

 

『チアキちゃん。すごくきれい。』

 観客として見ていた茉莉香は、感動した。

 もちろん、飛び交う火花は演出である。

 効果音と共に静電気の火花が派手に飛び散って、薄暗い舞台を鮮やかに照らした。

 

 舞台が静かになって、やがて明るくなった。

 倒れていた狂戦士ベン・ケーイが立ち上がり、チアキの元へ歩み寄り、ひざまずいた。いつの間にか、彼の甲冑は金色に輝き、衣服は鮮やかな赤や青の輝きを取り戻していた。

他の魔物たちも、チアキの元へ近づき、ひざまずいた。

 彼らの甲冑も同じように金色に輝き、その衣装も色鮮やかな輝きを取り戻していた。

みな、見目麗しい男女の姿に戻り、勇者としての輝きを取り戻した。

 

「かくも強く賢く美しい姫よ。

我らが主(あるじ)よ。

 如何なる高貴な生まれか、高らかに、御名を名乗らせたまえ。」

 従者となった勇者ベン・ケーイが叫んだ。

「名乗らせたまえ。」

 他の勇者たちも叫んだ。

 

 チアキは、声にこたえて、舞台中央に進んだ。

「今となっては、隠すこともあるまい。

よかろう、我が名を名乗ろう。」

そう言って、チアキは口上を述べ始めた。

 

「われの名は勇者USIWAKAと 幼き頃は遮那王と

 大鳥羽ばたくその日まで この世を忍ぶヒナ鳥の

 仮の姿で過ごせしを 時は来たりと人の言う

 わが本名をいま明かさん。

 

 生まれは辺境海賊船 必ず帰ると言い残す

 生みの母とは生き別れ 幼き我が身託されて

 必ず守ると誓い建て 命懸けで育んだ 

 見かけはコワイ海賊の 心は優しいオヤジから

 弁天丸の訃報聞き 同じ齢(よわい)の十六歳 

 弁天お嬢が白波の 跡継ぎ候補はどんなヤツ

 ひと目見ようと立ち寄った 白波寄せる奥浜の

 白い鷗(かもめ)の女子高で 出会った少女は赤い髪

 赤い血潮の友情の 名前で呼び合う間柄 

 だけど私は『ちゃんじゃない』 凄腕揃いのヨット部で

 練習航海アラヨット 非武装ヨットで電子戦

 ネビュラ・カップで大暴れ オテンバお嬢は女子の本懐

 

 もとは海賊今教師 なぞの女に誘われて

 帝都目指した旅の先 秘された母の名前すら 

 つゆも知らずにたどり着く 銀河帝国薔薇の園 

 見渡す銀河の星々に 必ず探すと誓いたて 

 やがて来たる誕生日 十八歳のその時に

 襲った船で海賊の 初の名乗りを上げたとき

 帰って来たる海賊の 親子の名乗りで遂に知る 

 我は銀河の主(あるじ)の子 海賊女王の娘なり 

 奇蹟の薔薇と日輪の 誉れも高いエンブレム

 掲げた船で宇宙(うみ)を行く

 銀河帝国海賊王女 キャプテン・チアキとは、このわたし~~~~ 」

 

 そう言って、キアキが効果音に合わせて、剣を構えてポーズを決め、大きな拍手喝采が起こった。

 

 だが、そこでショーは終りではなかった。

 これからが、フィナーレのはじまりだ。

 フィナーレは、出演者総出の「パレード」である。

 階段の上部から、華やかな衣装を身にまとった女の子や男の子達が、鈴を付けてリボンを垂らした「シャンシャン」を振り、音楽に合わせて鈴の音を響かせながら、階段を下りてくる。

 途中で左右や中央に向かって「ありがとう」「ありがとう」と手を振っている。

 最後に、チアキとベン・ケーイ役をした男の子の2人が、クジャクのようにきらびやかな羽を背中に付けて、同じように音楽に合わせて踊りながら、階段を下りてくる。

 二人も、階段を下りる途中から、左右や中央に向かって「ありがとう」「ありがとう」と手を振っている。

 全員が舞台に揃うと、また左右や中央の観客に挨拶し、盛大な拍手、歓声を浴びた。

 舞台の手前のプールには、水面一面に奇蹟の薔薇、つまり銀河聖王家のシンボルである青い薔薇の花が浮かべられ、スポットライトを浴びたチアキは本当に美しかった。

 

 豪華な演出のステージは、そこで終わるシナリオだった。

 

 しかし、突然、チアキが舞台の上、天井のスポットライトの方を見上げた。

「・・・・・・・」

 チアキにつられて、ほかの出演者も観客も天井を見上げ、一瞬の間、みんなが沈黙した。

 

 パーン 

 

 その時、小さな破裂音がして、天井のスポットライトが壊れた。

「アレを見よ、ものども。

 我らの勝利に魔王が挑戦状を寄こしたぞ。

 さあ、最後の決戦じゃ。

 私に続け!

 突撃だあ~~~! 」

 

 チアキはそう叫ぶと、衣装のまま、手前のプールに飛び込み、水面に浮かぶ青い薔薇の花をかき分けながら、向こう岸まで泳ぎだした。

「姫に続け!」

「おお~~~!」

 すぐさま、ステージの出演者みんながプールに飛び込んで、向こう岸まで泳ぎだした。そして、向こう岸に泳ぎつくと、皆は整列して、勝どきの声を上げた。

「えい、えい、おー!」

 

 

24-3 銀河帝国第二王宮(レッドクリスタル星系)

 

 こう言って、茉莉香は、チアキの海賊ショーの様子を話し終えた。

「なるほどねえ。

 チアキもなかなか芸達者で、楽しく遊んだのだなあ。」

 女王陛下が言った

「ほんとに、楽しそうですねえ。

 でも、そのような豪華なショーは、かなり前から準備されていたのでしょう。あなた達三人が来たから、即席で用意できるものではないでしょう。」

 エカテリーナ公爵夫人が聞いた。

「そう言えば、そうかもしれません。

 私たちはとにかく楽しかったので、そういう背景を考える機会もありませんでしたが、今、考えるとそうかもしれません。用意が良すぎますね。」

 茉莉香が言った。

「茉莉香。チアキが共演したベン・ケーイ役の男の子は、誰だか知っているかい?」

 クリスティア王女が聞いた。

「はい。ヒガン共和国の大統領の息子さんだと聞いています。名前は、確か、ジュリアーノとか、言っていました。」

「それで、その男の子は、どんなコだったかい? カッコよかったかな?」

「はあ、確かに。背も高く、美男子で、ショーの演技やダンスはバッチリ決まっていて、華がある人と言うか、カッコよかったです。

 若者世代では、『一族のリーダー候補NO.1』だそうですね。」

 茉莉香が言った。

「やはりそうですわね。

その方は、あなたのお友達、サーシャさんとの縁談がおありだった方でしょう。」

「そうらしいですねえ。縁談は、サーシャが断ったと聞いていますが・・・。」

 茉莉香が言った。

「ふうーん。それで、チアキの様子はどうだったかい?

 チアキが海賊ショーの様子を話さないことと関係があるのかなあ?」

 クリスティア王女が聞いた。

「ええ!?

 あの、・・・ジュリアーノさんと、チアキちゃんのことですかぁ?」

 自分のことはニブイ茉莉香も、聞かれたことの真意は理解していた。

「それはないと思います。

 チアキちゃんが、失礼しました、チアキ様が、恥ずかしがって海賊ショーの様子をお話しならないのは、そういう理由ではないと思います。

 チアキ様は、ノリノリで、また失礼しました、お元気でいろんなことをされるのですが、その後で恥ずかしがって後悔されるようなところがおありなので、今回もそれではないのかと思います。」

 茉莉香は、少し緊張しつつ、そう答えて否定した。

「そうか、茉莉香はそう思うんだね。ありがとう。

 それにしても、あなたとチアキは本当に仲が良いんだね。これからも、チアキのそばに居て助けてやってほしい。頼んだよ、茉莉香。」

 女王陛下が、そう言った。

「はい。」

 茉莉香は緊張して答えた。

 

『そうなのかぁ。

 お姫様って、男の子と遊ぶのも難しいんだなあ・・・。

 それに、きっと、チアキちゃんが演じた役はサーシャがやるために準備されていたんだよねえ・・・。

 この話は、チアキちゃんには言えないなあ・・・。』

 茉莉香は、チアキが王女として生きる道は思ったより険しいものであることを実感した。

 

「そうはいっても、やっぱり、ヒガン系のレオニーニ家は、欲しいのだろうなあ。」

 女王陛下が言った。

「今のところ、旧宇宙マフィア系の海賊を束ねるレオニーニ家だけですからね。そして、これからは、さらに絆が強くなるわけですから。」

エカテリーナ公爵夫人が言った。

「そうだね。

 それに加えて、帝国が援助した軍艦などの武器は、旧宇宙マフィア系が独占しているらしいからね。

 だから、これに対抗して勢力を挽回するために、ヒガン系のレオニーニ家が、姻戚関係の構築に乗り出すと考えられるというのだね。

 今後、二つに分かれた家の間で、水面下の勢力争いは激しくなるかもしれないね。」

「サーシャさんの縁談はその融和を狙ったのでしょうが、彼女が断ったので、その影響がこちらに出てくると思われます。各家に情報提供しておきましょうか。」

「そこまで心配する必要があるということか・・・。」

 

 茉莉香は、女王陛下とエカテリーナ公爵夫人の間で交わされた、持って回った言いまわしの意味深な会話を黙って聞いていた。もちろん、二人が、自分には知らされていない重大な秘密を前提に話をしているらしいことは、わかった。

 

『チアキちゃんといい、サーシャといい、大勢の人の人生を背負う星の下に生まれたコは、結婚ひとつをとっても、大変なことなんだなあ。

 それにしても、私に、こんな秘密の話を聞かせて、どうしようと言うのだろう。』

 茉莉香は疑問に思った。

 

「ところで、茉莉香さん。

 白鳳女学院の卒業式の夜に行われるダンスパーティに、今年は、聖王家の男性が出席するのよ。彼はまだ学生で、もちろん独身よ。

 たまたま、用事で海明星に来ているので、お招きがあって出席するそうよ。

 ついては、あなたも一曲踊って下さいね。」

 エカテリーナ公爵夫人が言った。

「ええ! 私がダンスのお相手を勤めるのですか・・・。」

もちろん、断れる話ではないと思い、茉莉香は言った。

「私でよろしければ、よ、よ、喜んで・・・」

 

 茉莉香は緊張して返事をすると同時に、ダンス部や校長の言う「サプライズ」がチアキたちの推測どおりだったことを悟った。

 

「そんなに緊張しなくてもよろしいわよ。

 すでにあなたもお会いになったことのある方よ。」

「ええ? 私は、聖王家の独身男性の方にお会いしたことはないと思いますが・・・。」

「茉莉香。彼の名は、アレクサンドル・ホワイトローズ。医者のアレックスだよ。遠征で会わなかったかい?」

 クリスティア王女が、笑いながら言った。

「ええ! あの~ォ・・・お医者さんと言えば、あのホワイト先生ですかぁ。」

「そうよ。どうかしら。彼のこと・・・」

 エカテリーナ公爵夫人が、茉莉香を見て、微笑んだ。

「茉莉香、健康診断では失敗したようだが、彼はまだ医学生にもかかわらず、すでに医者としての腕前は一流だぞ。遠征でも、大勢の人が彼に命を助けられたそうだ。

 それに、彼の性格なら、船医として、喜んで弁天丸に乗るんじゃないかなあ。」

クリスティア王女が言った。

「はぁ・・・」

 茉莉香は、この場をどう逃げきるか、思案を巡らしていた。

 

 その時、ドアをノックする音が聞こえた。

「私です。入ってよろしいでしょうか。」

 チアキの声が聞こえた。

 この声を聞いて、女王、エカテリーナ公爵夫人、クリスティア王女は、チアキに気づかれたと顔をしかめた。

「入りなさい。」

 女王が平静な声で答えた。

 チアキは部屋に入ると、四人の顔を眺め、茉莉香が少し困った顔をしているのに気がついた。そして、機嫌の悪い、よそよそしい声で言った。

「これは、これは。お三方おそろいで、茉莉香を囲んでいったい何のご相談ですか。

 私は、茉莉香が王宮に来ると聞いていたのに姿が見えないので、何処へ行ったのかと思って、探しておりました。」

 チアキは、茉莉香の縁談の話に自分が呼ばれていなかったと思って、不満だった。

「まあ、チアキ。そんなに怒るな。今、茉莉香と卒業記念ダンスパーティの話をしていたところだ。」

 クリスティア王女がなだめようとした。

「やっぱり、茉莉香をアレックスと踊らせて、お見合いさせるという相談でしょうね。」

「今、それを話していたところだ。」

「そう言う話なら、何故、私をお呼び頂けないのですか。この間、茉莉香にアレックスを引き合わせたのは、私ですよ。」

「まあ、チアキ。そんなに怒るな。こういう話は、正式に、母上やエカテリーナ様からお話し頂くのが、正しい筋道というものだ。」

「それはそうでしょうが、その席になぜお姉様がいらっしゃるのですか?」

「わ、わたしは、その、茉莉香の『姉』、つまり、年上の先輩、だからな・・・。茉莉香のことを、心配しているのだ。」

「私は茉莉香の親友です。その私も、とても心配しています。」

「それは、そうだが・・・。」

「それに、お姉様のどこが、『先輩』なのでしょうか。エカテリーナ様のご紹介下さる縁談をことごとく断っていらっしゃるのは、誰でしょうか。

 縁談の話でご自分のことを茉莉香の『先輩』とおっしゃるからには、結婚か、せめて婚約されていないと、その資格がないのでは・・・」

 チアキは、姉の地雷を力一杯、踏んづけた。

「お前にそれを言われたくないね。王位継承者と言うものは、難しい問題が・・・。」

 クリスティア王女の表情が険しくなってきた。

 

 二人が口げんかを始めたので、茉莉香は見かねて、仲裁しようとした。

「まあまあ、二人とも。ちょっと冷静に、冷静に・・・。」

「なに言ってるんだ。こうなったのは、いったいだれのせいだと思っているんだ?」

「そうよ。茉莉香が、いつまでもハッキリしないからよ。

 先日だって、せっかく、ギルバートさんとデートする切っ掛けを作ってあげたのに、成果なしじゃないの。」

「ええ!この間の、罰ゲームって、そういう趣旨だったの?」

「あたり前でしょ。気づいていなかったの?」

「アハハハ・・・茉莉香らしいなあ。」

「チアキちゃん、ヒドイよ~~~。

 お母さんみたいな、お節介はお断りです。私、自分のことは自分で決めます。」

 茉莉香もすこし怒って、チアキを冷やかし始めた。

「でも、いいよねえ、チアキちゃんは。

 エドワードさん一筋と、心に決めているからね。」

「何を言い出すの。あれは、アイツが勝手に言ってきただけで、私は何も・・・。」

 そう言いながら、チアキは、顔を赤くした。

「またまた、そんなこと言って・・・。誰も信じないよ。

 それより、早く何とかしないと、卒業式の日に、ウルスラが自分のダーリンを派手に見せびらして、学校中を歩きまわるよ。

 チアキちゃん、それでいいの?」

「私は、何もウルスラと競ってなんかいないから・・・・。」

 そう言いながら、負けず嫌いのチアキの顔はますます赤くなっていった。

 

 女王と公爵夫人は、3人の口げんかを微笑して眺めていた。

「ウフフ・・・ケンカするほど仲が良いんですねぇ。

 それに、この子達を見ていると、私たちが初めて出会った頃を、思い出しますねえ。」

 公爵夫人が言った。

「そうだなあ。あれはたしか、私が18歳の時だったなぁ。」

女王が言った。

「そうですわね。行儀見習いの研修生として、私が王宮に使えていたときですわ。

 王宮での研修が退屈でイヤになって、廊下に出てサボっていると、同じように退屈をもてあました女性が歩いて来て、私に声を掛けたんですよね。」

「そうそう。私は一目見てわかったよ。こいつは、同類だって。」

「私は、最初、貴方が王女だって分かりませんでした。同じ研修生だろうと思ってました。」

「ハハハ、すっぴんで、王女らしくない服を着てたからね。

 それから、毎日、二人で何か面白いことはないかと、王宮の中を荒らし回ったよね。」

「そうですね。いろんないたずらをしましたね。」

「何が一番面白かったかい?」

「やっぱり、バード・グライダーを身につけて、王宮の塔の最上階から飛び降りたことでしょうね。

 あれは気分爽快でした。忘れられません。」

「そうだなあ。私も同感だ。

 二人が並んで飛んでいるところを衛兵達が驚いて見上げているのが、おかしかったよねえ。」

「そうでしたね。

 もっとも、私は、あとでずいぶん叱られましたけどね。」

「私の分まで叱られて、済まなかったね。

 でも、私は、あの体験でやっぱり自由な空を飛びたいという気持ちがますます強くなったんだ。」

 女王が言った。

「そうだろうと思っていましたよ。

 私が研修を終わって実家に帰ってからすぐ、王女様が家出されたので探していると王宮の方が私の実家にも密かに来られました。

 私は、それを知って私は驚くと同時に、やっぱりなあと思いましたよ。」

「心配かけたなあ。

 でも、私が王宮に戻ってきた時、貴方が私の元婚約者の嫁になっているを知って、私も驚いたよ。」

「そうでしたね。

 私もあの縁談が王家から来たときは驚きましたよ。でも、貴方の後というのは、これも運命かなと思いました。」

「お陰で、今もこうしていっしょにいられる訳だからね。」

「そうですね。」

「ハハハ・・・」

 

 いつの間にか、クリスティア、チアキ、茉莉香の三人は、口喧嘩(くちげんか)を止めて、女王と公爵夫人の「武勇伝」を驚いて聞いていた。

 公爵の反乱にもかかわらず、女王の公爵夫人への信頼が厚い理由がわかったからだ。

 

 

24-4 レストラン・ヌーベルフランセイーズ(帝都・クリスタルスター)

 

 茉莉香が銀河帝国の第二王宮に参上した日の夜、ミーサとシュニッツアーは、銀河テレビの副社長クラーク・ケントと、帝都のレストラン・ヌーベルフランセイーズで食事をしていた。

 ミーサは豪華なドレス姿であり、ケントも高級な背広姿だった。そして、シュニッツアーは、めったに見せないヒューマノイド型のボデイで、同じように高級な背広姿だった。このため、彼の外見は、サイボーグではなく、2メートルほどの大男にしか見えなかった。

「やっぱり、この店のお料理は何度食べてもおいしいわねえ。

 ごちそうしていただいて、ありがとう。お礼を言うわ。」

 ミーサが食後のコーヒーを飲みながら、言った。

「いえいえ、こちらこそ。この前の遠征のテレビ中継は、大好評でしたからねえ。視聴率も、記録的でしたよ。

 それもこれも、先生のおかげですよ。お礼を言うのはこちらの方です。」

 クラーク・ケントが言った。

「あら、お礼を言うなら、私ではなく、船長の方に言わないと・・。

 それから、もう一つお礼を言わないといけないわね。スージーさんを上手に遠ざけてくれたわね。ありがとう。船長も感謝していると思うわよ。」

「あはは・・・。

 もともと、スージーは玉の輿狙いですし、幸いオーナーのウオーターメロン家の三男坊がスージーにベタ惚れでしたからね。

 それに、モーガン家の嫁には、スージーは無理ですよ。その方が、彼女の為です。」

「そうね。

 それであなたは、この縁談をまとめた功績で、ウオーターメロン家の大奥様の御覚え目出度く、次期社長は間違いなし、なのかしら。彼女は、孫の三男坊を特に可愛がっていたそうだからね。」

「そんなお世辞を言わないでくださいよ。先生らしくもない。」

「あはは・・・・。お世辞もお礼のうちよね。

 でも、スージーさんは、裏の事情に気付いているの?」

「いいえ。

 でも、勘のいい奴ですから、モーガン家の息子と弁天丸の船長との間に、なにか秘密があるのかと、私に聞いてきましたよ。

 もちろん、男女関係のことじゃないですよ。」

「あの二人の男女関係のことなら、いくらでも探ってもらって、良いんだけどねえ。」

「あはは・・・。

 男女関係といえば、ねえ、ミーサ、良い返事を聞かせてくださいよ。」

「あら、そう言う話になるの。」

「あなただって、いつまでも弁天丸に乗っていられないでしょう。こちらのシュニッツアーさんだって、同じような事情でしょう。

 だって、船長も代替わりして慣れてきたし、彼女にもそろそろ自分のスタッフを自分で集めることが必要な時期に来ているんじゃないですかぁ。」

「クラーク。あなた、相変わらず、勘のいい人ねえ。

 裏事情を、全部、知っているようなふりをして、今までの話を全部、ヤマカンで言っているとは、とても見えないわねえ。」 

「実は、シュニッツアーさんにも良いお話があるんですが・・・。」

「私はまだ、弁天丸を離れるつもりはないよ。後任のめどがついているわけではないし・・・・。」

「後任なら、船長自身か、あるいはモーガン家が何とかするでしょう。

 私の見るところ、船長が望めば、ギルバート・モーガン自身がシュニッツアーさんの後任を勤めるのではないでしょうか。」

「その肝心の船長の気持ちが、定まらないからねえ。」

 ミーサが言った。

「そうですねえ。・・・やはり、まだ18歳だからでしょうか。」

「そうねえ・・・・・あら、やだ、もうこんな時間。

 今晩はごちそうさま。」

「ああ、ひどいなあ。またですかあ。」

「これで何回目か、覚えてるかしら。」

「38回目かなぁ・・・。」

「フフフ・・・・」

 

 三人は、店を出て、歩道にでた。星空がきれいだった。

「シュニッツアー、車を呼んで頂戴。」

「そこに来てますよ。私たちのも、ケントさんのも。」

「そう。じゃあ・・・」

 ミーサがクラーク・ケントに別れの挨拶をしたと思った瞬間、ミーサは毛皮のコートのポケットから、携帯型のブラスターを取り出して、いきなりケントに向かって発射した。

 

 シューツ!

 

 最小限の出力で、ブラスターが光も音もなく発射された。これは、相手の手足を痺れさせて、抵抗を止める使い方である。

 

「ああ、またですかあ・・・ううう」

 クラーク・ケントは足が痺(しび)れてよろめいたので、シュニッツアーが体を支えた。

「今のは、回数を間違えたペナルティよ。今日で37回目のはずよ。

 誰か、他の女の人に言ったプロポーズを数えているんじゃないの。

 まったく失礼しちゃうわ。」

「ひどいなあ。遠征中に言ったら、断られたじゃないですかあ。

 あれも数えると、38回目ですよ。」

「あら、そうかしら・・・じゃあ」

 ミーサはそう言うと、動けなくなりシュニッツアーに体を支えられているケントに近づいて、その頬にキスをした。

「ごめんなさいね。これで帳消しね。」

 ミーサは、まだ充分に動けないクラークに微笑んで、シュニッツアーに言った。

「シュニッツアー、クラークを車まで送ってあげて。」

「了解。」

「クラーク、2、3分で体は元に戻るわよ。いつものことだけど。

 おやすみなさい。

 茉莉香のことも、心配してくれてありがとう。」

「どど・・うも。」

 クラーク・ケントは、テレビ局の車に乗って帰って行った。

 

 その車を見送ったミーサは、帝都の星空を見上げて言った。

「茉莉香。クラークの言うとおりよ。

 あなたもそろそろ、自分と人生をともにするクルーを自分で集めないといけない時期にきているんじゃないかしら・・・。」

 

「そうだなあ。

 いつまでも、ゴンザエモンが集めたクルーに頼っていてはだめだ。

 弁天丸は、もう、加藤茉莉香の時代なのだから。」

 シュニッツアーも言った

 

 




 やっぱり、チアキの海賊ショーを書きたかったので、22章の続編を、24章として、書きました。
 海賊ショーは、牛若丸と弁慶の「五条の橋での戦い」を、宝塚風に書いてみました。
 余談ですが、話を書いていくと、牛若丸のストーリーと、この物語の中のチアキの存在が、ぴったり一致しているのに気がついて、自分でも驚きました。
 牛若丸も、武士の統領、源氏の若君でありながら、身分を隠して育ったのですからね。
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