魔導転生 ~大魔導士キョウスケ☆マギカ~   作:新世界のおっさん

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information:
上条邸に温室が導入されました。
より高度な魔術を使用可能になりました。

呉キリカの連絡先を手に入れました。
積極的に連絡が来ます。

それでは引き続き魔導転生をお楽しみください。



大魔導士、輪を広げる

早朝……上条邸では、バイオリンの音色が響く。

恭介が気をきかせ、<上条恭介>に主導権を戻しているのだ。

天才的な彼は、たまに開かれるコンクールに出ては賞をかっさらうのがお決まりで、両親も鼻が高いらしい。

そんなバイオリンのコンクールが、近々見滝原文化ホールで開かれる予定で……それ故に早朝に練習をするのが、今の彼の日課となっている。

 

「(相変わらず、見事な演奏だな)」

 

「ありがとうございます……でも僕はまだまだ精進するつもりです」

 

「(殊勝な心掛けだ、だが若い内はもう少し外にも目を向けた方が良い……好きなものにのめり込む気持ちは、痛いほど分かるがな)」

 

「……確かに今の貴方の様に、もっと交遊の輪を広げた方が良いのかもしれませんけど……貴方ほど口が上手くないですから」

 

そして数少ない、二人が交流出来る時間でもある。

無論恭介がやったことは、<上条恭介>も体感しており、知っている……昨日のキリカとの対話も、バッチリである。

だが二人が話を出来るのは、バイオリンを握っている今だけなのだ。

 

「(口の上手さなど、沢山会話したり、会話を聞いたりしていれば、自然と身に付くものだ……君もそのうち私の様に話せるようになるぞ)」

 

「何事も積み重ね……ですね」

 

「(そうだ、その積み重ねを諦めなければ、人間はいくらでも可能性を秘めている……む、そうだっ)」

 

ふと恭介が何かを思いつき、話題を切り換えた。

 

「(そのまま<温室>に来ないか?魔術に触れるのも良い勉強になるだろう……)」

 

「えっ?僕が魔術を?」

 

「(私が中にいる為、魔力自体は膨大にある……あとは私の言う通りに術式を完成させ、魔力の運用の仕方を私から学ぶ……どうだね?興味があるだろう?)」

 

<上条恭介>は真剣に悩む表情をした後、決めたのか静かに頷いた。

 

「未知の物を受け入れる楽しさは貴方から学びました……僕もそれを実践すべきですね……と言うのは建前で、僕も興味がありましたのでやってみたいです」

 

「(クックックッ……やはり最終的に好奇心が勝るものよ……行こう、あちらだ)」

 

バイオリンを持ったまま、<上条恭介>は移動する。

行く先は庭の一角に恭介の依頼で作られた、植物とフラスコなどの実験器具で溢れた温室だ。

中にはいると、夏の様な熱気と、じめっとした湿度が襲ってくる。

奥へと進み、テーブルの前まで来ると、恭介が語りだす。

 

「(今回は<転移>の術式だ……持ち運びが楽で、尚且つ便利な物故に魔術師は基本持ち歩いていた)」

 

「転移とは?」

 

「(その名の通り、テレポーテーション……瞬間移動の魔術だ)」

 

「なっ!いきなり凄い物を……難しくありません?」

 

この世界の人間である<上条恭介>からすれば、瞬間移動はかなり高等なテクニックの様に感じた。

しかし、あちらの世界の人間である恭介の見解はまるで違った。

 

「(いや、実はそうでもない……私がいた場所では寧ろ出来て当たり前な物だった……使用する魔力量が多いから敷居が高かったのは認めるが、術式を作ること自体は難易度が低かったのだ)」

 

「ああ、なるほど……僕の中ではゲームに登場する<魔法>のようなイメージだったのでつい……」

 

「(……気にするな、では始めようか……まずあちらにある羽と絹糸、それから私たちの手前にある針と羊皮紙、あとは引き出しにある鉛筆……準備はこれだけで良い)」

 

恭介の指示通り物を用意すると、バイオリンを持たない右腕のみが彼の制御になり、羊皮紙と鉛筆を取り、手前に置き、さらさらと描いていく。

 

「(複雑な術式を作るために、別離に単純な術式が必要になる……それがこの紙に記す術式なのだ……以前手足の不調を治した時は、この術式のみでやったろう?)」

 

「そうですね、あの時は何がなんだか分かりませんでしたが……今思うと、本当に感謝してます」

 

「(いらんよ、礼など……それでこの術式で行う治療は非常に燃費が悪いので、緊急時以外にはやらん方が良い)」

 

描き終えた術式の上で、次はバイオリンを左腕に抱きながら、針に絹糸を通し、それを羽に縫いつけていく。

 

「……何故媒体が羽と絹糸なのでしょうか?」

 

「(よい質問だ……羽は飛ぶイメージ、絹はふわふわとしたイメージ……大概魔術はイメージが大事だと言われ、発想力、転換力、想像力……あと財政力が大事だと言われている)」

 

「最後が見も蓋もないですね」

 

「(現代の人類にとっての真理だ)」

 

用意が終わると、羽を術式に重ね、制御を<上条恭介>に戻す。

 

「(さて、いよいよ魔力の扱い方だ……実はこれもイメージが大事なんだ……体内に私の魂がある、それを強くイメージし、そこから力を引き摺り出し、この術式に注ぐのだ……)」

 

「かなり荒っぽいイメージで良いんですね?」

 

「(本来無かったものを扱うのだから、それぐらいせんと使いこなせんよ)」

 

「なら、遠慮はせずにやります!」

 

手を羽に向かって掲げ、瞬間イメージを行う。

術式が光を放ち、羽がそれに飲み込まれる。

それを見て恭介は感嘆する。

 

「(素晴らしい!魔術の才能もあるぞ君は!)」

 

「し、信じられない……これが魔術……楽しいなぁ!」

 

「(フフフ……気に入ってもらえて、私も嬉しいぞ)」

 

<上条恭介>が羽を試しに持ってみる。

その羽は銀色に染まり、絹の様に柔らかい羽毛を持ち、生きているかのように力に満ちていた。

 

「これが<転移>……本当に作ること自体は簡単でしたね」

 

「(であろう……まぁ、使う機会が来たらそれをまず使おうか……とは言え迂闊に使ったのを見られると面倒だから、そんな機会は少なかろうが……そう言えば……)」

 

「……はい?」

 

突然恭介がしんみりとした声で言ったのに対し、<上条恭介>は反応し、耳を傾ける。

 

「(先程、ゲームで使われていたと言っていた<魔法>……やはりそれは魔力だけで様々な事象を起こせるのだろうか?)」

 

「はい、その通りです」

 

「(……私が目指しているのはそこなのだ……)」

 

そう、恭介の本来の目的は<魔法>の完成である。

彼の理想は媒体や術式など必要なく、自由に魔術が使える事。

大魔導士たる彼が、ここにいる最たる理由はまさしくこれなのだ。

 

「……僕は、貴方を応援しています……例え一人でも」

 

「(ありがとう……居候風情に気を払ってくれる君は、優しい男だな……)」

「そんな事はありません……貴方は恩人なのだから、これくらいは当然ですよ」

 

二人の絆が、少し深まった早朝だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

登校時間……余裕を持って家を出た恭介はとある場所へ向かっていた。

それは昨日の夜、メールを取り合っていたキリカから、一緒に登校したいと申し出があったため、彼女との待ち合わせ場所に向かっているからだった。

 

「あ、いたっ……キリカさん、おはようございます!」

 

「キョウスケ、おはよう!」

 

着いた先は上条邸から少し離れたところにある公園であり、そこでキリカが恭介を笑顔で出迎えた。

 

「こうやって誰かと学校に行くなんて久しぶりだから、なんかワクワクする」

 

「ふふ……キリカさん、本当に楽しそうで何よりです」

 

「キョウスケと一緒だからこそだよ」

 

公園から二人で歩きだす。

仲睦まじく話しながら並ぶ黒髪の少女と、銀髪の少年の姿は、客観的に見てもとても絵になった。

しかし、それを断ち切る様に恭介はキリカに告げる。

 

「それで今回なのですが、僕の幼馴染みと友達とも会ってもらおうかと思って、キリカさんの事は携帯で伝えてます」

 

「えっ……で、でも……それは……」

 

突然の報告に戸惑うキリカ。

しかし事前に話をすれば、彼女は先伸ばしにしようとする可能性が高かった為に、あえて恭介は黙っていたのだ。

その手を握り、片膝を地面に着き語りかける恭介。

彼なりに聞いて欲しい故のアピールである。

 

「昨日キリカさんが変わる為に協力すると約束した事に、偽りはありません……黙っていたことは謝ります……でも、僕を信じて欲しい……駄目でしょうか?」

 

不安げなキリカの瞳を、優しげな眼差しで見つめる恭介。

キリカとしても彼の事は昨日のやり取りで信頼していた……しかしそれでもまだ会ったことの無い人間と、きっかけもないまま会って普通に話せるかと言う不安が拭えなかった……。

だから恭介がもう一押しをした。

 

「もし上手くいかなかったら、お詫びに僕が何でもおごってあげます……」

 

「うへっ!?」

 

「さらに上手くいったら、ご褒美に何か言うこと聞きます……どうです?」

 

「それ……私にしかメリットないよ……良いの?」

 

実際は彼には若干のメリットがあった。

それはキリカのモチベーションアップと、他のメンバーとのシナジーが出来て、纏まって行動しやすくなり、堂々とそれぞれと交流出来る。

それにお詫びとご褒美によりハードルを下げる事で、彼女が話しやすくなると考えれば、リスクがあっても恭介は気にならない。

 

「僕はそれでも構わないです、キリカさんの為ですから」

 

「キョウスケ……分かった!そこまで言ってくれるなら、私頑張ってみるよ!」

 

「その意気です」

 

恭介の真意は知らず、自分に協力してくれる彼に応えたいとやる気をだすキリカ。

そんな彼女を彼は、内心苦笑しながら見ていた。

 

「(私だから良かった物の……もし、<詐欺紛いの奴>だったらあっさり引っ掛かりそうだ……将来が不安だな)」

 

表上は友達でも、実際は子供と保護者と言うのが、二人の関係だと言えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日同様、恭介は並木通りに着く。

違う点は、さやかとまどかも仁美と一緒に待っていた事である。

 

「おはよう三人とも!ごめん、遅れちゃって!」

 

「大丈夫、全然待ってないよ」

 

「ええ、私たちも先程来たばかりですから」

 

「たまには待ち受けるパターンも良いかなぁ、と若干早く出ただけだから気にしなく良いよ……それよりも」

 

少し遅れた事に三人とも特に気にしたようすは無かった。

しかしさやかも他の二人も、気になったのは恭介の後ろに隠れているキリカの存在だった。

 

「キリカさん、ほら、挨拶をお願いします」

 

「う、うん」

 

改めて自分から自己紹介をするのが久しぶり過ぎて、緊張しているキリカだったが、恭介に促され、勇気を振り絞り前に出る。

 

「く、呉キリカ……三年生……昨日キョウスケに相談にのってもらってから友達になったんだけど……こんな私だけど、仲良くしてもらえない……かな?」

 

彼女なりの精一杯勇気を出して、伝えたいことは伝えた。

キリカは三人の顔色をうかがう……すると、真っ先に前に出たのはまどかだった。

 

「キリカさん、私鹿目まどかって言います!さやかちゃん経由で、恭介くんキリカさんのお話聞きました」

 

「……ッ!」

 

話を聞いたと言われ、ビクリと反応するキリカ。

それに気づいたまどかは慎重に話を進めていく。

 

「……実は私も昔いじめみたいな事をされてて、誰かと話すのも嫌だった時がありました……でも、そんな時恭介くんの幼馴染みであるさやかちゃんに助けてもらって、今の私があります」

 

「……なるほど」

 

そう言ってさやかと恭介を交互に見るまどか。

彼女の視線でキリカは誰がさやかで、恭介の幼馴染みなのかわかり、話の内容には既視感を抱いた。

 

「……だから、何か親近感湧いちゃって……その、私と友達になりませんか?」

 

「うん、ぜひよろしく!マドカ!」

 

二人は握手をかわし、微笑みあう……しっかりと通じあった瞬間だった。

 

「へぇ……」

 

「な、何さ」

 

「いや、改めてさやかは良い娘なんだって認識しただけ」

 

まどかの話を聞いていた恭介はニヤニヤと笑っており、さやかは羞恥で頭を掻いた。

 

「あ~、えっとキリカさん……さっき紹介に預かりました、美樹さやかです……うちの恭介、何か失礼をしてはいやせんでしたか?」

 

「失敬な」

 

「そ、そんな事は……丁寧に話を聞いてくれて、紳士的だなって思ったくらいで……」

 

さやかは軽い調子で、恭介を交えつつ自己紹介をする……それは少しでもキリカが話しやすいようにと言う、彼女らしい気遣いだった。

 

「恭介とは違って、あたしこう言う軽いノリで話しちゃったりすることが多いですけどもっ……キリカさんと仲良くしたい気満々なんで!恭介共々仲良くしてください!よろしくお願いします!」

 

「よ、よろこんで!サヤカ!」

 

まどかと違い自ら率先してキリカの手を握り、満面の笑顔を見せるさやか……終止リードしていく彼女の姿勢は、キリカはたじたじであったが、多少羨望の眼差しを含み見ていた。

 

「最後になりましたが、わたくしは志筑仁美と申します……お辛いことがあって、周囲の方々が信じられなかったとか……心中お察しいたしますわ」

 

「あ、ありがとう……」

 

他二人と違い独特な話し方な為に、キリカは仁美に一番気圧される……しかし、本心で語っていることが伝わってきたのも間違いなかった。

 

「でも、もう安心なさってくださいませ……わたくしたちは貴女の味方ですので、気軽に頼っていただけたら嬉しいですわ……どうぞ、よろしくお願いしますわ」

 

「こちらこそよろしく、ヒトミ……ふふっ、流石キョウスケの友達だね、皆良い娘ばっかりだよ!」

 

全員との挨拶を終えたキリカは、最初の不安はどこへやら、すっかり上機嫌であった。

 

「ふふっ、僕も一安心ですよ……キリカさんが皆と仲良くなれて」

 

「へへ……でも私の一番はキョウスケだからねっ」

 

「「なっ!」」

 

「ひぇ」

 

笑顔で恭介の腕に抱きつくキリカ。

彼女としては親愛の証かもしれないが、さやかと仁美にダメージを与え、まどかを狼狽えさせるには十分な衝撃だった。

 

「それはまた、光栄ですね……ん?どうしたんだい?三人とも?」

 

「い、いやぁ……何でもない何でもないっ」

 

「え、ええもう素晴らしい友情ですわっ」

 

「だ、だけどキリカさん……公衆の面前で抱きつくのはちょっと……」

 

「えっ?あっ、しまったつい……感情が……高ぶって……」

 

三人に言われて初めて気づいたほど、キリカは意識せず抱きついてしまった為に、後から羞恥心が出てきて顔が熱くなった。

 

「「(ライバルにならない事を祈ります(わ)っ)」」

 

「(うぇひひ……さやかちゃん大変だなぁ……)」

 

「(とりあえず丸く収まったか……)」

 

四人それぞれの思惑が頭の中で渦巻いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方見滝原の魔法少女<巴マミ>は、辺りの異変に気づいていた。

 

「……おかしい……魔女の数が減ってるのかしら?……まあ、それは良い事なんだけれど……」

 

普段なら使い魔などでも、適当にパトロールをすれば当たるほど、見滝原は魔女の巣窟のはずなのだが、今日に限って全く出会わない。

 

「(……もしかしたら、<佐倉さん>?……いえ、あの娘はもう……)」

 

『どうしたんだい?マミ』

 

「あっキュウベえ……大丈夫、なんでもないわ」

 

一瞬知り合いがこちらに来ているのかと考えたが、それはないと切り捨て、足元に寄ってきたキュウベえを抱き抱えるマミ。

 

「(きっと何かイレギュラーな事が起こっているのね……もう少しパトロールを続けようかしら)」

 

そう思い立ちふと見上げると、ビルの上を飛び回る人影を見つけた。

 

「ッ!待ちなさい!」

 

マミも魔法少女に変身して、ビルの上までリボンを利用しかけ上がる。

しかし、彼女が目視出来たのは長い銀髪の後ろ姿だけで、その人影は凄まじい速度で逃げ去ってしまった。

 

「……間違いなく、魔法少女……でも佐倉さんでは無かった……穏便に済む相手なら嬉しいんだけど……」

 

この後に控える縄張り争いを想像し、マミはため息を吐いた。




informationさんを無駄に導入、主に追加された要素を連絡してくれるよ!(誰得)

ついにマミさんがチラリと登場、必殺のティロ・フィナーレで魔女は粉々さ!(そしてマミる)
マミさんを救いたい。
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