魔導転生 ~大魔導士キョウスケ☆マギカ~ 作:新世界のおっさん
なぎさの死亡フラグを回避しました。
以後、何かと良いことがありそうです。
なぎさは妹ポジになりました。
上条邸に自由に出入りします、構ってあげてください。
それでは引き続き魔導転生をお楽しみください。
朝になり起床した恭介は、隣でまだ寝ていたなぎさは寝かせたまま、日課のバイオリンの練習を始める。
「知らずに過ごしていました……魔法少女に魔女……そんなものがこの世に溢れているなんて」
「(表があれば裏があるものさ、世界も人間も)」
<上条恭介>からするとかなりの衝撃であったが、恭介はいたって落ち着いていた……無論違う世界の人間だからと言うのもあるだろうが、人生経験としても二人にはれっきとした差があるのだ。
「……さやかや他の皆もそうなる可能性があるんでしょうか?」
「(恐らくな……キュウベえの目的がまだ不明瞭な上、私達は又聞きで知ったにすぎん故、対処が困難なのが痛いな)」
「……ダメですね、集中できない……今日は止めます」
そう言ってバイオリンの練習を打ち切る<上条恭介>。
三度の飯や絶世の美女よりバイオリンが好きな恭介が、その練習を止めた……これに恭介は興味が湧いた。
「(ほう……バイオリン中毒な君が、集中できないほどとはね)」
「……貴方のせいですよ?責任を取ってほしいです」
「(責任転嫁はよせ……私とてこうなるとは思わなんだ……)」
恭介としても彼の気持ちは分かったが、全ての責任を負うつもりはなかった……だが。
「(だが……もしもの時は<全心全霊>を賭けて、君達を守るよ)」
「……やっぱり貴方は……」
「ん?……なんだ、沈んだのか……」
……お人好しだ……<上条恭介>は心の底で恭介に聞こえないようにつぶやいた。
温室でサクッと転移や浄化等の術式を作っておいた恭介は、朝食となぎさの為の弁当を作った。
その後彼女を起こし食事をとる。
「美味しいなのです」
「それは良かった……」
「兄さまは、将来良いお嫁さんになりそうなのです」
「それはあまり良くないな」
冗談真剣味(じょうだんまじみ)で言ってきたなぎさの頭をさらさらと撫で、空になった食器を片付ける恭介。
なぎさもそれに倣って流し台に自らの食器を持ってきた。
食器洗い機にある程度は任せ、待ち時間を適当に過ごす。
恭介がテレビをつけてソファに座ると、なぎさは自然に彼の膝の上に納まった。
「……見えないよ」
「構ってほしいなのです」
「……しょうがない娘だなぁ……うちの妹は」
「……♪」
あまり表情に出ないがかなり上機嫌らしく、なぎさは頭を恭介の胸に擦り付けたり、鼻歌を歌ったりしている。
恭介はそんななぎさを抱きながら、頭を撫で、自分の頭を傾けてテレビを見ていた。
「さて、後は鞄を……ん!?」
「なのです?」
食器を片し終えた時、キリカのメールに気づき、急いで扉を開ける。
「キョウスケ、おはよう!」
何と扉の前には既にキリカがいた。
「おはようございますキリカさん……でも《そうだ、キョウスケん家いこう》ってノリで突然来るのは予想外でしたよ」
「うん、驚かせたかったからね……それに昨日の帰りは突然用事があるって、抜け出したから気になってたのもある」
「ああ、それは……」
「兄さま、誰なのです?」
突然の訪問に冷静に対処しようとしていると、後ろからなぎさが声をかけてきた。
恭介はヤバイと思ったが、既に遅かった。
完治してない疑心暗鬼でキリカは警戒体勢になり、なぎさは何かを感じとり身構えた。
「キミこそ誰かな?私はキョウスケに妹がいるなんて聞いた事はないよ?」
「なぎさは百江なぎさなのです、兄さまには昨日から家族になってもらったなのです……それで貴女は兄さまの何なのです?」
「私は呉キリカ、キョウスケの友達で彼とは協力関係にある……しかし、昨日会っただけの女の子が、何で妹になってるのかな?」
「そんなことは貴女には何の関係もないなのです、首を突っ込まないでほしいなのです」
いつの間にやら二人の間には険悪な空気が漂っている……一応二人は昨日一昨日会った関係だったりする(互いに深い事情はあるが)
「キリカさん、この娘を疑うようならご褒美は無かったことに」
「えっ」
「なぎさ、この人と喧嘩するならもう家に上がらないでくれ」
「えっ」
だがしかし、恭介は二人の制御する術を心得ていた……と言うより弱味を握っていた。
笑顔で淡々と先程の言葉を言われたため、二人は本気なのではと恐怖した。
「待ってよ、大丈夫!今のは確認の範囲だからセーフだよ!ねっ!」
「兄さまと離れたくないなのですっ、喧嘩しないなのですっ」
「大変よろしいです……ではこれよりなぎさを学校に送ってから、そのまま並木通りに向かいます」
「「り、了解(なのです)」」
鞄を取りに向かう恭介の後ろ姿を見ながら、二人は呟いた。
「キョウスケを怒らせちゃだめだね」
「激しく同意なのです」
何だかんだで二人は息がピッタリだったらしい。
予定通りなぎさを小学校に送り、並木通りまで来た恭介とキリカ。
そこにはさやかと仁美がいたが、まどかがいなかった。
「<お姫様>はトラブルかい?」
「わっかんない、またまどかのお母さんじゃない?バリキャリだし、美人だけどたまに残念な人」
「バリキャリって何なの?」
「確かバリバリのキャリアウーマンの略で、とてもお仕事一本な女性と言う意味ですわ」
まどかの家は母が働き父が家庭を切り盛りすると言う、特殊だが最近増えてきた家庭体系であり、まどかも将来は働きたいと良く口にしていた。
「あたしは花嫁修行したあと、まどかを嫁にして家事に勤しむのも悪くないなぁと思うわぁ」
「そうなんだ、さやかを応援しようか?」
「……それ、超複雑なんですけど」
「ん?」
「何でもないっ」
恭介からプイッと顔を背けるさやか。
そこへまどかが走ってくる。
「おはよう皆!遅くなっちゃった!」
「おはよう!……お、マドカは髪型変えたんだ?」
「まあ、可愛らしいですわ!」
「リボンに変えたのかぁ、かわいいのう!流石我が嫁!」
ポニーテールだった髪型はツインテールに、黄色いシュシュは赤いリボンに変わっていたまどか。
「そうかなぁ?派手すぎない?」
「君の桃色の淡い髪色に、リボンの鮮やかな赤は映える……とても似合ってるし、可愛らしいと思うよまどか」
「……あ、あの……恭介くん……それは凄く嬉しいんだけど、恥ずかしいかも……」
直球かつ具体的に誉めてくる恭介に、まどかは頬を赤くする。
それに対しムッときたさやかは不機嫌になる。
「こぉら!まどかを口説くな!」
「いや、僕はそういうつもりじゃ……」
「……私も何かアクセサリー買おうかな?」
と、ここでまどかが羨ましいと感じたキリカは、顎に手を当て一言ボソリと呟いた。
それを聞き逃さなかったまどか。
「あっ!じゃあ今日の帰りはアクセサリーショップに行きましょう!そうしよう!ねっ、恭介くん!」
「えっ?あぁ、良いけど」
どうやら恥ずかしさをまぎらわすために乗っかったまどかにより、帰りはアクセサリーショップに寄ることになりそうだった。
「くっ……レッスンや習い事がある自分が憎らしいですわ……」
一人を除いて。
教室前までついてきたキリカと別れ、席につき準備を済ませる。恭介の席はさやか達とは離れており、近くの知り合いはいなかったので、ぼんやりとホームルームの時間を待った。
しばらくして、担任教師である<早乙女和子>が教室に入ってきた……しかし、その表情は何処か憤慨していた。
「皆さん!おはようございます!……目玉焼きは半熟か固めかどっちですか!?はい、中沢くん!」
「ど、どちらでも良いかと……」
唐突な彼女の質問に、中沢君はいつものように答える。
すると、教鞭を手にもった和子は皆に向き直り言った。
「そのとおり!どちらでもよろしい!皆さんは、些細なことで怒るような人とは!絶対に付き合わないように!」
「……たしか、先生三ヶ月付き合ってる彼氏がいたはずだから」
「ああ、あれは間違いなく別れたね」
「(なるほど……彼女もつくづく恵まれんな……)」
周囲の生徒が囁いているのを聞いて、和子の様子に納得をしていた恭介だったが、ふと気づいた。
「(……ッ!魔力の流れを感じるな……魔法少女が近くにいるのか?)」
彼は感じ取った……今まで教室で感じたことのないその存在を。
それと同時に和子が告げた。
「はいっ、それと今日から転校生がこのクラスに来ています!」
「そっちが後回しかよ……」
「うぇひひ、私もそれ思った……」
さやかとまどかは、話の順序のおかしさについて、和子に聞こえないようにツッコんだ。
「どうぞ、入ってきてください!」
「はい」
「うわぁ~……すっげぇ美人……」
「な、何てことだ……あれはどちらでも良いなんて言えん娘だ……」
「まぁ……凛々しい方ですわ」
入ってきたのは、黒髪ストレートロングにカチューシャをつけた、美形な少女だった……しかし、何処か浮世離れ感じもする人物だった。
男女ともに彼女に目を奪われる中、違う見方をしていたのは、まどかと恭介であった。
「(あの子、夢の中で会った様な……)」
「(なぎさは自分以外に二人魔法少女がいると言った……この娘がそうなんだろうな……)」
まどかは今朝の夢の中で、崩壊する街の中で孤独に戦う彼女を見た為、奇妙な印象をもった。
そして恭介は、なぎさから聞いた話と、現在彼女から感じている魔力から魔法少女と断定した。
そんな二人の視線が、彼女に集中する。
「それじゃ名前を……あっ」
名前を電子黒板に書こうとしてペンに近づいたが、それを既に転校生が持っており、ボードに名前を書き出した。
終わった後、書かれていた名前は<暁美ほむら>だった。
「暁美ほむらです、よろしくお願いします」
自己紹介後、礼をしてクラスを見渡すほむら……普段ならここでまどかに対して視線を向けるのだが、今回は違っていた……何故なら驚いて固まってしまったからだ。
「(上条……恭介……ッ!?)」
幾度も時間遡行を繰り返し、この場面に立ち会ってきたほむらだったが、一度たりとも<上条恭介>がいたことは無かった……彼女からすると、彼が何事もなかったかのように存在している事に、かなり動揺せざるをえなかった。
「(前の魔法少女と言い、この時間軸は何かが変だわ……!)」
「……ん?僕に何か?」
「ハッ……いえ、なんでもありません……」
視線に気づいた恭介は、ほむらに声をかけた。
そこでやっと意識をはっきりさせ、彼女は用意されていた席についた……しかもそこは恭介の席の隣だった(もうひとつの隣は中沢君)
「(……落ち着きましょう……調べる必要があるみたいね、上条恭介を……もしかしたら、何かメリットがあるかも……)」
「(今、私を見ていた?魔力を探知出来るタイプだったのだろうか?……だとしたら、彼女には味方であるアピールが必要そうだな)」
互いに頭で考えながら、無意識に隣を見た。
その為、当たり前の如く目があった。
「あっ……ごめんなさい」
「いや、こちらこそごめんね、不躾に見てしまって……」
「(むむむぅ!なんだあの雰囲気は!またかぁ!まさかまたライバルなのかぁ!)」
「(そんな、嘘ですわよね……?)」
何とも言えない緊張が二人の間で流れる中、ある意味さやかと仁美も気が気でなかった。
ホームルームが終わると、クラスの生徒が一斉にほむらに駆け寄り、話を聞いてきた。
「流石転校生だ、人気が違うねぇ」
「……でも何か困ってない?」
「あれだけ一気に来られれば、誰だって困りますわよ……」
まどかとさやか、仁美は遠巻きにほむらが質問攻めに遭っているのを見ていたが、割り込もうか迷っていた。
特にまどかは、和子がホームルーム中に彼女は心臓が悪いと話していた為、保険委員を理由に連れ出す事も出来たのだ。
「(困ったわ、上条恭介に話を聞こうと思ったのだけど、理由が思いつかない……こんなこと想定していなかった……)」
実は離脱そのものは、病気を理由に出ていけば良いのだが、彼女の本目的は恭介に接触することだった為に、身動きがとれずにいた。
「(致し方ない……ここは諦めてまどかに忠告を……)」
「皆、すまないけどそのくらいにしてくれないかな?早乙女先生も言ってたでしょ?彼女今から薬飲まなきゃならないんだ……」
「……えっ?」
ほむらは驚いた、まるで自分自身の時間軸の時に助けてもらった時の再現の様だったからだ……それも。
「あ、ごめんね<上条君>」
「すまねぇな、暁美さん、身体大事にな」
離れていくクラスメイト達の後ろから現れたのは、件の上条恭介だったからだ。
「行こうか……僕保険委員なんだ」
そう言って恭介は、ほむらに微笑み手を差し出す。
「あ……はい……」
思わず昔に戻ったような感覚にとらわれたほむら……誘われるまま恭介の手をとり教室の出口へ向かう。
途中まどかが、恭介に手を合わせてウィンクした……すまないが任せたと言う意思表示である……それに対し彼は頷き、ほむらと共に教室を出ていく。
しばらくしてから、恭介は手を離し、彼女に声をかける。
「すまないね、突然連れ出したりして……あと、クラスの皆は悪気ないはずだから、許してあげてほしい……久しぶりに、それも美人な転校生が来てはしゃいじゃってるみたいなんだ」
「ああ、いえ……大丈夫です……その、ありがとうございます……正直どうしようか困っていましたから」
二人は手を離してから、一定の間隔で横並びに歩いている……それはどちらからともなく行われていた……。
それは決して警戒からではない……恭介もほむらも、互いに距離を計りかねているからなのだ。
「(男子の保険委員は中沢君のイメージがあったけれど……思えば彼は上条恭介がいなかったことによる臨時だったのね……さて、思わぬ向こうからのアプローチで二人きりになれたけど……どう切りだそうかしら)」
「(まあ、魔法少女だから心臓は完治しているだろうな……しかし、彼女は何か目的があって来たのか……或いは単純に親の都合か……どのみちあの視線から、私に何かあるとは感づいていそうだ)」
しばらくの沈黙後、切り出したのは恭介だった。
「そう言えば名乗ってなかったね、上条恭介って言うんだ……よろしくね、暁美ほむらさん」
「あっ、は……ええ、上条恭介君……」
「この間まで見滝原市立病院に入院してたんだっけ……実は僕も最近まで入院してたんだ、交通事故で……でも怪我以外特に障害も無かったから、すぐ退院したんだ」
これは当然嘘である、実際にはその場しのぎの紙の癒しの術式で、結構無理矢理治して、早急に退院したのだから。
だがほむらはそれを知らない為に、別の解釈をした。
「(この時間軸では、たまたまそういう風に因果が働いたと言うことかしら……それならそれで構わないわね、むしろ好都合……美樹さやかの契約の主な原因が解決されているなら、仕事が大いに減るから……無論戦力は減ってしまうけど、支障をきたすほどではないわ)」
そう判断したほむらは、恭介に当たり障りない受け答えをする。
「そうだったの……なら、私達入院していたもの同士、仲良くできそうね」
「うん、そうだね……ぜひ仲良く……」
故に恭介も普通に返そうとしたのだが、このタイミングでポケットの携帯がバイブレーションする。
気まずい沈黙ながら、ポケットからスマートフォンを取りだし、サイレントマナーモードに切り替えつつ、メールの確認をする。
「(上条恭介が連絡をとる相手……念のため確認を……)」
確かにほむらの中では、恭介は問題ない人物だと認識していたが、だが万が一を考えてコッソリ覗いた……そして、二度目の動揺をすることになる。
「(なッ!?呉キリカ!!?)」
恭介が連絡を取り合っていたのは、呉キリカだった。
その事実は彼女にとっては、上条恭介と言う一人物を白から黒へと染めた。
何故ならほむらが廻った世界の一つで、呉キリカはとある人物とタッグを組み、まどかを殺すために<魔法少女狩り>を実行した実行犯であり、彼女にとっての敵に他なら無かったのである。
「(上条恭介……貴方への認識を改めさせてもらうわ……最大限に警戒しなくてはならない相手ね、貴方)」
「ごめんね、携帯とか見たりして……あ、次は左に」
「いいえ、もう結構よ……上条恭介」
唐突に雰囲気が変わったほむらに、恭介は彼女に対する目付きを変える。
「どうしたんだい?もう少しで保健室に着くんだし、そこまで……」
「……言いたくはないけれど、先程の発言撤回するわ……貴方とは仲良くできそうもないもの……出来れば今すぐ私の前から消えて欲しいくらいよ……」
恭介からすれば理解が出来なかった、それは目の前の自分を放っておいて携帯を見るなどされて、あまりいい気はしないかもしれないが、ここまであからさまに態度を変える理由にはなり得ないはずだと思ったからだ。
「……何か怒らせたなら謝るよ、ごめん……でも何故君がそこまで僕を拒絶してしまったのか、理解が追い付いていない……」
「貴方はそれを理解する必要は無いわ……」
ほむらそう言って、自らの後ろ髪をサッと払い、その場を立ち去っていった。
「(……まさかこうなってしまうとは……全く心情が読めなかったな、彼女は……今後面倒な事にならなければ良いが……)」
一抹の不安を残し、大魔導士と時間遡行者の初コンタクトは最悪な形で終わった。
上条恭介と暁美ほむらの邂逅。
全て上手くいくとは限らない、乙女心は複雑です(違うようなあってるような
暁美ほむらから敵と認識されてしまった上条恭介……この誤解を引きずったまま次回に続く!