魔導転生 ~大魔導士キョウスケ☆マギカ~ 作:新世界のおっさん
ほむらと敵対フラグが建ちました。
しかし、まだ完全ではないようです。
キリカが存在する為、CDショップからアクセサリーショップへと行き先が変更になりました。
展開が変化します。
それでは引き続き魔導転生をお楽しみください。
授業時間……暁美ほむらはその圧倒的なまでの積み重ねにより、素晴らしい成績をクラスメイト達に見せつけた。
当てられれば迷うことなく問題をスラスラ解き、高跳びに挑めば全校生徒で最高値を叩き出す……病み上がりとは思えないと口々に噂された。
「マジかぁ……才色兼備とかパネェっすわぁ!」
「うん、凄いね!」
「う、美しすぎますわ……」
三人はその様子を唖然と見守るが、ふとまどかがほむらの視線に気づく。
『ね、ねぇ……やっぱり暁美さん、恭介くんの事見てるよね?』
『や、やっぱり気のせいじゃないのかぁ!』
高跳びを終え、歩く彼女がチラリと視線を向けたのは恭介に向けてであった。
実は女子が高跳び、男子がサッカー……グラウンドで分かれて授業が行われていた……それ故現在恭介はサッカーに勤しんでいるのだが、その姿をほむらは監視していた。
「(視線を感じる……やはり、暁美ほむらか……監視をしているのだろうが、なんの為なのか……やりづらい……)」
「(……上条恭介……呉キリカの知り合いとなると、既に<ヤツ>の傘下になっている可能性も高い……しっかり監視して、いざとなれば……)」
そうこうやっている内に、教師が笛をならして試合が終わった。
接戦だったが、勝利したのは恭介のチームで、女子陣もキャーキャーと歓声をあげていた。
「上条、お前人気者だな!羨ましいぞこのやろう!」
「いやいや、僕じゃあないでしょこれは……んっ!?」
中沢君の言葉をやんわり否定しようとしていると、女子陣に見慣れた二つの違和感を発見してしまった。
「キョウスケ!流石私の友達!かっこいい!」
「兄さま愛してるなのですっ」
「ーーーー」
「ほらな?人気だっ……あれ?上条?」
無言で女子陣目掛けダッシュで向かう恭介。
その速度に教師は驚愕した。
「……誰か上条を陸上部に誘うんだ、全国狙えるぞ」
「いやぁ、アイツはバイオリン一筋ですから無理かと」
教師にクラスメイト達が答えてる間に、恭介は違和感の正体であるキリカとなぎさに話しかける。
「何でいるんですか?授業は?なぎさも」
「自習だから抜けてきた……キョウスケに会いたくて」
「午前授業だったなのです、無論兄さまに会いたかったなのですっ」
「……はぁ……心臓に悪いですよ……まぁ、もう授業時間終わるので、そこらで待っててください」
「「あいさー(なのです)」」
言う通りに二人が端に向かったのを見つつ、頭を抑えため息をついた恭介は、男子陣の元へ戻っていった。
その様子を見ていた暁美ほむらは、より混迷を極めていた。
「(今のは呉キリカと、以前遭遇した魔法少女……あの娘の今の発言からして上条恭介の妹?……今まで上条恭介に妹がいた時間軸は存在していない……ますます彼が不可解になっていくわね……)」
いくら思考してもまとまらない……ほむらは完全に混乱していた……なので。
「(やめましょう……とりあえずまどかを契約させず、殺させもせず、ワルプルギスの夜を越えられれば良いのだから……障害になるようなら排除するだけよ)」
彼女は考えるのをやめた。
結局あれから恭介はほむらと会話できないまま、放課後を迎え、話しかけようとすると、彼女はさっさと帰ってしまった。
とりあえず理由を聞くのを諦めた彼は、さやか、まどか、キリカ、なぎさと予定通りアクセサリーショップに向かうことになった。
「親が仕事で忙しくて構ってもらえない、可愛そうな近所の娘の面倒を見てるってのはわかったけどさぁ……」
「距離……近すぎない?」
その道中、二人は気になった事をツッこんだ。
とりあえず誤魔化しで言った理由は信じてもらえたが、なぎさのベッタリ具合に、流石に気になったらしい。
それに対して恭介が答えるよりも、先になぎさが答えた。
「なぎさは兄さまの妹なのですっ」
「らしいよ?」
恭介の妹であることを誇りに胸を張るなぎさ。
そしてその事をキリカはもう許容しており、なぎさの頭をくしゃくしゃと撫でる。
「まぁ、色々あったんだよ……」
「うぅん、そっか……じゃあもう深くは聞かないでおこうよ、さやかちゃん」
「むむむ……まぁ、まどかがそう言うなら仕方ないなぁ」
恭介の様子から、あまり聞かれたくない事だと察したまどかと、それに乗っかったさやかは、これ以上の追求はしなかった。
繁華街まで来た所で、先導していた恭介が路地裏に入っていく……そこはなぎさと彼が出会った場所であり、その近くにひっそりと店があった。
「と、僕らの目的のアクセサリーショップはここだよ……」
「ここって、あの時見つけたなのです?」
「そうだよなぎさ……<エバースマイル>って言うらしい、あとで調べたんだ」
暗がりにある為目立たなかったが、その外観は古く趣があり、不思議な魅力が感じられた。
「なんか結構本格的な雰囲気だなぁ……よし、さやかちゃんが、先陣きっちゃうかね!」
「ははっ、やはりこう言うときはサヤカだね」
「うぇひひ……ノリの良さもさやかちゃんの魅力の一つだから」
さやかがドアを開くと、ベルが鳴り、元気な声が聞こえてくる。
「いらっしゃいませ!エバースマイルへようこそ!」
「おぉ、意外……女の子が売り子やってるのかぁ」
「はい!店番です!」
中は暖色系で落ち着く感じだが、柱や壁などがヨーロピアンなデザインになっていて、別の国に紛れ込んだ感覚であった。
店番の少女は元気一杯で、外見的には恭介達と同じくらいの年齢に見える……恐らく両親か祖父母に頼まれたのだろうと窺えた。
「色々あるらしいけど、確か石細工が一番人気でしたっけ?」
「ほう、お客さん……調べてきてますな!」
「事前情報は大事ですからね……キリカさん、約束通り好きなものを選んでください」
「わ、わかった」
キリカは以前のご褒美の件は、アクセサリーをプレゼントして欲しいと頼むことにしたらしく、恭介から催促されお気に入りを探す。
「……ヤバイ、色々あると目移りする」
「気持ちめっちゃわかるわ~」
「決断力ない女は嫌われるなのです」
「「おい、小学生」」
しかし、種類が多いため簡単に決められず迷ってしまうキリカ。
「あっ、このペンダント……綺麗だなぁ……」
『助けてぇ……』
「えっ?」
ふとアクセサリーを見ていたまどかに、何かが助けを求めた。
それが何かは分からない……だが、何か放っておけなかった。
「誰?何処にいるの?」
「ま、まどか?」
「マドカ……頭でも打った?」
「……まさか……」
「…………」
まどかの様子に全員が不審がる。
特になぎさは心当たりを思いだし苦い顔をし、恭介はほむらのごとき鉄面皮であった。
すると突然まどかが、大急ぎでドアから飛び出して行ってしまう。
「まどかぁ!?」
「……何か変だ……追いかけよう!」
「おうさ!」
「嫌な予感がするなのですっ」
彼女を追いかけ、次々と飛び出す少女達。
残ったのは恭介だけであった。
「……すみません、このアクアマリンとトルマリン、髪飾りとペンダントをください」
「まいどっ!プレゼント包みで?」
「大至急お願いします」
「了解!」
ふぅ……とため息を吐き、恭介は窓の外を眺める。
「私の平穏も……やはり長く続きはしなかったな……」
そう一人でボンヤリと呟いたつもりであった……だが。
「人間、平穏は似合わないものです……そう思いません?昨日店の前で妙なことしでかしたお兄さん……」
「……なっ!?」
なんと店番の少女に独り言を聞かれていた上に、昨日の転移を見られていたらしい。
これには流石の恭介も驚愕した、昨日も今も全くその気配に気づかなかったからだ。
「……君は何者だ?」
「申し遅れました、<天乃スズネ>……魔法少女ですよ、お兄さん」
自己紹介をしてニコリと笑いかける<天乃スズネ>は、既に元気な売り子としての顔ではなく、魔法少女としての別の顔になっていた。
髪はグレーで、ロングヘアーを襟足からリボンで一つに束ねている……瞳は燃え上がる様な緋色で、地味な髪色と服装とは対称的であった。
スズネは恭介の手に注文したアクセサリー達が入った袋を渡し、恭介はとりあえず代金を渡す。
「……ありがとう……何か目的があって見滝原に?」
「はい、魔法少女を魔女にしないための方法を探しに来ています……まぁ、当てはないんですけれども……」
「……それは初耳だった、魔法少女は穢れを溜めると魔女になるのか……なら完成が必要になりそうだ」
「おや、てっきりもう知ってるのかと……完成とは?」
スズネが事情を説明すると、興味深そうに言葉にする恭介。
その言葉を聞いて彼女がたずねると、彼は一礼する。
「申し遅れた、僕……私は上条恭介、魔術師だ」
「魔術師?男版魔法少女ですか?」
スズネの質問は誰もがしそうなものだが、恭介は首を横に振る。
「いや、全く違うと断言できる……そして、私は君の目的を成就できるかもしれない」
「えっ……ほ、本当ですかっ?」
恭介の思わぬ発言にかなり食いつくスズネ。
それに対して恭介は苦笑しながら頷く。
「私はこの少年の身体に、ある魔術で憑依してしまっているのだが、それはまだ未完成の試作品で安定していないんだ……だがこれを完成し応用できれば、身体から抜き出してあるソウルジェムを、魂として身体に戻すことも可能ではないかと思ってな」
「……それが本当なら、これはもう運命としか思えない……なら、前突然消えたのも魔術……なんですか?」
「その通りだな」
恭介の頭から足までなめ回す様に見ると、スズネは急いでポケットからスマートフォンを取り出す。
「是非協力させてください、全世界の魔法少女がそれを求めているはずです……!」
「ふむ、それはこちらとしてもありがたい……ソウルジェムの解析をしないと、応用も難しそうだからね」
こうして双方の利益の為、二人は協力関係になった。
連絡先を交換すると、恭介はドアへ向かう。
「では私は行くとする、なぎさがいるから問題ないとは思うが、もしもがあるしな」
「あ、お待ちを……私も行きましょう、上条さん」
「……店は?」
「客が来なさすぎて暇でしたので、今日はもう閉めようかなと」
まるで何でも無いことの様に、レジを閉め始めたスズネ。
それを呆れた目で彼女を見る恭介。
「クビになっても知らんぞ?」
「私天涯孤独の身なので、そうなったら貴方の家に転がり込もうかと……」
「……もう好きにしたまえ」
二人は外に出ると、看板をcloseにしてから走り出した。
一方その頃、まどかは謎の声を頼りに路地裏を進んでいると、不意に上から何かが降ってきた。
驚いてそれを受け止めると、ボロボロになった猫の様な生き物だった。
「あなたなの!?酷い怪我してる!」
息も絶え絶えなその生き物に話しかけるが、返事は返ってこない。
そこに、背後からさやか達がやってきた。
「まどか、どうしたのさ一体!?」
「皆!この子酷い怪我を!」
「……猫?兎?」
「……ッ!」
まどかはさやか達にその生き物を見せると、さやかとキリカはちんぷんかんぷんな顔をしたが、知っているなぎさは明らかにそれを睨み付けた。
「まどか、今すぐそいつを投げ捨てるなのです!」
「えっ!?」
「彼女の言う通りよ」
「「「「!?」」」」
突然声がして、全員が視線を向けると、魔法少女姿のほむらがいた。
「転校生、なにその格好……」
「な、なんだろう?コスプレ大会の帰り?」
「黙りなさい、美樹さやか、呉キリカ」
「え、何で名前を……」
キリカはなぜ会ったこともない自分の名前を知っているのか、ほむらに問おうとした……だが、それは答えられる事はなかった。
「えっ?なにこれ?」
「景色が、歪んで……」
「なっ……」
「遅かったなのですっ」
「……どうしてこうも、タイミングが悪いのかしら」
唐突にその場にいた全員が結界に巻き込まれ、さやか、まどか、キリカは恐怖し、なぎさとほむらは警戒を強めた。
まるで薔薇園の絵画の様なその場所に、綿毛に髭と身体がついたような怪物が、枝切り鋏を持ち囲んでくる。
「さやかちゃん!キリカさん!」
「訳わかんないよこれ!こわい!」
「……キョウスケ……どうすれば……」
「(皆の前で変身するのは簡単なのです……でもそうすれば兄さまに余計な手間を増やす事に……ここはこの人に任せるなのです)」
「(倒すのは容易……でも、こうなった以上私がやらなくても……)」
無論ほむらの先見は当たっていた。
彼女らを囲んでいた化け物が、突然吹っ飛ぶ。
驚く少女らの前に現れたのは、宝石をもった金髪の少女だった。
「間一髪って所ね……まあ、少なくともそこにいる貴女は大丈夫だったかもしれないけれど」
「いいえ、助かったわ……」
チラリとほむらに視線を向ける少女。
それに対し、形だけだが礼を言うほむら。
両者の間に、何処か溝のある感覚であった。
「あれ、キミトモエじゃない!?」
「あら……この間合同授業で会ったわね、呉さん……助けられて良かったわ」
そして、同じ学年でクラスが近かった二人は、合同授業により出会うことが最近あったゆえに、既に知り合っていた。
「それじゃ、知らない人もいるから自己紹介しようかしら……私は<巴マミ>、見滝原中学校の三年生で……<魔法少女>よ!」
自己紹介と共に、舞うようにポーズをとるマミ。
すると手に持っていた宝石が光りだし、その光が彼女を包み込み、衣装を身に付けていく。
光が晴れると、マミは魔法少女の姿へと変わっており、化け物達を見据える。
「これ、夢じゃないって……どうなってんのぉ!?」
「か、カッコいい……!」
「トモエって変身ヒロインだったんだ!すごい!」
「(……この人が見滝原を守り続けてきた、ベテラン魔法少女……巴マミ……!)」
マミは微笑み、手を振りかざすと無数のマスケット銃が生み出され、化け物を華麗に駆逐していく。
その姿はまどか達を魅了した……ほむらを除いて。
「(やはり、巴マミの戦闘力は群を抜いている……だけど、その分まどかを誘惑してしまうのは間違いない……そこは注意しなくては)」
しばらくして結界が消え、元の状態になるとマミは紅茶を飲み、一息ついたあとほむらに視線を向ける。
「……さて、私の友達……キュウベえに手を出した理由を教えてもらいましょうか」
「……答える義理はないわ」
『なぜ答えないなのです?こいつの正体を暴いたほうが……』
『……下手に口を滑らせると、巴マミをより刺激してしまうからよ』
謎の生き物キュウベえを巴マミは友人と見ており、敵視しているなぎさとほむらからすれば、この状況はかなり厄介だった。
この緊迫した状況の中、キリカが先程言いかけたことを切り出す。
「そうだ、どうしてキミは私の名前を……」
「……チッ、黙れと言ったはずよ、呉キリカ」
「ヒッ……」
「やめなさい!何故彼女に銃を向けるの!?」
ほむらに敵意と銃を向けられ、怯えるキリカ。
それに対しマミは声を荒げると彼女は答えた。
「呉キリカは私にとっては障害……たとえ今大丈夫でも後々どうなるか……」
「……そう言うことだったのか」
「……え?」
そこにタイミング良くやって来た恭介、彼は今のほむらの発言で、彼女が何故自分を敵視したのか分かった。
恭介はキリカの前に進み出ると、手を広げて盾になる。
「キ、キョウスケ?」
「キリカさんが君にとってどう障害になるかは知らない……だが、もしそうなら僕がさせない……だから銃を下ろしてほしい」
「……そんな保証は何処にもないわ……だから下ろさない」
断固として姿勢を崩さないほむら。
一帯に走る緊張に、誰もが冷や汗を流す……恭介とほむらを除いて。
「なら、僕を撃て」
「……は?」
「何を馬鹿な事を!」
「恭介くんやめて!」
「キョウ……スケ……?」
ほむらは混乱した、理由が分からなかった……確かに仲間なのだろうとは思っていた……だがそれだけで命を張ってまで守ろうとしているのは変ではないか?と言う思考が頭を埋め尽くした。
「キリカさんを撃つなら、僕を撃てと言った」
「そこまでして守る価値があるの?その女に……」
「キョウスケ……やめて……」
ほむらにとっての呉キリカは狂気的な殺戮者だった……他の時間軸でも基本的にそうなる事が多かった、だから殺して当然だと思っていた……だが目の前の光景はそれを真っ向から否定していた。
ほむらの<現実>と、この場の<現実>は違うのだと……自分が間違った<幻想>を懐いているのだと否定されたも同義だったのだ……上条恭介と言う一人の人間によって。
「……では聞こうかしら、そいつは貴方にとって何?」
「とても大切な友達だ」
「キョウスケやめて……その子本気で……」
それが決定打になった……銃を構え直すほむらは、引き金に指をかける。
「分かったわ、なら望み通り……」
「恭介ェ!」
「やめてぇ!」
「(なぎさは兄さまを信じてるなのですっ)」
「(リボン!間に合わないかッ!?)」
「い、いやぁぁぁぁぁ!!」
「死になさい」
ほむらは引き金を引いた。
が、しかし……その銃弾は外れ、検討違いの場所に当たった。
「なっ……クッ!」
再度引き金を引く。
また外れてしまう。
「なぜ、どうなってるのよ……!」
何度も連続で引き金を引く、しかし弾は全く当たらない。
全員が呆然と見守る中、ほむらはすべての銃弾を撃ち尽くした。
ほむらの射撃能力は、巴マミに負けずとも劣らない高さを誇っていた……しかし、それが全弾外れたのだ。
「ほむら……」
「……ッ!」
「もう、やめよう……言ったろ?キリカさんは僕の友達だし、君が思うような人じゃない……」
手を差し伸べる恭介、後ずさるほむら。
両者の間にあった壁に綻びが入りはじめていた。
「きっと話し合えば仲良くもなれる、だから……」
「ち、近寄らないでッ!! 」
歩み寄ろうと考えている恭介……しかし、ほむらはそれを拒絶した。
「……貴方や呉キリカと話す意味なんてない……私は……私は……クッ!」
「ッ!ほむら、ま」
カチリと言う音と共に時間が停止する……ほむらの固有魔法の一つである。
止まった空間の中、ほむらは恭介に告げた。
「私は……誰も信じない……誰にも頼らない……そう決めたのよ……これ以上私を惑わせないで……夢を見させないでよ……!」
目元を拭い、その場を後にするほむら……彼女が彼を受け入れるにはまだ時間がいるようだった。
時間停止が解除されると、恭介達の前から突然ほむらが消えたようになった。
「ってく……はぁ……フられちゃったなぁ……」
頭を抑え、困った表情になる恭介。
今回の現象のトリックは、スズネの持つ炎の魔法による陽炎で、視覚を誤魔化して正確な射撃にならないようにしたのだった。
「(あそこまでお膳立てしてもらって……情けない……)」
「……キョウスケ……」
「え?」
「キョウスケェェェェ!!」
緊張の糸が切れ、我慢の限界を超えたキリカは恭介の胸に飛び込んだ。
「バカ!バカ!!死ぬかと思ったぁぁ!」
「キリカさん……ごめんなさい……」
泣きながら胸を叩くキリカを、優しく抱き締める恭介……だがキリカだけで終わるはずがなかった。
「恭介ェ!」
「恭介くん!」
「兄さま!」
「おおっ!?」
マミ以外の全員が、恭介に突撃し、すがり付いて泣いた。
その様子を見てマミは言った。
「……立派ではあったけど……自分の命を粗末にするような行為は、あまり関心できなかったわよ、ヒーロー君」
「……そうですね……僕は皆の心を考えていませんでしたね……反省します」
「でも大丈夫よ、貴方は彼女を生きて守りきったんだから……かっこ良かったんじゃないかしら?」
「恐縮です、ヒロインさん」
二人は互いにクスリと笑いあう。
「巴マミよ、ヒーロー君」
「上条恭介です、ヒロインさん改めマミさん」
「よろしい、キュウベえ、今治すわね」
マミは恭介への挨拶を終わらせると、キュウベえの治療に入る。
その隙を見て、こっそり姿をみせるスズネ。
「ありがとう」
「(気にしないで、貴方に死なれたら困るのは私なんだから)」
一声礼を言う恭介に、手を振り再び姿を消すスズネ……完全に恭介の影と言う立ち位置に彼女は収まった。
しばらくして、キュウベえは回復して起き上がる。
『ありがとうマミ』
「どういたしまして、今度から気を付けてね」
『もちろん!さぁ、初めましての子は初めまして!ボクの名前はキュウベえ!』
マミに礼を言ってから、まどか達に向き直るキュウベえ。
「グスッ……元気になって良かったね……」
『実はキミ達にお願いがあるんだ!美樹さやか!呉キリカ!そして鹿目まどか!』
「えっ、何であたしらの名前を?」
『それは前からキミ達に会おうと調べていたからね!』
可愛らしい外観でアピールしてくるキュウベえを、なぎさはばい菌でも見るかの様な目で見つめる……一方で、恭介はその存在を感じても視覚することが出来なかった。
「(魔法少女システムを生み出した元凶かここにいるわけだな……)」
「(なぎさが目の前にいながら、いけしゃあしゃあと契約を迫るつもりなのですね……)」
『三人とも、ボクと契約して、魔法少女になってよ!』
笑顔は元来攻撃的な表情らしい……今キュウベえは(嘲)笑っていた……彼女らに待ち受けるであろう、未来の絶望を。
長くなったのと、仕事で二話ペースが崩れてしまった……大丈夫だ、問題ない(フラグ
ここからが本番だなぁと私は思っています。
様々な登場人物が絡み、複雑化する物語。
今後の恭介と愉快な仲間達の活躍にご期待ください。
そして新キャラの天乃スズネは、すずね☆マギカの天乃鈴音とはほぼ同じですが、設定が異なっていますので、名前をカタカナにして、差別化しました(知らない人には分からないでしょうが……)