魔導転生 ~大魔導士キョウスケ☆マギカ~ 作:新世界のおっさん
ほむらとの敵対フラグに多少ヒビが入りました。
彼女に若干迷いが生じ始めています。
スズネと連絡先を交換しました。
暗躍は任せなさいとの事です。
まどか、さやか、キリカがマミと出会いました。
マミの影響を強く受けます、注意を払ってください。
それでは引き続き魔導転生をお楽しみください。
「じゃあ、僕はなぎさを送るから先に帰るよ……また明日」
「またなのです、皆」
「そっかぁ、なら仕方ないか……またね恭介!」
「恭介くん、今日はありがとう!」
「残念ね、上条くんともう少し話してみたかったけど……また会いましょう」
あの後……巴マミが魔法少女について説明するため、家に来ないかと誘ってきたが、キュウベえが見えない恭介と既に契約して事情を知っているなぎさは、正体についてボロを出すとマズいので、適当に理由をつけて帰る事にした。
他のメンバーは残念そうに見送ろうとしていたが、キリカだけは表情が暗かった。
「キョウスケ、私は不安だよ……私が知らない間に、またあんな事があるんじゃないかって……」
「キリカさん……僕が不甲斐ないせいで不安にさせてしまって申し訳ないです……だから、お詫びも兼ねて……これを貴女に贈ります」
そう言って恭介が出したのは包装された小箱。
キリカはそれを見て思い出す。
「あっ、もしかしてご褒美!?……まさかキョウスケ一緒に来てなかったのって……」
「これを買ってました」
「うわぁ!どんなのかなぁ!……開けて良い?」
「どうぞ」
皆が見守る中、キリカは嬉しそうに包装を外し、小箱を開ける。
出てきたのは透明度の高い青い宝石の指輪だった。
「……へっ……?」
「うおぉ!高そうですなぁ!」
「綺麗……」
「……これってアクアマリン?」
「流石よくお分かりで、マミさん……大きくはないですがアクアマリンです、女性に人気との事で選んでみました」
透き通ったそれをまじまじと見ていたキリカだったが、不意に恭介に視線を向ける。
「い、良いの?私なんかがこんな高価そうな指輪……」
「……なんかなんて言わないでください、僕にとってキリカさんは本当に大切な人なんですから……さっきも言ったばかりじゃないですか……だから、受け取って大事にしてほしいです」
「そ、それは……うぅ……分かったよ、じゃあその……ありがたくいただくよ……」
恭介の言葉に顔を赤らめながら、いそいそと左手の小指に嵌めるキリカ。
それを見てマミは噴き出す……理由は嵌めた場所の意味が、<片想いの人がいます>だからだ。
「マ、マミさん?」
「ご、ごめんなさい……何でもないのよ?(タイミングが、タイミングがね?)」
「……ん……似合うかな?」
キリカは左手を恭介に見せ、確認してもらう。
もちろん彼は笑顔で頷いた。
「はい……お似合いです、とても」
「……えへへ……」
「(うらやましいなのです……)」
「(あたしも……恭介からプレゼントされたいなぁ……)」
「(結局あのペンダント、買えなかったんだよね……今度一人で買いにいこうかな?)」
喜ぶキリカの様子を羨ましげにみる三人。
実は自分達の分も恭介が買っているとは、つゆとも知らない。
「それじゃ、行きましょうか」
「はい、恭介くん改めてまた明日!」
「ちゃんとなぎさちゃん送ってくんのよ!?」
「キョウスケ!愛してるよ!」
「ははっ、はいまた明日!」
四人が去るのを見送る二人……否三人は、完全に見えなくなるまで黙って手を振った。
「……さぁ、なぎさ、スズネ、行くか」
「はいなの……えっ?」
「了解です」
「……ッ!?」
唐突に何もない空間から、揺らめく炎の様に現れたスズネになぎさは驚愕する。
「いつの間に……って売り子の人なのです!」
「ええ、あれは世を忍ぶ仮の姿だけれどもね……あの時は介錯をしなくて済んで良かったわ」
「えっ?」
「昨日俺らの近くにいたらしい……僕も全く気づけなかった」
「……まるで暗殺者なのです」
気配を消すことに長けているスズネは、炎の魔法と組み合わせて使用すると、達人でも全く探知が出来なくなるらしい……熱探知には引っ掛かるが。
それを暗殺者と例えたなぎさに、スズネは苦笑する。
「それ、知り合いの洗脳でなりかけたから……あまり笑えないわね」
「どんな知り合いなのです……」
なぎさの頭の中では、邪悪な表情を浮かべた典型的な魔女の姿が浮かんだ。
「魔法少女にも色々あるのよ……それで上条さん、行くのはあなたの家で良いの?」
「ああ、僕の家でないと、必要なものが揃ってないからね」
スズネの質問に答えを返しながら、恭介はポケットから銀の羽を取り出した……ご存じ転移の術式である。
「……高値で売れそうですね」
「珍しいから売れるかもしれないね、じゃあ集まって」
「はい、兄さま……なのですっ」
三人は一ヶ所に集まり、術式を発動……暖かな光に包まれた。
上条邸温室前に三人は転移した……基本的に家の敷地の一角なので、バレにくいここに転移するのが一番安全だった。
「……これが魔術……便利ですね」
「前準備が必要だから手間もかかるけどね」
魔術を肌で感じ、感心しているスズネに、一応のデメリットも伝えた恭介は温室に入っていく。
それを見たなぎさとスズネも中に入っていく。
「……蒸し蒸しなのです」
「丁度良い感じね」
湿気の多さになぎさは嫌そうに手で扇でいる。
逆にスポーツブラに短パン、その上に灰色のコートを羽織っているだけのスズネには快適なようだ。
「……逆に外寒くなかったかい?」
「微弱な魔力で体温を調節出来ますから平気でしたよ……出来ればしない方が良いですけども」
「まぁ、だろうね……さて、それじゃあ本題に入ろうかな」
そう言って恭介が奥に引っ込みと、そこから椅子を二つ持ってきて、二人を座らせた。
「今回……<私>が痛感したことは、自らが無力だった事だ……」
「えっ……そんな事ないなのですっ……兄さまは……!」
恭介の言葉になぎさは必死に擁護しようとしたが、彼は首を横に振った。
「あれはほむらを追い詰めて、本音を引き出すための演技だった……スズネが力を貸してくれなければ、弾丸は頭を貫通していたろうな」
「そうでしょうね……彼女はかなりのベテランみたいだったから」
「そ、そんな……」
話を聞いて驚きを隠せないなぎさに、恭介は笑いかける。
「だからこそ私には必要なんだよ……戦う術が、武器が……君達の様なね」
「ん?……魔術ではだめなんですか?」
スズネは手を挙げて彼にそう聞いた……再び首を横に振る恭介。
「私の世界では戦争が起こったことがなかった……だから、戦う魔術は開発されてはいない……強いていっても結界か、狩猟の為の武器の扱いや娯楽の格闘技くらいかな」
「平和そのものなのです」
「……良い事なんだけど、こちらの世界からすると不思議の国すぎるわね」
一応納得したらしいスズネに苦笑し、恭介は話を続ける。
「そもそも魔術は使い捨てが基本だからな、継戦能力がない為に戦闘では万策尽きるとあっさり負ける……だから私が考えた案が……」
テーブルにある大きめの紙を取り、そこにさらさらと何かを描き、それを二人に見せる。
「「科学と魔術の融合……」」
「ああ……悔しいが、キュウベえの科学力による魔法少女システムは、戦闘において洗練されている……少女の素質、願いの強さ、そして奴の演算数式による組み立て……とても合理的なんだ」
恭介は魔法少女システムの利点に目をつけた。
長きに渡り、倒し、倒されてきた魔法少女達……成れの果ての魔女を含めてその実力は本物であった。
「ゆえに、ここは応用させてもらう……術式の形式で、ソウルジェムのロジックを組み込み、私の想像力と相性の良い媒体で……<擬似魔法少女システム>を創る」
「そ、そんな事が可能なんですか?」
「わからない……だがやれなければ私は、いずれ無力を嘆く事になろうな」
紙を置き、大きくタメ息をつく恭介……それを見てなぎさが立ち上がる。
「兄さまっ……さっきの話は、なぎさには難しいなのです……でも兄さまの力になりたい気持ちは本当なのですっ」
「なぎさ……」
「だから<僅かな希望でも捨てず>にやってみようなのですっ……!」
なぎさは昨日、恭介が自分に言ってくれた言葉を、今度は彼に返す……それを見てスズネも立ち上がる。
「やりましょう、話はそれからです……私は貴方に協力するためにここにいます、ソウルジェムのロジックを解析するのは、私の目的にも繋がるんでしょう?」
「スズネ……すまない、そうだったな……私としたことが、久方ぶりに<挑戦>をするんで不安になったようだ……」
二人の言葉を受けて、恭介も立ち上がる……今三人の心は一つにまとまっていた。
「それぞれの願い成就のため……私は戦おう」
恭介の瞳は確かな決意を秘めた物だった。
こうして作業は開始された。
ソウルジェムの解析、その結果の術式への応用、二人の戦闘スタイルの熟知、正体の隠蔽方法……。
会議は徹夜で行われ、途中でなぎさとスズネが寝落ちしてベッドに運んだが、恭介一人による集中作業が続いた……そして。
「……終わった……遅刻確実だが……作業が完了したぞ」
様々な苦難を乗り越えた彼は、午前九時にして準備作業を全て終わらせた。
「……キリカさんに連絡しておこう……ふふっ……後は仕上げだけで良いからな……昼から登校と言うことに……」
キリカにメールを送った後、ぐったりと椅子に座る恭介……実験の為に何度も魔力を使用し、睡眠を取っていない彼はボロボロだった。
「すまんな、恭介よ……バイオリン引かせられなんだ」
「(いえ、貴方の努力に水はさせませんよ……最後の仕上げ……システム完成を終えてください)」
「もちろんだ……二人の思いも籠ってるんだ、こいつはな……」
意思が弱まっているせいで、<上条恭介>がかけてくれる。
恭介は彼の言葉を気力に立ち上がる。
彼が向かった先には、巨大な術式が記された木の板が存在している……そしてその中央には、媒体となるなぎさとスズネの魔法少女としての武器(ラッパと大剣)と、それらを結びつけるイメージとして、白いリボンが置かれている。
恭介はテーブルにあった気付け薬をグイッと一飲みすると、手をかざす。
「神よ……私に……非力な私に戦う術を、力を……アーメン!」
「(どうか……共に歩む彼に、応えてくれ!)」
術式に膨大な魔力が注がれ、光が灯りだして、媒体達が光に包まれた……恭介と<上条恭介>の想いと願いが一斉に注ぎ込まれる。
それが功を奏したのか、光は暖かさから熱さへと変わっていく。
「熱っ!……クククッ……見ろ恭介!まるで光が燃え上がるようだ!!」
「(す、すごい……普段よりずっと……熱い!)」
魔術では起こり得ない現象に、二人は歓喜していた……恭介でさえ、落ち着く事ができずにいた。
しかし、その熱さは突然光と共に一瞬で圧縮された。
圧縮された光と熱は、形を成し、それは白いグローブへと変わった。
「……これが……我々が目指したものだな……」
「(……はい……)」
心で感じるほど、そのグローブから伝わってくる熱さが、二人に実感させてくれた……それが単なる魔術の術式ではないと。
早速慎重に右手に嵌める恭介。
「ふふふ……嬉しいものだな、力を得ると言うのは……今実感している……故に慎重に扱わねばな」
グローブを嵌めた手を握り、存在を確かめ、それから一息つく。
「……寝よう……昼には流石に学校にいかんといけないしな」
折角完成したシステムであったが、試験はまた別の機会とし、恭介は家のリビングまでやって来て、ソファーに身を投げて眠りについた。
しかし、昼に起きようと考えていた彼だったが、結局昼も寝てすごしてしまうのだった。
一方で学校では……昼休みになりまどか、さやか、キリカの三人が一緒に昼食を食べながら、昨日マミに聞かされた魔法少女について話していた。
「願い事とか決まった?」
今一番気になる話題をだしたさやかだったが、二人は首を横に振る。
「……ううん……私は決まってない」
「……私も……かな……」
「あはっ……実はあたしも」
さやかは二人の答えを分かっていたのか、苦笑してから立ち上がる。
「あたしらさ、命かけてまで叶えたい願いが無いくらい、今幸せなんだろうね……何て言うか、幸せバカっていうか……」
『君達は、戦いの運命を受け入れるに足る願いはあるかい?』
『今すぐ答える必要は無いの……ゆっくり考えてちょうだい』
三人はキュウベえやマミの言葉に、頷けなかった。
いきなり過ぎてその日の内に答えるには難しすぎた。
「とりあえず、今日マミさんに見学させてもらえるんだし、それからちゃんと考えてみようかなって……」
「うん、まあ結局はそうなるか!」
「あはは……キョウスケ、遅いね……」
まどかは今日執り行われる、魔法少女体験ツアーを参考にしたいと考えているらしい。
一転キリカは恭介が来ないことに、不安を覚えているようだ。
「……どうせ恭介のことだから、バイオリンに夢中になりすぎて時間忘れてたに違いないですって!……だから、元気出しましょ!」
「うぇひひ……さやかちゃんの言った事が正しいかは分かりませんけど、恭介くんは大丈夫だと思います……きっと暗い表情していたら、心配しちゃうと思いますよ?」
「……そうだねっ……一応私先輩なのに、キミ達に気を使わせちゃった……ごめんね、サヤカ、マドカ!」
二人の励ましに、笑顔で応えるキリカ。
しかし、彼女の心の中では一つ大きな思いが膨らんでいた。
「(キョウスケは……私が守らなくちゃ……)」
アクアマリンの石言葉は<勇敢>……。
あの時、既に彼女の運命は定まったのかもしれない。
いよいよ、主人公が戦闘をする時が迫る。
次回は主人公がほぼお休みで、キリカが主軸になります。
魔法少女体験ツアー……どうなってしまうのか!
次回をまてえええええいィ!(若本ボイス)