雲一つない蒼天の元、トーレは一人クラナガンの町中でベンチに腰掛けていた。
数多の視線を感じつつ、トーレは額に浮いた汗を拭う。
衆目の視線を強く集めるのは、何時もの事である。
というのも、トーレは外では戦闘用のボディスーツを片時も脱ぐこと無く生活している。
無論上に何も着ずにそれでは即座に捕まってしまうので、その上には常にくたびれたトレンチコートを着ていた。
季節は初夏。
辺りの人々は半袖の装いの季節である。
当然の如くトーレは視線を集める結果となるが、それは何時もの事なので特に奇異とは感じず、外に出る事とはかくも視線を集める物なのかと思っていた。
ため息と共にトーレは頭を振る。
首の動きに連動して紫色の髪が揺れ、合間から金の瞳が覗き、その機械的な輝きを零していた。
トーレはスカリエッティの研究所に帰り戦闘訓練にあけくれたい衝動と戦いながら、再び視線を先ほどまでと同じ位置にやる。
小さな作動音と共に疑似眼球の補助機能が働き、視線の先の光景を拡大した。
視線の先は、アイスクリーム屋の店先があり、3人の男女がそこに並んでいる。
うち2人の名前は、トーレもよく知る物であった。
スバル・ナカジマ。
ティアナ・ランスター。
トーレにとってライバルとも言える機動六課に所属する、フォワード陣の魔導師達である。
強敵を欲する戦闘狂であるトーレとしては、休暇とは言え激烈な訓練をしている2人の姿を所望していたのだが。
「…………はぁ」
再びため息。
トーレの視線の先では、一人の男の両側に位置するスバルとティアナが、自分の持つアイスをスプーンで掬い、男に食べて貰おうと争っていた。
何のことは無い、男の取り合いである。
果てしなくどうでもいい光景に、トーレはさっさと今日六課と戦闘が行われる可能性のある廃棄区画へと脚を進めたくなってきた。
が、それも意味のある行動かと言えば微妙である。
憂鬱な心情を胸に、トーレは再びため息。
やることも無いので、視線を3人へやる。
相も変わらず飽きずに男を取り合う2人と、2人の好意に気づいていないよう見える鈍感な男。
ラブコメディのドラマでも探せばいくらでも見つかるような光景で、現実に見るのは希だが、トーレの心を惹きつける光景では無かった。
トーレにとって興味あるのは、現実の戦闘のみである。
半目になってぼんやりと3人を眺めていると、スバルとティアナが急に顔つきを険しくした。
恐らく、逃げ出した聖王のクローンなり、レリックの入ったケースなり、その辺りが六課に見つかったのだろう。
男に謝りながら駆けていく2人を眺めながら、トーレは腰を浮かした。
「……で、どうするのだか」
独り言。
更にため息を漏らしながら、それでもトーレは腰を下ろす事ができなかった。
向かうべき場所は戦場である。
トーレが最早必要とされていない場所である。
行くべきでは無い場所である。
トーレは己が戦場に向かうべきではない、と知っていた。
それは最早ただ、後ろを見る行為にしか過ぎないのだと。
このまま座すべきだ、とトーレは考えた。
ここから動いた所で最早何の意味も無い。
トーレにできる事は、ボディスーツを捨てブラウスとスカートでも買い、市井に生きる誰かの嫁にでもなる事ぐらいだ。
けれど。
だけれども。
「…………っ」
それでも、トーレの体はベンチから離れたままであった。
心ではいくらでも嘘をつける。
けれどこの機械仕掛けの身体だけは、嘘をつけなくて——。
そんな思いがトーレの脳裏を過ぎった辺りである。
トーレの視界に影が差した。
遅れて、言葉。
「どうかしましたか? お嬢さん。立てないなら手を貸せますけれど」
重力に反するかのような、ふわふわとした、まるで背骨を抜き取られ撫でつけられたかのような声であった。
同時伸ばされた手を辿り、トーレは視線を声の主にやる。
声の主は、先ほどまでスバルとティアナに囲まれていた男性であった。
その髪も顔も不思議な印象を残す男性であったが、中でも特筆すべきはその目であろう。
例えば、剣と剣がぶつかれば火花が散る。
火花は光を放つので、当然火花は影を作るだろう。
男の瞳は、その火花の影を幾重にも重ねてできたような瞳であった。
そこだけ天地が逆になったかのような、異様な存在感。
思わず硬直するトーレに、不審がられたのではとでも勘ぐったのだろう、男はにこりと微笑みを見せた。
まるで巨人が人間サイズの卓球をするような違和感に、トーレは顔をひくつかせる。
これ以上黙っていれば、見たくもない光景を見てしまう事になりかねない。
トーレは差し出された手を無視して完全に腰を上げ、無表情のままに言う。
「お気遣いありがとう。だが、見ての通り、少し嫌なことを思い出して硬直してしまっていただけさ」
言ってトーレはベンチを回り込み、建物と建物の間へと身体を滑り込ませる。
廃棄区画への道筋を思い浮かべると同時、靴裏が石畳を叩く音がついてくる事に気づいた。
舌打ち、足を速めるトーレ。
しかしカツカツという足音も負けずについてくる。
停止、反転。
悪びれも無くトーレについてきている男に、トーレは呆れながら言う。
「何故ついてくる」
「行き先が一緒なだけさ」
「行き先は何処だ」
「コートさんの行く所」
「誰だそれは……」
「貴女ですけど」
思わず身体を揺るがせてしまうトーレ。
歩いていれば確実にずっこけていた事だろう、などと思いつつ、ついついトーレは口走ってしまう。
「私はトーレ。トーレだ。他の名で私を呼ぶな」
「はい。ぼくの名前はTです」
T。
案外何処にでもありそうな名前だな、と思いつつ、ついついトーレは続けて言った。
「そうか。T、おまえは何故私に着いてくるのだ?」
「コートに魅了されたからです」
「…………は?」
疑問詞と共に目を丸くするトーレを尻目に、どことなく嬉しそうにTが告げる。
「夏に見るコートというだけでも見物です。四つ葉のクローバーだって幸運の印なんだ、初夏のコートは大幸運の印でもちょうど良いぐらいでしょう。加えてコートと言えば風になびく物だ。風に揺れて雨乞いの踊りをし、雨を降らす物だ。つまり貴女は、今日の快晴を祈りながら歩いている事になる。この——」
言って、Tは空に視線を向けた。
雲一つ無く、雨の気配の欠片も無い空へと。
「真っ青な空の、何処に雨の心配があります? 無いでしょう。ならば貴女はものすごい雨女か、それともものすごい晴れ好きの晴れ教徒かになる。雨女はまず無いでしょう。貴女のコートからは雨の匂いがしないもの。つまり貴女は晴れ教徒。貴女のコートはお日様の力を全身に受け続けたコートという事になります」
言われ、トーレはふと思い出す。
スカリエッティは、トーレのコートでも使用している洗濯乾燥機を自作しており、その洗濯乾燥機では太陽の成分をふんだんに込めたのだと言っていた。
太陽の成分と言っても、洗濯物を晴れの日に干した時の匂いは主にダニの死骸が天日干しされた匂いなので、それを再現しただけなのだそうだが。
「ぼくはなんだか月夜よりも太陽を見る方が好きなのです。なんでかっていうと、月はなんだかころころと顔を変えていて、気まぐれじゃあないですか。そこが嫌いなんですよね。太陽はそれに比べいつも丸いので、とても良い。そんな太陽風のコートを見たら、ついついついてきてしまいました。そんなコートを身体にぴったりとくっつけている貴女にも興味はありますけどね」
「……そうか」
トーレは、何処か遠くを見やりながら思う。
こいつは間違いなく狂人だ。
スバル・ナカジマもティアナ・ランスターも、見る目がなさ過ぎである。
強敵となりかねなかった相手の微妙な部分を垣間見てしまい、トーレは果てしなくやる気が萎えていくのを感じた。
もうTがどうなろうとどうでもいい。
ついてくるに任せ、気にせず廃棄区画を目指そう。
そう思い、トーレはため息と共に歩き出す。
当然の如く靴裏が道路を踏みしめる音がついてくるのに、トーレはなるべく何も考えないようにして歩みを止めない。
Tの意味不明な話に、適当な相槌を撃ちつつ歩いて行く。
「あ、電柱だ。昔は電柱に上れば太陽までたどり着けるんじゃあと思っていたんですよね。でも、地上を見下ろす事しかできなかった。地上が魚眼レンズを通したみたいに見えて、天から見下ろしてくる神様がいい気になっているのはよく分かりましたけどね」
「そうか」
「神様がいい気になっているっていうのはね、人を転生なんてさせるからなんですよ。輪廻転生輪廻転生、南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏、ありがたや、ありがたや。なのでぼくはいい気になっている神様をとてもよく拝んでいます。貴女はどうですか?」
「なるほどな」
「なるほど教ですか。あなたの信念はなるほどにあり、なるほど以外には無いのですね。なるほどと言えば納得だ、納得と言えば……」
「違う」
気づけば、トーレは足を止め振り返って言っていた。
言ってから、この程度の戯れ言も聞き逃せない自分の余裕の無さに泣きたくなってくる。
それでも一度口を開けば、止まらなかった。
勝手に口唇が動き出し、胸の内に秘める物を吐き出し始める。
「私は、戦いを望んで生み出された。戦う為に調整された遺伝子から生まれ、戦う為の調整を受けながら育ち、戦う為に完成した戦闘機械だ。私はその事を、歓迎していた。私の魂までもが戦いに魅せられていたからだ」
「戦闘教の戦闘狂?」
「あぁ。生まれて初めて拳を振るった時には、感動で体中が沸き立ちそうだった。模擬戦をした時など、体中が熱くて仕方が無かった。命を賭けた戦いなど、涙すら零した物だよ」
自然、トーレは己の拳が握りしめられるのを感じた。
吐く息一つ一つが熱く、胸の奥の熱量が漏れ出しているかのよう。
戦闘を思い出すだけでかつての激情が体中を暴れ回る。
それでも、トーレは吐息と共に激情をどうにか沈めた。
続ける。
「私は、戦闘に魅せられた。一瞬の思考の電磁パルスの違いが明暗を分ける緊張感。灼熱の心が燃やす人工筋肉の焦げ付く匂い。血潮が筋肉の圧力で強く吹き出す感覚。私は戦闘に全てを賭していたし、それ以外の事に魅力を感じる事などなかった」
「サブカルでは色んな趣味を持つと、色んな発想ができるみたいな話をよく聞くけど」
「それも確かな一面だ。しかし同時に、選択肢が増えすぎるという弱点がある。例えば結果的に同じ選択肢を選ぶとして、100の選択肢から選ぶのと、3の選択肢から選ぶのとでは、どちらが早い? 当然後者だ。戦闘のみに人生を賭す事が最善とは限らないが、意味があるのは確かさ」
「なるほどなるほど」
「そして……」
関心するTに、トーレは得意気になって続きを語ろうとした。
同時、トーレのセンサーが魔力反応を察知する。
反応は地下。
機動六課のフォワードメンバーの戦闘が開始したのだ。
身近に戦闘が起き始めたと言う事実に、トーレはそのまま崩れ落ちそうになるぐらいの脱力感を味わう。
「トーレさん?」
疑問詞に、トーレは背をコンクリの壁に預け、薄く笑った。
戦闘の事を熱く語るなど、かつてのトーレには思いつきもしない事であった。
口で語れる戦闘の魅力など大した物ではないし、そもそも戦闘の魅力を伝えたい相手など戦う相手以外に存在しない。
そして戦う相手には口先ではなく剣先で語るべきだ。
故にトーレが内心を吐露したのは、Tが最初なのである。
「そして私は、戦う理由をドクターの為としていた。私はドクターの為に戦う為に、ドクターによって作られた。故に私はドクターの為に戦ってきた。だが……、私は最早、必要ない存在なんだ」
「最新版に負けたって事?」
「そう、なるな……」
スカリエッティが指名手配されたあの恐るべきTを必要とし、そのために美学を捨て設計しなおした、後期ナンバーズ。
人の形を捨てた彼女たちは、トーレを超える戦闘能力を手に入れた。
トーレも人の形を捨てた力を手に入れることをスカリエッティに望んだが、戦闘者として自我を固めつつあるトーレは精神に異常を来す可能性が高く、改造はしてもらえなかったのである。
故に戦闘しかできないのに弱いというトーレは、お払い箱となってしまったのだ。
「私はドクターの刃だ。だが、ドクターは最早私を必要としていない。私が刃を振るう理由はなくなってしまったのだ。なのに私は、無様に戦いの匂いを求め、戦装束で歩き回っている」
己の情けなさに、トーレは己の内側からこみ上げてくる何かを感じた。
涙腺が刺激され、温度が顔面に集まってくる。
握る拳からは血が滴り、噛みしめた唇は破け血を滲ませていた。
全身にはぶるぶると震える程に力が込められており、人工筋肉が軋みをあげているのが聞こえる。
「私は、何のために生きているのだ? 私は、何をどうすればいいんだ!?」
トーレは絶叫した。
耳の痛くなるような静謐。
心臓の鼓動さえ聞こえるような沈黙の中、静かにTはトーレを見つめてきた。
視線が合い、トーレは返ってこないと知りながらも、答えが返ってくるかもしれないという期待を込めてTを見つめる。
見つめ合う一瞬。
トーレは、確かにTの瞳の中で、一つの火花が浮き彫りになるのを見た、ような気がした。
「疑問なんですけど……」
呟くT。
固唾をのんで見守るトーレに、Tはやや困惑して言った。
「何故トーレさんは、刃を振るうのに理由が必要なんですか?」
「……え?」
トーレは、硬直した。
理由は必要だ、だって、だって、だって……。
だっての先が出ない事に驚愕するトーレに、Tが続ける。
「そりゃ、理由がある方が良い一面もあるのかもしれませんけど。トーレさんがさっき言っていたように、戦闘では選択肢の少なさも利益になる場面があるんですよね? なら、戦う為の理由も限りなく戦闘に近い物にして、つまり戦う為に戦う事にすれば、もっと選択肢が減って選択が早くなるんじゃあないですかね?」
戦う為に戦う。
手段の目的化という通常愚かな行為とされる方法。
目から鱗が落ちるというのは、この事か。
トーレは、全身に震えが走るのを自覚した。
まるで視界からヴェールを一つ剥がしたかのような感覚。
「あ……」
トーレは、己の感覚が鋭敏化されてゆくのを感じた。
駄目だ、と何故か反射的に思うが、その間もなくトーレの鋭くなった感覚が目の前の男の何かを感じ取る。
トーレは、自分の脳細胞が黄緑色になるのを感じた。
何故黄緑色なのか、そもそも脳の色を何処で判別しているのか、何一つ分からないが、過程をすっ飛ばして結果だけが理解できてしまうのである。
このまま行けば、数秒後には唇の皮がぽろぽろと落ち、全てが風に乗って旅立つ事だろう。
唇の皮は重量が低いので上手く滑空でき、渡り鳥のように遠くまで飛んでゆくに違いない。
だが、何より恐ろしいのは、それら全てが心地よくすら感じる事であった。
Tの方へと一歩、近づきそうになって。
「……っ!」
はじけ飛ぶように、トーレはTと距離を取った。
脳の色が肌色に戻るのを感じつつ、脳を揺らされたような吐き気と戦うトーレ。
そんなトーレを、不思議そうな目で眺め、Tは首をかしげた。
「どうしたんですか? トーレさん」
「お前は……お前は……!」
トーレは、その精神全てで直感していた。
相対する男が次元世界で何と呼ばれ、恐れられる者なのか、理解していた。
A級ロストロギアを文字通り腹の中に持ち、理解不能な事柄を引き起こす謎の存在。
管理局の勇者を発狂させ、記憶を覗く魔導師を発狂させる、理解不能の存在。
「お前は、S級生体ロストロギア……Tだなっ!」
「はい、ぼくはTです」
瞬間、トーレは目前の男から恐るべき禍々しさが発生するのを感じた。
いや、とトーレは思う。
確かに目の前の男は禍々しい。
相対しているだけでも怖気が立つ程の狂気に身を包んでおり、今にもTの周辺の空間が発狂してどうにかなってしまいそうなぐらいだ。
命という命全てを冒涜する気配を持ち、この場で殺さねばならないのでは、という気さえもする。
しかし同時に、トーレの内側にはTを神々しく思う気持ちもあったのだ。
Tは、命の輝きに満ちた存在でもあった。
数えがたい、幾千万の命の火花の輝き。
ただただ大きいとしか知覚できず、規模の予測もできないほど強大な命の奔流。
Tの内側には、明らかにそういった何かが存在していた。
目の前の男は何なのだ。
トーレは疑問に思うものの、すぐに頭を振り思考を止めた。
Tがどんな存在だろうと関係ない。
あるのはトーレがTに対し感じる恩義と、Tがスカリエッティの望む存在である事ぐらいだ。
故に。
「私は、戦う為に戦うという選択肢をお前に貰った。戦う為に戦うのであれば、お前は素晴らしい餌になるだろう。機動六課の隊長陣にドクターの双方から狙われるお前を手に入れれば、どちらとも戦う事ができる。だが……」
言って、トーレは瞑目。
己の中に眠る殺意や闘志を押し込め、目を開く。
「ありがとう、T」
不思議と通る声で言えたな、とトーレは思った。
意外そうに目を見開くTに、続けるトーレ。
「お前には恩義を感じている。例えお前が何であろうと、それは同じ事だ。故に私は、お前を一度は見逃そう。だが、次に会うときは……容赦しないぞ」
言って、トーレはTに背を向け地面を蹴った。
飛行プログラムを走らせ空中へと踊り出す。
肩越しに振り返り、何故か手を振るTに苦笑しつつ、トーレはその場を飛び立った。
空気分子をかき分ける感覚。
身体を包むように張ったバリアを、強風が撫でていく。
眼下の景色は太い絵筆で塗りたくったかのように流れてゆき、心地よい疲労感がトーレの内側へと広がっていった。
戦う為に戦う。
本末転倒である。
愚者の物言いとしかできず、意味のある行動とはとても思えない。
客観的に見て人生を失敗する方針にしか見えず、誰も彼もが口を揃えてトーレを愚かだと言ってみせるだろう。
だがしかし。
トーレにとっては、それこそが胸の中に空いた穴にぴったりと合う答えであった。
例えどれだけ愚かな選択だろうと、それこそが己で選んだ選択肢なのだ。
Tの助言が無ければたどり着けなかった場所だと考えると、正直情けない選択肢の得かただが、それでも、である。
トーレは無くしていた己の人生の意味を、手に入れる事ができた。
それが今までの物より強固であるかどうかは、まだ分からない。
けれどそれが大切な事だけは理解していて、だからトーレは片手を胸に当て、己の心を守るようにするのであった。