仮面ライダーオーズの最終回を観て思いついた話です。

仮面ライダーフォーゼと世界観が同じならこんな出来事もあったのかも……と思い書きました。

完全に作者の妄想ですので、時系列の細かい矛盾は気にするな!(アンク風に



※初投稿なので、文章や誤字のご指摘は大歓迎です!

1 / 1
運 命 再 開

どうせただの噂だと思っていた。

 

世界征服を企む組織、メダルの怪人、タワーを占拠して町を恐怖のどん底に落とした特殊部隊。

 

そして、それらと戦う正義の味方。

 

この程度はネットを漁れば幾らでもでてくる。

 

だがその中に真実がどれほどあるのだろう。

 

 

 

その日、私は休みを利用して噂の場所に行ってみた。

 

 

本当に軽い気持ちだった。

 

 

面白半分で存在そのものも信じてはいなかった。

 

 

 

 

 

だからこそ

 

私は目の前の現実が受け入れられなかった。

 

 

 

_____________________

 

 

 

 

 

 

その物体は突然現れた。

 

 

陽気な昼下がり、周りの建物を吸い込むようにして空に上がるひし形の巨大オブジェクト。

 

 

元々実験的な設備を多様に盛り込んだ町とは聞いていた。

 

だが、流石に頭の上にあるソレは私が知っている常識を超えている。

 

少し周りを見渡すと、私と同じように公園にいた人々も呆けたように空を眺めている。

 

やはり目の前で起こっている出来事はこの町でも十分非常識に当たる出来事のようだ。

 

 

 

暫くするとひし形の物体は雨の様に何かを振りまき始めた。

 

なんだろうと思い、凝視していると幾つから塊が私たちが居る方向に飛んできた。

 

爆弾だと思ったのだろう。

 

 

何人かの人間は叫び声を上げて逃げ始める。私も慌てて腰かけていたベンチの後ろに隠れた。

 

爆発の衝撃に身を構える。

 

…………だがいつまで経っても爆発音は聞こえない。

 

 

 

もしかして不発?

 

そう思い恐る恐る顔を上げた。

 

 

 

その瞬間、悲鳴が聞こえてきた。

 

 

 

 

声の方向を見るとそこは落下音がしたすぐ側だった。

 

 

 

そこにいたのは見た事もない異形の群れだった。

 

ソイツ等を一言で表すならミイラが適切だろう。

 

だが普通、ミイラは動かないし、あんな風に人に襲い掛かるはずがない。

 

 

 

そのミイラ共は不気味なうめき声をあげながら近くにいた人達に向かっていく。

 

幸いにも、歩くスピードはゆっくりなので多くの人はそこから逃げる事が出来ている。

 

私もそれに便乗するように走る事にした。

 

どこに向かうか?

 

そんな疑問が頭に浮かんだが、止まっているより逃げた方が安全だろう。と思えた。

 

 

 

 

私は必死に逃げた。人生でここまで一番早く走れたと言っても過言ではない。

 

なのに

 

 

町中に行っても

 

広場に行っても

 

ビルの中に入っても

 

駅前にも

 

 

 

奴らは居た。

 

 

 

しかも時間が経つごとにドンドン数が増えている。

 

 

 

 

逃げられない。

 

 

そう思った瞬間、急に悲鳴がハッキリ聞こえてきた。

 

爆発音や怒号に隠れていた声が鼓膜に突き刺さる。

 

そこに割って入る様に建物の崩壊や爆発が続く。

 

 

 

 

もう終わりだ。

 

世界の終末が来たんだ

 

きっと助からない。

 

 

そんな考えばかりが頭の中をグルグルと廻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付くと最初の公園に戻っていた。

 

 

ざっと周りを見渡す。どうやら公園にいたミイラは別の場所に移動したようだ。

 

 

 

でも、ほんの数十分前にあったはずの楽しそうな声は消えていた。

 

 

子供たちの笑顔も、

 

恋人たちの甘い思い出も、

 

家族の幸せだった日常も、

 

 

 

全部あいつらが壊していった。

 

全部あいつらが終わらせてしまった。

 

 

 

 

私はフラフラと揺れるように歩いた。

 

そして目に入ったドーム状の遊具の中に隠れる事にした。。

 

子供用だから少し狭かったが、その狭さが今は安心感を与えてくれる。

 

 

少し休もうと目を閉じる。このまま寝ようと思った。

 

全部忘れて夢の世界へ逃げたかった。

 

 

でも、

 

 

いくら意識を閉じようとしても

 

鼓膜に、網膜に、さっきまでの光景が張り付いて消える事が無い。

 

 

 

誰か……助けて。

 

 

 

そう願った。

 

こんな時は神様に祈れば助けてくれるのだろうか。

 

藁にも縋る思いで祈った。

 

 

 

だが、神は迷える子羊を助ける気は毛頭ないらしい。

 

 

 

 

悲鳴が聞こえた。

 

女性と、小さい子供の声だ。

 

 

 

 

私は思わず耳に手をあてた。

 

 

 

 

助けられるはずがない。助けを呼びたいのは私だ。この状況を救って欲しいのは私の方だ。

 

 

だから私は悪くない。

 

 

これは仕方のない事なんだ。私だって死にたくない。まだ生きていたい。

 

 

だから悪くない。

 

 

悪いのは……私じゃない。

 

 

 

こんな酷い悪夢があっていいの?

 

 

夢なら……お願い……醒めてよッ!

 

 

 

 

悔しくて悲しくて辛くて苦しくて目から水分が流れてく。

 

 

もういい……もう嫌だ……こんな悪夢……どうやったら起きれるだろう……

 

 

そういえば近くに橋があった筈だ。たしか結構高さはあったはず。

 

 

あそこから落ちれば悪夢から解放されるかな?

 

 

絶望の淵まで来ていた私は全てを諦めようとした。

 

 

 

 

その時

 

 

 

 

『最初から諦めてんじゃねえよ!』

 

 

 

 

ふと、声が聞こえた気がした。

 

とても近い場所から。

 

私の思い出の中から声が聞こえた。

 

 

あの時もこんな風に膝を抱えて泣いていた。

 

転校した小学校に馴染めなくて、友達と呼べる人が誰も居なくて、

 

全部嫌になって、その日は学校に行かないで近くの河原で隠れる様に泣いていた。

 

 

そんな時、彼が声をかけてくれた。

 

私が泣いてる理由を聞いてくれた。

 

慰めてはくれなかった。同情もしてくれなかった。

 

ただ激励してくれた。私に対して怒ってくれた。

 

 

そして私の手を握り急に走り出した。

 

私をどこに連れて行くの

 

 

彼は笑いながら答えた

 

ダチを作りたいんだろ?なら喧嘩だ!自分の全部も相手の全部も認めるにはタイマンしかねぇ!

 

 

…………は?

 

 

それが私と彼の最初の出会い。

 

そして彼の言う通り大喧嘩をする事になった。

 

誰でもない、言い出しっぺの彼自身と河原で殴り合いになった。

 

 

家に帰ると母親に怒られまくった。

 

まぁ、学校にも行かず全身ボロボロになって帰ってきたのだから当然だ。

 

 

でも私は後悔なんてしてなかった。

 

私はしっかりと喧嘩できたのだ。

 

 

諦めようとしたの自分自身と逃げずに戦えた。

 

その一歩をくれたのは彼だ。

 

私の大事な友達の彼だ。

 

 

その大事な友達の声が聞こえてきた。

 

 

『諦めるって事は捨てるって事だ。そして、捨てた時の後悔は一生自分を追いかけてくる。でも向き合ってぶつかればきっと希望の星が見える!どんな時でも変わらない心の北極星だ!』

 

 

 

あの時の星はまだ輝いているだろうか。

 

 

 

再び声が聞こえた。

 

気が付くと私の体は動いていた。

 

足はまだ震えているが、無理やり立たせる。

 

 

逃げるだけじゃ何も変わらない。

 

立ち向かわなきゃ、あの時みたいに。

 

彼と一緒に灯した光を、ここで終わらせたくない。

 

まだ、私には見えている。あの希望の星が。

 

変わらない北極星が。

 

 

 

私は悲鳴が聞こえてきた方向に全力で走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

距離はそんなに無かったのか、すぐに親子を見つける事が出来た。

 

ミイラは母親に向かって抱き着くように身体を締め付けている。

 

私はそれを見て全力疾走のままミイラを殴った。

 

 

 

素手ではない。

 

 

 

昼間の子供が置いていった鉄バットを拝借した。

 

 

 

 

 

 

不意打ちと、助走+バットのフルスイングで流石のミイラも動きを止めた。

 

私は倒れていた母親の傍に寄って身体を確かめる。

 

苦しそうだが息はしている。

 

 

 

不安そうに私をのぞき込んできた少年に大丈夫だよと伝える。

 

少年は泣きそうになりながらもありがとう。と言ってくれた。

 

 

良かったと心から思った。

 

助けられて良かった。

 

逃げないで……良かった。

 

 

 

とにかくココから離れなきゃと思い、母親を抱いて歩く。

 

何処が安全かは分からない。

 

でも止まっているだけじゃダメだ。

 

そう思い、足に力をいれる。

 

ガシッ

 

 

 

 

 

 

何かが……私の足を掴んだ……。

 

恐る恐る足元を見る。

 

 

 

 

 

そこにあったのは包帯で巻かれた腕だ。

 

そして腕の先にはさっきぶん殴ったはずのミイラがいる。

 

しかも頭は取れかかり、そこから黒い霧のようなモノが流れている。

 

 

 

 

私は思わず声をを上げ、掴まれていない方の足で腕を蹴る。

 

だが、その手が力を緩める様子はない。

 

 

 

どうする。どうすればいい。ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ

 

頭がパニックになる。

 

 

 

 

そこにタイミングを合わせる様にミイラの群れが公園の奥からやってくる。

 

 

 

どうやら今日は人生で最大の厄日であったらしい。

 

 

 

ゆっくりと、だが確実に、私と親子までの距離を縮めていく。

 

 

 

私は足元のミイラを蹴る事を辞め、肩に担いでいた母親を少年に任せる事にした。

 

足が掴まれている以上、私はこの場所を移動できない。

 

ならせめて足止め位にはなろう。

 

 

 

子供は泣きそうな顔でこちらを見ている。

 

 

逃げて

 

 

私は懇願する。

 

せめて貴方たちだけでも。

 

そう思いを込め、叫ぶ。

 

 

 

少年もパニックに陥っているのだろう。頭を抱えて泣きそうになっている。

 

でも考えてる余裕はない。

 

既にミイラ共はすぐ近くまで来ている。

 

私は焦り、声を荒げた

 

 

 

急いでッ!!

 

 

 

 

ビクンッと体を震わせ顔を上げる少年。

 

私の怒鳴ったような声に驚いたのか少年は泣いてしまった。

 

 

だけど、顔を手でゴシゴシと擦ると急いで母親の体を持った。

 

母親を引きずるように運んでいく少年。

 

あの速さなら逃げれるかもしれない。

 

そう思うと少しほっとした。

 

 

 

 

ザスッ……ザスッ……ザスッ……ザスッ……ザスッ……

 

 

沢山のミイラが地面を踏む音が聞こえる。

 

 

 

多分、出来る事はやった。

 

私は逃げずに立ち向かった。

 

最後の最後に臆病な自分に勝てたのだ。

 

胸を張っていけるだろう。

 

 

 

足音の一つが止まる。

 

その瞬間、私の心臓も止まったような感覚に陥った。

 

 

これで終わりか。

 

 

ミイラの手は既に私の細い首元までに近づいていた。

 

私は目を閉じる。

 

 

せめて最後に会いたかった。

 

思い出の中にいる彼に別れを告げる。

 

 

 

さようなら、と。

 

 

 

 

 

 

 

「諦めんじゃねぇぇえええ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

何処からか声が聞こえてきた。

 

幻聴?

 

つい目を開けてしまう。

 

 

その瞬間

 

私の横を白い流星が通り抜けた。

 

 

 

 

 

 

「ライダァロケットォ……パァァアアンチ!!」

 

 

 

 

 

 

いや、正確にはロケットだったようだ。

 

 

 

なにが起こったのか。

 

その答えは目の前の存在が自分で教えてくれた。

 

ソイツの全身は白を基調としたスーツで包まれており、右腕にはオレンジ色のロケットを装着していた。

 

恐らくこれで飛んできたのだろう。ノズル部分は放熱で陽炎のように揺らめいている。

 

 

 

「待たせちまってすまねぇ!」

 

 

 

ソイツは私の方を向いて頭を思い切り下げた。土下座でもしかねない勢いだ。

 

この時気付いたが頭部分にも羽が付いて、まるでスペースシャトルのようだと思った。

 

 

 

「でも、もう大丈夫だ!!」

 

 

 

このスペースシャトルの頭では表情まで伺うことはできない。

 

なのに、その仮面の奥によく知っている笑顔が見えた気がした。

 

 

 

「俺が奴らを引き受ける」

 

 

 

再び手のロケットから炎が噴き出す。

 

 

 

「アンタはコイツに付いて行ってくれ」

 

 

 

そういって投げてきたのはハンバーガーだった。

 

いや、よく見ると違う。

 

そのハンバーガーの形をした物体はカチャカチャと変形してロボットになった。

 

 

 

「案内は頼んだぜ!」

 

 

 

ロケット頭が手を振るとロボットも反応するように手を振り返した。

 

可愛い。

 

そんな事を考えているとロボットはススーと公園の外側に向かって動き出した。

 

意外に早い。

 

置いて行かれないように小走りで付いていく。

 

 

 

「他にも回らなきゃいけない場所があるんだ!」

 

 

『レーダー on』『ランチャー on』

 

 

「タイマン張らせてもらうぜッ!!」

 

 

 

後ろからロケット頭が戦っている声が聞こえる。

 

何故かそれだけで安心できた。

 

暫くすると大きな爆発音と爆風が響いてきた。

 

なにが起きたか気になるが、今は彼を信じよう。

 

それにしても、本当にいるんなんて思わなかった。

 

きっと彼がそうなのだろう。

 

 

人類の自由の為に戦い続ける仮面のヒーロー。

 

そんな生きる都市伝説に出会えるなんて思いもよらなかった。

 

 

そして、その正体はきっと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、私を避難キャンプまで送ると、ハンバーガーロボットは何処かへ行ってしまった。

 

恐らく彼の元に戻ったのだろう。

 

キャンプには私の他にも大勢いて、その中にあの親子の姿もあった。

 

二人は私を見つけるなり泣きながら、ありがとう。ありがとう。と言い続けた。

 

最初は戸惑っていたが気が付く私まで泣いてしまっていた。

 

 

この涙は自分が助かったことに対する安堵の涙なのか。

 

親子が無事でいてくれた嬉しさから来た物か。

 

それは私自身にもよく分からない。

 

 

 

ただ3人で、良かった。良かった。と言いながら泣き続けた。

 

 

 

暫くして、空に浮かんでいた巨大オブジェクトは何かに飲み込まれるように消えていった。

 

彼が壊してくれたのだろうか?

 

それとも、彼以外の仲間がやったのだろうか?

 

残念ながら、私のような一般人には知る事も出来ない。

 

 

でも決めた事はある。

 

 

その為には色々と準備をしなきゃ。

 

 

私は胸に新たな決意を刻んだ。

 

 

 

 

 

__________

 

 

 

翌年の春

 

 

 

私は念願の高校生になった。

 

 

志望校を変えた時、両親は反対した。

 

 

なんでも、最近嫌な噂が立ちまくっている高校らしい。

 

 

怪しい教師、怪物になる生徒、問題児が集まる部活動、

 

 

きっとその中に私が探す求めているモノがあるはずだ

 

 

私はそれを見つけたい。

 

 

いや、探し出して見せる。

 

 

 

 

 

 

 

入学した学校の名前は天ノ川学園高校。

 

 

 

さあ、私の青春スイッチを押しに行こう。

 

 

 

 

 





オーズにおける時間軸は最終回でフォーゼにおける時間軸は3話~5話くらいまでの間。

屑グリード大発生を弦ちゃんが知ったら必ず行くだろうなぁと妄想して書いてみました。

流石に伊達さん達だけでは手が届かない場所もあったのだろうから、そこら辺を自分なりに補完したかっただけです。

ここにWも入れようか迷ったけど作者の力量的にソレは無理っぽいので辞めておきました。


しかし、自分で書いてみてあれだけど、ライダーの恋愛ってだいたい悲恋で終わるのでこのオリキャラの恋も実りそうにないなぁ(キバを視聴しながら

感想、ご指摘、大歓迎です。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。