家庭教師ヒットマンREBORN-another 作:金剛石Mk2
「おっす、おはよう」
「お、おう。おはよう」
「あ、うん。おはよう」
自身の教室へと着いた土屋皆守を迎え入れたのは、案の定よそよそしい挨拶。それと目を合わせないように向けられる好奇の視線だった。
「……はぁー」
予想はしていたが、この状況はなかなかどうして精神的にきついものがある。それに加えてだ。
「おい、おま……」
「はいストップ、ストップ!!」
「……ボスが言うなら」
おもわずこぼれたため息に過剰に反応するお隣さんの存在が、周囲との隔絶を加速させる。沈んだ気持ちを矢島隼人に気づかれないようにしながら、土屋皆守は自身の机に着いた。
「よう、土屋!!なんか最近お前の周りすごいな!!」
そんな土屋皆守の肩が、ポンと叩かれた。
「お、おう。おはよう、前本」
周囲の反応とはまるで違う、いつものような言葉に土屋皆守は思わずどもってしまう。
――――
「おっと。こっちからの自己紹介はまだだったよな。おれは前本直志っていうんだ、よろしくな」
「……あぁ」
不信感をにじませた矢島のことも気にせずに、前本は明るく挨拶を交わす。
「それにしても土屋、一体なんでそんなに仲良くなってるんだ?まだ1日しかたってないのに。いや、仲良くなったのに1日もかかってないか……?ひょっとして前からの知り合いだったとか?」
「いや、違うけどさ……いろいろあったんだよ、いろいろ」
「いろいろか。……ならしょうがないな!とりあえず、仲良くしようぜ!!矢島!」
「…………」
「おいおい、なんだよ。ノリ悪いなぁ、おい」
そのフレンドリーな態度に土屋皆守は震えていた。
「山本ぉ!!これからもずっと友達でいような、なっ!?」
「うわっ、おいどうしたんだよいきなり!気持ち悪いなぁ」
「お前、ボスになんて口を!!」
「ていうか土屋、まじで矢島とどんな関係なんだよ」
感極まって山本にしがみつく土屋に、それに軽口を飛ばす前本。そんな前本に噛み付く矢島。そのやり取りを見ていた周りは、次第に普段通りの様子に戻っていった。
「前本、か。いろいろ調べといたほうがよさそうだな」
その教室の様子を、双眼鏡でのぞきながらリボーンはポツリ呟いた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
放課後、自分の部屋で土屋皆守は上機嫌に鼻歌を歌いながら鼻歌を歌っていた。やたらと絡んでくる矢島から開放されたという理由もあるが、それだけではなかった。
「どうした、いいことでもあったのか?」
いつの間にか土屋皆守の部屋にいることが当たり前になったリボーンの質問に、土屋皆守はやはり機嫌よさそうに答えた。
「いやぁ、やっぱり持つべきもんは友達だなと思っただけさ」
「ふーん、ところでその友達の前本のことなんだが」
続くリボーンの言葉で一気にいやな予感が駆け巡るまでは。
「なんでお前が知ってんだ!?」
「お前の部下にしろ」
「やっぱりスルーかよ、て言うかお前友達までマフィアにする気かよ!!」
いつも通りに土屋のツッコミは流されたが、それでも聞き捨てならない言葉が土屋皆守にはあった。
「矢島にもひるまない胆力に、体育の時間に見せた運動能力。十分やっていけると思うぞ?」
「そういうことじゃねーよ!!」
がやがやと、近所迷惑になりそうな問答を続ける土屋皆守とリボーン。
その様子を覗き見る、姿があった。
「見つけたぞ、リボーン……おおわっと!?ふう、危なかった」
よじ登った木の枝から落ちそうになったりしている小さな影が。