家庭教師ヒットマンREBORN-another   作:金剛石Mk2

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標的15 因縁

「グズグズ、ヒック、ズビビ」

 

「…………どうしてこうなった」

 

 

 土屋皆守は、川辺にて黄昏ていた。隣には盛大に涙と鼻水をこぼしている牛の意図の格好をした子供――ランボの姿がある。先ほどから降り注ぐ、何子供泣かせてんだとでも言いたげな通行人の視線が痛い。

 

 何でこんな目にあってるんだと、最近良く思うようになった答えのない疑問を浮かべながら土屋はゴソゴソとポケットを漁った。とにかく、この現状だけでも打破するためにだ。

 

「そんな泣くなよ、ほら飴でも食うか?」

 

「……!くれるのか?おまえいいやつだな!!」

 

 思いのほか簡単に打破できてしまったことで、土屋皆守はなにやら肩透かしを食らったような気分になった。自分の知る子供のような見た目の殺し屋というのがリボーンだけだからか、もっと大人びた反応を予測していたからだ。

 

 いまだに涙でぬれてはいるが笑みを浮かべながらもごもごと飴をなめるこの自称殺し屋を見て、イタリヤのマフィアはどうなっているんだと頭を抱えたい気分である。そも、ここにこうしているのもランボが再び土屋の家を訪れたからだ。

 

 今度は土屋の母親の手を取って、リボーンの友達と自称して。どういうわけか、母親はリボーンを見た目どおりだと思っているのだ。明らかにいろいろと無理があるというのに息子である土屋皆守の言葉よりもだ。結果、なぜだかこのランボとリボーンの仲直りを母親直々に仰せつかったわけである。もちろん土屋の言い分はさらりとスルーだ。

 

「というかそもそも、なんでリボーンを殺そうとなんてしてんだよ」

 

「ランボの夢は、ボヴィーノファミリーのボスになって全人類をひざまずかせることなんだ」

 

――――なんか急にとんでもないこと言い出したぞ、リボーンにボッコボコにされてんのに。

 

 唐突な自分語りに、頭の中を文句があふれ出しそうになったがどうにかこらえた。口に出せばそれはそれはめんどくさそうなことになりそうな気がしたからだ。

 

「……でもそうなるには、超一流のヒットマンのリボーンを倒せってボスに言われたんだ」

 

――――ずいぶんと無茶を言うな、そのボス。ていうか超一流なんだ、あんな見た目なのに。

 

 続く言葉も同様に突っ込みどころ満載で、土屋は無難な相槌を打つことにも苦労しそうだった。ふと、疑問が頭をよぎった。

 

「そういえば、ほんとにリボーンと会ったことあんのか?リボーンは知らないっていってたけど」

 

「あるぞ!あれは初めてボスにバーに連れて行ってもらったとき、あいつがいたんだ。マジでタダモンじゃないって感じでさ」

 

「……ほんとかよ」

 

「ほんとだって!!いやほんとすごかった、オレの話を聞きながら鼻でガムを膨らませてたんだ」

 

――――寝てんじゃねーかそれ。

 

 またも飛び出すツッコミどころに対しての文句をどうにか飲み込んで、土屋は相槌を打つ。

 

「そ、そうか。そいつはすごいな」

 

「ああ、ランボも練習したけどまだ一回も成功してないんだ」

 

「……さ、さ~て。そろそろ夕飯の時間だし帰るか。帰りに気をつけろよ」

 

 どうにもずれた会話に疲れ果てた土屋は無理に話題を切り替えて、家路に着くために立ち上がった。

 

――ガシッ。

 

「ん、なん…だ?」

 

 足元から聞こえた音に視線を向ければ、そこにはしがみつくランボの姿。

 

「いやなんでだよ!!帰れよ、おまっズボンに鼻水が!!」

 

「そんなつれないこと言わないでくれ、友達だろ」

 

「なぜに!?いやほんと帰れよ、帰ってください!!」

 

「まだリボーンを倒せてないから帰れない~!!手伝ってくれー!!」

 

「知るかぁ!!」

 

 それから5分近く、川原には言い争う声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「いいじゃない、大勢のほうがにぎやかで。あ、あと母さん回覧板持ってくからしっかり面倒を見ているのよ」

 

 結局、土屋家の夕飯の席にランボの姿はあった。あの後周りからの視線が本格的に不審者を見る目になってしまったために、土屋皆守は足にしがみつかれたまま家路についたのだった。

 

 そして粘りに粘って判定勝ちへと持ち込んだランボは、滝のような汗をかきながらリボーンの隙をうかがっていた。

 

「おい、リボーン何とかしてくれよ。おれにはもう無理だ」

 

 そんな中でリボーンはランボのことはおろか、土屋のヘルプすらガンスルーして夕飯を頬張っていた。

 

「シカトなのかよ……」

 

 無常な反応に土屋はため息をついた。結局事態は何も進展していない上に、なんだかよくわからない奴に友達認定を受けるというわけの分からない事態になってしまったのだ。そして、思わず視線を元凶に向けた。

 

「っしゃあ!!」

 

「わあー!?」

 

 瞬間、ランボの手からナイフが放たれた。思わず土屋は叫び声をあげてしまう。だが、キンッと小気味いい音を立てリボーンにはじかれたナイフはランボの眉間へと返されていた。

 

――――だめだこりゃ。

 

 その光景にまるで他人事のような感想を思った土屋の耳にリボーンの呟きが入ってきた。

 

「ん、あぁ。思い出したぞ」

 

「え、なにをだ?」

 

「そいつのことだよ」

 

 そういってリボーンはランボを指差した。

 

「おお、やっとこのランボのことを思い出したか!!」

 

 その言葉にランボは喜色満面の笑みを浮かべる。

 

「いや、お前ランボじゃなくてスズキじゃなかったか?」

 

 続いた言葉を聴くまでは。

 

「いや、なにいってんだよリボーン。いくらなんでもそりゃないって、なぁ……おいどうした?」

 

 あまりにも突拍子のない単語に、土屋はあきれた様子で聞き返しランボへと向き直った。当のランボの顔は引きつっていた。

 

「そ、その名前で呼ぶなぁ!!」

 

「わああああああああ!!」

 

 次の瞬間、山盛りの手榴弾を全力で投球したランボに土屋は思わず叫び、リボーンは慌てることなくすべてをはじき返した。

 

「ホギャッ」

 

 いつか見たように、見事にピッチャー返しされた手榴弾の嵐にランボ――いや、スズキの体が窓の外へと放り出された。

 

 轟音と共に姿を消したランボに、土屋は思わず合掌をしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――あぁ、これからはあいつはこんな感じの扱いが続くんだろうな、と同情しながら。

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